4415.北朝鮮、軍・党の権力闘争



びっくりする情報が飛び込んできた。朝鮮日報によると20日、北
朝鮮の李英浩・朝鮮人民軍総参謀長が解任された直後、李氏を連行
しようとした崔竜海・軍総政治局長配下の兵士と李氏の護衛兵との
間で戦闘が起き、20人余りが死亡したと。

この原因は、一向に回復の兆しをみせない北朝鮮経済の立て直しが
金正恩政権の喫緊の課題のためだ。しかし、北朝鮮の朝鮮人民軍総
参謀長だった李英鎬氏が、農業・経済改革に反対したため、最高指
導者の金正恩第1書記と叔父で実力者の張成沢氏によって粛清され
たのだ。

張成沢国防副委員長は、政府・党実務を取り仕切り、経済重視路線
の旗振り役であり、親中国派とも目されている。

現在、北朝鮮では政府のほか、労働党や軍が傘下企業を使って外貨
稼ぎをするなど独立した経済活動を行ってきた。これを政府の統制
下に一元化しようとする張氏らの動きに既得権益を持つ軍部が反発
。その急先鋒が軍総参謀長だった李英浩氏とされ、このため張成沢
氏が李氏の更迭で機先を制した形になった。

しかし、北朝鮮の朝鮮中央通信は20日配信の記事で、「病気」を
理由とした李英鎬朝鮮人民軍総参謀長の解任をめぐり、米韓のメデ
ィアが「ありとあらゆるデマを流している」と非難し、権力闘争な
ど最高指導部内で異変が起きているとの見方を否定した。

しかし、李氏の更迭で経済発展の方向に進むことになるが、親米的
な動きではなく、中国経済に頼る方向になるようだ。なにしろ、張
成沢氏は親中派である。このため、中国が保護していた金正男も北
朝鮮に戻れたのだ。

中国は、米国の仕業として脱北者に金日成銅像爆破事件を起こさせ
、親米になる可能性を摘み取り、北朝鮮に反米主義を保持させるの
に成功した。

北朝鮮は今年5月、核実験の計画は一切ないと主張していたが、20
日の声明で国家の象徴的記念碑の破壊を企てた容疑者を逮捕したと
発表した。米国と韓国の情報機関が北朝鮮に社会不安を引き起こす
目的で同容疑者に報酬を約束して指示したものだと非難した。

このことで反米に戻り、北朝鮮が方向転換し3度目の核実験に踏み
切る可能性が声明で示唆されているようだ。

しかし、日本の在日朝鮮人に対して、金正恩第1書記は「朝鮮総連
と在日同胞は、祖国の平和統一と強盛国家建設に貢献し、日本との
友好親善を深めなければならない」として、日本の経済支援を期待
していると見える。

さあ、どうなりますか?

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北朝鮮「6・28方針」 官僚や住民はや悲観論…施行前から暗雲
2012.7.21 01:30 sankei[北朝鮮]

 一向に回復の兆しをみせない北朝鮮経済の立て直しが金正恩政権
の喫緊の課題だ。だが、新しい経済路線に対して利権を握る軍部が
激しく反発、朝鮮人民軍トップの更迭につながったとされる。官僚
や住民からは悲観論も出始めており、「6・28方針」として打ち
出した正恩政権独自の経済策は施行前から四面楚歌(そか)に直面
している。

 「世界で最もよい手本とされる外国の実例を参考に、われわれ固
有の経済管理方法を改善していく」

 金正恩第1書記は6・28方針を示す際、こう述べたという。一
方で「先軍(軍事優先)政治の固守」「国防力強化」「主体思想の
具現化」の3つを堅持するようにも指示したとされ、軍部への配慮
がうかがえる。

 「金第1書記の背後で経済発展の必要性をたきつけている」。民
間団体「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK
)などが朝鮮労働党幹部らから得た情報によると、最近、一部軍幹
部からこんな不満も出始めているという。批判の対象は、第1書記
の叔父で後見役の張成沢(チャン・ソンテク)国防副委員長だ。経
済重視路線の旗振り役とされる。

 北朝鮮では政府のほか、労働党や軍が傘下企業を使って外貨稼ぎ
をするなど独立した経済活動を行ってきた。これを政府の統制下に
一元化しようとする張氏らの動きに既得権益を持つ軍部が反発。そ
の急先鋒が軍総参謀長だった李英浩(リ・ヨンホ)氏とされた。韓
国の専門家からは「李氏の更迭は張氏らが機先を制した形だ」との
見方が出ている。
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権力闘争説は「デマ」 北朝鮮通信社が反論
2012.7.21 00:40 sankei[北朝鮮]

 北朝鮮の朝鮮中央通信は20日配信の記事で、「病気」を理由と
した李英鎬朝鮮人民軍総参謀長の解任をめぐり、米韓のメディアが
「ありとあらゆるデマを流している」と非難し、権力闘争など最高
指導部内で異変が起きているとの見方を否定した。

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙「朝鮮新報」(電子
版)も19日、同じ趣旨の記事を掲載したが、北朝鮮本国のメディ
アによる反論は初めてとみられる。

