4429.シリア情勢の危惧



シリア情勢をテレビや新聞ではほとんど報道しない。しかし、危機
的な状況に進んでいるようにしか見えない。この地域でシリア内戦
をサポートする諸外国がそれぞれ支援を拡大すると、その内、直接
戦争になり、そうなると3教の黙示録が絡み、大変なことになる。

これを心配して、アナン氏もイラン、サウジやロシアなど関係国を
精力的に回って、外国勢力がシリアを支援をしないでと説いて回っ
たが、逆にシリアの重要性を皆が気がついたようである。このため
、内戦は拡大している。

そのアナン氏も、安全保障理事会の会議が空転してしまい、国連・
アラブ連盟合同特使を辞意すると表明した。

カーニー米大統領報道官は中露の「拒否権行使は極めて遺憾であり
、歴史の誤った側に立たせる」と指摘。アサド大統領はアナン特使
の停戦調停を無視してシリア国民の虐殺を続けており「退陣しなけ
ればならない」と改めて語った。

また、19日に任期切れとなる国連シリア監視団(UNSMIS)
も更新されないようだ。内戦が激化して、停戦状態ではないので、
監視もできないためである。

そして、そのような状態になって初めて、国連総会は3日、シリア
問題に関する特別本会議を開き、アサド政権を非難する決議を賛成
多数で採択したが、時すでに遅しという状態である。

決議では、シリアにおける暴力の拡大に「重大な懸念」を表明。さ
らに「シリア政権に諸決定を順守させるための対応をめぐり、安全
保障理事会で合意に至らなかったことを憂慮する」とし、ロシアと
中国の拒否権行使で決議案を採択できない安保理を批判した。

しかし、国連総会では国による拒否権の発動はないものの、いかな
る決議も法的拘束力は持たないために、事態収拾はできない。

シリアでは、政府軍と反体制派による内戦状態がスパイラル的に悪
化し、暴力の応酬が終わりを見せない中、アサド大統領が姿を見せ
ない。

欧州外交評議会のバーンズ・デイシー氏は、戦闘が国内を二分して
激化していることから、政権側が優位な情勢にあると考えるように
なるまで、アサド氏の姿は見られないだろうと推測。「彼のやり方
や性格は、相手が国民であれ国際社会であれ、強い立場で関与する
というものだ」と語る。

アサド氏の姿勢が予想外に堅固だとする見方は、シリア危機の開始
からアサド氏の対応を追ってきた外交官などの見方とも一致する。

そのアサド大統領が考えることは、ロシア、イラン、中国の外国軍
隊を自国に引き入れることであると見る。敵は、いろいろな戦場を
転戦している重装備のプロのゲリラ兵である。アルカイダを中心と
して、イスラム教スンニ派の戦士である。

このため、政府軍による反体制派総攻撃が続く中で、同国北部アレ
ッポ郊外の空軍基地を急襲できるのである。国連シリア停戦監視団
も、反体制派が複数の戦車を含む重火器を保有していることを確認
している。

これに勝てるのは、ロシアのチェチェンで、イスラム教ゲリラを粉
砕したロシアの海兵隊しかいない。イランは同盟国であり、その力
も借り、そして、中国は、イランかロシアとの安全保障同盟関係で
、しぶしぶ参加のようである。

イランのファルス通信は6月18日、シリア領内でシリア政府軍と
、イラン、ロシア、中国の各国軍による合同軍事演習を近く行うと
報じたが、現時点でも内戦状態であるので、これは参戦することに
なる。

この中国、ロシア、イラン、シリアが近くシリアで合同軍事演習を
行うとの報道に対して、中国外務省は、全く根拠のない報道だとし
たが、エジプトの政府系紙は、中国軍の駆逐艦2隻とフリゲート艦
1隻が6月29日、シリアに向かうためエジプトのスエズ運河を通
過したと報じた。

