ユーロ問題を取り上げると、読者の皆様は、もう沢山と言われるが 、記録の意味もあり、最近のユーロの動向をまとめたいと思う。 ギリシャで６月１７日に総選挙で、ユーロへの残留と主張した新民 主主義党（ＮＤ）が第一党になり、２０日、そのＮＤ主導の連立政 権が発足した。連立政権には、全ギリシャ社会主義運動（ＰＡＳＯＫ ）、民主左派党が参加した。 ギリシャ新政権を構成する与党３党は２１日、支援条件となってい る財政緊縮目標の達成期限を２０１６年まで２年延長するよう求め ることで合意した。 また、見直しについて▽給与の最低限度額の切り下げ▽年金支給の 更なる減額▽契約社員の賃金や雇用の権利保障の撤廃など国民生活 窮乏に直結する政策の中止や廃止を求めた。前与党として合意を締 結したＮＤはＥＵとの非公式な折衝で、受け入れられる見直しにつ いて感触を得ているようだ。 しかし、ギリシャ危機はスペイン・イタリアにすでに飛び火してい る。スペインのラホイ首相は、国債利回りが７％近い高水準で推移 していることについて、「このままでは政府は長くは資金調達でき ない」と述べ、強い危機感を示した。スペインの国債の金利が上昇 （７％以上）し、国債の暴落で銀行の債務問題が発生した。 これに対して、スペイン中央銀行は、国内金融機関を対象としたス トレステスト（特別検査）を行った。その結果、資本不足額が５１０ 億〜６２０億ユーロ（約５兆１０００億〜６兆２０００億円）に上 ったという。同国政府はこの結果に基づき、欧州連合（ＥＵ）ユー ロ圏諸国に対し、銀行部門への支援を正式要請した。 この結果を受けて、米格付け大手ムーディーズは２５日、スペイン の銀行２８行の長期債務格付けを一斉に引き下げたと発表した。 ＥＵのファンロンパイ大統領は、２８─２９日のＥＵ首脳会議に向 け、中期的には共同債を発行するユーロ圏の財務省を視野に入れた 財政および銀行の統合強化を発表した。これに対して、ドイツのメ ルケル首相は２６日、自身が「生きている限り」は、欧州で債務を 共有することはないと述べ、ユーロ圏共同債構想を強く否定した。 そして、ドイツのメルケル首相は２７日にパリを訪問し、フランス のオランド大統領と会談した。国内銀行の経営難に直面するスペイ ンとキプロスが相次いで欧州連合（ＥＵ）に金融支援を求め、支援 要請国が拡大する中、負担を求められるドイツは各国が主権を大幅 にＥＵに譲り「政治同盟」に向かうことが前提だと主張した。 しかし、今までの緊縮策だけではユーロ危機は解決しないと、ＥＵ 首脳は、１２００億ユーロ規模の成長策で合意した。欧州投資銀行 （ＥＩＡ）による融資拡大やインフラ向けのプロジェクト債などで 行うとした。 一方、スペインやイタリアなど一部の国は、成長策よりも先に、国 債の買い入れなど、高水準に達している借り入れコストの引き下げ 策について合意するよう求めている。 また、ユーロ圏首脳は２９日、欧州の常設の金融安全網となる欧州 安定メカニズム（ＥＳＭ）が、２０１３年から政府を経由せずに直 接銀行に資本を注入できるようにすることで合意した。また、欧州 中央銀行（ＥＣＢ）の関与の下、域内の銀行監督制度を統一するこ とでも合意。スペインなどの債務危機の波及で難局に直面している 加盟国の支援となり得る「銀行同盟」発足に向け、大きな一歩を踏 み出した。これは、負担が増えるドイツの大幅な譲歩があったから できた。 このユーロ首脳会議の結果を受けて、２９日のユーロ圏金融・債券 市場では、スペインとイタリア国債利回りが急低下。欧州の救済基 金を柔軟に活用することを認める欧州連合（ＥＵ）首脳会議での決 定を好感した。 この結果、ユーロも上昇し、ニューヨークダウ株価も上昇した。 しかし、まだ安心はできない。徐々にドイツの負担が大きくなって きている。負担が増えることに、ドイツ国民がどこまで耐えられる かが問題である。 今後、ドイツ国内の反発を見ることである。メルケル首相がどこま でドイツ国民を説得できるかがキーになると見る。