4430.日米は中国対応の本格化を決意



とうとう、戦争の時代になっている。中東とアジアで同時に戦争が
起きそうである。中東ではシリア内戦でロシアが主役に戦争を拡大
するようであり、アジアでは中国が軍備力を増強して、周辺国より
強大になり、強硬外交を取り始めた。このうち、アジアの検討をす
る。   津田より

0.中国・強硬外交の裏
中国は、2011年9月中旬に環球網に出た記事「中国してみれば
、南シナ海は最良の戦場だ。南シナ海での武力行使においては、攻
撃範囲を限定すべきだ。現在最もひどく騒いでいるフィリピンとベ
トナムに狙いを定める。つまり鶏を見せしめに殺して猿を戒めるの
だ。戦争の規模は懲戒の目的達成を基準とする。」という南シナ海
懲罰戦争を宣言した。

しかし、東京都の石原慎太郎知事の尖閣列島購入で、人民日報は、
7月8日、「中国の神聖な領土を売買することは断じて許さない」
と表明し、環球時報は日中関係を「甲午(きのえうま)開戦前(日
清戦争前夜)を思わせる」事態におちいったと報じた。

というように、猿と形容した日本に対しても、強硬外交に出てきた。
中国は、日本や米国との戦争でも勝てる、または互角に戦えると思
っているようである。海軍では日本に負けるが、ミサイル戦と陸軍
は日本より上と見ている。このため、中国は傲慢な姿勢で日本にも
接し始めている。米国に対しても徐々に謙虚さを失ってきている。

しかし、なぜ、中国は強硬外交に転じたのであろうか?
新指導層への権力移行プロセスと共産主義制度の問題点が出てきて
民衆の不満が鬱積していることによると分析する評論が多い。

今日の共産党支配は少数の人々にのみ利益をもたらすものであり、
システム全体の限界を示している。薄煕来事件は人々がうすうす気
づいていたことを白日の下に晒し、人々を幻滅させた。つまり、共
産党支配と言うシステムからの大きな利益は、役人たちによる、や
くざまがいの縄張り争いの対象になっていることが暴露されたのだ。

このことで、中産階級の人々は、将来に悲観的になり、政府に対し
、より懐疑的になり、自分の立場を守ることに必死になっている。

もしこれらの不信感が大きなものになれば、天安門事件のような政
治的反応を呼び起こす可能性も排除できない。より急進的な都市住
民たちが、年間18万件にのぼると言われる集団抗議活動を行ってい
る農村住民たちと手を組む可能性も否定できない。

このため、中国江蘇省で7月28日に起きた、王子製紙南通工場か
らの排水管建設計画に対する抗議デモについて、29日付の中国各
紙はほとんど報じておらず、情報を封鎖した。最近明らかになって
いるだけでも、4月に重慶市で、今月初めには四川省で住民が地元
政府への抗議デモを行ったが、いずれも報道規制が敷かれたもよう
だ。

また、米国務省は7月30日、世界199カ国・地域の宗教の自由
に関する11年の年次報告書を発表し、中国政府によるチベット、
新疆ウイグル両自治区での宗教弾圧が「悪化している」と批判した。

このように、この民衆の不満を抑えるために、中国は国内で、報道
管制と人権・宗教弾圧を強めている。

そして、次期国家主席の習近平氏は、太子党であり、ナショナリズ
ム志向が強いと警戒されている。ここで、太子党は団派との権力闘
争に破れ、軍部に多い太子党の不満も高まっている。そして、最近
の軍事的な進展には、習近平氏の承認を受けているようだ。

改革開放から20年間は、中国はさまざまな領域で力量を発揮して
強国にのし上がってきた。特に中国外交の手腕が評価されていただ
けに、2009年以降、中国が外交面で強硬路線をとり始めたこと
は、アメリカ、日本、東南アジアにとってショッキングな展開にな
っている。

しかし、なぜそのようになるのか?
最近の中国の指導層はかつての指導者たちのようには、外交や国家
安全保障領域の政策を掌握できておらず、そのために、さまざまな
プレイヤーが異なる利益を追い求め、トップレベルでの政策の調整
が行われていないように見える。

胡錦濤国家主席と習近平国家副主席しか党中央軍事委員会に属して
いなく、共産党政治局は関われないために、指導層も事態を分から
ないままに軍事外交が進められている。外交が経済と軍事の2元外
交となり、どうしても軍部の優勢で事態が進んでいくことになる。
戦前の日本の体制の問題点と同じである。

1.最近の中国の行動
そして、中国は次の一歩を踏み出すことになる。近隣諸国及び米国
との緊張関係が高まる中、中国が南シナ海の領有係争中の島に部隊
を駐屯させる見通しなのだ。

西沙諸島ウッディー島(中国名:永興島)三沙市に警備区が設置さ
れる。中国共産党中央軍事委員会が19日、中国人民解放軍広州軍区
の要請に対し、「中国人民解放軍海南省三沙警備区」の設立を許可
し、解放軍1200人の駐留を決めた。このことで同警備区は、海
南省司令部と市の文民統制の二重監督下に置かれると国営メディア
が伝えている。

これによって、南シナ海の領土問題に関して、中国は武力をも辞さ
ないというメッセージを発したことになる。事実、中国国防省の耿
雁生報道官は7月31日「中国軍は既に我々が管轄する海域で、常
に戦備的巡視を実施する体制を確立した」と強調し、「(他国から
の)いかなる軍事的介入にも反対する」とした。また、「南シナ海
問題は当事国の交渉によって解決すべきだ」と強調した。

しかも、中国は南シナ海のほぼ全域の領有を主張しており、この中
には国連が他国の排他的経済水域と認めた地域も含まれている。

米誌ユーラシアレビューは、中国当局の軍派遣の決定は「自らに災
いを招く」と評した。その理由について、以下の2点を挙げた。
▼安全確保のために相当な規模の海軍と空軍を配置しなければなら
ない▼領土争議の関連諸国はいっそう団結して中国に対抗し、米国
の介入も歓迎されることになる。

米共和党の重鎮、マケイン上院議員は7月24日の声明で、中国が
南シナ海の南沙諸島などを統括する「軍事区」を新設するなど実効
支配を強めていることを批判した。マケイン議員は「中国の行動は
失望を招くもので、責任ある大国にふさわしくない」と指摘した。

攻勢に出ている中国は、南シナ海の南沙諸島のうちフィリピンが実
効支配するパグアサ(同ティトゥ)島近くに、中国漁船団が先週か
らとどまり、違法操業を続けている。

現在、スカボロー礁をめぐって中国とフィリピンがにらみ合いを続
けているが、その先陣に立っているのは中国の漁民だ。

中国政府がこうした漁船の行動に直接指示を出しているのかは定か
ではない。恐らく意図的な指示が出ていることもあれば、偶然の衝
突事故などに乗じるケースもあるのだろう。

