4439.シリアの内戦拡大か?



シリア情勢は、外国勢力の存在が明らかになり、かつ、泥沼化する
様相にある。その検討。   津田より

0.シリア内戦の構図
シリア内戦の構図は、スンニ派対シーア派・アラウィ派連合の戦い
である。スンニ派反政府勢力を助けているのが、欧米諸国、サウジ
、カタールなど湾岸諸国で、シリア政府を助けているのが、イラン
、ロシア、中国であり、レバノンのシーア派であるヒズボラだ。

特にヒズボラは、シリアから武器の補給を受けて、イスラエルと戦
ってきたので、シリア政府が倒れて武器の補給がなくなれば、イス
ラエルの攻撃を受けて、壊滅する脅威がある。このため、シリアの
内戦に参加していることは、想像できる。

そして、米国務省のベンジャミン・テロ対策調整官は10日、イス
ラム教シーア派武装組織ヒズボラがシリアのアサド政権を支援して
いるだけでなく、欧州を含めて世界各地でテロ活動を活発化させて
いると警告した。米政府は同日、ヒズボラをシリア制裁の対象に指
定している。

それに、イランもロシアも兵員を送っていることが明らかになった。
シリアの首都ダマスカスで4日、当初、イラン人巡礼者48人が武装テ
ロ集団に拉致されたと、ダマスカスのイラン大使館当局者がイラン
国営テレビに語った。しかし、このイラン人48人について、サレ
ヒ外相が「軍や革命防衛隊の経験者が一部含まれている」と語り、
軍事顧問団を送っていることを認めた。

また、シリアに軍事顧問として派遣されたロシアの将校が、反政府
軍に殺されたようである。ロシアは否定しているが、ロシアの軍事
顧問団の存在も明らかになりつつある。

逆に、反政府軍には国際テロ組織「アルカイダ」の戦闘員が、隣国
からシリア領内に入り込み、在野勢力側に立って戦闘行為に積極的
に参加している。

米CIAによると、シリア国内に「アルカイダ」はよく組織された
諜報網を作りつつあり、イラク国内にあるような攻撃用の「橋頭堡」
を作ろうと試みているとし、もし蜂起軍が最終的にアサド大統領を
打倒した場合、「アルカイダ」を殲滅するのは難しいと見ているよ
うだ。

というくらい「アルカイダ」が浸透しているということである。「
アルカイダ」自体が、もともと欧米支援で作ったスンニ派のゲリラ
活動部隊であり、アフガニスタンでのソ連侵攻を止めたことでも知
られている。

また、激戦地アレッポではトルコとサウジアラビアの将校が拘束さ
れたとシリアでは伝えられている。反政府軍側は否定しているよう
だが、実際に拘束されていたとしても、不思議ではない。欧米の情
報機関要員とスンニ派のサウジとトルコが関与していることも確か
である。下士官クラスが戦闘現場を指揮するが、その要員はなかな
か育成できない。その不足する要員を両陣営は、外部に求めること
は、ありそうなことである。

欧米諸国は、特に米英国は、反政府軍を編成、資金や武器を提供、
将兵を訓練、トルコ、ヨルダン、レバノンなどに軍事拠点を作り、
自国の特殊部隊を潜入させているか、少なくとも雇用兵を潜入させ
ている。

英国のヘイグ外相は10日、アサド政権による市民弾圧が続くシリ
アの反体制派に対し、衛星携帯電話や防弾チョッキ、医療用品など
500万ポンド(約6億1千万円)相当の支援を行うと発表したが
、英国の情報機関がシリアで活躍していることが分かる。

国連総会は3日、シリアのアサド政権を非難し、市民への攻撃を即
時停止するよう求める決議案を賛成多数で採択した。ロシアや中国
、イランなどは反対票を投じた。安全保障理事会決議とは異なり、
法的拘束力を持たないが、この採択後、戦闘激化で難民が増えてい
る。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官は10日、内戦
状態のシリアから戦火を逃れ、隣国のトルコ、ヨルダン、レバノン
、イラクに流入する難民の数が今週に入り急増していることを明ら
かにした。

4カ国に逃れ、正式に登録されたシリア難民は今月9日時点で14
万6667人。しかし、報道官は「幾つかの国では多数の難民が未
登録」と述べ、実際の人数はさらに多いとの認識を示した。

また、イタリア南部クロトーネでは8日、シリア人難民160人を
乗せた漁船が到着した。

しかし、問題は徐々に内戦が拡大してきていることで、シリアと難
民が流入している隣国ヨルダンの国境地帯で10日、両国政府軍に
よる砲撃戦が起きたことである。

また、トルコ政府が同国南東部のクルド人居住区への弾圧を強化、
数千人の兵士、戦闘機とヘリで山岳地帯を攻撃、民兵37人を殺害と
発表した。シリア内戦でシリア・イラク・トルコにいるクルド人勢
力が台頭するのを先に封じ込める戦術のようである。シリア内戦で
シリアのクルド人はイランにあるクルド自治政府に助けを求めてい
る。このため、クルド人部隊がシリアに存在する可能性は高い。

このクルド人の存在が、シリア情勢を変化させることはないようで
あるが、トルコが身構えている。

1.戦況
戦況では、シリア政府軍の准将は4日、首都ダマスカス市内で反体
制派の最後の拠点だったタダムン地区を奪還し、首都を制圧したと
語った。

また、同国最大都市の北部アレッポで反体制派に対する総攻撃を開
始して最大規模の掃討作戦を行い、反体制派は9日、中心部のサラヘ
ディン地区から撤退した。

反政府軍を鎮圧できそうであるためか、シリアのアサド大統領が、
同盟国のイラン政府高官と会談し、その様子がシリア国内で放送さ
れた。大統領が姿を見せるのは、およそ半月ぶりのこととなる。

それに比べると、反体制派は弱体である。各グループがバラバラで
あり、欧米やアラブ諸国などは、シリアの各反体制派にも一本化を
求めてきたが、統一した組織ができていない。その内、「アルカイ
ダ」が強大化して、統一する可能性があり、そのときは原理主義の
アルカイダ政府ができる可能性もある。

反政府派の劣勢になり、バラク・オバマ米大統領の対テロ上級顧問
のジョン・ブレナンは「飛行禁止空域」の設定を否定していないと
発言した。シリアを空爆することもありえるということだが、そう
なると、すでに参戦していると思われる中国やロシアとの戦闘に発
展する可能性が出てくる。つまり第3次世界大戦か?