3日には、ロシア海軍北海艦隊の上陸艦『アレクサンドル・オトラ
コフスキー』、『ゲオルギー・パベドノセツ』、『コンドポガ』は
シリアにあるロシア海軍基地タルトゥスに行く。それぞれの上陸艦
には約120名の強化装備海兵隊がライフル、機関銃、軽戦車などの装
備とともに行くというから、1200名の先発部隊に増派するようであ
る。本格的な参戦のようにしか見えない。

このため、米国のオバマ大統領は、米中央情報局(CIA)やその
他の米国の機関に、イスラム教ゲリラであるアルカイダなどのシリ
ア反体制派への支援を許可する指令文書に署名した。本格的に内戦
を支援することになるが、内戦の主勢力はロシア海兵隊になる可能
性が高い。

徐々に、これは全面戦争に行くような様相になってきたと見えるが
、なぜ、それを日本の報道機関は無視するのか、危機感のなさを危
惧する。

さあ、どうなりますか?

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国連総会、シリア政権非難決議を採択
2012年 08月 4日 05:23 JST 
 [国連 3日 ロイター] 国連総会は3日、シリア問題に関す
る特別本会議を開き、アサド政権を非難する決議を賛成多数で採択
した。

 加盟国193カ国中133カ国が賛成。一方、ロシア、中国など
12カ国が反対し、31カ国が棄権した。

 決議では、シリアにおける暴力の拡大に「重大な懸念」を表明。
さらに「シリア政権に諸決定を順守させるための対応をめぐり、安
全保障理事会で合意に至らなかったことを憂慮する」とし、ロシア
と中国の拒否権行使で決議案を採択できない安保理を批判した。

 国連総会では国による拒否権の発動はないものの、いかなる決議
も法的拘束力は持たない。
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攻撃停止要求の決議採決=対アサド政権で国連総会
 【ニューヨーク時事】国連総会は3日、内戦が激化するシリア問
題で会合を開いた。アサド政権側による戦車やヘリコプターを含む
重火器の使用を非難し、市民への攻撃を直ちにやめるよう要求する
決議案が採択される見通しで、国際社会が一致したメッセージを打
ち出す形となる。ただ、総会決議に拘束力はなく、現地情勢への好
影響は期待しづらいのが実情だ。
 反体制派を支援するサウジアラビアなどのアラブ諸国が決議案を
作成。米国や英国のほか、日本も共同提案国に加わった。
 シリア問題に本来取り組むべき安保理は、欧米理事国とロシア、
中国の対立で機能不全に陥っている。決議案はこの状況に遺憾の意
を表明し、アサド政権への圧力を容認しない中ロを暗に批判した格
好だ。両国を含む安保理常任理事国は総会では拒否権を行使できな
い。(2012/08/04-01:39)
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ロシア海軍の大型上陸艦 海兵隊を乗せてタルトゥス港へ
3.08.2012, 20:16VOR

ロシア海軍の大型上陸艦は近いうちにシリアにあるロシア海軍の補
給拠点タルトゥスに寄港する。ロシア軍参謀本部の情報筋が記者ら
に対して明らかにした。
同情報筋によれば、「今週末から来週初めにかけて北海艦隊の上陸
艦『アレクサンドル・オトラコフスキー』、『ゲオルギー・パベド
ノセツ』、「コンドポガ」がシリアを訪れる。それぞれの上陸艦に
は約120名の強化装備海兵隊がライフル、機関銃などの装備ととも
に積まれている。」という。

また「我々の艦船はタルトゥスに物資補給のために寄港する。数日
間停泊し、ノヴォロシースク海軍基地に向かう。」ということだが
、情報筋はタルトゥスに安全確保のために海兵隊員が残るのかどう
かについては明らかにしていない。
【イタル・タス】
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アナン特使辞任で中ロを非難 米大統領報道官
2012.8.3 10:16sankei