中国政府が漁船に紛争海域での操業を奨励しており、多数の中国漁
船が漁を行った。この漁をめぐっては、主権をアピールしたい中国
政府が多額の補助金を支給していたことが明らかになっている。

このため、米国務省は8月3日、南シナ海の領有権をめぐり、中国
とフィリピンやベトナムなどの間で緊張が高まっていることについ
て、懸念を示す声明を発表し、中国が同海域に海南省三沙市を設置
したり、基地強化の動きを進めたりしていることを「外交的な問題
解決の努力に逆行する」と批判した。

これに対して、中国外務省の張昆生次官補は4日、米国務省声明に
ついて、ロバート・ワン駐中国公使(臨時代理大使)を緊急に呼び
出し抗議し、「米国の声明は事実をごまかし、是非を区別せず、誤
ったシグナルを出したもので、南シナ海やアジア太平洋地域の平和
と安定に役に立たない」と強い不満を表明した。

そして、尖閣列島に対しても、軍備拡張をしている。新華社電によ
ると、中国交通運輸省海事局の大型巡航救助船「海巡01」が湖北
省武漢市で完成し、28日に進水した。排水量5418トンと、中
国の海洋取締船では最大となり、「海洋主権の擁護に役割を発揮す
る」としている。上海海事局に配備され、年内に就役する見通しで
、これは東シナ海に投入されることになる。

この上で、中国国防省の耿雁生報道官は7月31日、日本政府の尖
閣諸島国有化の動きについて「日本政府関係者の一連の無責任な言
論に注意を払っている。こうした中国の主権を侵害する誤った言論
が中国国民の反対を受けるのは当然だ」と述べ、日本をけん制した。

しかし、その一方で、中国国防省は、31日の記者会見で、幹部ら
が中国軍の装備や技術は先進国と比べて大きく劣り、軍備増強は「
他国を狙ったものではない」などと表明した。国防予算の急速な増
加やアジア太平洋地域での活動活発化により高まっている中国脅威
論を払拭する狙いと見えるが、国防省のリアリストたちは、軍青年
将校や国民のナショナリストに追い詰められることになる。戦前の
日本を見れば分かる。

「環球網」は8月3日、中国軍に関するインターネット上の世論調
査を発表、軍事費について69・2%が「増やすべきだ」と答えた。
「潜在敵」としては米軍(60・9%)、自衛隊(26・3%)を
挙げ、計87・2%に上った。中国軍の羅援少将は結果を受け、日
米に対し「中国民衆の機嫌を損なったことを反省して、自身の東ア
ジア戦略を練り直すべきだ」と述べた。

この発言を受けるまでもなく、日米は中国に対する戦略を見直した
ようである。

2.日米の対応
森本敏防衛相は31日の閣議で2012年版防衛白書を報告、了承を得た。
この防衛白書では、中国の党軍関係の変化は「危機管理上の課題と
しても注目される」と結論づけた。日本にとって危機管理の対象と
して連想すべきは、東シナ海での事態だ。一昨年の沖縄・尖閣諸島
沖の漁船衝突事件のような「偶発的」な衝突が、党の統制を無視し
て軍主導で「意図的」に引き起こされる危険性があるとした。

白書は、中国海軍による太平洋への進出が「常態化」しつつあると
指摘。「空母の保有に向け、研究・開発を本格化させている」と紹
介し「外洋での展開能力の向上を図っている」と分析した。軍備や
調達目標、国防予算について「具体的な将来像は明確にされておら
ず、透明性も十分確保されていない」と批判。「国際社会の責任あ
る大国」として改善を促した。

このように、白書で中国の脅威を明らかにした。これを受けて日米
は、行動を開始している。

まず、米国防総省が、ステルス戦闘機F22の飛行制限の一部解除
後初となる長距離運用先に嘉手納基地を選択した。北東アジア戦略
の要としての沖縄に配備した。というより、中国対応で配備したよ
うだ。

そして、日米両政府が、ワシントン近郊の米海軍作戦本部と空軍参
謀本部(いずれも南部バージニア州)に自衛隊の連絡官を常駐させ
るとした。同盟国として共同作戦を練ることが出来るし、緊急事態
での対応が速やかになる。

陸上幕僚監部は2日、8月下旬から9月にかけて、沖縄県に拠点を
置く米第3海兵遠征軍(3MEF)がグアムと米自治領北マリアナ
諸島のテニアンで実施する実動訓練に、陸上自衛隊西部方面隊が参
加すると発表した。

陸自の海兵隊化を進める訓練であり、迅速な展開を行う陸自を目指
すことになる。

石破さんの「尖閣を守るのは第一義的に日本国の仕事だ。日本でで
きることは日本でやる。海兵隊創設も真剣に考えるべきだ。海兵隊
がない海洋国家は日本ぐらいだ」に対して、森本防衛相は、「非常
にユニークで面白い意見だと思うが、島嶼部の防衛は、陸上自衛隊
が水陸両用作戦などの能力を向上すれば、領土を守る十分な機能を
持つことはできる」とした。

この方向に陸自を変えることを願うしかない。北海道の戦車部隊を
どうするか、日ロ領土交渉も絡み、難しいと思うが、日本の防衛順
番は断然、対中国であることが明確化している。全力で中国との戦
争を抑止できる自衛隊を作るしかない。

そして、訪米した森本敏防衛相はパネッタ国防長官との会談で、中
国の軍事的台頭を踏まえ「日米防衛協力のための指針」の再改定に
向けた見直し協議に入る方針で合意した。やっと、日米両国は対中
国対応の本格化を決意したようである。

さあ、どうなりますか?

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日米防衛相会談 対中共同行動を強めたい
2012.8.5 03:21
 訪米した森本敏防衛相はパネッタ国防長官との会談で、住民の安
全に配慮しつつ新型輸送機MV22オスプレイの配備を進める方向
で一致するとともに、中国の軍事的台頭を踏まえ「日米防衛協力の
ための指針」の再改定に向けた見直し協議に入る方針で合意した。

 両相が防衛協力指針の見直しで一致したのは、中国の強引な海洋
進出や尖閣諸島周辺の挑発的行動を念頭に置いた判断で、極めて妥
当といえる。中国の軍拡により日本周辺の安全保障環境は急速に悪
化しつつあり、指針の見直しやオスプレイ配備が求められるのもそ
のためだ。

 とりわけオスプレイの導入は、沖縄を拠点とする米海兵隊の能力
や日米同盟の抑止力を高める上で不可欠であり、中国に備える観点
からも緊急性が高い。日米が協力して安全性を確保しつつ、配備を
着実に進めてもらいたい。

