4403.日本が集団自衛権の行使を認める



2011年9月の中国の「環球時報」に載った「南シナ海懲罰戦争
」が、全ての起点になっている。これでアジアでの戦争を想定して
全ての国が動き始めた。碁の寄せ手のような敵味方が相互に手を打
っている。それを見て、今後の日本を考えよう。   津田より

0.今までの経緯
2012年5月の首脳会談において、在日米軍の再編問題が解決し
て、4千人がグアムに移動し、後の5千人が豪ダーウィンとテニア
ン、フィリピンに移動し、かつ米海兵隊と自衛隊がテニアンとフィ
リピンの訓練施設を共同使用する方向で、この内、フィリピンにつ
いてはパラワン島のフィリピン海、空軍基地が有力視されている。
また、途上国援助(ODA)でフィリピンなどに武器を供与するこ
とも決まり、海洋進出を図る中国を牽制する。

4月に領有権を主張する南シナ海・スカボロー礁で、中国の海洋調
査船とフィリピンの沿岸警備隊艦艇が対峙して、危機的な状況にな
った。中国は、外交的圧力、武力誇示に続き、バナナの輸入停止な
どの経済制裁措置までも講じ、フィリピンを圧迫した。

ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議の議長声明案が7日
、判明した。南シナ海のスカボロー礁をめぐり先鋭化する中国とフ
ィリピンの領有権争いで、関係国に「最大限の自制」を要請、問題
の平和的解決を促しているが、中国が優勢である。

このままにして、中国の横暴を食い止めないと、中国は益々強大に
なり、周辺諸国は圧倒されていくことになるが、今までは米国に頼
るしかなかった。

しかし、中国は米国とは問題を起こさないという「遠交近攻」策に
出てきているので、これに対応するのには周辺諸国が「合従」策を
取るしかない。本来、その中心は米国であるが、副としての位置に
日本はいるし、中国前面にいる日本は、フィリピンやベトナムの立
場と同じ立場である。日本は、中国の圧力を受けている。

米国は、中国との直接的な戦争には巻き込まれないので、他人事に
なる可能性があり、アジア諸国は真剣な日本に共感している。

もう1つが、米空母を寄せ付けないように「米空母キラー」と呼ば
れる中国の新型対艦弾道ミサイル「東風21D」(射程1500キ
ロ以上)が「恐らく配備準備をしている」と米国は認識している。

これに対して、米国は、オフシェア・バランシングの戦術として位
置づけられる空軍と海軍の統合作戦戦略「エアシーバトル構想」を
推進している。「東風21D」の届く範囲から主力は、遠のくこと
で、被害を少なくする方向である。ということで、周辺諸国の支援
をどこまで行ってくれるのか不安になっている。

1.最近の状況
ここで、中国は次の手を打ち始めた。中国は韓国を味方に付ける政
策を実行して、軍事物資供給の条約を結び、逆に韓国は日本との軍
事情報共有の協定を締結寸前に破棄して、日本を敵国としている。

このため、韓国政府は、日韓秘密情報保護協定を推進した趙世暎・
東北アジア局長を更迭することを決めた。

韓国は5日、東シナ海の自国の大陸棚を、沖縄近海の海底地形「沖
縄トラフ」まで延伸することを認めるよう求める申請書を、月内に
も国連の大陸棚限界委員会に提出する。このとき、韓中共同で、日
本と戦うという。

しかし、中国外務省は6日、「東シナ海の大陸棚についての中国の
主張は明確で一貫しており、韓国側もそのことを分かっているはず
だ」と述べ。韓国の提案を拒否し、全てが中国のものであるとした。

また、ベトナムとの協力の下、同国沖の天然ガス開発を進めていた
ロシアのガスプロムが、南シナ海での領有権をめぐる中国とベトナ
ムの対立の渦中にほうり込まれ、中断に追い込まれそうな事態に陥
っている。

ロシアは、中国にLNGを大量に売る交渉をしているので、ベトナ
ムの開発より中国市場のほうが重要であると見ているために中国と
の紛争には関わらない姿勢である。というように、中国とロシアは
、ロシアが南シナ海を放棄して、中ロ同盟に向かう。

シリア・イラン情勢でも中ロの歩調は一緒になっている。このため
、ベトナムもロシアを見捨てて、米国との同盟を志向するしかなく
なっている。中ロ対欧米日豪の戦いが各所で起こり始めている。