 【ワシントン=犬塚陽介】カーニー米大統領報道官は2日、シリ
ア問題に関するアナン国連・アラブ連盟合同特使の辞意表明につい
て「ロシアと中国が決議案を支持せず、国連安全保障理事会が機能
停止したことを際立たせている」と記者団に語り、中露両国の対応
を非難した。

 カーニー報道官は中露の「拒否権行使は極めて遺憾であり、歴史
の誤った側に立たせる」と指摘。アサド大統領はアナン特使の停戦
調停を無視してシリア国民の虐殺を続けており「退陣しなければな
らない」と改めて語った。

 一方で、内戦状態を悪化させる恐れから反体制派への武器供与は
検討していないことを強調し、シリア国民に食糧などの人道支援物
資を提供するため、1200万ドル(約9億4千万円)の追加支援
を実施すると発表した。
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焦点:姿隠すアサド大統領、内戦シリアの「権力」はどこに
2012年 08月 3日 15:46 JST 

[ベイルート 2日 ロイター] 政府軍と反体制派による内戦状
態がスパイラル的に悪化し、暴力の応酬が終わりを見せない中、シ
リアという国は姿が見えない大統領によって率いられている。

アサド大統領が公の場に最後に姿を現したとされるのは、議会で演
説を行った6月初め。それ以来、反体制派はシリアの主要な2都市
で戦闘を続け、地方で勢力を広げ、国防相ら治安最高幹部4人を殺
害した。

こうした破壊的な敗北に直面した場合、多くの指導者は公の場に現
れ、自らが健在で、権力の座にあり、反撃を率いる用意があると訴
えるだろう。例えば、リビアのカダフィ大佐がそうだった。

ところが、アサド大統領については、テレビ放映された2つの無音
の映像と1日に伝えられた軍へのメッセージのほかは、2週間も動
静が分からないままだ。

先月18日に首都ダマスカスの治安本部で国防相らが死亡した爆破
攻撃以降、大統領は沈黙を守っており、その居場所と権力の掌握を
めぐる憶測を巻き起こしている。米国はアサド氏の居所を承知して
いないとしながらも、統治力は弱まりつつあると指摘。国務省のベ
ントレル報道部長は1日、「見えないところに隠れて、軍部隊に対
して自国民の虐殺を続けるよう指示するのは臆病なことだ」と非難
した。

アサド氏は昨年3月に反政府運動が始まった際にも、最初の反応ま
で2週間沈黙を続けるなど、過去にもこうした例はあった。ただ、
戦闘が激化する今、姿を見せないのは奇妙に映る。

駐ダマスカスのある外交官は、「現在の不透明感ゆえに、彼を支持
する市民をより安心させるということが求められるかもしれないが
、そういう話にはなっていない」と語る。

<権力は掌握か>

ただ、その外交官や専門家らは、アサド氏が姿を見せないことが権
力喪失を意味するわけではないと言う。

「あらゆる情報では、彼はなお中心的人物だ」と話すのは欧州外交
評議会のジュリアン・バーンズ・デイシー氏。「政権内部からの全
ての情報は、アサド氏が今起きていることを自身で把握しているこ
とを示している」と指摘。大統領が弾圧を指揮していると強調した。

アサド氏が権力を握っていることを示す第1の兆候は、国防相らが
死亡した爆破事件のわずか4時間後に新しい大臣を任命したことだ。
就任式での大統領の映像は、爆破事件後に伝えられたわずか2件の
動静映像の1つだった。

バーンズ・デイシー氏は、戦闘が国内を二分して激化していること
から、政権側が優位な情勢にあると考えるようになるまで、アサド
氏の姿は見られないだろうと推測。「彼のやり方や性格は、相手が
国民であれ国際社会であれ、強い立場で関与するというものだ」と
話す。