 会談では、パネッタ氏が「オスプレイの安全性には強い自信があ
る」と強調、10月運用開始という計画の実現に日本政府の協力を
求めた。森本氏は訓練飛行などで安全への配慮を要請し、米側も4
、6月の墜落事故の調査報告を月内にまとめると約束した。

 一方、パネッタ氏が防衛協力指針の見直しを提起し、森本氏が応
じたのは、中国の異様といえる軍拡に伴い、「東アジアの安保環境
の急速な変化に対応するため日米防衛協力のあり方の検討が必要」
との認識が双方にあるからだ。

 防衛指針は平成9年、朝鮮半島情勢の緊迫化を受けて改定された
が、今日のような中国の台頭は想定しておらず、尖閣沖の漁船衝突
や最近の中国公船による領海侵犯の頻発といった事件もなかった。
新たな情勢に日米で備えるのは当然であり、速やかに見直し協議を
進める必要がある。

 オバマ政権は既に中国への備えを軸とした新国防戦略を発表、日
本も4月の日米首脳会談や在日米軍再編見直しを通じて動的防衛力
の強化などに着手した。

 だが、より具体的な共同対処行動のあり方などは進んでいない。
在沖海兵隊の装備・能力の飛躍的拡大につながるオスプレイ配備で
もつまずいているのが現状だ。

 森本氏は今回、オスプレイに試乗し、普天間飛行場の移設推進で
も一致した。中国への備えを防衛相だけに任せず、野田佳彦首相が
先頭に立って進めてほしい。
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南シナ海声明で米に抗議=強い不満表明−中国
 【北京時事】中国外務省の張昆生次官補は4日、米国務省が3日
、南シナ海問題で中国の行動に懸念を表明する声明を発表したこと
について、ロバート・ワン駐中国公使(臨時代理大使)を緊急に呼
び出し抗議した。
 中国外務省によると、張次官補は「米国の声明は事実をごまかし
、是非を区別せず、誤ったシグナルを出したもので、南シナ海やア
ジア太平洋地域の平和と安定に役に立たない」と強い不満を表明。
直ちに誤ったやり方を正して、中国の主権と領土保全を尊重し、地
域の安定と繁栄に役立つことをするよう要求した。
(2012/08/05-01:12)
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外交努力に逆行と対中批判 南シナ海、米国務省
2012.8.4 00:22
 米国務省は3日、南シナ海の領有権をめぐり、中国とフィリピン
やベトナムなどの間で緊張が高まっていることについて、懸念を示
す声明を発表し、中国が同海域に海南省三沙市を設置したり、基地
強化の動きを進めたりしていることを「外交的な問題解決の努力に
逆行する」と批判した。

 米国は南シナ海について「状況を注視している」としている。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国に、緊張緩和へ努力し
、平和的な問題処理のために、法的拘束力を持つ行動規範策定に向
けた交渉を進めるよう促した。(共同)
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「中国の潜在敵は米軍と自衛隊」 中国でネット世論調査
2012.8.3 22:23 [中国]
 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報のウェブサイト「環球
網」が3日、中国軍に関するインターネット上の世論調査を発表、
軍事費について69・2%が「増やすべきだ」と答えた。「潜在敵
」としては米軍(60・9%)、自衛隊(26・3%)を挙げ、計
87・2%に上った。

 中国軍の羅援少将は結果を受け、日米に対し「中国民衆の機嫌を
損なったことを反省して、自身の東アジア戦略を練り直すべきだ」
と述べた。(共同)
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南シナ海「三沙市」に中国軍進駐 米誌「災いを招く」

【大紀元日本8月3日】中共中央軍事委員会は7月28日、領土係争
中の南シナ海の「三沙市」に、解放軍1200人の駐留を決めた。
中国当局は最近、同海域の南沙諸島などに三沙市の設立を宣告した
ばかりだ。

 「三沙市」と命名されたのは、総面積計2.13平方キロの小さ
な島々。一番近い中国の領土は海南島で、約350キロ離れている。
解放軍兵士のほか、すでに613人が住んでおり、月に2回ほど海
南島からの往復輸送船が、住民たちの生活物資を運んでいる。

 米誌ユーラシアレビューは、中国当局の軍派遣の決定は「自らに
災いを招く」と評した。その理由について、以下の2点を挙げた。
▼安全確保のために相当な規模の海軍と空軍を配置しなければなら
ない▼領土争議の関連諸国はいっそう団結して中国に対抗し、米国
の介入も歓迎されることになる。

 同誌は、「中国当局は、この地域で安定な軍事力を築くことで、
その領有権の主張をいっそう強化して、確実に他国を追い出そうと
している」と分析した。

 中国当局はもう一つのメッセージをも発信したと同誌は指摘。そ
れはつまり、南シナ海の領土問題に関して、中国は武力をも辞さな
いということだ。

 (翻訳編集・叶子)(12/08/03 08:59) 
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テニアンで初合同訓練=陸自、海兵隊と今月から−対中国で動的防
衛強化視野

 陸上幕僚監部は2日、今月下旬から来月にかけて、沖縄県に拠点
を置く米第3海兵遠征軍(3MEF)がグアムと米自治領北マリア
ナ諸島のテニアンで実施する実動訓練に、陸上自衛隊西部方面隊が
参加すると発表した。テニアンでの3MEFとの合同訓練は初めて。
 日米両政府は在日米軍再編見直しの協議の中で、対中国戦略を念
頭に、自衛隊と米軍が警戒監視活動や共同訓練で連携する「動的防
衛協力」を強化し、グアム、テニアンでの共同訓練を実施すること
で一致していた。(2012/08/02-21:01)
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米軍中枢に自衛官常駐
2012年 08月 2日 17:06 JST 

 【ワシントン共同】日米両政府が、ワシントン近郊の米海軍作戦
本部と空軍参謀本部(いずれも南部バージニア州)に自衛隊の連絡
官を常駐させる方向で調整を進めていることが2日、分かった。米
政府関係者が明らかにした。時期は確定していないが、実現すれば
米海空両軍の中枢組織への自衛官派遣は初めてとなる。大地震など
の災害や東アジア有事、海賊対策などに迅速に対応できる態勢づく
りを図ることが狙い。
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中国軍、南シナ海で「戦備的巡視体制」  :日本経済新聞
2012/7/31 20:26
 【北京=島田学】中国国防省の耿雁生報道官は31日に記者会見を
開き、フィリピンなどと領有権を争う南シナ海について「中国軍は
既に我々が管轄する海域で、常に戦備的巡視を実施する体制を確立
した」と強調した。「(他国からの)いかなる軍事的介入にも反対
する」とし、南シナ海の領有権問題に関心を寄せる米国などをけん
制した。
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中国、南シナ海問題は当事国の交渉で解決すべきと主張
2012/07/31(火) 17:56 searchina