これは戦争の時代になっていることを意識に入れて、国家政策を組
み立てる必要があると見ていた。

2.アジア版NATO構想
このような状況を見て、デンプシー統合参謀本部議長は、米国の目
的は、パートナーと協力し、協力的な安全保障環境をアジア太平洋
地域国家間で強化することであるとした。このためには、NATO
のような組織をアジア太平洋諸国で構成できれば意義があるだろう。
ただし関係国が望めばの話であるが。と言う。

米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」は「米国の戦略的重心
の転換はNATOにとって大きなチャンスだ。NATOはこれを機
に太平洋問題の参与者に変わる必要がある。アジアへのNATOの
介入は多くの論争を引き起こすだろうが、手出ししない考え方の方
がリスクが高い」と、このデンプシー統合参謀本部議長の意見を拡
大している。米国は欧州もアジアに呼び込み、中国・ロシア対欧米
日豪などの連合軍で対応することを考えていることが分かる。

アジアのASEAN諸国に日本、豪州、米国などが集団自衛権の組
織を持ち、海上の平和を確保することであるという。そのアジア版
NATOと欧州NATOが合同で世界の安全を担保することになる。

イラン、シリアなど中東にも火種があり、この対応でも両方のNA
TOを米国は使いたいようだ。

このため、日本が集団自衛権を封鎖していることに対して、それで
は対中露の世界戦争やアジア全体戦略が支障をきたすことになると
危惧していた。

3.集団自衛権
このような状況で、野田政権の国家戦略会議フロンティア分科会は
6日、2050年に向けた日本の将来像を提言する報告書を提出し
た。この中で憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を認めるよう求
めるなど、首相の持論に沿った内容となった。

また、自民党は6日の総務会で、憲法改正によらず集団的自衛権の
行使を可能とすることを柱とした「国家安全保障基本法案」を了承
した。「必要最小限度」は個別的自衛権だけでなく集団的自衛権も
含むとの立場をとり、歴代政権が現行憲法上認められないと解釈し
てきた集団的自衛権を容認する。というように集団自衛権は、民自
の両党が認めたので、近いうちに国会を通ることになる。

同様に、東京都石原知事は6日、「大阪維新の会」の次期衆院選公
約に憲法9条改正の是非を問う国民投票実施があることについて、
「9条改正は間違いだ。憲法は破棄したらいい」と述べ、憲法解釈
で集団自衛権も攻撃的な行為もできるので、本格的な憲法を作るこ
とが重要である。または、時間的な余裕がないので、憲法解釈で、
中国対抗を進めることが重要であるとした。

このため、鳩山元首相は集団自衛権を認める野田首相の方針を批判
して、不信任決議案に賛成する可能性を述べている。次の民主党離
党候補となっている。民主党左翼が全て出て行くことになりそうで
ある。

韓国も日本の集団自衛権を認めることに対して、軍事大国化という
批判をしている。韓国の位置が対中国敵対から、敵対国家日本とい
う位置に変化している。

4.今後の動向
徐々に敵味方の色分けが出来始めてきている。米国対中国の世界戦
争の体制を両方が構築している。日本は早く、北海道から西南諸島
に自衛隊を移動して、多数配備することである。平和の時代は終わ
り、経済混乱と戦争準備の期間が続くことになる。

さあ、どうなりますか?

参考資料:
4383.尖閣列島の国有化?
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240621.htm
4367.米越の軍事協力強化
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240605.htm
4365.東アジアの変化と日本(P0192)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240603.htm
4353.中国拡大に日米の対応(P0190)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240520.htm
4351.オフショア・コントロール
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240518.htm
4346.中比の紛争はどうなるか?(P0189)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240513.htm
4334.在沖米軍再編で日米共同覇権に(P0187)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240429.htm
4134.1930年代から戦争の時代へ(P0157)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L3/231002.htm
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中比「最大限」の自制を要請 ARF議長声明案

 【プノンペン共同】カンボジアの首都プノンペンで12日に開か
れる東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)
閣僚会議の議長声明案が7日、判明した。南シナ海のスカボロー礁
(中国名・黄岩島)をめぐり先鋭化する中国とフィリピンの領有権
争いで、関係国に「最大限の自制」を要請、問題の平和的解決を促
している。

