4423.食糧危機が日本を変える



食糧危機が迫っている。米国の干ばつの影響で、トウモロコシ相場
は10年7月の水準を既に90%上回っている。この検討をする。
               津田より

0.食糧問題
ロシアは2010年に記録的な干ばつを受け、穀物の輸出禁止に踏み切
ったが、米国の豊作で問題があまり出なかったが、今年は2008年程
度の食糧危機が来るかもしれない。

米中西部が記録的な干ばつに見舞われ、米農務省は2012年のトウモ
ロコシ生産高見通しを12.3%引き下げた。トウモロコシ相場は10年
7月の水準を既に90%上回っている。食料価格の高騰をきっかけに
世界30カ国以上で暴動が発生した08年の水準も超えている。

米国だけが干ばつであればよいが、シベリア西部のノボシビルスク
で小麦農家を営むユーリ・シェルジャコフさんの農場でも干ばつで
小麦の収穫が危うくなっており、「悪夢のような事態を迎えようと
している。いいことは何も期待できない」とシェルジャコフさんは
言う。ロシアの小麦も被害を受けているが、ウクライナについては
、今のところ、干ばつの情報はない。

どちらにしても、世界の人口は70億人を超えた。70億人突破は
世界がこれから不穏な時代を迎えることを暗示している。一番大き
いのは、水と食糧の不足である。

世界銀行によると、飢餓人口は9億2500万人で、1995年か
らの食品価格上昇も飢えをもたらす一因となっている。国連食糧農
業機関(FAO)は、2050年までにさらに20億人増えるとみ
られる世界の人口を満たすには、食糧生産を70%増やさなくては
ならないと指摘している。

食糧生産を目標通り増やすに当たっては、気候変動が最も大きな障
害になる可能性がある。気温上昇と干ばつで干上がる農地があるが
一方、豪雨や暴風雨で農業が水害を受ける場合もある。

そして、厄介なのが現在農業が盛んな米国やロシアなどの地域も干
ばつや豪雨の影響を受けることである。現時点より食糧生産が減る
可能性もあるのだ。

発展途上国の人々にとって、食料価格が高騰すれば栄養不良のリス
クが高まる。栄養状態が悪化すれば認識能力が低下し、健康状態と
所得に生涯にわたって影響を及ぼしかねない。世界銀行の研究員ら
の推計によれば、10年6−12月の食料価格の変動により、約4400万
人が1日当たりの生活費が1.25ドルを下回る極度の貧困生活に逆戻
りした。この間トウモロコシ価格は73%高騰した。

1.緑の革命
今までの人口増加には、食糧増産で対応できた。緑の革命として、
1940年代から1960年代にかけて高収量品種への品種改良や化学肥料
の投入などで大量増産可能であったことによる。このため、需要と
生産の伸びがほとんど均衡していた。

しかし、近年、高収量品種の導入で、大量の化学肥料を使用し、か
つ、灌漑用水が必要であるが、この2つが原因で農薬汚染と大量の
地下水使用による塩害で農地が砂漠化してきている。このため、収
穫量の減少が起き、かつ地球の気象変動での干ばつなどと二重の意
味で生産量が急減している。

このため、自然農法などの持続可能な食料生産へ変換することが必
要になっている。しかし、自然農法に変えると、収穫量は減少する
ことになる。

しかし、アマゾン川流域の開発で、農地面積が拡大しているために
、現時点では収穫量は落ちていない。しかし、そろそろ、このアマ
ゾン開発も終わるため、今後、食料不足は必然的に起こることにな
る。

このため、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊
出生率は、世界全体で約2.5だが、富裕国ではこの数字がすでに
急低下している。各種の予想に幅はあるものの、多くの研究者は、
世界人口が2050年前後に約90億人で頭打ちし、その後は恐ら
く急速に減少に転じると予想している。

しかし、この人口急減が、何を意味するのかは、食料不足による飢
餓による大量死であると見るか、この食料不足が、ある程度裕福な
地域で起こると、周りの国の食糧を奪う活動を引き起こし、核を含
む戦争になる見るかで大きく違うことになる。ある程度豊かな地域
で起こる可能性が強いと見ると不穏な時代を迎えることになるので
ある。

2.安全保障と農業
安全保障とは、国民が正常な生活が出来る環境を整えることである。
この国民の安全を担保するものには、生命・財産を守ることであり
、それに食糧確保とエネルギー確保である。この3つを守れる環境
にすれば、一応国民の安心がキープできる。