  中国国防部の耿雁生報道官は31日、「中国は東南アジア諸国連
合(ASEAN)と、防衛関係を含む各分野での友好協力関係を発
展させ、地域の平和、安定、繁栄を促進していきたい」と述べたう
えで、「南シナ海問題は当事国の交渉によって解決すべきだ」と強
調した。中国国際放送局が報じた。

  耿雁生報道官は、「南シナ海問題は、南沙群島の一部の島礁の
主権をめぐる関係国の争いと、南シナ海の一部の海域の境界画定を
めぐる争いである。これらの問題は関係する当事国の2国間交渉を通
じて解決すべきだ」と主張した。
(編集担当:村山健二)
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軍装備「先進国に劣る」 中国脅威論払拭に懸命
2012年7月31日 16時57分
 【北京共同】中国国防省は31日の記者会見で、幹部らが中国軍
の装備や技術は先進国と比べて大きく劣り、軍備増強は「他国を狙
ったものではない」などと繰り返し表明した。国防予算の急速な増
加やアジア太平洋地域での活動活発化により高まっている中国脅威
論を払拭する狙いがある。
 記者会見は8月1日の人民解放軍創設85周年を前に開かれた。
軍総参謀部の幹部は「中国の軍増強は国家主権を守るためのものだ
」と強調。国際紛争では「武力でなく協議による解決を主張してき
た」と述べ、中国の“平和ぶり”をアピールした。  
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米宗教報告書:中国の宗教弾圧「悪化している」
毎日新聞 2012年07月31日 16時23分

 【ワシントン白戸圭一】米国務省は30日、世界199カ国・地
域の宗教の自由に関する11年の年次報告書を発表し、中国政府に
よるチベット、新疆ウイグル両自治区での宗教弾圧が「悪化してい
る」と批判した。

 報告書は「中国では政府に協力的な五つの宗教団体だけが活動を
許されている」と指摘した。その上で「チベットの宗教慣行に対す
る中国政府の介入により、2011年に少なくとも12人のチベッ
ト仏教の僧侶が焼身自殺した」と記し、新疆ウイグル自治区でのイ
スラム教徒に対する弾圧も指弾した。

 一方、民主化が進むエジプトで少数派のキリスト教の一派、コプ
ト教徒に対する暴力が増加していると指摘。サウジアラビア、アフ
ガニスタンなど米国の同盟国で続く宗教弾圧も問題視した。北朝鮮
については「宗教の自由は一切存在しない」と結論付けた。
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「日本側の誤った言論に反対」=尖閣国有化をけん制−中国国防省

 【北京時事】中国国防省の耿雁生報道官は31日の記者会見で、
日本政府の尖閣諸島(沖縄県)国有化の動きについて「日本政府関
係者の一連の無責任な言論に注意を払っている。こうした中国の主
権を侵害する誤った言論が中国国民の反対を受けるのは当然だ」と
述べ、日本側をけん制した。
 報道官は「国家主権と海洋権益を守ることは、軍を含む関係各部
門の共同責任であり(軍は)各部門と密接に協力して自己の職責を
全うする」と軍・政府一体で対応する考えを示した。
(2012/07/31-12:41) 
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中国、尖閣で「軍の職責履行」 国防省が日本けん制

 【北京共同】中国国防省の耿雁生報道官は31日の記者会見で、
沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)について「日本側が中国の主
権を侵犯する誤った発言をしている」と述べ、中国の主権や海洋権
益保護のため「軍としての職責を履行していく」と強調、日本をけ
ん制した。

 ただ、耿氏は「関係部門と緊密に協力していく」と述べるにとど
め、具体的な活動には言及しなかった。記者会見は8月1日の人民
解放軍創設85周年を前に開かれた。

 また、中国がベトナムなどと領有権を争う南シナ海の南沙(英語
名スプラトリー)諸島などについて「中国軍は既に管轄海域で戦略
的巡視体制を確立した」と述べた。
2012/07/31 12:38 【共同通信】
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防衛白書「中国、不安定化の要因増す」 12年版  :日経
2012/7/31 11:24
 森本敏防衛相は31日の閣議で2012年版防衛白書を報告、了承を得
た。軍備増強を続ける中国について、共産党幹部の腐敗問題や貧富
の格差の拡大に触れ「政権運営を不安定化させかねない要因が拡大
・多様化の傾向にある」と警戒感を表した。「共産党指導部と人民
解放軍の関係が複雑化している」との見方も示し、対外政策の決定
で軍の影響力が相対的に高まっている可能性に言及した。

 森本防衛相は31日の閣議後の記者会見で、中国への懸念に関し「
東アジア全体で中国がどういう方向に行くのか、一定の警戒心があ
るのは事実だ」と語った。

 白書は中国海軍による太平洋への進出が「常態化」しつつあると
指摘。「空母の保有に向け、研究・開発を本格化させている」と紹
介し「外洋での展開能力の向上を図っている」と分析した。軍備や
調達目標、国防予算について「具体的な将来像は明確にされておら
ず、透明性も十分確保されていない」と批判。「国際社会の責任あ
る大国」として改善を促した。

 米軍の動向を巡っては、アフガニスタンやイラクから撤退し、今
後はアジア太平洋地域を重視する国防戦略指針を説明。日米両政府
が4月に合意した在日米軍再編計画を見直す共同文書によって「日
米同盟の抑止力維持と沖縄の負担軽減が両立する」と明記した。

 米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイについては、米政府が「
信頼性、安全性基準を満たす」として量産を決めた経緯を解説。現
行の輸送ヘリコプターCH46と比較して最大速度や搭載量など基本
性能が向上すると訴えた。  
==============================
中国の党軍関係の変化「危機管理上の課題」
2012.7.31 11:23 sankei
 今回の防衛白書は周辺各国の指導者分析に力点を置いている。指
導者の交代ラッシュを受けたもので、政権基盤や軍への影響力は日
本の安全保障に直結するだけに一定の意義はある。

 白書が最も踏み込んだ分析を試みたのは、共産党指導部のトップ
交代人事を今秋に控える中国だ。

 かねて懸念を示してきた軍事力の透明性に関し「意思決定プロセ
ス」でも透明性が欠如していると指摘。(1)共産党指導部と人民
解放軍との関係が複雑化(2)対外政策決定での軍の影響力が変化
−との見方も示した。

 実際、「党による軍隊の絶対指導」原則を揺るがす兆候もある。
中国は装備の近代化や情報化に適した人材育成を重視し、合致しな
い軍人の大幅削減が想定される。退職金や再就職支援をめぐる不満
もくすぶる。退役軍人の処遇問題は、党と軍の間に深刻な亀裂を生
じさせかねないという。

