4409.シリア内戦の拡大か



中東のシリアでの内戦が拡大している。サウジアラビアとカタール
のイスラム教の喜捨資金がスンニ派教徒を守るためという名目で、
シリアに投入されて、反政府軍「自由シリア軍」の装備、訓練など
が飛躍的に改善されて、かつ給与も支給されて、スンニ派諸国から
の義勇兵もぞくぞく到着している。

シリア政府軍は、今のところ優勢であるが、欧米諸国とスンニ派諸
国の支援を受けて、徐々に反政府軍も力を付けてきた。

これに対して、シリア政府を支援するロシアは10日、ロシア海軍
の北方、バルト、黒海3艦隊所属の大型対潜艦や大型揚陸艦など6
隻が同日、シリア西部タルトスのロシア海軍基地に向けて一斉に出
港したと発表した。ロシアでも強力な海兵隊を積んでいるので、ど
のような状況になっても対応できる体制を作るようである。

また、シリアのアサド政権をイランが支援している。シリア問題特
使を務めるアナン前国連事務総長は9日、シリアの首都ダマスカス
で、アサド大統領と会談し、暴力停止に向けた政治的対応で大統領
と合意したという。その後、イランの首都テヘランでサレヒ外相と
会談。シリア情勢の平和的解決に向けて、「イランが担う役割があ
る」との見解を示した。

シリア問題へのシーア派のイランの関与については、欧米やスンニ
派の湾岸アラブ諸国がこれまで強く反対する考えを示している。イ
ラン政府はアサド大統領を支持しており、欧米などにとっては中東
地域の主要な対立国とみなされている。

しかし、アナン特使は「(シリア情勢の)収拾がつかなくなり、周
辺に拡大した場合、誰も想像できない結果になる恐れがある」と危
機感を示したが、この危機感は私も同じである。何遍もコラムに取
り上げる理由でもある。

キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の黙示録は同じであり、周辺国
を巻き込んだときにシリア戦争は、その黙示録の世界を作ることに
なる。黙示録などの預言書が指定する配役も同じとなると、非常に
大きな恐怖感を感じる。

反政府勢力の力を付けてきたことで、ライス米国連大使が11日、
国連安全保障理事会の非公開会合で、シリア停戦監視団の活動延長
を認める決議に、アサド政権への制裁を可能にする「国連憲章第7
章」が明記されなければ、延長に応じない考えを表明した。反政府
軍でシリア政府を倒すことを宣言したようなものである。

反政府が力を付けてきたために、11日、シリアのナワーフ・ファ
ーレス駐イラク大使が、アサド政権による市民弾圧に抗議するため
政権を離反したという。

このような状況で、ロシアはシリア支援をしているが、調停に乗り
出している。この調停のため、モスクワを訪問したシリア反体制組
織「国民評議会」のシダ議長は11日、ロシアのラブロフ外相とシ
リア情勢をめぐって会談した。

シダ氏はロシアによるアサド政権向けの武器輸出の中止を要求。終
了後の記者会見で、ロシア側が「(市民弾圧など)武器の目的外使
用が判明した場合は輸出を中止する」との方針を示したことを明ら
かにした。

しかし、政府軍の焦りのために、12日、政府軍と政府支持派民兵
によるとみられる住民大量殺害事件が起きてしまった。中部ハマ県
の村タラムセで、シリア反体制派は、女性や子供を含む220人が
死亡したと発表、アサド政権による新たな虐殺と非難した。

シリア中部で起きた大量虐殺について、アナン国連盟特使が13日
、国連安保理の全理事国に書簡を送り、「迫撃砲や戦車の使用を国
連停戦監視団が確認しており、シリア政府は人口密集地で重火器使
用を停止する義務に違反した」と断定。不履行には結果が伴うとい
うメッセージを送るよう安保理に改めて求め、事実上、アサド政権
への制裁を警告するよう要請した。

ロシアがこの内容に反対しており、ロシアの出方がどうなるかが、
今後の焦点になる。ロシアはゴクとして黙示録に登場している。そ
のロシアが大兵力をシリアに送ることの意味は大きい。