しかし、その安全保障は相互関係にある。中国が食糧不足を起こす
と、中国は近海の食料資源やエネルギー資源を求めて、日本や東南
アジアの領海に出てくる。すでに将来の食糧問題を見越して、海洋
資源を獲得する方向で中国は出てきている。このため、安全保障に
関係しているので、日本もこの問題を重要視しないといけない。世
界の食料不足に取り組む必要がある。

世界的にも、農地の争奪戦が起きている。中国は、食料確保ためモ
ザンビーク、ミャンマー、ラオスなどの農地を買い、米や大豆など
の穀物を生産し、余剰分を中国へ持ってくるようだし、インドはマ
ダガスカルで米作用農地を、エチオピアで糖や茶などの農地をリー
スしている。サウジアラビア農業副大臣は「小麦、とうもろこし、
米、大豆、家畜用飼料のアルファルファを栽培するため、海外の農
地を確保し栽培する計画だ」という。

このため、東京農工大(本部・府中市)は6月29日、世界的な食
料・エネルギー危機に備えた人材を育成する5年一貫制の博士課程
設置構想を発表し、2014年度に開設するようである。

国連の食糧農業機関(FAO)やコーネル大学(米国)など、環境
やエネルギー、食料分野で第一線に立つ海外の大学・研究機関とも
連携し、実務研修を重視した実践型教育を展開し、この課題に取り
組む国際的なリーダーを養成するという。

3.日本はどうするか?
日本は、食糧問題が起き難い環境の国にある。食べられるものは何
でも食べる国民であり、世界では食べないワカメ、海草類などや菊
の花など何でも食べるし、食物類で宗教的なタブーもない。昔の人
は森を大切にして、そこからマツタケなどを採取している。

しかし、この日本でも人口が増えて、自国の食糧だけでは足りなく
なったというより、工業に労働人口をまわし、農業産品は輸入する
方向できたが、新興国に製造業が移り、日本の労働人口を農業など
の食糧生産に振り向けることができるようになってきた。というよ
り、今後円安になり、食糧を海外から買えなくなる時がくる。

このため、現在は米や有機野菜などを細々とやっていたが、これか
らは農業が産業の中心を占めることになる。

それと同時に、日本の人口は、団塊世代が死んでいくと急減するこ
とになる。日本の食糧で、日本人は生きることを考えるときがそこ
まで来ている。

また、うなぎの稚魚がいなくなり、マグロなどの資源も世界的に枯
渇してきた。この対応として、養殖水産業に日本はシフトできる研
究を長期にしている。この成果が試されるときが来ている。

もう1つが、最近、日本では深海魚を食用にしている等、未利用の
食物資源を資源化しようとしている。

というように、日本は世界の高級食材生産基地化する可能性がある。
それと、日本的な食べられるものは何でも食べると言う文化を輸出
して、世界の人々に食糧を分配するしかない。中国もこのなかに含
まれる。

2.日本の位置
ここで、大きなニュースが飛び込んできた。世界の穀物業者は寡占
化されていて、米国の穀物輸出の35%を取り扱う巨人のカーギル
、エタノール製造最大手のADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドラ
ンド)、南米の大豆製油事業が大きい米ブンゲ、全米最大の製粉会
社であるコナグラ、それとフランス系のルイ・ドレファスである。

この5社が世界の穀物価格を決めているといっても過言ではないが、
ここに、日本の商社も参加してきている。丸紅は、世界的に食糧倉
庫を建てて、穀物取引と海運取引の拡大をワンセットして世界に売
り込んでいた。一番お得意先が中国で、飼料工場を建設し飼料市場
を押さえいる。

この丸紅が、米穀物取引大手のガビロン(ネブラスカ州オマハ)を
買収した。これで、丸紅のの穀物貿易高は3300万トンとなり、
5社に肩を並べる規模になる。

丸紅以外でも、三井物産はブラジルで大豆の集荷や輸出・販売、生
産などを手がけるマルチグレインを完全子会社化したし、双日はア
ルゼンチンで大豆や小麦を生産する農業事業に進出している。

日本の有機農業の技術も優れている。木村秋則のりんごの自然栽培
は、森の力を魅せつけた。エンドファイト(内生菌)は植物体内で
共生的に生活している真菌や細菌のことで、種々の生理活性物質を
産生し,これらの働きによって宿主(木)に対して、病害虫に対し
て抵抗性になったり、環境ストレスに対して耐性になったりするが
、この仕組みを木村さんが解き明かしたことになる。