 白書は、こうした中国の党軍関係の変化は「危機管理上の課題と
しても注目される」と結論づけた。日本にとって危機管理の対象と
して連想すべきは、東シナ海での事態だ。一昨年の沖縄・尖閣諸島
沖の漁船衝突事件のような「偶発的」な衝突が、党の統制を無視し
て軍主導で「意図的」に引き起こされる危険性がある−。

 明記は避けつつ、そう警鐘を鳴らしていると読みとれる。
(半沢尚久) 
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中国政府、南シナ海の漁船に多額の補助金
日本テレビ系(NNN) 7月30日(月)2時47分配信
 中国が東南アジアの国々と領有権を争う南シナ海の海域で今月、
多数の中国漁船が漁を行った。この漁をめぐっては、主権をアピー
ルしたい中国政府が多額の補助金を支給し、奨励していたことが明
らかになった。

 南シナ海での領有権をめぐり、中国とフィリピンやベトナムなど
が対立する中、中国漁船30隻が今月、南シナ海の南沙諸島で2週
間以上にわたり、本格的な漁を行った。漁船団は29日、中国・海
南島に戻り、現地では帰港を祝う盛大な歓迎式典が行われた。

 漁獲量は良くなかったということだが、漁民のリーダーは「我々
の後ろには政府の支持があり、政府の監視船がついていたから心強
かった。(Q政府の補助金はいくらですか)23万元(約290万
円)でした」と話し、中国政府からの援助への感謝を強調した。

 中国政府としては、南シナ海で漁業活動を活発化させることで中
国の主権をアピールし、交渉を有利に運ぶ狙いがあるとみられる。
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中国共産党の行き詰まり
政治的自由を犠牲にしたツケ
2012年07月30日(Mon)  岡崎研究所

AEI日本部長のマイケル・オースリンが、6月18日付ウォール・スト
リート・ジャーナルのオピニオン欄で、中国経済は過去20年間平均
して年率10.4%という高成長で伸びてきたが、いまや、中国共産党
支配そのものが行き詰まりを見せており、中国社会に蔓延する共産
党への不信感、諦めは、将来、天安門事件のような事態を引き起こ
す可能性を排除しえない、と述べています。

 すなわち、天安門事件の数年後から始まった経済改革路線の結果
、中国経済は20年間にわたり、年率10.4%で伸びた。しかし、容易
な時代はすでに終わりを告げた。今日では、これまでの20年間に見
られなかったようないくつかの難題が立ちはだかっている。それら
は、経済の悪化をもたらし、党そのものが崩壊する可能性を含んで
いる。

 中小企業よりも国有企業を優遇するという方針を政府がとった結
果、公共投資などを行う地方政府の財政は膨れ上がり、雇用のエン
ジンともいうべき中小企業は停滞した。政府は成長率目標を本年は
7.5%に下げざるを得なかった。

 人件費は上がり、労働力は沿海地域で不足している。一人っ子政
策の結果、中国の人口は急速に老齢化しており、それは長期にわた
り、生産を鈍らせるだろう。

 今日の共産党支配は少数の人々にのみ利益をもたらすものであり
、システム全体の限界を示している。薄煕来事件は人々がうすうす
気づいていたことを白日の下に晒し、人々を幻滅させた。つまり、
共産党支配と言うシステムからの大きな利益は、役人たちによる、
やくざまがいの縄張り争いの対象になっていることが暴露された。

 中産階級の人々は、将来に悲観的になり、政府に対し、より懐疑
的になり、自分の立場を守ることに必死になっている。

 もしこれらの不信感が大きなものになれば、天安門事件のような
政治的反応を呼び起こす可能性も排除できない。より急進的な都市
住民たちが、年間18万件にのぼると言われる集団抗議活動を行って
いる農村住民たちと手を組む可能性も否定できない。

 共産党は、そのような動きに対しては、大衆弾圧を強めるだろう
。そうなれば、さらなる国内上の不安定を生み出すだろう。

 弱くなった中国は、近代化された軍事力に支えられ、対外的活動
に出る可能性がある、ということに注意を要する。それによって、
ナショナリズムを煽り、国内の怒りを他に転嫁しようと試みるかも
しれない。そうなれば、中国はさらに国際的に孤立することになる
だろう、と論じています。
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中国当局、デモ情報封鎖 秋の党大会控え
2012.7.29 21:11 sankei[中国]

 【上海=河崎真澄】中国江蘇省の南通市啓東で28日に起きた、
王子製紙南通工場からの排水管建設計画に対する抗議デモについて
、29日付の中国各紙はほとんど報じておらず、情報を封鎖した。
最近明らかになっているだけでも、4月に重慶市で、今月初めには
四川省で住民が地元政府への抗議デモを行ったが、いずれも報道規
制が敷かれたもようだ。

 情報封鎖は、最高指導部の交代人事が決まる今秋の中国共産党大
会を控え、連鎖反応的にデモが飛び火し治安維持が難しくなる事態
を恐れての措置とみられる。環境破壊や土地の強制収用、幹部の腐
敗、天災や事故への対処など、各地で地元政府に対する不信は鬱積
(うっせき)しており、今後も散発的にデモは発生しそうだ。

 国営新華社通信は28日、英文の記事のみで啓東で住民ら数千人
がデモを行ったと伝えたが、暴徒化した点には触れず「警察はデモ
を妨害しなかった」とした。
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尖閣への自衛隊出動 防衛相「自然な話だ」 石破氏「海兵隊創設を」
2012.7.29 19:51 sankei
 森本敏防衛相と石破茂自民党前政調会長が、議論した。

 −−野田佳彦首相は、尖閣諸島の防衛に関する国会答弁で踏み込
   んだが

 森本氏「今、自衛隊が何か対応するというわけではない。踏み込
んだと感じていない。全体の法的な枠組みを説明した。自然な話だ」

 石破氏「森本氏の言う通りだが、オスプレイが飛んでいくから、
尖閣を米国が守ってくれるという考えは持たない方がよい。尖閣を
守るのは第一義的に日本国の仕事だ。日本でできることは日本でや
る。海兵隊創設も真剣に考えるべきだ。海兵隊がない海洋国家は日
本ぐらいだ」

 森本氏「非常にユニークで面白い意見だと思うが、島(とう)嶼
(しょ)部の防衛は、陸上自衛隊が水陸両用作戦などの能力を向上
すれば、領土を守る十分な機能を持つことはできる」
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中国最大の巡視船進水=「海洋主権を擁護」、上海に配備
 【北京時事】新華社電によると、中国交通運輸省海事局の大型巡
航救助船「海巡01」が湖北省武漢市で完成し、28日に進水した。
排水量5418トンと、中国の海洋取締船では最大となり、「海洋
主権の擁護に役割を発揮する」としている。上海海事局に配備され
、年内に就役する見通し。(2012/07/28-19:21)  
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日本の政局混乱は外交の処理においても非常に不利=中国人有識者
2012/07/28(土) 16:58searchina 