安全保障上の大きな問題が、中東のシリア、イランとアジアの南シ
ナ海、東シナ海にある。どちらが先に世界大戦になるかという際ど
い状態になっている。

中東の危機は日本に関係ないと日本人は考えるが、ホルムズ海峡の
封鎖で石油の輸送が出来なくなり、石油なし経済を構築することが
必要になる。大変な時代、戦争の時代が来ている。

さあ、どうなりますか?
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「シリア政府が義務違反」=安保理に制裁警告要請−アナン特使

 【ニューヨーク時事】シリア中部で起きた大量虐殺について、ア
ナン国連・アラブ連盟特使が13日、国連安保理の全理事国に書簡
を送り、「迫撃砲や戦車の使用を国連停戦監視団が確認しており、
シリア政府は人口密集地で重火器使用を停止する義務に違反した」
と断定。不履行には結果が伴うというメッセージを送るよう安保理
に改めて求め、事実上、アサド政権への制裁を警告するよう要請し
た。
 安保理では、暴力を停止しなければ制裁を科すとアサド政権に迫
る欧米提出の決議案について関係国間で交渉している。ロシアがこ
の内容に反対しており、アナン氏の訴えはロシアに譲歩を促すもの
だ。(2012/07/14-06:36)
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「戦車が村囲み一斉砲火」シリア虐殺、住民証言

 【ダマスカス=田尾茂樹】政府軍と反体制派の戦闘が続くシリア
で12日、政府軍と政府支持派民兵によるとみられる住民大量殺害
事件が起きた。

 現場は、中部ハマ県の村タラムセで、シリア反体制派は、女性や
子供を含む220人が死亡したと発表、アサド政権による新たな虐
殺と非難した。

 頭や胸を撃ち抜かれ血みどろになった若い男性15人の遺体が横
たわる。反体制派が動画サイトに投稿した、殺害事件直後に撮影さ
れたとする映像は、すでに1万人以上が犠牲となったとされるシリ
アの住民弾圧の凄惨さを物語る。

 反体制派などによると、政府軍は同日午前、戦車やヘリコプター
の砲撃で家屋を破壊し、その後、民兵が村に入り込み、逃げる住民
の頭を次々と撃ち抜いていった。

(2012年7月14日01時32分 読売新聞)
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7章明記なければ延長認めず=シリア監視団決議、制裁警告も
                        −米国連大使
 【ニューヨーク、ジュネーブ時事】ライス米国連大使が11日、
国連安全保障理事会の非公開会合で、シリア停戦監視団の活動延長
を認める決議に、アサド政権への制裁を可能にする「国連憲章第7
章」が明記されなければ、延長に応じない考えを表明したことが分
かった。安保理外交筋が明らかにした。アサド政権と反体制派の戦
闘が続くシリアに展開する国連の監視団は今月20日に活動期限を
迎える。
 欧米理事国は11日、シリア当局が10日以内に市街地での重火
器使用停止などを行わなければ、国連憲章第7章41条に基づく措
置を直ちに講じるとして、制裁を警告する決議案を全理事国に配布。
監視団の活動期間については45日間延長すると規定している。
 一方、アサド政権寄りのロシアは10日、圧力には触れずに、監
視団の3カ月延長だけを盛り込んだ決議案を提示した。ライス氏の
発言は今後の交渉でロシアに譲歩しない姿勢を打ち出したものだ。
米国は拒否権を持つ常任理事国で、米国が反対した場合、監視団は
活動を続けられない。安保理は20日までに決議案の採決を行う予
定。(2012/07/12-09:14)
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市民弾圧なら「武器輸出中止」=シリア反体制派に表明−ロシア
 【モスクワ時事】モスクワを訪問したシリア反体制組織「国民評
議会」のシダ議長は11日、ロシアのラブロフ外相とシリア情勢を
めぐって会談した。シダ氏はロシアによるアサド政権向けの武器輸
出の中止を要求。終了後の記者会見で、ロシア側が「(市民弾圧な
ど)武器の目的外使用が判明した場合は輸出を中止する」との方針
を示したことを明らかにした。インタファクス通信が伝えた。
 双方は、関係国の「連絡グループ」閣僚会議で一致したシリア国
民主導の政権移行に向けて意見交換。シダ氏は会見前、「アサド政
権が退陣しない限り解決はない」と強調するとともに、ラブロフ氏
が会談の中でアサド大統領排除に難色を示しつつも「新たな提案を
行った」と説明していた。(2012/07/12-00:53)
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シリア駐イラク大使、亡命か
2012.7.12 02:02
 【カイロ=大内清】ロイター通信によると、内戦状態にあるシリ
アの反体制派は11日、同国のナワーフ・ファーレス駐イラク大使
が、アサド政権による市民弾圧に抗議するため政権を離反したと明
らかにした。確認されれば、昨年3月の反政府デモ発生以降、大使
級では初めて。亡命した可能性もある。