もう1人、森の力を示す人がいる。それは宮脇昭先生である。広葉
樹の森で、複数種類の木を混植することで、日本森、本来の力を示
すので、大きな地震による火事や津波に対する防災ができるという。

というように、植物学、農業分野は、江戸時代から日本人が好きな
分野なのである。世界の園芸は、江戸時代の日本の本草学から生み
出されたようなものである。

日本から次の時代の植物学が始めるような気がする。新しい江戸時
代とでもいえる時代で、これを私は植生文明と命名しているが、こ
の文明を日本が率先して、造ることになる。

コンクリートから人ではなく、植物にシフトするべきなのである。

さあ、どうなりますか?

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食料高騰時代の幕開けか、米干ばつの影響で世界の貧困悪化も
Bloomberg 7月27日(金)11時7分配信

  7月27日(ブルームバーグ):今年は酷暑になった。米中西部
が記録的な干ばつに見舞われ、米農務省は2012年のトウモロコシ生
産高見通しを12.3%引き下げた。トウモロコシ相場は10年7月の水
準を既に90%上回っている。食料価格の高騰をきっかけに世界30カ
国以上で暴動が発生した08年の水準も超えている。
米政府は25日、トウモロコシ価格の上昇により食肉価格が来年4−
5%上昇する可能性があると予想。こうした上昇傾向を事態悪化の
前兆と考えざるを得ない。特に、限られた所得の60−80%を食費に
充てている世界の貧困国の国民にとって不安が広がっている。ブル
ームバーグ・ビジネスウィーク誌7月30日号が報じている。
トウモロコシ相場が高騰したのは06年以降で4回目だ。発展途上国
の人々にとって、食料価格が高騰すれば栄養不良のリスクが高まる。
栄養状態が悪化すれば認識能力が低下し、健康状態と所得に生涯に
わたって影響を及ぼしかねない。世界銀行の研究員らの推計によれ
ば、10年6−12月の食料価格の変動により、約4400万人が1日当た
りの生活費が1.25ドルを下回る極度の貧困生活に逆戻りした。この
間トウモロコシ価格は73%高騰した。最近の価格変動が長期的パタ
ーンの始まりだとすれば、今後50年間、世界の貧困改善ペースは大
幅に鈍化する可能性がある。
米国の穀倉地帯が高温と乾燥した天候に見舞われれば、アフリカや
アジアの数億人の人々の生活に影響を及ぼすこの現実は、世界の食
糧供給がどれほど強く連関しているかを示している。また、地球温
暖化が経済的コストを伴うものであるということをあらためて思い
起こさせてくれる。
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暑さと雨不足でロシアの小麦にも黄信号
2012.07.27(金)JBPRESS
(2012年7月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

シベリア西部のノボシビルスクで小麦農家を営むユーリ・シェルジ
ャコフさんは、干ばつに見舞われた米国中西部の同業者たちに容易
に共感できる。焼けるような暑さと雨の降らない状態が2カ月続いた
後、シェルジャコフさんの農場では小麦の収穫が危うくなっており
、「悪夢のような事態を迎えようとしている。いいことは何も期待
できない」と言う。

 過去半世紀余りで最悪となる米国の干ばつがメディアの話題をさ
らっているが、ロシアの穀物産業も天候問題に苦しんでいる。

米国の干ばつで神経尖らせる市場に追い討ち

 今の状況は2010年ほど悪くはないかもしれない。当時は国内の作
物が壊滅状態に陥り、ロシア政府が輸出を禁止した。

 だが、アナリストらによると、ロシアと隣国カザフスタンの穀物
生産は、世界の農産物供給にとってますます重要になっている。ト
ウモロコシと大豆の価格は、米国の干ばつを背景に記録的な高値ま
で高騰しており、市場は他国の問題に関して神経質になっている。

 「米国の問題に加えて、これは非常に大きな懸念材料になる」。
ラボバンクで農産物調査部門の責任者を務めるルーク・チャンドラ
ー氏はこう言う。

 また、ロシア政府は先週、輸出を制限する理由はないと述べたが
、トレーダーたちは輸出税のみならず、再度の輸出禁止措置の可能
性についてさえ思案し始めている。

 ディーラーたちが穀物の輸出規制が計画されているという噂を口
にする中で、小麦価格は25日、一時3.5%も上昇した。

 小麦市場で黒海地域として知られるロシア、カザフスタン、ウク
ライナは、世界の小麦輸出の約4分の1を占めており、世界最大の穀
物輸入地域である北アフリカと中東向けの主要な供給元になってい
る。

2007〜08年のような食糧危機を避けられるか?