そうした中、国連は9日、内戦が続くシリアに展開する停戦監視団
について、現在150人の軍事監視要員を13日までに100人に
減らす方針を要員派遣国に伝えた。

シリアでは戦闘が激化し、監視団の活動が一層制限されている。監
視団は軍事要員最大300人でスタートしたが、国連は7月下旬、
その数を半減させ、文民による調停支援に力点を移すと発表してい
た。

国連の関与が少なくなるのを防ぐために、国連安全保障理事会の8
月の議長国フランスは、シリアの人道状況に関する閣僚級会合を
30日に開く方針を固めた。露中が拒否権を行使した制裁決議案な
どの議論は避け、露中も協力しやすい人道問題への対応に焦点を当
てるとしている。

しかし、政府側が優位にある訳でもない。アサド大統領は9日、ヒ
ジャブ前首相が反体制派弾圧に抗議して離反したのを受け、保健相
だったハラキー氏を首相に指名した。アサド政権は6日、ヒジャブ
氏を更迭し、ガラワンジ副首相を暫定首相に指名したと発表してい
た。

シリアの70%住民がスンニ派であり、そのスンニ派のリヤド・ヒ
ジャブ前首相が政権離反の意思を固めたのは、6月にアサド大統領
から「首相就任を受けなければ、殺す」と脅されていたためだった
が、大統領は、スンニ派のヒジャブ氏を首相にすえ、「国民統合」
の象徴とする狙いだったとみられる。しかし、スンニ派弾圧が凄い
ので、政権を離脱したという。

2.今後のシリアは
このようなシリア情勢に対して、ヨルダンのアブドラ国王は、「ア
サド大統領が大シリアを統制できなければ、アラウィ派居住地だけ
の支配が次善の策になるのではないかと考えている」と指摘。「そ
うなれば、われわれにとって最悪の事態だ。なぜなら、それは大シ
リアの崩壊を意味し、私にとっては無意味と思える土地の奪い合い
が始まることを意味する。そしてシリアが内部崩壊すれば、回復に
数十年はかかる問題をわれわれにもたらすことになる」と述べた。

これを裏付けるのか、シリアの反体制派が1本化できないことであ
り、この原因が地域毎の部族が強いことを意味しているようである。
欧米諸国も長期に介入することになり、大変なことになる予感がす
る。それより先に、黙示録の世界になってしまう可能性もあり、ど
ちらに倒れても、大変なことになる。

シリア情勢は、泥沼化が待っているようだが、1つの救いは、中国
がシリアに派兵している関係からか、日本との戦争を当面回避する
としたことである。

アラブ連盟は12日にサウジアラビア西部ジッダで外相会合を開き
、シリア情勢のほか、辞任したアナン国連・アラブ連盟特使(前国
連事務総長)の後任問題について協議する。アナン氏の後任には、
アルジェリアのブラヒミ元外相が有力視されており、アラブ連盟も
国連側の人選を追認するようだ。

さあ、アラブ連盟は、最終戦争を呼び込む気がどうかが試されてい
る。シリア内戦を支援していくと、その内に大戦争に発展する可能
性があり、中東全体、世界全体に影響することになる。沈静化を図
れるのは、金を出すサウジやイランなどである。

日本は、シリア内戦拡大後、派兵を米国から依頼され、出て行くこ
とになると思うので、シリア情勢はウォッチしていることが必要で
ある。

さあ、どうなりますか?

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シリア情勢で外相会合へ=アラブ連盟
 【カイロ時事】アラブ連盟は12日にサウジアラビア西部ジッダ
で外相会合を開き、シリア情勢のほか、辞任したアナン国連・アラ
ブ連盟特使(前国連事務総長)の後任問題について協議する。連盟
当局者が11日明らかにした。
 アナン氏の後任には、アルジェリアのブラヒミ元外相が有力視さ
れており、アラブ連盟も国連側の人選を追認する可能性がある。
(2012/08/11-21:40)
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尖閣で「決戦」避ける=中国指導部が一致−香港誌
 【香港時事】香港誌・亜洲週刊の最新号は、中国指導部がこのほ
ど、尖閣諸島の領有権問題について、どうしてもやむを得ない事態
に至らない限り武力による「決戦」は絶対に避けるべきだとの認識
で一致したと報じた。
 指導部は河北省の避暑地・北戴河で尖閣問題を協議。中国経済の
発展を妨げないようにするという原則を確認した上で、日本側との
「闘争」は続けるが、焦り過ぎず、経済的手段により日本をけん制
するとの方針を決めた。この方針は既に中国外務省内部で伝達され
たという。 
 また、同誌によると、これに関連して、中国外務省報道局長や駐
仏大使などを歴任した同省外交政策諮問委員の呉建民氏は「世界に
は多くの矛盾があるが、軍事的解決は強権政治であり、21世紀の
今は受け入れられないだろう」と語った。(2012/08/11-19:00)
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米国特務機関 「アルカイダ」戦闘員がシリア在野勢力内にいる事
を認める
11.08.2012, 12:48VOR

国際テロ組織「アルカイダ」の戦闘員らは、隣国からシリア領内に
入り込み、在野勢力側に立って戦闘行為に積極的に参加している。
これは、シリアの在野勢力における「アルカイダ」戦闘員数の増加
傾向を憂慮している米国諜報機関の現役あるいは元職員らが、記者
団に伝えたもの。

彼らの話によれば、シリア国内に「アルカイダ」はよく組織された
諜報網を作りつつあり、イラク国内にあるような攻撃用の所謂「橋
頭堡」を作ろうと試みているとの事で、諜報活動の専門家である彼
らは、もし蜂起軍が最終的にアサド大統領を打倒してしまった場合
、「アルカイダ」を殲滅するのは難しいと見ている。

彼らのデータによれば、現在、イラクやアフガニスタンでのテロ作
戦の経験を持つ「アルカイダ」戦闘員およそ200人がシリアで活動中
だ。

イタル・タス
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シリア:国境でヨルダンと砲撃戦
毎日新聞 2012年08月11日 11時11分

