4386.シリア情勢の緊迫と今後



シリア情勢が緊迫してきた。トルコのF-4ファントム偵察機がシリア
で撃墜された。シリアは領海侵犯した迎撃したとしている。さあ、
どうなるか検討しよう。  Fより

0.今までの経緯
シリアにも「アラブの春」が来て、2011年3月中旬に政権に対して自
由化のデモが起きた。このデモ隊に対して、戦車などを出して弾圧
したことで、内戦が起きた。シリアの宗教は、スンニ派74%、ア
ラウィ派16%、東方正教会10%という割合であるが、アラウィ
派が占めるバアス党が政権を取っている。このため、スンニ派が弾
圧対象になる。

このため、シーア派ではないがシリアをイランが支援しているし、
レバノンのシーア派であるヒズボラへの武器供給にシリアを経由さ
せている。

国連安全保障理事会は、何遍もシリアへの制裁処置を検討したが、
中ロの反対で採決できないでいる。国連安全保障理事会は2012年2月
4日、シリアのアサド大統領に退陣を求めるアラブ連盟の収拾案を「
全面的に支持する」とした決議案を採択したが、常任理事国のロシ
アと中国が拒否権を行使し否決された。

ロシアはシリアのタルトース港が唯一の地中海沿岸で、ロシア海軍
が使用できる軍港である。このためシリアのアサド体制を死守する
という。シリアはロシア製武器の大市場でもある。

またプーチン大統領になって、欧米に対抗する姿勢であり、シリア
を守ることになりそうである。このため、後ろ盾がありシリア軍の
住民への暴行が止まらない。

しかし、シリアでは、反政府武装集団として二つの集団があり、武
器を調達し、武装強化している。政府軍から離脱した兵士たちが、
武器を携えて「自由シリア軍」に参加する一方、一般民衆も市民軍
を組織し、彼らも自分たちのことを「自由シリア軍」と呼んでいる。

スンニ派・アラブ諸国は、民衆を殺害する手法をアサド政権が際限
なく続け、流血の事態を積み重ねていることに対する怒りだけでな
く、イランを中核とするシーア派イラン枢軸を切り崩すには、(ア
ラウィ派ながらも、イランとの緊密な同盟関係にある)アサド政権
を倒すのが最善であると見ている。イスラエルも同様に隣国シリア
が倒れるとビスボラに武器援助できなくなるので、メリットがある。

しかし、2012年3月には、27日間にわたって政府軍による激しい砲撃
に抵抗した末、自由シリア軍は、中部ホムスから撤退をしたことで
も分かるように、シリア全土に散った部隊を統率することの困難さ
に加え、政府軍の戦車に対抗できる重火器も不足している状態にな
っている。このため、3月以降、各地で撤退を続け苦戦を強いられ
ている。

この窮地で、アナン国連・アラブ連盟特使の調停案に基づく国連停
戦監視団が2012年4月にできた。体制強化の時間稼ぎのような気がし
たが、現実もそうであるようだ。

リビアでカダフィ体制を転覆させたアルカイダ系の武装集団「LI
FG(リビア・イスラム戦闘団)」がシリアの反政府勢力を助ける
ために転戦してきているようだ。また、NATO軍もリビアから武
器を大量に運び込んでいるし、イギリスとカタールの特殊部隊が潜
入しているとイスラエルのメディアが報道した。また、アメリカ、
イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊が入っていると
いう推測もある。

また、アメリカの情報機関や特殊部隊、イギリスやフランスの特殊
部隊がトルコにある米空軍インシルリク基地で反シリア政府軍の中
核、シリア自由軍の将兵を訓練しているとも言われる。

しかし、2月に、政権軍からの離反した最高位のムスタファ・シェ
イフ准将一派が独自の組織を結成し、その後、自由シリア軍と統合
で合意したものの、権限配分でクルディ大佐ら同軍指導部と対立し
ている。さらに最近では欧州在住の退役軍人らが新組織「シリア国
民軍」を設立し、一本化どころか分裂が加速しかねない状況になっ
ている。