 小麦はコメと並んで世界の食糧安全保障にとって最も重要な穀物
であり、政策立案者たちは、小麦とコメの潤沢な在庫が2007〜08年
に見られたような本格的な食糧危機を回避してくれることを期待し
ている。

 だが、トウモロコシ価格が急騰しているため、畜産農家が家畜に
与える小麦を増やし、需要をさらに押し上げる可能性が高い。

 モスクワに本社を置く農業コンサルティング会社ソブエコンのア
ンドレイ・シゾフ氏は、穀物は「大きな被害を受けている」とし、
最近の雨は「収穫を遅らせ、作物の質を低下させただけに終わった
」とシゾフ氏は言う。
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世界的な食品価格高が再来か、熱波で米穀物相場が急騰
ロイター 7月10日(火)15時6分配信

[シカゴ 9日 ロイター] 米農務省は9日、国内のトウモロコ
シと大豆の収穫について、1988年の大干ばつ以来で最悪の状況
になっているとの見方を示した。穀物相場は足元で急騰しており、
世界的に食料価格が再び高騰する懸念が強まっている。

シカゴ商品取引所(CBOT)では、 記録的熱波に襲われたトウモ
ロコシと大豆の主産地である米中西部が向こう1週間は降雨に恵ま
れないとの見方から、穀物先物相場が急騰している。

米農務省が9日発表したトウモロコシと大豆の作柄状況は、「優」
と「良」の比率が約40%となり、米国が前回に大規模な干ばつに
見舞われた1988年以来で最低水準に落ち込んだ。CBOTでは
この日、大豆先物相場が約3%上昇して過去最高値を更新、トウモ
ロコシ相場も5%以上の急騰となった。トウモロコシ価格は過去1
カ月で30%上昇している。

米国の穀物収穫量が減少すれば、世界の食糧供給には甚大な影響が
及ぶ。米国産トウモロコシは世界全体の出荷量の半分以上を占めて
いるほか、米国は世界最大の大豆消費国である中国にとって主要な
供給源となっている。

穀物相場の高騰が食品価格の上昇となって消費者に直接波及するま
でには時間的猶予があるものの、トウモロコシ価格の上昇はまず、
飼料コストの増大となって畜産農家や養鶏業者に打撃を与える。ま
た、米国産穀物の減少は、貧困国への食糧支援にも悪影響を及ぼす
ことになる。
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食料危機見据えた人材を…農工大が博士課程構想5年一貫制

 東京農工大(本部・府中市)は6月29日、世界的な食料・エネ
ルギー危機に備えた人材を育成する5年一貫制の博士課程設置構想
を発表した。2014年度の開設を目指す。

 同大の松永是学長、千葉一裕・大学院農学研究院教授らが千代田
区内で記者会見し、概要を説明した。

 それによると、永続的に食料を安心して入手できる世界の実現に
向けた人材を養成する。5年一貫制で、修士論文の提出は求めない。
国連の食糧農業機関(FAO)やコーネル大学(米国)など、環境
やエネルギー、食料分野で第一線に立つ海外の大学・研究機関とも
連携し、実務研修を重視した実践型教育を展開する。募集人員は約
20人の予定。

 千葉教授によると、世界の人口は11年に70億人を突破し、
50年には92億人になる見込み。「大規模な飢餓」は人類に差し
迫った脅威で、この課題に取り組む国際的なリーダーの養成が急務
という。

 修了時には企業や官公庁など社会で活躍する人材となることを目
指すため、リーダーシップやコミュニケーション能力を高める教育
にも力を入れるという。
(2012年7月5日  読売新聞)
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世界人口70億人へ、資源争奪など不穏な時代の幕開けか
2011年 10月 26日 14:11 JST 

[BAGHPAT(インド) 25日 ロイター] 国連の推計によると、
世界の人口は10月31日に70億人を超える。人類はこれまで経
験したことのない人口密集時代に突入するが、急速な都市化や環境
の悪化、医療や教育への需要急増、資源や雇用の配分など、70億
人突破は世界がこれから不穏な時代を迎えることを暗示していると
の指摘もある。