 ロイター通信によると、内戦状態が深刻化しているシリアと、難
民が流入している隣国ヨルダンの国境地帯で10日、両国政府軍に
よる砲撃戦が起きた。ヨルダン当局者によると、ヨルダン軍側に死
者は出ていないという。

 シリア反体制活動家の目撃情報によると、現場はヨルダンの首都
アンマンから北に約80キロの国境地帯。シリアからの難民がヨル
ダン国内に入ろうとした際に衝突が発生したといい、戦闘には複数
の装甲車両が投入されたという。

 ロイター通信によると、ヨルダン側は「シリア側が国境を越えて
砲撃してきたため、交戦に発展した」と説明しているという。ヨル
ダン軍はこれまでも、シリア軍による難民への銃撃を止めさせるた
め、国境付近で発砲を行っている。

 シリア情勢を巡ってはヨルダンなどの周辺国に混乱が「飛び火」
する事態に国際社会の懸念が強まっている。【中西啓介】
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「ヒズボラ、テロ活動活発化」=欧州など世界各地で−米が警告
 【ワシントン時事】米国務省のベンジャミン・テロ対策調整官は
10日、電話記者会見で、イスラム教シーア派武装組織ヒズボラが
シリアのアサド政権を支援しているだけでなく、欧州を含めて世界
各地でテロ活動を活発化させていると警告した。米政府は同日、ヒ
ズボラをシリア制裁の対象に指定している。
 同調整官はこの中で、「ヒズボラはいつでも警戒をかいくぐって
、欧州または世界各地で(テロ)攻撃できると考えている」と強調
。ブルガリアで7月に起きたバス爆破事件に関して「ヒズボラの犯
行手口に似ている」と指摘した。(2012/08/11-10:07)
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シリア難民が隣国流入、今週急増 北部戦闘激化で

 【ニューヨーク共同】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
の報道官は10日、内戦状態のシリアから戦火を逃れ、隣国のトル
コ、ヨルダン、レバノン、イラクに流入する難民の数が今週に入り
急増していることを明らかにした。北部アレッポなどでの反体制派
と政府軍の戦闘激化が原因とみられる。

 4カ国に逃れ、正式に登録されたシリア難民は今月9日時点で14
万6667人。しかし、報道官は「幾つかの国では多数の難民が未
登録」と述べ、実際の人数はさらに多いとの認識を示した。

 最も多いのはトルコの5万227人で、このうち6千人以上が今
週に入ってトルコ入りした。

2012/08/11 08:32 【共同通信】
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ヒズボラに制裁=シリアのアサド政権支援で−米
 【ワシントン時事】米財務省は10日、シリアのアサド政権を支
援しているとしてイスラム教シーア派武装組織ヒズボラを新たに制
裁対象に指定したと発表した。これにより、米国内のヒズボラ資産
が凍結されるほか、米国の個人・企業はヒズボラとの取引が禁止さ
れる。(2012/08/11-01:10)
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シリア問題で「安保理は結束を」=次期特使に有力なブラヒミ氏
 【ニューヨーク時事】シリア問題をめぐるアナン国連・アラブ連
盟特使の後任候補とみられているアルジェリアのブラヒミ元外相が
10日、世界的指導者グループ「エルダーズ(長老たち)」が出し
た声明にその一員としてメッセージを寄せ、「(シリアの)政治的
移行ができるだけ早く行われるため、国連安保理や地域の国々は結
束しなければならない」と訴えた。
 ブラヒミ氏は「多くのシリア人が平和を強く求めている。世界の
指導者はこれ以上分裂していてはならない」と強調した。
(2012/08/10-23:42)
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英、シリア反体制派に物資支援へ 衛星電話や医療品など
2012年8月10日22時2分

 英国のヘイグ外相は10日、アサド政権による市民弾圧が続くシ
リアの反体制派に対し、衛星携帯電話や防弾チョッキ、医療用品な
ど500万ポンド(約6億1千万円)相当の支援を行うと発表した。
「民間人を最悪の暴力から守るためだ」とし、武器の供与はしない
方針を強調した。英BBCによると、支援の大半は武装反体制派「
自由シリア軍」が対象。ヘイグ氏は英紙タイムズへの寄稿で、混乱
に乗じて国際テロ組織アルカイダのような過激派集団が浸透する恐
れを警告し、民主化勢力と協力する必要性を訴えた。(ロンドン)
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シリア反体制派、アレッポ中心部から撤退
2012年08月10日 20:10 発信地:アレッポ/シリア 

【8月10日 AFP】シリア政府軍と反体制派との戦闘が続く北部アレッ
ポ(Aleppo)で、反体制派は9日、政府軍からの激しい砲撃を受け、
中心部のサラヘディン(Salaheddin)地区から撤退した。

 反体制派・自由シリア軍(Free Syrian Army、FSA)のホサム・ア
ブ・モハメド(Hossam Abu Mohamme)司令官はAFPの電話取材に、2
日目に突入したサラヘディンでの戦闘で、FSAはサラヘディンから戦
略的撤退をはかったと説明。現在、サラヘディンにFSAの兵士は1人
もおらず、政府軍がサラヘディンに進攻しているという。さらにモ
ハメド司令官は、FSAは近郊のスカリ(Sukari)地区に撤退し反撃の
準備を進めていることを明らかにした。

 一方、国営テレビは政府の特殊部隊がサラヘディン地区から「テ
ロリスト」を一掃したと報じた。

 だが、シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights
)のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表によると
、サラヘディン地区にはまだ「死を覚悟して闘う決意」のFSAの兵士
らが残っているという。