<治安への懸念>

アサド大統領の義兄シャウカト副国防相も死亡した先月の爆破事件
では、政権中枢の親族やアサド大統領自身も、反体制派による攻撃
の危険にさらされていることを示した。

大統領への攻撃が成功すれば、一撃で反体制派に勝利をもたらすた
め、アサド氏は公に姿を見せることに慎重になっているとみられる。

アサド氏の沈黙は、カダフィ大佐が取った行動とは大きく異なる。
そのカダフィ氏は、反体制派の勢力が迫っても頻繁に挑戦的な演説
を行い、結果的には無残な死を遂げた。

ロンドンスクール・オブ・エコノミクスの中東政治学教授、ファワ
ズ・ゲルゲス氏は、爆破事件が「心理的に非常に大きなショックに
なった。落ち着くにはアサド氏に時間が必要だろう」と指摘する。

ただゲルゲス氏は、側近による政権を再編したスピードを見ると、
「消耗した部隊とはほど遠く、治安組織はなお機能している」とも
見ている。

アサド氏の姿勢が予想外に堅固だとするゲルゲス氏の見方は、シリ
ア危機の開始からアサド氏の対応を追ってきた外交官などの見方と
も一致する。

ベイルートのある西側外交官は、アサド大統領と最近面会した当局
者の話として、アサド氏がイタリアで1月に座礁した大型豪華客船
の船長と比較し、自分は最後まで指揮を執ると語ったと明かした。

ゲルゲス氏はアサド氏について、「はるかに快活で、頑固で、徹底
的で、そして人生に打ち勝つためにより準備をする人間であること
を証明してきた」と指摘し、米国や欧州の指導者はアサド氏につい
て考え直しているのではないかと話す。

さらに、「あらゆるアナリストは、彼がソフトなタイプだと言う。
この17カ月で、彼はそれが間違いだったことを示した」と語った。

(原文執筆:Dominic Evans記者、翻訳:橋本俊樹、編集:宮井伸明)
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アナン氏がシリア特使を辞任へ、監視団も任期終了の可能性
2012年 08月 3日 07:42 JST 

[国連/ジュネーブ 2日 ロイター] 国連の潘基文(バン・キ
ムン)事務総長は2日、シリア調停に当たっていたアナン国連・ア
ラブ連盟特使(前国連事務総長)が今月末で退任すると発表した。

同事務総長は声明で「アナン氏が私とアラブ連盟のアラビ事務局長
に対し、8月31日で切れる特使の任期を更新する意向はないと伝
えてきた」と述べ、後任の人選に着手したことを明らかにした。

アナン氏は同日記者団に対し、退任理由として「戦闘激化と(国連
)安全保障理事会内の団結のなさ」を挙げ、安保理メンバーが、自
身が退任することの責任を互いになすりつけ合っていると非難した。

アナン氏は今年2月、シリア特使に任命されたが、調停はうまく進
まなかった。

また、フランスのアロー国連大使は、19日に任期切れとなる国連
シリア監視団(UNSMIS)が更新されない可能性を示した。
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内戦続くシリア、300万人に食料支援必要 FAO
2012.8.3 00:33
 国連食糧農業機関(FAO)は2日、内戦状態が続くシリアで今
後12カ月間に最大300万人に食料支援が必要になるとの見通し
を発表した。このうち150万人には3〜6カ月以内に緊急支援が
必要だとした。

 FAOは世界食糧計画(WFP)、シリア政府と共同で、6月に
調査を実施。その結果、ことしに入り、内戦により農作物や家畜、
かんがい施設などに計18億ドル(約1400億円)に上る損失が
あったことが判明した。

 FAO当局者は「時宜にかなった支援が行われなければ、立場の
弱い人々の生活は数カ月で崩壊してしまうだろう」と警告した。
(共同)
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シリア反体制派、奪取の戦車で空軍基地を急襲

 【カイロ=田尾茂樹】在英の人権団体「シリア人権監視団」によ
ると、シリアの反体制派は2日、政府軍による反体制派総攻撃が続
く同国北部アレッポ郊外の空軍基地を急襲した。