 クリントン米国務長官や中国の楊潔チ外相が出席するARF閣僚
会議では、南シナ海問題が主要議題となる見通し。2020年まで
に米海軍艦船の約6割をアジア太平洋地域に集中させるなどアジア
重視の方針を打ち出す米国が中国の海洋進出をけん制し、対立する
可能性がある。
2012/07/07 19:48 【共同通信】
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集団的自衛権「解釈変更を」 国家戦略会議分科会が提言
2012年7月7日0時18分

 野田政権の国家戦略会議フロンティア分科会(座長・大西隆東大
教授)は6日、野田佳彦首相に2050年に向けた日本の将来像を
提言する報告書を提出した。憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使
を認めるよう求めるなど、首相の持論に沿った内容となった。

 首相は官邸で報告書を受け取り、「近々まとめる(経済政策の)
日本再生戦略に存分に反映させたい」と表明。「社会全体の議論喚
起につながることを期待したい」とも語った。9月の民主党代表選
や次の衆院選を視野に、今回の報告書を土台とした政策づくりを検
討している。

 報告書は「『共創の国』づくり」と題し、少子高齢化や財政難、
原発問題などに直面する日本を「課題先進国」と表現。政府や自治
体、企業、個人の能力をつなぎ「新たな価値を創出する社会」を目
指すとした。
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集団的自衛権の行使可能に 自民、安保基本法案を提出へ:日経
2012/7/6 19:25
 自民党は6日の総務会で、憲法改正によらず集団的自衛権の行使
を可能とすることを柱とした「国家安全保障基本法案」を了承した。
次期衆院選のマニフェスト(政権公約)に早期制定を盛り込み、選
挙後の国会に提出する方針だ。集団的自衛権は同盟国などへ武力攻
撃があった場合、自国が直接攻撃を受けていなくても攻撃を実力で
阻止する権利。

 法案では「国連憲章に定められた自衛権の行使については、必要
最小限度とする」と明記。「必要最小限度」は個別的自衛権だけで
なく集団的自衛権も含むとの立場をとり、歴代政権が現行憲法上認
められないと解釈してきた集団的自衛権を容認する。

 法案化を主導した石破茂元防衛相は記者会見で「憲法9条で集団
的自衛権を行使できないことはない。政策判断でやってきた」と述
べ、改憲しなくても同法案が成立すれば集団的自衛権の行使はでき
るようになるとの考えを強調した。
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韓国の大陸棚延長推進 中国は遠回しに拒否
2012年07月06日19時36分聯合ニュース

【北京聯合ニュース】韓国が東シナ海の自国の大陸棚延長を推進し
ていることと関連し、中国外務省の劉為民報道官は6日、「東シナ
海の大陸棚についての中国の主張は明確で一貫しており、韓国側も
そのことを分かっているはずだ」と述べた。

 劉報道官の発言は、韓国が確保しようとする大陸棚が中国の主張
する大陸棚と重なっているため、韓国側の主張をそのまま受け入れ
ることはできないことを遠回しに示したとされる。劉報道官は、話
し合いを通じた妥当な方法で問題を解決しようと呼びかけた。

 韓国政府筋は同日、済州島南方沖の東シナ海の大陸棚が沖縄近海
まで延びたとする内容の公式見解を今年中に国連に正式提出すると
明らかにした。

 韓国が延長を主張する大陸棚は200カイリを超える済州島南方
の韓日共同開発区域内の水域で、同水域は韓日中がそれぞれ自国の
ものと主張する大陸棚の境界が重複している。同大陸棚には天然ガ
スや石油など豊富な資源があるとされているため、韓国政府が正式
に国連に見解を提出すれば、3国間の資源獲得争いが表面化するこ
とも懸念される。
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憲法9条改正は間違い=「維新八策」で−石原都知事
 東京都の石原慎太郎知事は6日の記者会見で、「大阪維新の会」
の次期衆院選公約「維新八策」の改訂版に憲法9条改正の是非を問
う国民投票実施が明記されていることについて「9条改正は間違い
だ。憲法は破棄したらいい」と述べた。
 石原知事は「占領軍が統治のためにつくった法律を独立後も継承
している事例は歴史にない。歴史にあるかないかが一番大事な原則
だ」と指摘。その上で、維新の会代表の橋下徹大阪市長とは憲法観
で「意見が違うみたいだ」と語った。 (2012/07/06-19:06)
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外交省担当局長を更迭=日韓情報協定めぐり−韓国
 【ソウル時事】韓国外交通商省は6日、「密室処理」と批判され
ている日韓秘密情報保護協定に関連し、趙世暎・東北アジア局長を
更迭することを決めた。同省関係者が明らかにした。
 協定をめぐっては、先月26日に公表しないまま閣議決定したこ
とに批判が集まり、同29日に予定された署名は延期された。
 一連の経緯を調査していた大統領府は6日、秘密裏に処理を進め
た最大の責任者は、5日に辞表を提出した大統領府の金泰孝対外戦
略企画官と、外交省の趙局長と認定。大統領府は金氏の辞表受理を
決定した。
 金星煥外交通商相に関しては、閣議決定当時、李明博大統領とと
もに外遊中で報告を受けられない状況だったことから、大統領府は
責任を問うには当たらないと判断したとみられる。ただ、外交省関
係者は「外相の去就については何も決まっていない」と語った。
(2012/07/06-18:09)
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韓国、自国の大陸棚延伸申請へ…沖縄トラフまで