 また、首都ダマスカス(Damascus)の治安情報筋は、政府軍はサ
ラヘディンからサイフ・アッダウラ(Saif al-Dawla)に向けて急進
しているが、次の主戦地はスカリになるだろうと話した。
(c)AFP/Phil Moore
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シリア監視団、さらに50人削減=国連
 【ニューヨーク時事】国連は9日、内戦が続くシリアに展開する
停戦監視団について、現在150人の軍事監視要員を13日までに
100人に減らす方針を要員派遣国に伝えた。複数の国連外交筋が
明らかにした。
 シリアでは北部の中心都市アレッポなどで政府軍と反体制派の戦
闘が激化し、監視団の活動が一層制限されている。
 監視団は軍事要員最大300人でスタートしたが、国連は7月下
旬、その数を半減させ、文民による調停支援に力点を移すと発表し
ていた。(2012/08/10-06:28)  
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ハラキー氏を首相に指名=前任の離反受け−シリア大統領
 【カイロ時事】シリア国営通信によると、アサド大統領は9日、
ヒジャブ前首相が反体制派弾圧に抗議して離反したのを受け、保健
相だったハラキー氏を首相に指名した。アサド政権は6日、ヒジャ
ブ氏を更迭し、ガラワンジ副首相を暫定首相に指名したと発表して
いた。
 ハラキー氏は1964年生まれで、昨年3月に始まった反体制派
弾圧で初めて死者が出た南部ダラアの出身。ダマスカス大医学部卒
業後、同大で修士号取得、2000〜04年に支配政党バース党の
ダラア支部の事務局長を務めた。(2012/08/09-20:37
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シリアから漁船で160人=伊南部
 【ローマAFP=時事】イタリア南部クロトーネに8日、シリア
人160人を乗せた漁船が到着した。ANSA通信が伝えた。
 漁船には主に家族が乗っており、子供48人も含まれていた。沿
岸警備隊が沖合約6キロで発見し、港まで誘導した。いずれも健康
状態は良好で、一時収容センターで保護されている。
 シリアとイタリアは地中海を隔て、約2000キロ離れている。
(2012/08/09-07:27)
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イラン外相:「拉致48人に軍経験者」シリア関与認める
毎日新聞 2012年08月08日 23時37分

 【テヘラン鵜塚健】イラン学生通信は8日、シリアの首都ダマス
カスで今月4日に反体制派に拉致されたイラン人48人について、
サレヒ外相が「軍や革命防衛隊の経験者が一部含まれている」と語
ったと報じた。イラン政府は当初「(拉致されたのは)巡礼者だ」
と説明していたが、シリアへの軍事面での関与を一部認めた形とな
った。

 拉致事件は、反体制派「アルバラー」がインターネットの動画上
で48人の動画を公開して発覚。サレヒ外相は直後からトルコやカ
タールに協力をあおぎ、「巡礼者」の解放に向けて動いていた。
しかし、アルバラーは「48人の素性が明確にわからない限り、解
放交渉には応じない」と主張したため、イラン政府は姿勢を転換し
た模様だ。

 一方、長期化するシリア北部の主要都市アレッポでの政府軍と反
体制派による激しい攻防は8日も続いた。最前線となったサラヘデ
ィン地区では、政府軍側が大規模掃討作戦を再開して「テロリスト
を排除し、支配下に置いた」と主張する一方、反体制派は「撤退し
ていない」と反論。在英反体制派組織「シリア人権観測所」などに
よると、7日のシリア全土での死者は、市民188人を含む240
人に達した。8日も少なくとも60人が死亡した。 
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アサド政権側が最大規模攻撃 最大都市の北部アレッポ
2012.8.8 21:49sankei

 【カイロ=大内清】シリアからの報道によると、同国最大都市の
北部アレッポで反体制派に対する総攻撃を準備していたアサド政権
側の軍は8日、大量の戦車などを市内に進入させ、これまでで最大
規模の掃討作戦に着手した。ロイター通信などによれば、政権側の
軍高官は、反体制派武装組織「自由シリア軍」の拠点サラーヘッデ
ィン地区を制圧し、多数の戦闘員を殺害したと語ったが、反体制派
は否定している。

 これに先立つ7日、イランのジャリリ最高安全保障委員会事務局
長と会談したアサド大統領は「テロリストを国土から排除する」と
宣言。ジャリリ氏は「イランは、『抵抗の枢軸』を分断させること
を許さない。シリアはその根幹だ」として、今後もアサド政権支援
を続けると強調した。

 一方、シリア国内で反体制派に拉致され、イラン革命防衛隊メン
バーが含まれているとされたイラン人48人について、イランのサ
レヒ外相は8日、「退役した革命防衛隊員が含まれている」と述べ
た。 
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ヨルダン国王「シリアが内部崩壊すれば回復に数十年」=報道
2012年 08月 8日 20:07 JST 

[ベイルート 8日 ロイター] ヨルダンのアブドラ国王は、内
戦状態が続くシリア情勢について、アサド大統領が自国全体の統制
を維持できなければ、自身の権力基盤であるイスラム教アラウィ派
の居住地を設立する可能性があるとの認識を示した。

米CBSのウェブサイトに7日付でインタビュー記事が掲載された。

同国王はこの中で「アサド大統領が大シリアを統制できなければ、
アラウィ派居住地が次善の策になるのではないかと考えている」と
指摘。「そうなれば、われわれにとって最悪の事態だ。なぜなら、
それは大シリアの崩壊を意味し、私にとっては無意味と思える土地
の奪い合いが始まることを意味する。そしてシリアが内部崩壊すれ
ば、回復に数十年はかかる問題をわれわれにもたらすことになる」
と述べた。

アサド政権打倒を目指す反対勢力のほとんどは、シリア国民の大多
数を占めるイスラム教スンニ派だ。一方、アラウィ派はイスラム教
シーア派の分派とされる少数派。 
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シリア問題で閣僚級会合開催へ…国連安保理

 【ニューヨーク=柳沢亨之】国連安全保障理事会の8月の議長国
フランスは、シリアの人道状況に関する閣僚級会合を30日に開く
方針を固めた。

 外交筋が7日、明らかにした。米欧と露中の対立で機能不全に陥
った安保理に、一定の対シリア関与を継続させる狙いがある。

 30日の会合では、露中が拒否権を行使した制裁決議案などの議
論は避け、露中も協力しやすい人道問題への対応に焦点を当てる。

 国連停戦監視団が19日で任期満了となり、米国の反対で延長も
困難視される中、安保理が何もしていないとの批判をかわす目的も
あるとみられる。

 ただ、シリアの人道状況は戦闘激化で急速に悪化しており、国連
によると、国内避難民が約100万人に達したほか、食糧難にあえ
ぐ国民が今後、約300万人に上る恐れがある。