また、トルコ南部に自由シリア軍の拠点があるが、警備のトルコ兵
が人の出入りに目を光らせる。アサド政権を強く批判しつつも国境
付近での戦闘激化は避けたいトルコには、自由シリア軍を庇護(ひ
ご)下に置くとともに、勝手な行動を取らぬよう監視する目的があ
るとみられる。

また、トルコは中東全域の国と友好関係を結び優位な位置を占めて
きた。しかし、シリア内戦でその位置が危ないことになっている。
友好関係にあった中東の2大国イランとトルコが、反体制派への武
力弾圧を強めるシリアのアサド政権への対応を巡って対立し、両国
間の亀裂が広がっている。

トルコは、核開発問題で対立するイランと米欧諸国の間で仲介役を
務め、4月13日にトルコでの核協議開催が決まりかけていたが、
アサド政権批判を強めるトルコに対してイランが反発し、イランが
会場変更を求め、最終的にはモスクワになった。

4月9日、シリア・トルコ国境キリス県の難民キャンプがシリアか
らの銃撃を受け、シリア人難民4人と、キャンプで働いていたトル
コ人スタッフ2人が負傷した。トルコ政府はこれを重く受け、エル
ドアン首相は「NATOはメンバー国であるトルコを守る責任がある」
とも発言した。

NATOのスポークスウーマン、カルメン・ロメロ氏は、「われわれは
シリアの状況を深く懸念している。メンバー国トルコがシリア国境
で銃撃を受けたことを“きわめて深刻に”受けとめ、同盟国を守る
責任を取る」と、しかし、「NATOはアナン特使が進める平和計画を
全面的に支持する。いま、全国際社会はこの計画を実現するために
努力をしなければならない」とも発言し、エルドアン首相はNATOの
規約第5条「メンバーへの攻撃は全同盟国への攻撃とみなす」を取
り上げてNATOの助力を求めたが、表だった動きはしないようである。

1.最近の動き
米国のライス国連大使は5月30日、シリアのアサド政権が反体制派な
どへの武力弾圧を続け、国連安全保障理事会も中ロの反対で制裁に
踏み切れない場合には、有志国による独自行動を取らざるを得なく
なると述べた。

しかし、オバマ米大統領は、ドイツ、フランス、イタリアの首脳と
テレビ会議でシリア問題などを協議し、政権移行を直ちに実現しな
ければならないとの認識で一致した。有志国による安保理外での連
携が強まる可能性があるが、どうも戦闘への参加には消極的のよう
だ。

この欧米の動きに対応して、ロシア国防省は、シリアを含めた国外
活動のための軍部隊の準備を集中的に開始した。シリアでの戦闘準
備を行うのは、空挺部隊プスコフ第76 降下突撃師団、サマーラの第
15総合旅団、さらには、かつて軍参謀本部情報総局(GRU)の特
務大隊「ザーパド(西)」及び「ヴォストーク(東)」での勤務経
験のあるチェチェン人特務部隊などになるとのことだ。また、黒海
艦隊海兵隊の各旅団のメンバーからなる特務部隊が、すでに準備を
行っているという。

6月15日、自由シリア軍、ホムスから首都ダマスカスに向けの前進
で内戦状態に陥ったとされるシリアでは、首都の中心部以外のほぼ
すべての地域に戦闘が拡大し、物資の輸送路となる幹線道路を巡っ
て激しい攻防戦が続いており、こうした戦闘に巻き込まれる市民の
犠牲者が増え続けている。

6月16日、シリアでの暴力停止を目指すアナン国連・アラブ連盟特使
の調停案に基づく国連停戦監視団は、声明を出し、政府軍と反体制
派の双方が暴力を激化させているとして、活動を一時的に停止した
ことを明らかにした。