 同通信の記事は「われわれが誰を解任、任命しようと、それは他
人が関係することではない。あらゆる臆測でわれわれの内政に干渉
するのは国権侵害だ」と訴えた。(共同)
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北朝鮮、「核問題」を再検討−米国が政権転覆を画策と主張

  7月20日(ブルームバーグ):北朝鮮は「核問題」を再検討し
ていることを明らかにし、米国への対抗姿勢をその理由とした。金
正恩第一書記は今週、軍の最高位である元帥に就くとともに総参謀
長を解任。自身の権力基盤を固めている。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が20日報じた声明によると
、北朝鮮外務省の報道官は、米国が北朝鮮の政権転覆を画策してい
るとコメント。報道官の氏名は明らかにされていない。声明は核問
題の再検討が何を意味するかについては詳しく触れていない。
韓国外務省によると、2006年と2009年の2度にわたり核実験を行っ
た父の故金正日総書記と同じ路線を金第一書記は準備している可能
性がある。昨年12月の金正日総書記の死去後に新指導者となった金
第一書記は、今年4月にミサイル実験と見られるロケットの発射を
強行し失敗。米国からの支援打ち切りを招き、貧困にあえぐ同国は
孤立を深めている。
北朝鮮は今年5月、核実験の計画は一切ないと主張していたが、こ
の日の声明で国家の象徴的記念碑の破壊を企てた容疑者を逮捕した
と発表。米国と韓国の情報機関が北朝鮮に社会不安を引き起こす目
的で同容疑者に報酬を約束して指示したものだと非難した。
核問題協議に関わる韓国外務省高官は、北朝鮮が方向転換し3度目
の核実験に踏み切る可能性が声明で示唆されていると指摘。北朝鮮
の批判は根拠を伴わないとし、核兵器開発プログラムの終了を目指
す6カ国協議の場に北朝鮮は戻るべきだと述べた。同高官は報道関
係者にコメントする権限を持たないとして匿名を条件に語った。
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北朝鮮の軍総参謀長解任、改革に反対したため=中朝関係筋
2012年 07月 20日 19:09 JST 

[北京 20日 ロイター] 北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀長だった
李英鎬氏は、農業・経済改革に反対したため、最高指導者の金正恩
第1書記と叔父で実力者の張成沢氏によって粛清されたことが分か
った。同国は改革をめぐる実験を加速する見込みだ。中朝関係筋が
明らかにした。

李氏は15日に朝鮮人民軍総参謀長を解任された。

また、北朝鮮は軍から経済の統制権を取り戻すため、特別機関を既
に設置したという。

この関係筋はこれまでにも、2006年の北朝鮮による初の核実験
や、張氏の台頭など、数々のイベントを正確に予測してきた。

関係筋はロイターに対し、金正恩第1書記の父である故・金正日総
書記に触れ、「李英鎬氏は金総書記の『先軍政治』の最も熱心な支
持者だった」と指摘。最も大きな問題は李氏が経済の統制権を軍か
ら政府に移すことに反対したことだ、と説明した。関係筋は反響を
考慮して匿名を希望した。

朝鮮中央通信(KCNA)は、李氏が中央軍事委員会副委員長など
全ての党職務から解任されたのは病気が理由としているが、最近の
映像では李氏は健康そうだった。

北朝鮮中枢で権力闘争が行われていることを示すものといえる。

在北京の北朝鮮大使館はコメントを拒否した。

李英鎬氏の失脚に伴って北朝鮮が政治的混乱に陥る可能性について
、関係筋は「金正恩第1書記と張成沢氏は軍を掌握している」とし
て否定した。
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「日本との友好親善を」 金正恩氏、朝鮮総連行事で祝賀文
2012.7.20 15:59 sankei[北朝鮮]
 北朝鮮の金正恩第1書記は20日、東京で21日に開かれる在日
本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の支部活動家大会に際し祝賀文を送
った。朝鮮中央通信の報道として朝鮮通信(東京)が伝えた。

 祝賀文は「朝鮮総連と在日同胞は、祖国の平和統一と強盛国家建
設に貢献し、日本との友好親善を深めなければならない」としてい
る。(共同)
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北朝鮮、李英浩氏解任時に戦闘か 本人含め20人死亡説も
2012.7.20 11:18 サンケイ[北朝鮮]
 韓国紙、朝鮮日報は20日、北朝鮮の李英浩・朝鮮人民軍総参謀
長が解任された直後、李氏を連行しようとした崔竜海・軍総政治局
長配下の兵士と李氏の護衛兵との間で戦闘が起き、20人余りが死
亡したとの情報を韓国政府が入手し、確認中だと報じた。李氏自身
も負傷するか死亡した可能性も排除できないとしている。韓国政府
関係者の話として伝えた。事実なら、李氏解任に軍の一部勢力が反
感を持っている可能性がある。

 北朝鮮メディアは16日、朝鮮労働党が15日の政治局会議で病
気を理由に李氏を党の全役職から解任することを決めたと伝え、そ
の後、総参謀長からの解任も確認された。

 たたき上げの軍人の李氏と党から送り込まれた形の崔氏の間で主
導権争いが起きていた可能性が指摘されており、同紙は、崔氏側が
李氏の内偵を続けてきたと韓国政府が分析していると伝えた。
(共同)


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