 襲撃には、反体制派が政府軍から奪った戦車などが使われたとい
う。基地はアレッポの反体制派攻撃に使われているヘリコプターや
軍用機の出撃地になっていた、とされ、徹底抗戦に向けて空からの
攻撃阻止を図ったとみられる。

 アレッポのAFP通信記者によると、反体制派は政府軍から戦車
数台を奪取。国連シリア停戦監視団も、反体制派が複数の戦車を含
む重火器を保有していることを確認している。

 シリア人権監視団によると、首都ダマスカス南郊のジュダイデッ
トアルトゥーズ地区では1日、政府軍の急襲で市民ら43人が殺害
された。多くは拷問を受け、処刑されたという。

(2012年8月2日23時54分 読売新聞)
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オバマ大統領 CIAにシリア反体制派支援を許可
2.08.2012VOR

米国のオバマ大統領は、米中央情報局(CIA)やその他の米国の
機関にシリア反体制派への支援を許可する指令文書に署名した。ロ
イター通信が米関係筋からの情報として伝えた。
オバマ大統領が署名した文書は、米特務機関がシリア反体制派を広
く支援することを許可しているという。なお署名した日付について
は伝えられていない。

ロイター通信は、トルコ、サウジアラビア、カタールなどは、シリ
ア反体制派のために武器を購入しているが、米国はまだ反体制派に
武器を供与していないと指摘している。ロイター通信はまた、「米
政府の情報筋は、米国は大統領の『方向設定』に従い、トルコとそ
の同盟国が中心になって指揮している秘密司令部と協力しているこ
とを認めた」と伝えている。

米財務省は1日、「シリア支援グループ」の名の下で反体制派勢力
「シリア自由軍」のワシントン支部が、シリアの反体制派武装勢力
を代表して資金取引を行うことを許可したことを確認した。 
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シリア政府側民兵の処刑か サイトに映像
2012年8月2日 20時38分

 【カイロ、ニューヨーク共同】アサド政権側部隊と反体制派の激
しい戦闘が続くシリア北部の中心都市アレッポで、多数の反体制派
武装組織「自由シリア軍」が政権支持派民兵の男性数人を「処刑」
しているとみられる映像が、動画投稿サイトで公開されていること
が2日、分かった。
 シリア人権監視団(英国)は「国際法上もイスラム法上も許され
ない犯罪行為だ」と厳しく批判。国連のネザーキー事務総長報道官
は8月1日の記者会見で、「(処刑は)非難される」と述べた。
 ネザーキー氏は、反体制派がアレッポで戦車や重火器を保有して
いることを国連シリア監視団(UNSMIS)が確認したとも述べ
た。
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シリア北部の都市、反体制派が反撃 戦局は一進一退
2012年7月31日19時23分

 シリアのアサド政権軍による激しい攻撃が4日目に入った北部第
2の都市アレッポで31日、反体制派が市中心部の軍関連施設に反
撃を始めた。戦局は一進一退を繰り返している模様だ。

 AFP通信は、在外の反体制派シリア人権監視機構などの情報と
して、反体制派は31日夜明け前から、アレッポ西部ザハラ地区に
ある空軍情報機関の拠点を襲撃したと伝えた。さらに南部サレヒン
地区にある軍事裁判所や警察署、政権与党バース党の支部などをロ
ケット弾で攻撃し、警官40人以上を殺害したという。一方、政権
軍の爆撃も各地で続いている。政権軍筋は30日、反体制派拠点の
南西部サラヘッディン地区の一部を「制圧した」とする一方、「非
常に激しい抵抗にあっている」と話した。

 シリア人権監視機構によると、30日には全土で93人が死亡し
たが、激戦が続くアレッポでの死者数は正確に把握できない状態と
いう。国連の推計ではアレッポから人口の約1割にあたる20万人
が脱出したとされる。(カイロ=村山祐介)
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中国軍艦艇3隻、シリアに向けスエズ運河通過