メルケル首相の 言うように政治統合でドイツが政治面でも優位なことにならないと 、ドイツだけが金を出す仕組みになり、ドイツ国民の不満は解消し ないと見る。 さあ、どうなりますか？ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ユーロ上昇、１０１円台＝ＥＵ首脳会議を好感 【ロンドン時事】週末２９日のロンドン外国為替市場では、欧州 連合（ＥＵ）首脳会議の結果を好感してユーロ買いが加速、４日ぶ りに１ユーロ＝１０１円台を回復した。（2012/06/30-00:43） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 伊・スペイン債利回り急低下、ＥＵ首脳会議受け 2012年 06月 30日 03:40 JST ［ロンドン ２９日 ロイター］ ２９日のユーロ圏金融・債券市 場では、スペインとイタリア国債利回りが急低下。欧州の救済基金 を柔軟に活用することを認める欧州連合（ＥＵ）首脳会議での決定 を好感した。 ただ、市場に広がった安心感は短期的なものにとどまる可能性があ るとみられている。 ＥＵ首脳会議では、イタリア・スペインの借り入れコスト低下につ ながる銀行への直接資本注入を認めることで合意し、市場にとって はプラスのサプライズとなった。 イタリア１０年債利回りは３８ベーシスポイント（ｂｐ）低下し、 ５．８１％、スペイン１０年債利回りは５７ｂｐ低下し６．３４％ となった。 短期ゾーンは長期ゾーンをアウトパフォームし、スペイン２年債利 回りは１１２ｂｐ低下し４．３６６％。イタリア２年債は８１ｂｐ 低下の３．７７％。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ユーロ圏首脳、ＥＳＭの銀行直接資本注入・監督制度統一で合意 2012年 06月 30日 03:24 JST ［ブリュッセル ２９日 ロイター］ ユーロ圏首脳は２９日、欧 州の常設の金融安全網となる欧州安定メカニズム（ＥＳＭ）が、 ２０１３年から政府を経由せずに直接銀行に資本を注入できるよう にすることで合意した。 ユーロ圏首脳はまた、欧州中央銀行（ＥＣＢ）の関与の下、域内の 銀行監督制度を統一することでも合意。スペインなどの債務危機の 波及で難局に直面している加盟国の支援となり得る「銀行同盟」発 足に向け、大きな一歩を踏み出した。 会議は約１４時間にわたり続けられ、現地時間午前４時半（日本時 間午前１１時半）にようやく終了。会議終了後に記者会見したファ ンロンパイＥＵ大統領は、会議の成果について「銀行と政府との間 の負の連鎖を断ち切るための、初めの一歩となる」と述べた。 今回の首脳会議に先立ち、ドイツのメルケル首相は緊急措置の必要 はないとの立場を示していたため、この日合意は、イタリアのモン ティ首相、およびスペインのラホイ首相による、メルケル首相に対 する政治的な勝利と見なすこともできる。 ＥＣＢのドラギ総裁は今回の会議について、「具体的な結果」が得 られたと評価。「欧州理事会が出した結論にかなり満足している。 すべてのユーロ加盟国による、単一通貨に対する長期的な確約が示 された」と述べた。 これを受け、外国為替市場ではユーロが上昇。債券市場では、スペ インとイタリアの国債利回りが大幅に低下、欧州株式市場では主要 株価指数のＦＴＳＥユーロファースト３００種指数.FTEU3が上昇し た。 ラザード・キャピタル・マーケッツのマネジング・ディレクター、 アート・ホーガン氏は「銀行同盟に向け前進している。銀行同盟が 実現に近づけば近づくほど、（ＥＵは）財政同盟の実現に向けた軌 道に乗ることになる」としている。 今回の会議でユーロ圏１７カ国の首脳は、通貨同盟の強化、および スペインとイタリアの資金調達コスト引き下げに向けた数々の短期 措置で合意。共同声明には、こうした目的達成に向け、暫定的な金 融安全網である欧州金融安定ファシリティー（ＥＦＳＦ）とＥＳＭ の双方が「市場安定化に向け柔軟かつ効率的な方法で」運用される ことが明記された。 