 【ソウル=門間順平】韓国外交通商省当局者は5日、東シナ海の
自国の大陸棚を、沖縄近海の海底地形「沖縄トラフ」まで延伸する
ことを認めるよう求める申請書を、月内にも国連の大陸棚限界委員
会に提出すると明らかにした。

 石油や天然ガスなどの開発権を確保する狙いだが、日本と中国が
自国の大陸棚とする海域と重なり、今後、日中韓の外交摩擦に発展
する可能性がある。

 韓国が拡張を目指す大陸棚は約1万9000平方キロ・メートル
で、韓国の国土面積の約20%に相当。韓国の排他的経済水域(E
EZ)外だが、済州島南方から延びている大陸棚だとして、韓国に
属すると主張している。ただ、同委員会の認定で大陸棚の境界が画
定するわけではなく、画定には当事国同士の協議が必要となる。

(2012年7月6日08時22分 読売新聞)
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日本、「自衛権」を大義名分に北東アジア軍事力を拡張
JULY 06, 2012 08:06東亜日報

日本政府の分科会が「集団的自衛権の行使を容認すべきだ」とする
報告書を作成したことは、これまで一部の保守派が要求し、主張し
ていたのとは意味が異なる。これに反対していた日本政府の態度変
化を予告するうえ、周辺国の反発を考慮して躊躇していた態度を修
正しようとするもので、日本の保守化が急激に進んでいることを示
している。
日本は、第2次世界大戦の敗北で米軍政の支配を受け、独立した後
、「合法的な武装力を備えた普通の国」を望んだ。軍隊の保有と集
団的自衛権を「普通の国」の2本柱と考えた。しかし、2つとも戦
力の不保持と交戦権の否認を明示した憲法第9条と衝突した。する
と、保守派の政治家らは、「集団的自衛権は日本の領土防衛の延長
線上に該当する。憲法第9条が禁止する『国際紛争を解決する手段
としての武力の行使』に該当しないと解釈すべきだ」と主張した。
憲法を改正せずに、普通の国への道を模索するという考えだった。

これに対して、日本政府は、憲法第9条を厳格に適用し、「集団的
自衛権を保持するが、行使することはできない」と解釈した。

しかし今回は、政府の分科会が集団的自衛権を主張した。政府内で
意見の違いがあらわになり、味方が攻撃をしかけたのだ。日本で集
団的自衛権に対する声が高まっていることに対して、米国は黙認し
ている。浮上する中国を牽制したい米国は、日本が軍事力を強化す
るだけでなく、有事の際に戦争にも参加することを内心願っており
、日本の集団的自衛権の行使に反対しない。
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南シナ海でやりたい放題…ロシアの“漁夫の利”さらう中国
2012.7.5 07:02サンケイ

 ベトナムとの協力の下、同国沖の天然ガス開発を進めていたロシ
アのガスプロムが、南シナ海での領有権をめぐる中国とベトナムの
対立の渦中にほうり込まれ、中断に追い込まれそうな事態に陥って
いる。中越対立を横目に漁夫の利を狙ったのに、すっかり思惑が外
れた格好だ。(フジサンケイビジネスアイ)

“無理筋”