(2012年8月8日16時00分 読売新聞) 
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シリア・アサド大統領、イラン政府高官と会談 健在ぶりアピール
08/08 12:41FNN 
劣勢が伝えられる中で、健在ぶりをアピールした。
シリアのアサド大統領が、同盟国のイラン政府高官と会談し、その
様子がシリア国内で放送された。
大統領が姿を見せるのは、およそ半月ぶりのこととなる。
シリアでは、北部の最大都市アレッポをめぐって、政権側と反体制
派による攻防戦が激化している。
そうした中、シリア国営テレビは7日、アサド大統領がイランの最高
指導者の側近で、安全保障委員会のトップを務めるジャリリ氏と会
談する様子を放映した。
現職の首相ら幹部が相次いで離反したことで、政権の弱体化が指摘
される中、自らの健在ぶりを誇示するとともに、数少ない同盟国・
イランとの結束をアピールした。
一方で、イラン政府は、反体制派を支持するトルコに外相を派遣し
、反体制派陣営の切り崩しを図っている。
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プリマコフ氏が「シリアの事態は内戦」
8.08.2012, 10:20VOR

「シリアで進行している事態は外国軍も参加しているまぎれもなく
内戦である。」8日付けの「ロシア新聞」に掲載されたエヴゲーニ
ー・プリマコフ元外相のインタビュー記事では、こうした見解が明
らかにされた。プリマコフ氏はアラブ世界に最も通じた識者として
知られる。
同氏は、シリアのアサド政権に反対する武装戦闘員にはサウジアラ
ビア、カタール、トルコからの資金が流れており、その他の国から
の傭兵も戦いに参加していることを指摘した上で、オバマ米大統領
が米中央情報局に対しシリアの反体制派を支援するよう直接指示を
行なっていることは主権国家の内政に対する許しがたい干渉である
と語っている。
この上でプリマコフ氏はシリア危機に対するロシアの態度は唯一正
しいものであり、その根底には道徳的アプローチがあると評価した。

タス通信
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Russian general denies reports he was killed by Free Syrian Army
Wednesday, 08 August 2012

Russian news agencies quoted the Russian Defense Ministry 
as saying the report of his death was a “bald-faced lie.” 
(Reuters)

By AL ARABIYA WITH AFP 

A Russian general Wednesday denied reports he had been killed 
by rebels in Syria during an operation 
against President Bashar al-Assad’s top security men.

General Vladimir Kuzheyev told reporters at a hastily 
arranged press conference at the Russian defense ministry 
in Moscow that he was flattered by the attention and happy 
to report he was well.

“I thank the media for devoting such great attention 
to my humble persona,” Kuzheyev said in comments also posted 
on the defense ministry’s official website and replayed 
on state television.
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大統領から「殺す」…シリア前首相の離反内幕

 【カイロ=貞広貴志】シリアのリヤド・ヒジャブ前首相が政権離
反の意思を固めたのは、6月にアサド大統領から「首相就任を受け
なければ、殺す」と脅されていたためだった――。

 中東の衛星テレビ「アル・ジャジーラ」などは7日、ヒジャブ氏
の代理人の話などに基づき、6日に発覚した離反の内幕を伝えた。

 報道によると、アサド政権内で頭角を現したヒジャブ氏だが、昨
年以降は弾圧被害が市民に広がるのを見て悩み始めていた。脅迫さ
れて首相就任は受けたものの、胸中では離反を決意。3週間前から
反体制派「自由シリア軍」の手引きで出国する準備を進めた。反体
制派内では氏を新指導者の一人にかつぐ動きもあるが、「政権の忠
臣だった過去は消えない」といった反発もあるという。

 アサド政権の実権は、大統領と家族、一握りのイスラム教アラウ
ィ派幹部が掌握している。大統領は、スンニ派のヒジャブ氏を首相
にすえ、「国民統合」の象徴とする狙いだったとみられる。

(2012年8月7日20時59分 読売新聞)
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イランがアサド政権に武器提供”
8月7日 16時32分NHK

内戦状態に陥ったシリアでアサド政権を離反して亡命した元高官が
、NHKのインタビューに応じ、去年、反政府デモが始まった直後
から、イランがアサド政権に武器や資金を提供していることを明ら
かにしました。

この元高官はアサド政権下で隣国イラクへの大使を務めていたナワ
フ・ファレス氏で、先月、政権を離反してカタールに亡命しました。
カタールの首都ドーハで6日、インタビューに応じたファレス氏は
先月、国防相などが殺害された事件について、「アサド政権にとっ
て大きな衝撃で、治安機関の統率にも打撃を与えている」と指摘し
ました。

そのうえで、今も政権内にいる関係者の話として、「アサド大統領
は暗殺を恐れて、2日連続で同じ場所にはとどまらず、首都ダマス
カスや出身地の北西部のラタキアにある宮殿や公邸など、頻繁に居
場所を変えている」と述べました。
また、外国の介入についてファレス氏は、「反政府デモが始まった
去年3月ごろ、ダマスカスで行われたシリア政府とイラン政府の高
官協議に同席したが、イラン側はデモはアメリカなどに扇動された
もので徹底的に鎮圧すべきだとして、武器や資金の提供を含む全面
的な協力を表明した」と述べました。
そして、イランからの武器や資金は地中海の港やイラクを経由した
陸路でシリアに運び込まれていることを明らかにしました。
一方、反政府勢力への支援についてファレス氏は、「カタールやサ
ウジアラビアなどの湾岸諸国は政治的な支援を続けているが、不十
分だ」として武器や資金の一層の支援を求めました。  
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アサド政権支援にイラン派兵? シリアで戦闘員目撃情報
2012年8月5日18時26分

 シリア北部アレッポでのアサド政権軍と反体制派の戦闘に、「イ
ラン人が加わっている」と反体制派の複数の関係者が朝日新聞に証
言した。イランはアサド政権を支援しているが、派兵を否定してお
り、真相は謎に包まれている。

 アレッポ南西部サラヘッディンで、反体制派「自由シリア軍」の
諜報(ちょうほう)活動に携わるシリア人の男性(49)が電話取
材に対し、「平服を着た100人ほどのイラン人戦闘員が2日、ア
レッポに入ったが、反体制派が35人の身柄を拘束した」と述べた。
だが相手はペルシャ語しか話せないため意思疎通ができず、情報を
引き出せないでいるという。

 7月31日には、イランが支援するレバノンのイスラム教シーア
派組織ヒズボラの戦闘員27人を拘束したとするが、男性はそれ以
上の証言を拒んだ。
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シリア政府軍 アレッポの反体制武装勢力を封鎖
5.08.2012, 17:24VOR