 【カイロ=工藤武人】エジプトの政府系アル・アハラム紙(電子
版)は、中国軍の駆逐艦2隻とフリゲート艦1隻が29日、シリア
に向かうためエジプトのスエズ運河を通過したと報じた。

 シリアがイランやロシアと近く実施するとされる合同軍事演習に
加わるのが目的とみられる。

 イランのファルス通信は6月中旬、9万人規模の大規模演習がシ
リア沖一帯で「数週間以内」に行われると伝えていた。

 アサド政権はアレッポで反体制派拠点への総攻撃に踏み切り、国
際社会は懸念を強めている。そうした中、アサド政権の士気向上を
狙う演習に中露が参加することは物議を醸しそうだ。

(2012年7月30日11時08分 読売新聞)
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シリア政権握るアラウィ派、「中枢攻撃」で揺らぐ大統領への支持
2012年 07月 23日 14:03 JST 

[タルトス(シリア) 20日 ロイター] シリア政権を掌握す
るイスラム教の少数派アラウィ派が多く住む港湾都市タルトスでは
、つい最近まで日光浴をしたり、バーに集まる市民の姿があった。
自分たちの国が内戦状態に突入していることを信じようとしない人
もいたほどだ。

首都ダマスカスでは18日、ラジハ国防相やアサド大統領の義兄で
あるシャウカト副国防相など、大統領の周辺人物が殺害される爆弾
攻撃が発生。これ以来、大統領が反体制派の武装勢力を阻止できる
かどうかについて、アラウィ派の信頼が揺らいでいる。

シリアでは、人口の12%を占めるアラウィ派が政権を支配してい
る。タルトスの多くの市民は、同じアラウィ派であるアサド大統領
が自分たちの将来を守り続けることができるか懸念し始めている。

反政府デモが昨年3月に始まって以来初めて、タルトスでは店舗が
閉鎖し、職場でも自宅でも、皆が国営テレビにくぎ付けになった。
4人の子どもを持つ女性は「何が起こっているのか分からない。バ
ッシャール(アサド大統領)は逃れ、残された私たちは問題に直面
させられるのかもしれない」と不安を語った。

アラウィ派の一部には反政府運動に参加した人もいるが、大半はア
サド大統領を支持している。忠実な支持者もいれば、国民の大半を
占めるスンニ派による報復を恐れ、仕方なく大統領を受け入れてい
る人もいる。

ダマスカスでの戦闘が激化する直前は、アラウィ派の多くは外国メ
ディアが伝える報道は真実でないと主張していた。カフェにいた若
い女性は先週記者に対し、「暴動などない。西部ホムスからの難民
の話を聞いたが、信じない。半分はうそだ」と断言した。

国営テレビは20日、軍の演習の映像と、反体制派掃討作戦での「
テロリスト」の遺体を交互に放映。しかし、アラウィ派の一部若者
の間では、国営メディアへの信頼が揺らいでいる。29歳の男性は
メディアが事実をねつ造しているとした上で、「今では(アラウィ
派の)人々は恐れを感じている。テレビで良いニュースを目にして
、(実際に起きていることを)忘れたい」と述べた。

<「次は沿岸部」の懸念も>
アラウィ派が多く住む他の都市と同様に、タルトスはスンニ派が多
数を占める地域に比べてリベラルだ。海岸では露出度の高い水着姿
の女性を見かけ、レストランはアルコール飲料を揃えている。

反政府デモの発生以来、シリア全体のアラウィ派の半数近くがタル
トスに移動してきたとみられている。タルトス市の人口は90万人
から120万人に拡大し、不動産業者によれば、アパートを見つけ
るのも一苦労だという。

市内には数カ月前、「アサドよ永遠に」など大統領への支持を示す
横断幕が掲げられた。20日には、国連安全保障理事会でのシリア
制裁決議案否決を歓迎する新たな横断幕も掲げられたが、35歳の
男性は「もううんざりだ。拒否権が発動されたからといって、ダマ
スカスでの反体制派の攻撃を止めることはできない。次は沿岸部か
もしれない」と語った。