「（救済基金による）銀行への直接資金注入を可能にすることは、 今回の危機の根源である銀行と政府との間の『負の連鎖』を断ち切 るために効果があり、重要な決定だ」としている。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ＥＵ首脳が12兆円の成長戦略合意、伊・スペインは短期的対策要求 2012年 06月 29日 06:57 JST ［ブリュッセル ２８日 ロイター］ 欧州連合（ＥＵ）当局者に よると、ＥＵ首脳は１２００億ユーロ規模の成長策で合意した。し かし、イタリアとスペインは、まず借り入れコストの引き下げにつ ながる短期的な措置を認めるようドイツに要求し、署名を拒んでい る。 ファンロンパイＥＵ大統領は記者会見で、ＥＵ首脳が１２００億ユ ーロ（１４９０億ドル）規模の成長促進策で合意したことを明らか にした上で、それには欧州投資銀行（ＥＩＡ）による融資拡大やイ ンフラ向けのプロジェクト債などが含まれると述べた。 一方、スペインやイタリアなど一部の国は、成長策よりも先に、国 債の買い入れなど、高水準に達している借り入れコストの引き下げ 策について合意するよう求めている。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ギリシャ首相：ユーロ圏首脳に救済条件の緩和を要請−書簡 ６月28日（ブルームバーグ）：ギリシャのサマラス首相はユー ロ圏各国首脳に対し、緊急支援の財政緊縮条件を緩和するよう要請 する一方、経済改革を推進することを約束した。 サマラス首相はユーロ圏各国政府首脳に宛てた書簡で、ギリシャの リセッション（景気後退）が５年目に入り、失業率も過去最悪の23 ％となっているため、融資条件として求められている歳出削減目標 の見直しが必要だと訴えた。 欧州連合（ＥＵ）首脳会議に出席したギリシャ当局者が28日、27日 付の書簡の内容をブリュッセルで公表した。首相はその中で、「前 例のない水準にある失業率を抑制し、ギリシャが経験する深刻なリ セッションに歯止めをかけるために救済プログラムの部分的な変更 が必要だ」と強調した。20日に就任したサマラス首相は23日に目の 手術を受け、ＥＵ首脳会議を欠席した。 首相はまた、「ギリシャ新政権は調整プログラムの責任を受け入れ 、その目標ならびに全ての主要政策の達成に全力を尽くす」と言明。 「民営化に特に重点を置きながらプログラムの実行を急ぐ」考えを 示した。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 長くは資金調達できない…スペイン首相が危機感 【パリ＝三井美奈】スペインのラホイ首相は２７日に国会で演説 し、国債利回りが７％近い高水準で推移していることについて、「 このままでは政府は長くは資金調達できない」と述べ、強い危機感 を示した。 ラホイ首相は演説で「イタリアやほかの国々も市場での資金調達 が困難になっている」と警告し、２８日からの欧州連合（ＥＵ）首 脳会議で対応を打ち出すよう、各国首脳に訴えた。 （2012年6月28日10時32分 読売新聞） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ＥＵ統合深化で一致点模索 仏独首脳会談 2012/06/28/09:38 【パリ共同】ドイツのメルケル首相は２７日にパリを訪問し、フ ランスのオランド大統領と会談した。国内銀行の経営難に直面する スペインとキプロスが相次いで欧州連合（ＥＵ）に金融支援を求め 、支援要請国が拡大する中、ＥＵ統合の深化による欧州債務危機の 打開策で一致点を探ったとみられる。 危機克服の切り札とされるユーロ共通債など加盟国相互の扶助体 制の構築をめぐり、最大の負担を強いられるドイツは各国が主権を 大幅にＥＵに譲り「政治同盟」に向かうことが前提と主張。