 世界最大の天然ガス企業ガスプロムは、2008年にベトナム国
営石油ガス公社(ペトロベトナム)と合弁企業を立ち上げ、ベトナ
ム大陸棚の4鉱区でガス田開発を始めた。また今年4月からは別の
2鉱区でも開発に着手していた。

 事実上、ロシア国営ともいえるガスプロムは、天然ガスの採掘か
ら販売まで一手に握ることで影響力を発揮してきた。ベトナム沖の
鉱区は、ガスプロムが開発してきたガス田の中では中規模だが、ロ
シアが東南アジア地域、とくにベトナムでの権益を再び確保すると
いう目的からみれば、安い投資だった。

 ところが、先月末、中国の大手国有企業、中国海洋石油(CNO
OC)が同鉱区を含む海域の天然ガスや石油などの資源について、
外国企業と共同開発を進めるとして、国際入札を呼び掛けているこ
とがわかり、ガスプロムは足をすくわれた格好となった。

 中国側が共同開発を計画する海域は、ベトナム中部から南部の南
シナ海沿岸。中国とベトナムが領有権を争うスプラトリー(南沙)
、パラセル(西沙)諸島から離れており、地図で見てもベトナムの
大陸棚の上であり、200カイリの排他的経済水域(EEZ)の中
にある。

 ガスプロムも、ベトナムとの共同開発を決めた当時、「社の名誉
をかけてベトナムでの共同開発を進める」(首脳)とし、さらに、
中国との関係についても、「鉱区は(中国との)領有権問題の地域
とは別だ」として問題はないとしていた。

 それだけに今回の中国側の“無理筋”には驚いたようで、いまだ
に社として公式コメントを出していないことからも、衝撃の大きさ
がわかる。

及び腰

 ベトナム戦争当時、中国とともに北ベトナム政府を支援したソ連
は、その後、ロシアになった後もベトナム南部のカムラン湾に駐留
し、フィリピンに駐留する米海軍の動きを牽制(けんせい)してい
たのも昔の話。南シナ海を「核心的利益」と位置づける中国に取っ
て代わられてしまった。

 オバマ米大統領がアジア地域への関与を強めるとし、ロシアも今
秋、ウラジオストクで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)
の首脳会議を前に、「太平洋国家」(ロシア外交筋)としての地位
を確立しようと本腰を入れるが、中国にどこまで対抗できるのかは
、疑問だ。

 たしかに、今後の中国側の出方次第では、ベトナムの石油ガス田
開発をめぐるロシアとの緊張が高まることは懸念されるが、ロシア
側にそれほどの強い意思はなさそうだ。

 ロシアのニュース専門局「ロシア・トゥディ(RT)」などは「
ガスプロムが中越領土紛争の被害者に」と題する記事で、「もし中
国が撤退するよう圧力をかけるなら、ロシアは中国との数百万ドル
に上る天然ガス売却契約を失うより、ベトナムから撤退した方が利
口だ」とするアナリストの声を伝え、早くも及び腰だ。

 ベトナム海域では、ガスプロムのほか、米大手のエクソンモービ
ル、カナダやインドの石油・ガス企業が共同開発を進めてきたが、
米国でさえ「平和的な解決を望む」(米政府高官)というばかりだ。

 「泣く子と地頭には勝てない」というが、今ややりたい放題の中
国には、米露でさえなすすべがない。まして日本に何かを望むべく
もない。(編集委員 宮野弘之)
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太平洋は利益の複雑に錯綜する海となりつつある

 仏紙「ルモンド」は「最近、米国と極東・環太平洋諸国はこれま
でにない密度と規模で頻繁に合同軍事演習を行っている」と報じた。
オーストラリア・ココダ財団の創設者、ロス・バベッジ氏は「この
地域の重要なプレイヤーが違うやり方でトランプをしていることが
わかる」と指摘した。米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」
は「米国の戦略的重心の転換はNATOにとって大きなチャンスだ。
NATOはこれを機に太平洋問題の参与者に変わる必要がある。アジア
へのNATOの介入は多くの論争を引き起こすだろうが、手出ししない
考え方の方がリスクが高い」とすら主張した。

 「太平洋は利益の複雑に錯綜する海となりつつある」--。独紙「
南ドイツ新聞」は「太平洋海域では合同軍事演習が続けざまに行わ
れ、各国共に武力を誇示している。しかし様々な名目がつけられた
これらの演習には、地域の自然資源と地政学的戦略をめぐる軍事的
プレゼンスの争いという共通テーマがある」と論じた。