 国連人口基金(UNFPA)のババトゥンデ・オショティメイン
事務局長は、ロイターの取材に「世界には人口が減少している地域
があり、そこでは生産性などが懸念されている。そして人口が急速
に増えている場所があり、そうした国の多くは移民や貧困、食の安
全保障、水の管理や気候変動など、われわれが注意を喚起すべき問
題を抱えている」と述べた。

 世界の人口は過去50年で2倍以上に増え、資源はかつてないほ
ど需給がひっ迫している。向こう50年でさらに20億─30億人
が増えると予想されるなか、差し迫った課題は、基本的生活必需品
をどう確保していくかだ。

 <資源の争奪>
 水の利用量は2007年から2025年にかけて、発展途上国で
50%、先進国で18%増える見通し。しかし、米コロラド州を拠
点とする水研究基金のロブ・レナー事務局長によると「地球上の水
の97.5%は塩水で、残る2.5%の真水の3分の2は凍結して
おり」、実際に使える水はそう多くないという。

 また、世界の多くの地域では、栄養ある食物が不足している。世
界銀行によると、飢餓人口は9億2500万人で、1995年から
の食品価格上昇も飢えをもたらす一因となっている。国連食糧農業
機関(FAO)は、2050年までにさらに20億人増えるとみら
れる世界の人口を満たすには、食糧生産を70%増やさなくてはな
らないと指摘している。

 食糧生産を目標通り増やすに当たっては、気候変動が最も大きな
障害になる可能性がある。気温上昇と干ばつで干上がる農地がある
一方、豪雨や暴風雨で農業が水害を受ける場合もある。しかし、各
国が気候変動問題にどう対処してきたかを見れば、世界規模で長期
的な課題に取り組む難しさが如実に分かる。何をなすべきかは明ら
かであるにもかかわらず、国連の気候変動会議はこう着状態に陥っ
ている。

 <急速な都市化>
 また専門家らは、世界各地で進む都市化による人口構造上の不均
衡も深刻な問題だと指摘する。中国・北京の人口は現在約2000
万人で、世界で13番目に人口の多い都市となっている。貧しい地
方部からの移民流入で過去10年で倍増した格好だが、そうした傾
向は何も中国だけの問題ではない。アフリカやアジア、南米でも、
干ばつや洪水など自然災害から逃れてきた農民や、より良い雇用感
環境を求める人が都市部に押し寄せている。

 1950年には、世界の都市部人口は約7億3000万人だった
。国連経済社会局(UNDESA)が2010年3月に発表した報
告書によると、都市部人口は2009年までには約35億人に膨れ
上がり、向こう40年では63億人に達するという。

 <90億人で頭打ち>
 一方、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出
生率は、世界全体で約2.5だが、富裕国ではこの数字がすでに急
低下している。各種の予想に幅はあるものの、多くの研究者は、世
界人口が2070年前後に約90億人で頭打ちし、その後は恐らく
急速に減少に転じると予想している。
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丸紅が米ガビロン買収を発表、穀物貿易世界トップクラスに
2012年 05月 29日 21:39 JST

[東京 29日 ロイター] 丸紅は29日、米穀物取引大手のガ
ビロン(ネブラスカ州オマハ)を買収すると正式発表した。全株式
の取得金額は約36億ドル(約2880億円)。丸紅にとって過去
最大の投資案件となり、買収によって穀物貿易量で約5500万ト
ンと世界トップクラスに躍り出る。

ガビロンに出資している3つの米ファンドからガビロンの全株式を
取得する。米国などの独禁法に基づく条件を満たした場合などによ
り、譲渡完了は今年9月を予定している。ガビロンには20億ドル
程度の借入金があり、買収総額は約56億ドルに上る。36億ドル
の株式取得資金は、自己資金に一部銀行借り入れにより行う。

丸紅の2012年度見込みの穀物貿易高は約2500万トン。ガビ
ロンは米国内の穀物取扱い高は約3000万トンで、輸出が約800
万トンとなっており、買収により丸紅の穀物貿易高は3300万ト
ンとなる。会見した岡田大介常務執行役員は「米カーギル、米AD
M(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)、米ブンゲといった
ところは3000万トンから4000万トンの間にいると想像する。
我々は4000万トンを目指したい」と語った。

買収による収益への効果は「来期以降はボトムライン(最終利益)
で1億ドルをはるかに超える金額で貢献してくれる」(松村之彦常
務執行役員)という。

(ロイターニュース、浜田健太郎;編集 田中志保)


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