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 独首相がユーロ圏共同債を強く否定、ＥＵ大統領は統合強化の報告書 2012年 06月 27日 07:55 JST ［ベルリン／パリ ２６日 ロイター］ ドイツのメルケル首相は ２６日、自身が「生きている限り」は、欧州で債務を共有すること はないと述べ、ユーロ圏共同債構想を強く否定した。 この日はドイツ、フランス、イタリア、スペインの財務相会合が開 催された。また欧州連合（ＥＵ）のファンロンパイ大統領は、２８ ─２９日のＥＵ首脳会議に向け、中期的には共同債を発行するユー ロ圏の財務省を視野に入れた財政および銀行の統合強化に関する７ ページの報告書を発表した。 メルケル首相は仏、伊、スペインが支持する債務の共通化について 、連立を組む自由民主党（ＦＤＰ）との会合で明確に否定。自身が 「生きている限りはない」と述べた。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ スペイン２８銀行を一斉格下げ＝最大４段階−米ムーディーズ 【ニューヨーク時事】米格付け大手ムーディーズ・インベスター ズ・サービスは２５日、スペインの銀行２８行の長期債務格付けを 一斉に引き下げたと発表した。１３日に同国の国債格付けを「Ｂａａ３ 」に引き下げたことに伴う措置で、引き下げ幅は最大で４段階。ス ペイン政府は２５日、欧州連合（ＥＵ）ユーロ圏諸国に対し、資本 不足が懸念される銀行部門への支援を正式に要請したが、今回の格 下げで同国金融システムへの不安がさらに高まる恐れもある。 最大手のサンタンデールは「Ａ３」から「Ｂａａ２」に２段階、 大手バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリヤ（ＢＢＶＡ）は 「Ａ３」から「Ｂａａ３」に３段階引き下げられた。ムーディーズ は格下げの理由として、国債格下げの影響に加え、商業用不動産向 け融資の焦げ付きが多額の損失を生み、銀行に対する外部支援の必 要性が高まる恐れがある点を指摘した。また、ほとんどの銀行の格 付けを引き続き格下げ方向で見直すとしている。 （2012/06/26-07:39） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 銀行資本不足、最大６．２兆円＝ユーロ圏に支援正式要請へ−スペイン 【パリ時事】スペイン中央銀行は２１日、国内金融機関を対象と したストレステスト（特別検査）の結果、資本不足額が５１０億〜 ６２０億ユーロ（約５兆１０００億〜６兆２０００億円）に上った ことを明らかにした。同国政府はこの結果に基づき、欧州連合（ＥＵ ）ユーロ圏諸国に対し、銀行部門への支援を数日中に正式要請する。 特別調査はローランド・ベルガー、オリバー・ワイマンの両会計 事務所が、国内１４銀行グループのバランスシート（貸借対照表） を用い、経営悪化を想定した耐久力や適正な資本規模を診断。対象 行で国内の預金総額の約９０％を占める。 ユーロ圏諸国は、スペインの銀行部門に最大１０００億ユーロの 支援を行う方針を決定済みで、同国政府からの正式要請を待って手 続きに入る。支援は金融安全網の欧州金融安定化基金（ＥＦＳＦ） か後継の欧州安定機構（ＥＳＭ）から、スペイン政府と中銀が設置 した銀行再建基金（ＦＲＯＢ）に融資。ＦＲＯＢが個別行に資本注 入する。（2012/06/22-01:49） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ギリシャ:新政権の組閣完了…財務相に大手銀行会長 毎日新聞 2012年06月21日 23時45分（最終更新 06月22日 01時39分） 【アテネ伊藤智永】ギリシャの新連立与党３党首は２１日、政策 合意を最終確認し、新政権の組閣を終えた。第１党・新民主主義党 のサマラス党首は２０日に首相就任の宣誓式を済ませたが、人事と 政策の調整が残っていた。