4387.シリアのトルコ機撃墜の続報



トルコ空軍機がシリア軍に撃墜された事件で、トルコのダウトオ
ール外相は24日、撃墜地点はシリア沖13カイリ(約24キロ)
の公海上だったとする調査結果を発表した。これを受けてトルコ政
府は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国全体での協議開催を要
請した。北大西洋条約第4条の規定で締約国は自国の領土保全、政治
的独立または安全が脅かされていると認めたときにはいつでも協議
を要求できる。協議は26日に開かれる。

もちろん、トルコは規約5条の適用を依頼することになるが、NATO
主要国首脳は、規約5条までには達していないと見ているようだ。

米国のクリントン国務長官は24日、トルコのダウトオール外相から
シリア軍が警告なしにトルコ空軍機を撃墜したとの説明を受けたと
述べ、「容認できない行為だ」と強く非難。シリア当局が国際規範
や人命、平和と安全を無視していることを示す一例だと断じた。
さらに、トルコや他の友好国とともにアサド政権の責任を追及する
との構えを示したが、戦闘に参加する意思はないようだ。

トルコ外務省は同日、撃墜を「敵対的な動き」とみなす立場を示し
た。どこまでNATO諸国を説得できるかである。

ただ、ダウトオール外相は、空軍機が撃墜の15分前にシリア領空
を侵犯したことを認めた。外相は「意図的ではなかった。パイロッ
トはトルコ側から連絡を受けて航路を変更した」と説明している。

しかし、シリア側は、撃墜時に「シリア領海上を飛行中だった」と
主張している。

イランのサレヒ外相は23日夜、トルコのダウトオール外相と電話
会談し、トルコ空軍のF4戦闘機がシリア政府軍に撃墜された事件
について、「(トルコ、シリア)双方が冷静さを保ち、この問題が
忍耐と対話を通じて平和的に解決され、(中東)地域の平穏と安定
が守られることを望む」などとしたが、このままではトルコは済ま
さないはず。

地上の自由シリア軍を助けて、支援するNATO軍の航空攻撃を要
請する方向のようである。リビアと同様に米軍は最初のレーダー基
地とミサイルの破壊だけを行い、あとはEU軍の戦闘機が地上支援
をする形になるような気がする。

さあ、どうなりますか?
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シリアのトルコ軍機撃墜を欧米が非難 NATO会合開催へ
CNN.co.jp 6月25日(月)12時21分配信
イスタンブール(CNN) トルコ空軍機が地中海沖でシリア軍に撃墜
された問題で、欧米諸国などからシリア政府に対する非難の声が相
次いでいる。北大西洋条約機構(NATO)はトルコの要請を受け、26
日にこの問題に関する会合を開く。

米国のクリントン国務長官は24日、トルコのダウトオール外相から
シリア軍が警告なしにトルコ空軍機を撃墜したとの説明を受けたと
述べ、「容認できない行為だ」と強く非難。シリア当局が国際規範
や人命、平和と安全を無視していることを示す一例だと断じた。
さらに、トルコや他の友好国とともにアサド政権の責任を追及する
との構えを示した。

トルコ外務省は同日、撃墜を「敵対的な動き」とみなす立場を示し
た。外務省報道官は、トルコの捜索チームが同日、水深約1300メー
トルに沈んだ機体の残がいを発見したものの、まだ到達できていな
いと語った。乗組員2人の安否には言及しなかった。

ダウトオール外相は記者会見で、シリアがこの問題で偽の情報を流
していると非難した。空軍機は非武装で敵対的な信号を送っていた
わけでもなく、トルコ機だと判別できたはずだという。同外相によ
れば、レーダーシステムの試験で飛行していた際に短時間、意図せ
ずにシリア領空に入ったものの、トルコ側から越境しているとの通
知を受けて領空外へ出た。撃墜されたのは公海上空だったという。

国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は23日、ダウトオール外相
との電話で事態の動向に「重大な懸念」を表明するとともに、トル
コ側の「自制」を評価した。英国のヘイグ外相は24日、撃墜は「言
語道断だ」と非難した。
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トルコ「撃墜地点は公海上」 NATO加盟国に協議要請
2012年6月24日20時17分

 トルコ空軍機がシリア軍に撃墜された事件で、トルコのダウトオ
ール外相は24日、撃墜地点はシリア沖13カイリ(約24キロ)
の公海上だったとする調査結果を発表した。これを受けてトルコ政
府は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国全体での協議開催を要
請した。協議は26日に開かれる。

 ただ、ダウトオール外相は、空軍機が撃墜の15分前にシリア領
空を侵犯したことを認めた。外相は「意図的ではなかった。パイロ
ットはトルコ側から連絡を受けて航路を変更した」と説明。飛行目
的は「レーダーシステムの試験」とし、シリアへの偵察飛行との見
方を否定した。

 シリアは、撃墜時に「シリア領海上を飛行中だった」と主張して
いる。(テヘラン=北川学)
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シリアのトルコ機撃墜、平和解決を…イラン外相
読売新聞 6月24日(日)18時19分配信
 【テヘラン=五十嵐弘一】イランのサレヒ外相は23日夜、トル
コのダウトオール外相と電話会談し、トルコ空軍のF4戦闘機がシ
リア政府軍に撃墜された事件について、「(トルコ、シリア)双方
が冷静さを保ち、この問題が忍耐と対話を通じて平和的に解決され
、(中東)地域の平穏と安定が守られることを望む」などと語った。

 イラン外務省が24日、発表した。

 シリア・アサド政権の盟友であるイランは、今回の撃墜をきっか
けに、トルコなど同政権に批判的な国々の間でシリアへの軍事介入
を求める声が高まることを懸念しているとみられる。
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NATO、26日に対応協議=戦闘機撃墜のシリア非難−トルコ
 【エルサレム時事】トルコ軍の戦闘機がシリアに撃墜された事件
で、トルコのダウトオール外相は24日、北大西洋条約機構(NA
TO)に対し、事件への対応について、設立条約第4条に基づく協
議を開くよう提起した。NATOはこれを受け、26日に協議を行
うことを決めた。ロイター通信が伝えた。
 トルコはNATOの加盟国。第4条は、加盟国の安全が脅かされ
ていると認められる場合などに協議を行うと規定。反体制派の弾圧
を続けるアサド政権に対し、国際社会が圧力をさらに強める契機に
なる可能性もある。
 ただ、集団的自衛権の発動を規定する第5条に基づく措置ではな
く、直ちに軍事力を行使する事態にはならないもようだ。
(2012/06/24-23:16)


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