  中国社会科学院日本研究所の高洪副所長は25日、英字紙「チャ
イナデイリー」の取材に対し、日本の政局の大きな特徴は「混乱」
で、政治に主軸が欠ければ国内に不利なだけでなく、外交の処理に
おいても非常に不利だとの見方を示した。中国網日本語版(チャイ
ナネット)が報じた。

  産経新聞によると、野田佳彦首相は25日の参院社会保障・税一
体改革特別委員会で、「日本の領土を守るため行動する議員連盟」
の山谷えり子会長による尖閣諸島(中国名:釣魚島)上陸要請に対
し、上陸を許可するかどうかについて直接回答しなかったものの、
一般的には許されないとの考えを述べた。

  一方で、野田首相は一部の議員が第2次世界大戦末期に尖閣諸島
周辺で犠牲になった避難者を追悼するために島で慰霊祭を行うと言
うのであれば、その気持ちは尊重すべきであり、内閣もそれに応じ
ると表明した。

  高洪氏は、野田内閣は板ばさみの状態に陥っていると指摘、「
野田首相は島上陸が中国との新たな摩擦を引き起こすことを懸念し
、許可を出せないでいるが、国内の政治圧力にも目を向けなければ
ならない」と述べた。(編集担当:米原裕子) 
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漁船を悪用する中国の狡猾
China's Small Stick Diplomacy
民間船を使って領有権を争う隣国を挑発する中国政府と人民解放軍
の抜け目なき拡大戦略
2012年06月28日(木)15時17分
ジェームズ・ホームズ(米海軍大学准教授)

「歴史は繰り返す」とはこのことだろう。かつてソ連軍がそうした
のと同じように、中国は今日でも海洋戦略の手段として漁船を利用
している。台北在住のジャーナリスト、イェンス・カストナーがオ
ンライン紙のアジア・タイムズで5月に報じたように、中国が領有
権を争う海域に出漁する中国漁船は、政府から何らかの補償を受け
ている可能性がある。

 似たような話は、冷戦時代に現役だった米海軍の将兵なら、誰で
も聞いたことがある。当時はどんな特殊部隊も、ソ連の情報収集艦
(AGI)の動きをチェックしなければアメリカの軍港を出港でき
なかった。AGIは高速航行できるよう改造された漁船で、米海軍
の船隊が米領海を出た直後から追尾を始めた。

 AGIは漁の傍ら敵艦船の動きを追跡し、通信情報を傍受し、米
海軍の海上での軍事行動の戦術を監視した。世界を見渡しても、こ
うした活動に民間の漁船を使う国は多くない。

 海軍の艦隊や海兵隊員だけでは足らず、民間の船舶や船員まで使
う──。海洋戦略はもはや公共、民間を問わず、政府が使える手段
をすべて使って権益拡大を図る総力戦と化している。

 AGIは海上での監視や通信傍受といった防諜的な活動が主体だ
ったが、中国漁船はもっと積極的な任務を持たされ、軍事行動に出
ることもある。機雷の設置や除去はその一例だ。中国と海洋上の権
益を争う周辺国に対して、「限定的な対立」をあおる手段としても
使われる。

 アジア・タイムズは、この中国政府の戦略をアジアの海を都合の
良いときにかき回せる「小枝」に例えた。周辺国と領有権を争う領
土や領海について国内世論を喚起したいとき、内政に対する国民の
不満をかわしたいとき、台湾に圧力をかけたいときなどにこの小枝
が使われる。

 日本やフィリピンのように中国との間で領有権争いを抱える国は
特に「限定的な対立」の標的となる。一昨年に尖閣諸島をめぐって
日中が批判合戦を繰り広げたのも中国漁船がきっかけだった。現在
フィリピンが実効支配する南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩
島)をめぐって中国とフィリピンがにらみ合いを続けているが、そ
の先陣に立っているのは中国の漁民だ。

 中国政府がこうした漁船の行動に直接指示を出しているのかは定
かではない。恐らく意図的な指示が出ていることもあれば、偶然の
衝突事故などに乗じるケースもあるのだろう。明らかなのは、中国
政府が漁船に紛争海域での操業を奨励しており、問題が生じれば政
府が乗り出していく、ということだ。

周辺国には敗北しかない

 周辺国の沿岸警備隊や海軍が中国漁船を追い払おうとしたら、中
国政府が行動を起こすためのもっともな理由になる。一昨年の尖閣
諸島をめぐる対立のように、外交的に介入することもできるし、ス
カボロー礁のように、漁民保護のために国家海洋局の巡視船を派遣
することもできる。

 大砲のない「砲艦外交」とも呼べるだろう。少なくとも目に見え
る武力は誇示していない。人民解放軍は姿を見せずに待機している
だけだ。特にフィリピンのように相手国の軍事力が中国のそれより
圧倒的に劣る場合は、姿を見せない海軍が大きな抑止力として働い
ている。フィリピンが中国の軍事力を無視して危険な賭けに出ると
は思えないからだ。

 周辺国は難しい選択を迫られている。もしフィリピンやベトナム
が領有権を撤回すれば、自動的に中国の勝利だ。一方、もし周辺国
が領有権を貫いて軍事行動に出たとしても、負けは見えている。非
武装の中国漁船を一方的に攻撃したことになり、中国政府に格好の
言い訳を与え、倍返しを食らうのは必至だろう。フィリピン政府は
今、中国が仕掛けた勝ち目のない罠から逃れようとしているが、先
は見えていない。

 中国の戦略が成功すれば、それは既成事実化する。正しい行為と
認められ、時間とともに国際法上も正当化されるだろう。

 それこそ中国の狙いだ。中国以外は誰も、大昔の文献に基づいて
中国が主張する領海(南シナ海のほとんどが含まれる)が正当だと
は考えていない。フィリピンやブルネイ、マレーシアの沿岸部は特
にそうだ。

 海洋法は領海を沿岸からの距離で規定している。2000年前に
誰がどこで漁をしていたかではない。しかし中国政府は、こうした
領海に進出して、相手国の反論を許さない圧倒的な軍事力を誇示す
る。

 もしこの手法がフィリピンの排他的経済水域内にあるスカボロー
礁で通用するなら、中国政府の領土紛争への対応の前例になるだろ
う。領有権はフィリピン側にあると思われる場所で通用したのだか
ら、他の紛争地域でも当然試みるはず。力が正義というわけだ。

日本に対しては慎重だが

 その拡大志向の是非はともかく、中国の海洋戦略は見事だ。中国
政府の戦略はイギリスの海軍史家ジュリアン・コーベットの解説そ
のもの。コーベットによれば、どんな海軍も2つの大きな構成要素
から成る。敵国の艦隊から制海権をもぎ取る「戦闘艦隊」と、平時
に活動する「小艦隊」だ。敵側の海軍が掃討されれば、小艦隊の武
力でも十分に敵対勢力を抑えられる。