組閣完了により、５月の総選挙から１カ 月半に及んだ政治空白は解消した。 見直しについて第６党・民主左派は▽給与の最低限度額の切り下 げ▽年金支給の更なる減額▽契約社員の賃金や雇用の権利保障の撤 廃??など国民生活窮乏に直結する政策の中止や廃止を求めた。前与 党として合意を締結した新民主はＥＵとの非公式な折衝で、受け入 れられる見直しについて感触を得ている模様で、交渉の手を縛られ ないよう合意書の文言修正を働きかけた。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ギリシャ新政権、緊縮目標達成期限の2年延長求めることで合意 2012年 06月 21日 21:47 ［アテネ ２１日 ロイター］ ギリシャ新政権を構成する与党３ 党は２１日、支援条件となっている財政緊縮目標の達成期限を ２０１６年まで２年延長するよう求めることで合意した。民主左派 党関係筋が明らかにした。 ３党の合意文書によると、失業保険の給付延長と公的部門の雇用削 減の規模縮小も求める方針。 同文書は２１日中に、新民主主義党（ＮＤ）、全ギリシャ社会主義 運動（ＰＡＳＯＫ）、民主左派党の党首会談に提示される。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ギリシャ連立政権が発足 支援条件の再交渉に着手へ 2012年 06月 21日 09:20 JST ［アテネ ２０日 ロイター］ ギリシャで２０日、再選挙で第 １党となった新民主主義党（ＮＤ）主導の連立政権が発足した。 連立政権には、全ギリシャ社会主義運動（ＰＡＳＯＫ）、民主左 派党が参加する。新政権は、深刻なリセッション（景気後退）に苦 しむ国内経済の立て直しを目指し、国際支援条件の緩和に向けた再 交渉団を早期に結成する方針を示している。 新首相にはＮＤのサマラス党首が就任。サマラス氏は米ハーバー ド大学で教育を受けた経済の専門家。 サマラス首相は就任式の後、「わが国がいかに重大な局面にある か十分認識している。国民が傷ついており、尊厳を取り戻す必要が あるということを十分認識している。社会正義と団結を取り戻すた め、経済を早急に建て直す必要がある」と述べた。 新政権には課題が山積しており、まずは欧州連合（ＥＵ）・国際 通貨基金（ＩＭＦ）の支援条件を緩和するよう大きな圧力がかかる とみられている。 サマラス首相は、社会不安を鎮め、長年のライバルであるＰＡＳＯＫ と協調しながら、戦後最も深刻な景気後退を克服するという重圧が のしかかる。 閣僚名簿はまだ発表されていないが、政権関係者によると、新財 務相には政治家ではなく、ギリシャ・ナショナル銀行（ＮＢＧ） (NBGr.AT: 株価, 企業情報, レポート)のバシリス・ラパノス会長が 就任する見通し。 ラパノス氏は経済学教授で、前政権が進めた経済改革にも深く関 わっている。 民主左派のクベリス党首は「社会を苦しめている国際支援の条件 から段階的にギリシャを解放する」必要があると主張。 ＰＡＳＯＫのベニゼロス党首も、景気拡大と失業抑制を目指す新 たな救済策の策定に向け、欧州連合（ＥＵ）との「大きな戦い」に 臨む方針を示した。 ＰＡＳＯＫ、民主左派の両党は幹部の入閣を拒否。実務者などテ クノクラートを入閣させる可能性があり、政権の結束力が弱まる恐 れがある。 政治アナリストのジョン・ロウリス氏は「新政権は非常に短命に 終わるだろう。期待を裏切り、支持率がすぐに低下する。事実上ＮＤ のみが運営する政権となる。他の２党はすでに逃げ腰だ」と述べた。 ドイツのショイブレ財務相はツァイト紙に対し「合意済みの措置 を速やかに実施するという一段の決意が必要だ」と発言。 ドイツ政府報道官によると、メルケル首相はサマラス首相に電話 で祝意を伝え、新首相をベルリンに招待した。 複数のＥＵ当局者は、ギリシャの政治混乱や予想以上の景気悪化 を受けて、国際支援の条件が一部調整される可能性が高いとの見方 を示している。