 ファーレス氏は、政権側による激しい弾圧が続く東部デリゾール
の出身で、治安機関とも密接な関係にあったとされる。

 昨年、内戦の末にカダフィ政権が崩壊したリビアでは、各国に駐
在する大使が次々と反カダフィ派に合流したことが政権側に大きな
ダメージとなった経緯があり、シリアでも離反の流れが続くか注目
される。
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シリア問題で「イランが担う役割も」、アナン特使が協力要請
2012年 07月 11日 10:36 JST  

[ベイルート 10日 ロイター] 国連などのシリア問題特使を
務めるアナン前国連事務総長は9日、イランの首都テヘランでサレ
ヒ外相と会談。シリア情勢の平和的解決に向けて、「イランが担う
役割がある」との見解を示した。

シリア問題へのイランの関与については、欧米や湾岸アラブ諸国が
これまで強く反対する考えを示している。イラン政府はアサド大統
領を支持しており、欧米などにとっては中東地域の主要な対立国と
みなされている。

アナン氏はサレヒ外相との会談後、「イランには担うべき役割があ
り、ここに来たのはそれを信じているからだ」とコメント。「外相
と(イラン)政府から激励と協力の意向を得た」と語った。

また、「(シリア情勢の)収拾がつかなくなり、周辺に拡大した場
合、誰も想像できない結果になる恐れがある」と危機感を示した。

アナン氏は11日に国連安全保障理事会でシリア情勢に関する報告
を行う予定。安保理は、国連シリア監視団の活動期限となる20日
までに今後の任務について決定する必要がある。
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ロシア艦6隻が地中海へ=シリア西部にも寄港
 【モスクワ時事】ロシア軍事外交筋は10日、ロシア海軍の北方
、バルト、黒海3艦隊所属の大型対潜艦や大型揚陸艦など6隻が同
日、地中海に向けて一斉に出港したと明らかにした。インタファク
ス通信が伝えた。シリア西部タルトスのロシア海軍基地にも寄港す
るという。(2012/07/10-23:48)
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アナン特使がアサド大統領と会談 同盟国イランとも協議へ
2012/07/10(火)
[ダマスカス 9日 ロイター] 国連などのシリア問題特使を務
めるアナン前国連事務総長は9日、シリアの首都ダマスカスで、政
府軍と反体制派との間で続く内戦の収束に向けてアサド大統領と会
談した。 

アナン氏は会談後に記者会見を行い、協議は建設的な内容で、暴力
停止に向けた政治的対応で大統領と合意したと述べた。反体制派に
も内容を伝えるとしたが、協議の詳細については明らかにしなかっ
た。同氏はその後、シリアの同盟国であるイランに向けて出発した。

シリア外務省の報道官はツイッターで「(アナン氏が進める)和平
案に積極的に取り組む」と発表。反体制派も同様な姿勢を示すこと
を望む、と語った。 

米ホワイトハウスのカーニー報道官は9日、和平案への支持を表明
した上で、残された時間は少ないと指摘。 
米国務省はまた、暴力停止に向けたシリア政府の準備が整っている
とはみられず、アナン氏がイランで行う協議に進展は期待できない
との考えをした。 



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