シリア政府軍は5日、アレッポで反体制勢力が掌握した地区を完
全に封鎖した。アレッポはシリアの経済的中心地。
スリア・アル=エン通信社が伝えたところによれば、精密攻撃が6千
から8千人の過激派武装勢力が集中する東部2地区および西部2地区で
行われるという。

ここ数日で、数百人の武装戦闘員が殺害されるか、もしくは負傷し
た。また治安機関などの施設を奪取しようとする試みも退けられた。

政府軍と協力してアラブ各部族も立ち上がっており、イスラム過激
主義勢力が政府支持派に対して残忍な扱いを行っていることが背景
となっている。独立系シリア新聞「アル=ワタン」が伝えた。

4日、政府軍はダマスカスのタダムン地区から反対派を駆逐し、7月
以来完全に首都を完全に掌握した。現在状況は沈静化している。

タス 
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シリア政府軍が「首都制圧」 発表、反体制派は奇襲作戦の方針示す
2012年08月05日 14:39

【8月5日 AFP】シリア反体制派が北部アレッポ(Aleppo)で政府軍
の激しい砲撃を受ける中、政府軍の准将は4日、首都ダマスカス
(Damascus)市内で反体制派の最後の拠点だったタダムン(Tadamun)
地区を奪還し、首都を制圧したと語った。

 内戦状態にある同国では17か月近くで2万1000人以上が死亡したと
され、前日には国連が停戦調停の失敗に遺憾の意を表明した。
 
 准将は激しい戦闘後に同地区付近に立ち入った記者団に対し、政
府軍が同地区を奪還して首都全域を支配下に置いたと述べた。准将
は名前を明らかにしていない。

 一方、反体制派の活動家レナ・シャミ(Lena al-Shami)氏は、レ
バノンの首都ベイルート(Beirut)からスカイプでAFP通信に対し、
「自由シリア軍(Free Syrian Army、FSA)」が同地区から撤退した
と語った。FSAは今後、政権側の重要な標的に対して奇襲攻撃を実施
する方針という。

 タダムン地区はヤルムク(Yarmuk)のパレスチナ難民キャンプと
境界を接し、シリア人とパレスチナ人の双方の拠点。しかし現在は
人影がなく荒廃しており、建物の屋根の間には電線が垂れ、道路の
舗装もひどく損傷している。(c)AFP   
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シリア反体制派 四分五裂のまま
2012年8月5日 東京新聞朝刊

 【カイロ=寺岡秀樹】内戦状態にあるシリアで、アサド政権崩壊
をにらんだ移行政権の準備など、反体制派の受け皿づくりが進まな
い。先月末に亡命政府を樹立する方針を表明した反体制派組織の元
有力幹部マレハ氏はカイロで本紙の取材に応じ、「政権が崩壊して
からでは遅すぎる」と危機感をあらわにした。だが、現実には各派
の路線対立や、主導権争いから四分五裂のまま。反体制派の一本化
どころか反目が浮き彫りとなっている。
 マレハ氏はトルコを拠点とする反体制派の代表格「国民評議会」
の元幹部。亡命政府樹立に向け、政党色を薄め、反アサド政権で一
致する広範な勢力の連携を目指す構想だ。各勢力に参画を呼び掛け
、カイロに拠点を置きたい考え。マレハ氏は「反体制派が団結する
千載一遇のチャンスだ」と意欲を示す。
 ところが、ロイター通信によると、古巣の国民評議会が早くも参
加を拒否した。サイダ評議会代表は「政権移行プロセスは困難な作
業だ。事前の相談なしに(政府樹立を)発表しても意味はなく時期
尚早」と述べた。
 反体制派「自由シリア軍」の指導者アサアド大佐も、「マレハ氏
は、日和見主義者。今は、政府樹立の熱に浮かされているだけだ」
と突き放した。
 その自由軍も、トルコに潜伏する幹部らと戦闘の最前線に立つ国
内組の間で不協和音が目立ってきた。国内組は七月三十日、政権移
行に向け新組織を設立する案を提案したが、アサアド大佐は拒否し
た。
 昨年のリビア政変で各国は内戦中から反カダフィ派「国民評議会
」を正統政権と認め資金面で強力に支援、カダフィ独裁体制の打倒
につながった。そうした成功例にならい欧米やアラブ諸国などは、
シリアの各反体制派にも一本化を求めてきた。だが、アサド政権崩
壊が現実味を帯びつつある今になっても各国の働きかけは不調に終
わっている。
 カイロ・アメリカン大のアブドラ・アシャル教授は「反体制派は
、各グループが唯一の代表になろうとしているが、祖国や犠牲者の
ことを、真剣に考えているとは思えない。結集は難しく、結果的に
アサド政権の延命を助けている」と語った。 
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首都全域を支配下に=シリア軍
 【ダマスカスAFP=時事】シリア軍准将は4日、記者団に対し
、軍が同日午後に首都ダマスカス南部のタダムン地区を反体制派か
ら奪還し、首都全域を支配下に置いたと語った。反体制派にとって
同地区は首都における最後の拠点だった。
 これに関連して反体制活動家はAFP通信の取材に、反体制武装
組織「自由シリア軍」がタダムン地区から既に撤退し、今後は主に
「政権の重要標的に対する奇襲攻撃」を仕掛けていくと述べた。
(2012/08/05-07:29)   
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時代の風:「アラブの春」と国際社会=仏経済学者・思想家、ジャッ
ク・アタリ
毎日新聞 2012年08月05日 東京朝刊

 ◇独裁者に司法の裁きを
 革命が起きるためには二つの状況が必要だ。まず、人々が恐怖を
感じなくなること。そして、失う物を多く所有していること、つま
り、ある程度、財産のある中産階級が存在していることだ。経済が
発展すると、人々は蜂起の欲求を持つようになるのだ。

 アラブ諸国における一連の革命(アラブの春)では経済成長によ
って教育水準が上昇し、(高学歴だが職に就けない)失業者が欲求
不満を募らせるようになった。また、エリート層の間で、群衆に発
砲するのは望ましくないという感情が生まれるようになる。

 マルクスは(市民)革命について「専制的な体制が経済を発展さ
せ、中産階級を生む。そして、中産階級が専制的な体制を駆逐する
」と説明した。アラブ世界には民主主義の土台がなく、宗教的な原
理主義の前に民主主義は後退すると主張する専門家もいた。だが、
アラブの革命でマルクス説の正しさが証明された。