 中国政府が紛争海域に展開する警備船や漁船を、「小艦隊」とし
て認識するのは飛躍ではない。この手法には前例がある。歴史的に
中国では、海軍と民間船の境界が曖昧だった。

 中国の漁船と非武装の艦船、そして後ろに待機する海軍の軍事力
が融合して、「おとり戦術」が出来上がっている。東アジアにも東
南アジアにも、中国と戦いたい国はない。フィリピンは戦略爆撃機
も持たないが、中国空軍は強大で増強を続けている。

 中国は領有権をめぐり対立する周辺国を真正面から挑発し、反応
を引き出すだけだ。紛争海域に漁船を送り、相手国の海軍や沿岸警
備隊との衝突を引き起こし、相手の主張を撤回させる。また漁民が
起こした問題を逆手に取る。いずれにしろ、強大な軍事力があれば
、さまざまな選択肢が生まれる。

 中国の軍事的優位にどれだけ余裕があるかで、その選択肢は決ま
る。余裕があるほど、「限定的な対立」の適用範囲も広がる。「小
枝外交」は、南シナ海では成功する公算が高い。周辺国の海軍力は
まだ中国には遠く及ばないからだ。

 しかし東シナ海では、中国はもっと慎重だ。日本は反撃できる海
軍力を持っている。さらに圧倒的海軍力を持つアメリカとも同盟を
維持し、たとえ紛争に発展しても日米両国は尖閣諸島を守る意図を
明確に示している。尖閣をめぐる日本との衝突は、中国にとってリ
スクが大きい。

 このため中国政府は、フィリピンに比べれば日本政府に配慮して
いる。とはいえ中国の海軍力が日米同盟をしのぐような事態になれ
ば、もっと強硬な姿勢に転じるかもしれない。今回、スカボロー礁
でやってみせたように。
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フィリピン支配域にまた中国漁船団 南沙諸島、違法操業か
2012.7.27 21:24
 中国と周辺国・地域が領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプ
ラトリー)諸島のうちフィリピンが実効支配するパグアサ(同ティ
トゥ)島近くに、中国漁船団が先週からとどまり、操業を続けてい
ることが分かった。地元自治体が共同通信に27日、明らかにした。
違法にサンゴを採っているとみられ、両国の緊張が高まる可能性が
ある。

 パグアサ島などを管轄するカラヤン町によると、中国漁船団約10
隻が先週、この海域に入った。一時3隻まで減ったが、26日夕に
再び数隻が戻り、確認できるだけで少なくとも8隻が島の東約5キ
ロで操業している。監視船や軍の艦船など漁船以外の船は確認され
ていない。(共同) 
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沖縄の戦略的重要性示す=F22配備で抑止力維持−米
 【ワシントン時事】米国防総省が、ステルス戦闘機F22の飛行
制限の一部解除後初となる長距離運用先に嘉手納基地(沖縄県嘉手
納町など)を選択したことで、北東アジア戦略の要として沖縄を重
視する米軍の姿勢が改めて浮き彫りになった。
 F22をめぐっては、2008年以降、操縦士が相次いで低酸素
症とみられる症状に見舞われ、国防総省は飛行禁止や飛行制限の措
置を断続的に講じて原因究明を進めてきた。その結果、同省は、操
縦士の着用するベストが不適切な形で膨張し、酸素供給を妨げてい
たことが主な原因と断定。機体そのものに問題はないとの見方を固
めた。
 パネッタ国防長官は今月20日、こうした結論を承認。1個飛行
隊十数機が向かう沖縄県は、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ
の配備をめぐり米軍への反発を強めているが、米側は中国の軍拡や
朝鮮半島情勢をにらみ「プレゼンスを示さないといけない」(日米
関係者)と判断、F22派遣による抑止力維持を優先した。
(2012/07/25-15:24)
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中国の実効支配強化を批判=米有力議員
 【ワシントン時事】米共和党の重鎮、マケイン上院議員は24日
の声明で、中国が南シナ海の南沙諸島などを統括する「軍事区」を
新設するなど実効支配を強めていることを批判した。
 マケイン議員は「中国の行動は失望を招くもので、責任ある大国
にふさわしくない」と指摘。その上で、南シナ海の領有権争いを国
際法に基づき、航行の自由を保障する形で平和的に解決するよう引
き続き促さなければならないとしている。(2012/07/25-08:25)
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南シナ海での攻防:中国は軍常駐へ、インドは中国の反対押し切り
探鉱継続

 近隣諸国及び米国との緊張関係が高まる中、中国が南シナ海の領
有係争中の島に部隊を駐屯させる見通しだ。

 西沙諸島ウッディー島(中国名:永興島)三沙市に警備区が設置
される。中国共産党中央軍事委員会が19日、中国人民解放軍広州軍
区の要請に対し、「中国人民解放軍海南省三沙警備区」の設立を許
可したものだ。同警備区は、海南省司令部と市の文民統制の二重監
督下に置かれると国営メディアが伝えている。

 三沙市とは中国が6月21日に新設した市だが、同地域はベトナムも
領有権を主張している。22日には第一回人民代表選挙が行われ、
1,100人の住民から新市議に45名が選出された。警備区は「市の国防
関係の動員と予備役関係、軍事作戦の実行などを担当する」と新華
社通信は報じている。

軍部隊の常駐は、資源に恵まれた南シナ海の島々に対する領有権主
張のための、中国の最新の一手である。これら諸島はフィリピン、
ベトナム、台湾、ブルネイなども領有権を主張している。

22日には約150人のベトナム人が、中国の南沙・西沙諸島への領有権
主張に抗議を表明した。またフィリピンでは23日、ベニグノ・アキ
ノ大統領が議会への施政方針演説の中で南シナ海問題について触れ
た。フィリピンとベトナムは、近年になって中国とスカボロー礁の
帰属問題を争うことになり、中国に「行動規範」を受け入れさせる
ため、ASEANに協力を呼びかけてきた。

当のASEANは南シナ海問題について共通認識に達することが出来ない
でいる。先週カンボジアで行われたASEAN外相会議では、45年の歴史
で初めて、共同声明の発表を見送らざるを得なかった。意見の不一
致は、南シナ海の一部地域に対しフィリピン、ベトナム、ブルネイ
、マレーシアが領有権を主張していることに起因するとされたが、
中国から数十億ドルの支援を受けている議長国カンボジアが、北京
から非常な圧力を受けており、声明で中国との領土紛争に触れない
とのフィリピン・ベトナム両国の要求を却下したものと見られてい
る。このことは中国の圧力がいかに地域を分断するかを白日の下に
さらした。