<中枢を直撃>
アラウィ派はかつて、山岳地帯に住む貧しいイスラム教少数派だっ
たが、現大統領バッシャール・アサド氏の父親であるハフェズ氏が
1970年に政権の座に就いてから状況が大きく変わった。アラウ
ィ派の多くがシリアのエリート層を支配し、この状況は父親の死を
受けてバッシャール氏が2000年に大統領に就任した時も続いた。

ダマスカスからタルトスに到着する車両の数は日を追うごとに増え
ている。衝突が続く首都から移動してきたアラウィ派は、メッセー
ジは明確だとしている。

ダマスカスから来た家具販売者の男性(48)は、「(治安本部の
爆弾攻撃)は中枢を直撃した」とし、反体制派は政権内部に潜入す
ることができたと指摘した。

国防相らを殺害した攻撃の爆音を聞いた人はほとんどいなかった。
しかしアラウィ派にとって、42年間にわたるアサド政権に対する
支持を揺るがせるには十分な出来事だった。男性は「(アサド政権
はもはや)アラウィ派のために機能しているようにはみえない」と
述べ、「崩壊の道をたどっている」と語った。

*本稿はフリーのジャーナリストがロイターに寄稿したものです。
安全上の理由から、筆者の名前は公表を控えます。 
==============================
シリア政府軍、反体制派拠点への総攻撃開始へ

 【カイロ=工藤武人】シリアの治安当局者はAFP通信に対し、
政府軍が27日にも北部の中心都市アレッポで、反体制派が掌握し
ている拠点への総攻撃を開始するとの見通しを示した。

 反体制派もアレッポの兵力増強を急いでいるとみられ、全面衝突
による犠牲拡大の懸念が高まっている。

 この当局者によると、政府軍の特殊部隊がアレッポ郊外に続々と
集結し、攻撃開始の命令を待っているという。26日付の政府系紙
ワタンは、アレッポの攻防を反体制派撃滅に向けた「最終決戦」と
位置づけた。

 在英の人権団体「シリア人権監視団」によると、政府軍は27日
もヘリで市南部のサラハッディン、スカリ両地区などを爆撃するな
ど、アレッポ総攻撃に向けた地ならしを続けている模様だ。首都ダ
マスカスでも上空から爆撃を続けた後、大規模な地上部隊が鎮圧に
乗り出した。

(2012年7月27日23時59分 読売新聞)
==============================
「中国、ロシア、イラン、シリアが合同軍事演習」は全く根拠のな
い報道
 外交部の定例記者会見で20日、洪磊報道官が質問に答えた。

 ----中国、ロシア、イラン、シリアが近くシリアで合同軍事演習
を行うとの報道がある。

 全く根拠のない報道だ。(編集NA)

 「人民網日本語版」2012年6月21日
==============================
シリア:イラン露中と領内で合同軍事演習か
毎日新聞 2012年06月20日 20時05分

 【テヘラン鵜塚健】イランの革命防衛隊系ファルス通信は18日
、シリアの政府軍と、イラン、ロシア、中国の各国軍による合同軍
事演習を近く行うと報じた。中東最大規模の9万人が参加し、シリ
ア領土、領海内で実施するという。シリアとロシア当局は報道内容
を否定したが、反体制派弾圧で多数の犠牲者を出すシリア政府軍へ
の協力が事実とすれば、国際社会から強い非難が上がりそうだ。

 ファルス通信はシリアの情報筋の話として、演習準備が急速に進
んでいるとし、中国の軍艦12隻はスエズ運河を通過する許可を既
に得て、約2週間後にシリア沿岸に到着する予定という。ロシアの
潜水艦や空母、イランの潜水艦も参加し、戦闘機は計400機、戦
車は計1000台に上る。シリアとロシアが否定する中で、イラン
の政府見解を流す国営放送もファルス通信を引用して報じている。



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