 (短文投稿サイトのツイッターや会員制交流サイトのフェイスブ
ックなどの)ソーシャルメディアはアラブの革命でなんら役割を果
たさなかった。確かに、新しい技術によって人々は憤りやすくなる。
情報をたやすく手にすることができるからだ。だが、それだけで事
は起こりはしない。ニューメディアのネットワークがあるからとい
って、人々が恐れを感じなくなるわけではないからだ。アラブの革
命を「フェイスブック革命」と呼ぶ人もいるが、そうは思わない。
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イラン巡礼者48人拉致される=シリア
時事通信 8月4日(土)23時9分配信
 【テヘランAFP=時事】シリアの首都ダマスカスで4日、イラン人
巡礼者48人が武装テロ集団に拉致された。ダマスカスのイラン大使
館当局者がイラン国営テレビに語った。巡礼者一行はバスで空港に
向かう途中だった。安否は不明という。
 数十万人のイラン人巡礼者が毎年、ダマスカスにあるイスラム教
シーア派の聖地、ザイナブ廟(びょう)を訪れている。昨年12月と
今年1月にも数十人のイラン人巡礼者らが拉致される事件があり、大
半は数カ月後に解放された。
 シリアの反体制派の多くはスンニ派で、アサド政権を支持するイ
ランに反発している。  
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シリア、国連決議後も戦闘…7月の死者4千人超

 【カイロ=田尾茂樹】シリアでは4日、国連総会による対シリア
決議採択後も、北部アレッポや首都ダマスカスなどで政府軍と反体
制派との間で激しい戦闘が続いた。

 在英の民間団体「シリア人権監視団」によると、アレッポでは反
体制派が国営テレビの建物を襲撃後、軍がヘリコプターなどで反撃
し、激戦となった。ダマスカスでは、反体制派が残存している南部
タダムン地区で、政府軍が集中砲火を浴びせたという。

 監視団のまとめでは、反体制デモが始まった昨年3月以降の死者
は、2万1053人(市民1万4710人、軍兵士5363人、離
反者980人)。戦闘激化に伴い、7月の死者はこれまでで最悪の
4239人に上ったとしている。

(2012年8月4日20時28分 読売新聞)
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非難決議を採択、国連総会 ロシアなど反対、拘束力もなし
2012.8.4 19:07sankei

 【トフィーノ(カナダ西部)=黒沢潤】国連総会は3日、シリア
のアサド政権を非難し、市民への攻撃を即時停止するよう求める決
議案を賛成多数で採択した。ロシアや中国、イランなどは反対票を
投じた。安全保障理事会決議とは異なり、法的拘束力を持たないも
のの国際社会の一致した見解として同政権に警告を発した形だ。た
だ、辞任を表明したシリア問題に関するアナン国連・アラブ連盟合
同特使の後任選びは容易でなく、国際社会による仲介活動の途絶が
情勢にどう影響するか懸念されている。

 決議は、戦車やヘリコプターによる政権側の無差別攻撃を非難す
るとともに、同政権に対し、化学・生物兵器の使用を抑制するよう
促した。

 当初の決議案は、多くの国がアサド大統領の退陣を求めているこ
とに言及していたほか、アサド政権への制裁実施の必要性にも触れ
た。だが、ロシアなどがこれに猛反発したため、サウジアラビアは
これらの文言を削除、賛成票の上積みを図る戦略に切り替えた。

 今回の決議は、安保理の機能不全を遺憾とするなど、対シリア決
議案の採決で拒否権を3度も発動したロシアと中国を間接的に批判
する異例の内容となった。「冷戦終結後、(相次いで拒否権が同時
発動される例は)あまりない」(フランスのアロー国連大使)こと
が背景にあり、加盟国の不満を代弁したものだ。

 これに対し、ロシアのチュルキン国連大使は採択後、「決議の裏
にはシリアの武装勢力を支持しようという意図があるのは明白」と
反発した。

 国連の潘基文事務総長はアナン特使の後任選びを進めているが、
国連事務総長時代に培った幅広い人脈と高い実務能力を持つアナン
氏と同格の人物を見つけるのは容易でなく、「どんな人が選ばれて
も国連の限界が印象付けられるだけ」(安保理外交筋)との見方す
らある。  
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ロシア シリアに関する国連決議採択に遺憾の意
4.08.2012, 10:25VOR

ロシアのヴィタリイ・チュルキン国連大使は声明を表わし、3日の国
連総会で採択されたシリアに関する決議案は、紛争の平和的調整に
合致していないと指摘した。チュルキン大使は、声明の中で次のよ
うに述べている―
「ロシア代表団は、シリア危機解決に向けた対決的アプローチを緊
迫化させるだけで、双方を対話の場へと決して導く事のない、ああ
した決議が採択された事を遺憾に思う。」

国連総会は、シリア当局に対し、重火器の使用を止め諸都市からの
政府軍部隊撤退を求める決議案を賛成多数で承認した。なお決議案
には、ロシアの他、ベラルーシ、ベネズエラ、インド、中国、キュ
ーバ、南アフリカなど一連の国々が断固反対を表明した。

サウジアラビアが中心になって準備した決議案は、準備の過程で大
幅な修正を余儀なくされた。アラブ連盟が持ち出した対シリア制裁
アピールやアサド大統領辞任といった要求は、決議案から除かれた。
しかし文書のテキストでは、主な非難は、政府打倒を目指す武装在
野勢力ではなくシリア当局に向けられている。

またチュルキン国連大使は「国連総会は決議案を採択する事で、国
連の手続き規則を無視した」と述べ「国連憲章に違反し、決議は、
積極的にシリア問題に取り組み続けている国連安全保障理事会の領
域を侵害している」と指摘した。

リア・ノーヴォスチ 
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国連総会、シリア政権非難決議を採択
2012年 08月 4日 05:23 JST 
 [国連 3日 ロイター] 国連総会は3日、シリア問題に関す
る特別本会議を開き、アサド政権を非難する決議を賛成多数で採択
した。