 日本の「週刊新聞」は「米国は中国の経済力の高まりを受けて警
戒心を募らせている。だが解決の道は武力で中国を脅すことではな
く、中国との協力を強化して、景気後退の暗い影からできるだけ早
く脱することだ」と注意を促した。(編集NA)

 「人民網日本語版」2012年7月2日
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集団的自衛権
 集団的自衛権 国家が、自国と密接な関係にある同盟国など外国
に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず
、実力をもって阻止する権利。国連憲章51条で加盟国に認められ
ている。
 日本政府は「憲法9条で許容されている自衛権の行使は、わが国
を防衛するため必要最小限度の範囲」と解釈しており、集団的自衛
権については一貫して「国際法上、保有するが、憲法上は行使が許
されない」との立場を取っている。(2012/07/06-19:07)
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統参議長:アジアにもNATOを!! [Joint・統合参謀本部]
東京の郊外より
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-01

「NATOのような組織をアジア太平洋諸国で構成できれば意義がある
だろう」  「尖閣諸島について関係国に耳を傾けたい」

31日、アジア安全保障会議参加のためパネッタ長官とは別行動で移
動中のデンプシー統合参謀本部議長は、ハワイとグアムへ向かう機
中でその思いを語っています。尖閣に言及です。またアジア版NATO
があれば・・とのご発言です

機内でも戦闘服姿の議長は・・
●米国はアジア太平洋地域を支配しようとしているのではない
●目的とするところは、パートナーと協力し、協力的な安全保障環
境をアジア太平洋地域国家間で強化することである

●私にとっての初めての同会議参加であり、参加国が語る領土問題
等について耳を傾けたいと思う。例えば中国とフィリピン間のスカ
ーボロー環礁問題や中国と日本の尖閣諸島問題である
●米国はどちらかのサイドに着くわけではなく、平和的解決を促進
する立場である。海洋における航行の自由に関する協力が必要なこ
とを良く認識している。参加27ヶ国の意見を良く聞いてみたい

●国防戦略レベルでは、アジア太平洋地域の戦略見直し第1優先に
は、同地域に関する「知的幅:intellectual bandwidth」を広げる
ことが含まれる。過去10年で、我々は中東に関する中核的専門家を
養成した。我々は同様のコア専門家を同地域のために養成する必要
がある
●第2に、蓄えて幅を広げた知識を元に、地域の安全を高める新たな
機会を生み出し拡大することである。知的な変化を遂げるため、我
々はパートナーが発する地域の声に耳を傾ける必要がある。

●地域の多国間フォーラムは、しばしば危機発生以前に安保問題を
処理できる。これはNATOの力である。NATOのような組織をアジア太
平洋諸国で構成できれば意義があるだろう。ただし関係国が望めば
の話であるが。
●我々は関係国に(NATOのような組織形成の)希望があるか確かめ
る必要がある。強制したりすることではないから。

アジア版NATOのような組織・・の提案があるかも知れませんね。今
回の第11回シャングリラダイアログ(アジア安全保障会議)で。
==============================
専門家:南中国海での武力行使の機は熟した
フィリピンとベトナムを標的に小規模戦争によって大規模戦争を回
避せよ

 1970年代以前は南中国海問題など存在しなかった。世界のどの国
も南中国海の「九段線」内に対する中国の主権に異議を唱えはしな
かった。南中国海に「問題」が現われたのは、南ベトナム政権と後
のベトナムが独立後、中国の南沙(英語名スプラトリー)の島や礁
を侵犯したうえ、中国の西沙(英語名パラセル)に対する主権を要
求し始めたことに根本的原因がある。中国は西沙での反撃戦で南ベ
トナム政権を懲罰したことと、陸上でベトナムへの自衛反撃を行っ
た以外は、南中国海でのベトナムの公然たる侵入行為を速やかに制
止しなかった。その後遺症が今現われている。1つは、他の国々によ
る中国の南沙の島や礁の略奪を触発し、促してしまったこと。もう
1つは、ベトナムが米国を引き込んだうえ、他の小国も丸め込んで中
国を威嚇し、中国との二国間紛争を国際問題化しようと企んでいる
ことだ。(文:龍韜・中華エネルギー基金委員会戦略アナリスト。
「環球時報」掲載)「人民網日本語版」2011年9月29日

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