中国は南シナ海のほぼ全域の領有を主張しており、この中には国連
が他国の排他的経済水域と認めた地域も含まれている。中国として
は地域ブロックよりも、緊張関係にある諸国と個別に取引したいと
いう考えだ。

一方、ウォールストリートジャーナル紙によれば、インド国営の石
油天然ガス公社(ONGC)は、中国の抗議をものともせず、南シ
ナ海ベトナム沖の石油・天然ガス探掘を継続する見込みであること
が分かった。同社の海外事業会社であるONGC Videshは、今年5月に
は「技術的・商業的な観点から」いくつかの鉱区からの撤退方針を
決めていたが、ハノイが新たに提供した経済的・商業的な実現可能
性のデータに基づき、ベトナムの提案を受け入れて、探掘を継続す
ることにしたものだ。

これによりインドはベトナムと関係を強化することになろうが、同
地域でのインドのプレゼンスに常に反対してきた中国には頭痛のタ
ネとなるだろう。
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中国の現状と米中関係
―― 外交強硬路線と国内での人権弾圧
U.S. China's Knotty but Necessary Ties
ジョン・ポムフレット
米外交問題評議会
中国担当非常勤シニアフェロー
フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年6月号

新指導層への権力移行プロセスがすでに始まっていることと、おそ
らく関係があるかもしれないが、中国はなぜ2年ほど前から対外的
な強硬路線に転じたのか、その理由はいまもはっきりしない。だが
、その悪影響が北東アジアのパワーバランスを微妙に変化させてい
る。北朝鮮がチョンアン号を撃沈したときも、ヨンピョン島を砲撃
したときも、中国が北朝鮮の行動を批判しなかったために、中韓関
係は大きく冷え込んでいるし、日本との関係、ベトナムとの関係も
依然として緊張している。一方で、クリントン長官が批判したよう
に、中国は国内での人権弾圧を強めている。次期国家主席と広くみ
なされている習近平は、年内にワシントンを訪問する予定だが、ナ
ショナリズム志向が強いと警戒されている部分もある。米中の軍事
関係も経済関係もスムーズとは言えない。・・・「米中関係はすば
らしく良好になることは決してあり得ないが、崩壊することもない
」という朱鎔基の発言は、いまも現実を言い当てている。

<中国に苛立つ韓国、日本、ベトナム>
―― 2011年5月には米中経済戦略対話もあったが、米中関係
の現状をどうみているか。

 かつて朱鎔基が米中関係を描写するために用いたフレーズが現実
を言い当てていると思う。「米中関係はすばらしく良好になること
は決してあり得ないが、崩壊することもない」。両国は現在も、互
いに協調を必要としつつも、一方では激しく競い合っている。おそ
らく、競い合っているという意識は、アメリカよりも中国のほうが
強い。

―― 競い合っているというのは、経済、戦略、政治の領域におい
てだろうか。

 中国は戦略、政治領域ではライバルとして競い合いたいと考えて
いるが、外交領域は混乱しており、競い合える状態ではない。これ
まで中国は外交を通じて、近隣諸国と世界に「中国の台頭がグロー
バル秩序にとって脅威にはならないことを示したい」と望んできた
が、この路線が乱れている。

―― 中国はどこで間違えたのか、いくつか例を示してほしい。

 もっとも顕著なのは、韓国との関係だろう。北朝鮮にとっては愉
快ではなかっただろうが、中国は1992年に韓国との外交関係を
正常化した。1992年から2008―2009年までは、韓国と
の良好な関係を保ちつつ、北朝鮮との緊密な絆も維持した。この時
期の南北朝鮮への中国外交はその柔軟性を示す好例だった。

 だが、2009年以降、特に2010年になってから、中国は北
朝鮮に肩入れすることを決めたようだ。北朝鮮がチョンアン号を
2010年3月に撃沈したときも、中国は北朝鮮をまったく批判せ
ず、これが韓国を苛立たせた。さらに2010年11月には北朝鮮は
ヨンピョン島を砲撃し、これによって初めて韓国の民間人に犠牲者
が出た。北京はこの北朝鮮の行動を前にしても、何も言わなかった。

 こうした中国の姿勢ゆえに、韓国はアメリカに接近しただけでな
く、かつての占領国で歴史的な確執を持つ日本との軍事アレンジメ
ントさえも検討するようになった。

 この10年―15年にわたって、中国はさまざまな領域で力量を発揮
してきた。中国の手腕が評価されていただけに、2009年以降、
中国が外交面で強硬路線をとり始めたことは、アメリカにとっても
ショッキングな展開だった。

―― 日中関係も緊張しているようだ。
 
 2009年8月に、日本では民主党が選挙で勝利を収め、政権を
担った。民主党は、かねてアメリカと中国との等距離外交をするつ
もりではないかと考えられていたし、それまで長年政権を担ってき
た自民党のように、アメリカとの緊密な路線を維持することはない
と考えられていた。

 だが、こうした政権の誕生と日本の外交路線の変化を歓迎するど
ころか、中国は日本に対して強硬で攻撃的な路線をとるようになっ
た。中国は日本の領海に潜水艦を送り込み、3月にも、日本の海上
自衛隊の護衛艦に中国軍のヘリコプターが異常接近するという事件
を起こしている。

 その強硬路線ゆえに、中国から距離を置きつつある国がもう一つ
ある。ベトナムだ。これは、中国が南シナ海の100万平方マイル
が自国の主権下にあると主張していることに関係がある。この海域
に隣接するベトナムは、中国とは異なる領有権を主張している。中
国は、ベトナムの漁民を手荒に扱い、その多くを逮捕し、漁船を拘
束し、漁で得た魚さえも押収している。公海上でベトナムの漁民に
嫌がらせをしている。

―― なぜ中国はそのような行動をとっているのか。
 
 中国がこの段階で攻撃的で、不必要な威圧的外交政策へとなぜ舵
を切ったのか。これは非常に重要なポイントだ。いくつか考え方が
ある。

 一つは、最近の中国の指導層はかつての指導者たちのようには、
外交や国家安全保障領域の政策を掌握できておらず、そのために、
さまざまなプレイヤーが異なる利益を追い求め、トップレベルでの
政策の調整が行われていないという考えだ。

 もう一つは、指導者は外交を掌握しており、長く懸案とされ、こ
れまで、十分に大胆で力強い路線をとってこなかった領有権問題の
基盤を築くために、積極的な路線に打って出るタイミングだとみて
いるとする考えだ。

 おそらく、真実は、この二つの考え方の間のどこかに存在する。
とはいえ、過去10年から15年にわたって、中国はさまざまな領域に
おいて洗練された手腕と能力を発揮してきただけに、突如、中国が
外交路線を変化させたことは、われわれにとっても大きなショック
だった。 



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