4434.シリアの反政府勢力が追い詰められる



シリア軍准将は4日、軍が同日午後に首都ダマスカス南部のタダム
ン地区を反体制派から奪還し、首都全域を支配下に置いたと語った
。反体制派にとって同地区は首都における最後の拠点だった。

第二の都市アレッポでもシリア軍が反政府派を追い詰めている。

この原因は、イランがアサド政権に武器や資金を提供していること
とヒズボラなどがシリア政府軍、民兵として戦っている。ロシアの
軍事顧問団も裏にいる状態である。

そのほかに、反政府サイドにも問題がある。アサド政権崩壊をにら
んだ移行政権の準備など、反体制派の受け皿づくりが進める必要が
ある。しかし、現実には各派の路線対立や、主導権争いから四分五
裂のまま。反体制派の一本化どころか反目が浮き彫りとなっている。
このため、指揮が一本化されずに各地でバラバラに戦っている状態
である。これでは、政府軍には勝てない。

しかし、「アサド大統領は暗殺を恐れて、2日連続で同じ場所には
とどまらず、首都ダマスカスや出身地の北西部のラタキアにある宮
殿や公邸など、頻繁に居場所を変えている」と。

シリアのヒジャブ首相がアサド政権を離反したなど、アサド大統領
に不利な状態もある。

さあ、どうなりますか?

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イランがアサド政権に武器提供”
8月7日 16時32分NHK

内戦状態に陥ったシリアでアサド政権を離反して亡命した元高官が
、NHKのインタビューに応じ、去年、反政府デモが始まった直後
から、イランがアサド政権に武器や資金を提供していることを明ら
かにしました。

この元高官はアサド政権下で隣国イラクへの大使を務めていたナワ
フ・ファレス氏で、先月、政権を離反してカタールに亡命しました。
カタールの首都ドーハで6日、インタビューに応じたファレス氏は
先月、国防相などが殺害された事件について、「アサド政権にとっ
て大きな衝撃で、治安機関の統率にも打撃を与えている」と指摘し
ました。
そのうえで、今も政権内にいる関係者の話として、「アサド大統領
は暗殺を恐れて、2日連続で同じ場所にはとどまらず、首都ダマス
カスや出身地の北西部のラタキアにある宮殿や公邸など、頻繁に居
場所を変えている」と述べました。
また、外国の介入についてファレス氏は、「反政府デモが始まった
去年3月ごろ、ダマスカスで行われたシリア政府とイラン政府の高
官協議に同席したが、イラン側はデモはアメリカなどに扇動された
もので徹底的に鎮圧すべきだとして、武器や資金の提供を含む全面
的な協力を表明した」と述べました。
そして、イランからの武器や資金は地中海の港やイラクを経由した
陸路でシリアに運び込まれていることを明らかにしました。
一方、反政府勢力への支援についてファレス氏は、「カタールやサ
ウジアラビアなどの湾岸諸国は政治的な支援を続けているが、不十
分だ」として武器や資金の一層の支援を求めました。
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シリア政権は内部崩壊 首相離反で米報道官

 【ワシントン共同】カーニー米大統領報道官は6日の記者会見で
、シリアのヒジャブ首相がアサド政権を離反したことについて「政
権が内部から崩壊を始めている」との認識を示し、アサド大統領の
退陣は時間の問題だと強調した。

 報道官は、アサド大統領が「高官の離反を食い止めることができ
なくなっているようだ」と述べ、既に政権掌握能力を失っていると
指摘。

 「勢いは反体制派とシリア市民の側にある」として、アサド政権
がシリア全土の支配を回復するのはもはや不可能だと語った。

2012/08/07 04:56 【共同通信】
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首都全域を支配下に=シリア軍
 【ダマスカスAFP=時事】シリア軍准将は4日、記者団に対し
、軍が同日午後に首都ダマスカス南部のタダムン地区を反体制派か
ら奪還し、首都全域を支配下に置いたと語った。反体制派にとって
同地区は首都における最後の拠点だった。
 これに関連して反体制活動家はAFP通信の取材に、反体制武装
組織「自由シリア軍」がタダムン地区から既に撤退し、今後は主に
「政権の重要標的に対する奇襲攻撃」を仕掛けていくと述べた。
(2012/08/05-07:29)
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シリア反体制派 四分五裂のまま
2012年8月5日 東京新聞朝刊

 【カイロ=寺岡秀樹】内戦状態にあるシリアで、アサド政権崩壊
をにらんだ移行政権の準備など、反体制派の受け皿づくりが進まな
い。先月末に亡命政府を樹立する方針を表明した反体制派組織の元
有力幹部マレハ氏はカイロで本紙の取材に応じ、「政権が崩壊して
からでは遅すぎる」と危機感をあらわにした。だが、現実には各派
の路線対立や、主導権争いから四分五裂のまま。反体制派の一本化
どころか反目が浮き彫りとなっている。
 マレハ氏はトルコを拠点とする反体制派の代表格「国民評議会」
の元幹部。亡命政府樹立に向け、政党色を薄め、反アサド政権で一
致する広範な勢力の連携を目指す構想だ。各勢力に参画を呼び掛け
、カイロに拠点を置きたい考え。マレハ氏は「反体制派が団結する
千載一遇のチャンスだ」と意欲を示す。
 ところが、ロイター通信によると、古巣の国民評議会が早くも参
加を拒否した。サイダ評議会代表は「政権移行プロセスは困難な作
業だ。事前の相談なしに(政府樹立を)発表しても意味はなく時期
尚早」と述べた。
 反体制派「自由シリア軍」の指導者アサアド大佐も、「マレハ氏
は、日和見主義者。今は、政府樹立の熱に浮かされているだけだ」
と突き放した。
 その自由軍も、トルコに潜伏する幹部らと戦闘の最前線に立つ国
内組の間で不協和音が目立ってきた。国内組は七月三十日、政権移
行に向け新組織を設立する案を提案したが、アサアド大佐は拒否し
た。
 昨年のリビア政変で各国は内戦中から反カダフィ派「国民評議会
」を正統政権と認め資金面で強力に支援、カダフィ独裁体制の打倒
につながった。そうした成功例にならい欧米やアラブ諸国などは、
シリアの各反体制派にも一本化を求めてきた。だが、アサド政権崩
壊が現実味を帯びつつある今になっても各国の働きかけは不調に終
わっている。
 カイロ・アメリカン大のアブドラ・アシャル教授は「反体制派は
、各グループが唯一の代表になろうとしているが、祖国や犠牲者の
ことを、真剣に考えているとは思えない。結集は難しく、結果的に
アサド政権の延命を助けている」と語った。


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