 加盟国193カ国中133カ国が賛成。一方、ロシア、中国など
12カ国が反対し、31カ国が棄権した。

 決議では、シリアにおける暴力の拡大に「重大な懸念」を表明。
さらに「シリア政権に諸決定を順守させるための対応をめぐり、安
全保障理事会で合意に至らなかったことを憂慮する」とし、ロシア
と中国の拒否権行使で決議案を採択できない安保理を批判した。

 国連総会では国による拒否権の発動はないものの、いかなる決議
も法的拘束力は持たない。
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Tensions Rise as Turkey Continues Offensive Against PKK

Dorian Jones
August 03, 2012VOA
トルコ政府が同国南東部のクルド人居住区への弾圧を強化、数千人
の兵士、戦闘機とヘリで山岳地帯を攻撃、民兵37人を殺害と発表。
シリア内戦でクルド人勢力が台頭するのを先に封じ込める戦略か。
対するPKK側はトルコ軍兵士49人を殺害、ヘリ2機を撃墜したと主張
。VOA報道。
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シリア国民と遊離した反政府軍はNATOや湾岸産油国から資金や武器
の支援を受け、拠点を提供され、訓練も受けているのだが体制転覆
に成功せず、飛行禁止空域の話も出てきた
2012.08.10櫻井ジャーナル

 昨年春から中東の体制転覆運動が続いている。NATOや湾岸産油国
は当初から反政府軍を支援してるのだが、いまだにシリア政府は倒
れていない。その間、反政府軍の残虐行為が明らかにされ、「民主
化を求める運動」というスローガンは血まみれだ。

 そうした中、バラク・オバマ米大統領の対テロ上級顧問のジョン
・ブレナンは「飛行禁止空域」の設定を否定していないと発言した。
シリアを空爆することもありえるということだが、そうなると、中
国やロシアとの戦闘に発展する可能性が出てくる。つまり第3次世界
大戦。

 リビアやシリアの場合はイギリスの積極性が目につくのだが、中
東/北アフリカの制圧は1990年代、アメリカのネオコン(親イスラ
エル派)が打ち出した戦略。2007年になると、アメリカのジョージ
・W・ブッシュ政権はサウジアラビアと手を組み、シリアやイランに
対する秘密工作を始めたと伝えられていた。こうした流れを無視し
て現在の状況を判断することはできない。

 アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタ
ールといった国々はすでにシリアの体制を倒すため、軍事介入して
いる。反政府軍を編成、資金や武器を提供、将兵を訓練、トルコ、
ヨルダン、レバノンなどに軍事拠点を作り、自国の特殊部隊を潜入
指せている国もあるとイスラエルや報道されたほか、ウィキリーク
スが公表した文書の中にもそうした推測が書かれている。

 また、アレッポでトルコとサウジアラビアの将校が拘束されたと
シリアでは伝えられている。反政府軍側は否定しているようだが、
実際に拘束されていたとしても、不思議ではない。

 こうした状況は、シリア国民の多くが反政府派より政府を支持し
ていることを示唆している。実際、反政府軍に拘束されたフリーラ
ンスのフォトジャーナリストによると、連れて行かれたキャンプに
シリア人は見当たらず、少なくとも6名はロンドンやバーミンガムの
地域で使われている発音をしていて、その中には強いロンドン南部
訛りのある人物が含まれていたという。

 革命が成功するためには、国民の支援が不可欠。例えば、マエス
トラ山脈でキューバ革命を始めたのは10名余りにすぎないが、それ
でも革命が成功したのは庶民の支持があったからにほかならない。
第2次世界大戦で日本が降服した翌年、中国ではアメリカの支援を受
けた国民党軍が紅軍(コミュニスト軍)と衝突する。総兵力で比較
すると約430万人と約120万人の戦いだが、最終的に勝利したのは紅
軍(途中、人民解放軍に改称)だった。これも農民が紅軍/人民解
放軍を支持したからである。

 リビアにしろシリアにしろ、民主化を求める国民を政府が暴力的
に弾圧しているというシナリオが使われている。つまり、反政府軍
は「民主化勢力」という位置づけ。日本に限らず、「左翼」を自称
している人びとがこのシナリオに乗っているらしい。

 もしアドルフ・ヒトラーが自分たちの政党名を「自由」とか「民
主主義」とか「人権」といった名詞で飾り立てたなら、ヒトラーの
政党は実態に関係なく、自由で民主的な人権を尊重する集団だとい
うことになるのだろうか?

 自分が住んでいる国の権力者がそう言っているなら、自分たちも
そう思っているということにする。そうした方が平穏な生活を送れ
る。中には権力者の主張を自動的に信じるという思考回路ができあ
がっている人もいるだろう。万一、その権力者が失脚したら、そう
した人びとは「騙された」と弁明することだろう。(こうして「原
子力安全神話」も作られた)

 ソ連が消滅した後、アメリカは「唯一の超大国」になったと信じ
た人たちがいた。そして打ち出したのが「潜在的なライバル」の破
壊。その青写真として1992年に作成されたのがDPG(国防計画指針
)で、その指針に基づいてまとめられたのが2000年に公表された
PNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)の報告書、「アメリカ
国防の再構築」。この報告書を作成したメンバーが動かしていたの
がジョージ・W・ブッシュ政権だ。オバマ政権になってもこの戦略は
生きている。

 今年に入ると、本ブログでは何度も書いているように、反政府軍
の残虐行為が表面化している。NATOの中でも軍事侵攻と一線を画し
ているドイツでもこの事実を複数のメディアが報道、ローマ教皇庁
の通信社も同じ内容の報告を伝えている。

 ロシア、シリア、イランなどの報道なら「プロパガンダ」で誤魔
化すこともできるだろうが、ローマ教皇庁やドイツの有力新聞とな
ると難しい。そこで登場したシナリオは、全て国外から入り込んだ
「イスラム過激派」の責任というもの。

 ここでもアル・カイダを利用しているのだが、リビアではアル・
カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)が地上軍の主力。ベン
ガジで裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられている光景とい
う映像がインターネット上で流れていた。

 そもそも、アル・カイダを含むイスラム武装勢力は、1980年代に
アメリカの情報機関や軍が作り上げたモンスター。パキスタンやサ
ウジアラビアも支援している。2001年9月11日以降、アメリカはアル
・カイダを「テロリスト」の象徴に祭り上げ、「不倶戴天の敵」で
あるかのように宣伝してきたのだが、昨年来の出来事は、この宣伝
が怪しいことを示している。 

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