そして、6月19日、イラン・ロシア・中国・シリア各軍がシリア国
内で7月初旬に大規模な合同軍事演習を行う予定とイラン通信社が
報道した。兵9万名、戦車千輌、航空機400機参加と。エジプト政府
は中国戦艦12隻のスエズ運河通行を許可したと報道されたが、中国
人民日報は否定した。

モスクワで6月19日まで開かれた核開発問題をめぐるイランと国連
安全保障理事会常任理事国など6カ国の協議で、20%ウラン濃縮
停止を含むイラン側の提案を6カ国側が全面的に拒否し、事実上決
裂した。

このような緊迫した状態のときに、2012/06/22にトルコ軍の戦闘機
、F-4を1機、シリア軍が撃墜した。シリア側の発表によると、2機
のF-4が低空でシリア領内に侵入、そのうち1機を海岸線から約1キ
ロメートルの地点で撃ち落としたという。

1.今後の予想
トルコの戦闘機を撃墜したのは、数週間前にロシアからシリアへ提
供された「ブクM2対空ミサイルシステム」だとする話が伝えられ
ている。

トルコ軍は、自由シリア軍をサポートする航空攻撃を予定していた。
しかし、今回の撃墜事件ではトルコ政府がまごついている印象があ
る。撃墜が予想外だっただろうか。本格的な軍事侵攻を睨み、トル
コ(NATO)軍がシリア軍の防空能力を調べていた可能性もある。
撃墜が予想外だったとするならば、軍事作戦は練り直しだろう。

トルコのアフメト・ダヴトグル外相は6月23日軍司令部と諜報機関の
代表らと会談を実施した。会談の席で、22日シリアのミサイルに
よって撃墜されたトルコ軍機に関し、この先、必要となる作戦を練
り直していると見る。NATOの規約第5条「メンバーへの攻撃は全同
盟国への攻撃とみなす」の適用は当然である。

このシリアでの戦闘で、サウジアラビアはシリアの反体制派「自由
シリア軍」の戦闘員に対し給与支払いするようだ。これでシーア派
対スンニ派の戦いにしてしまい、スンニ派諸国からの義勇兵をかき
集めてくることになる。

そして、航空攻撃を行うなら、制空権を確保するために米軍機の参
加が必要になっている。このため、欧米は戦争に突入することにな
る。地上軍はイスラム・スンニ派諸国の義勇兵で。航空攻撃をNATO
軍と言うことになりそうである。

そして、シリア劣勢になると、ロシア・イランから義勇軍という正
規軍が出てくる。遅れて中国が出てくると、ノストラダムスの預言
は述べているが、どうなりますか?

イランが出てくると、ホルムズ海峡問題が出てくる。

最終戦争になり、イスラエルも圏外にいられなくなると見るがどう
であろうか。

さあ、どうなりますか?

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サウジアラビア 反体制派「自由シリア軍」へ財政援助を検討
  23.06.2012, 12:52ロシアの声

 サウジアラビア政権はシリアの反体制派「自由シリア軍」の戦闘
員に対し給与支払いを検討している。英国紙ガーディアンが伝えた。

 ガーディアン紙の報道によると、給与支払い計画はアサド大統領
への圧力を強め、シリア軍の兵士大量脱走を扇動する目的で行われ
る。このイニシアチブはサウジアラビア政府が米国、アラブ諸国の
高官らを交えた席で討議されてきた。サウジアラビア、カタールが
シリアの反体制派にむけ最近供給した武器によって、すでにシリア
兵の間では脱走が増えている。

 ガーディアン紙の報道では、今年5月アラブ諸国の代表らはサウ
ジアラビア政権に対しシリアの反体制派への財政援助を提案した。
ちょうどほぼ同時期にトルコ国境を通じてシリア自由軍の手に武器
の供給がなされるようになった。トルコはシリア自由軍の指導部に
武器を供与するルートを確保するための管制センターをイスタンブ
ールに展開する許可を出している。
   インターファックス通信。
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トルコ軍機撃墜で外相が軍、諜報機関代表者らと今後の道筋を討議
23.06.2012, 17:41ロシアの声

トルコのアフメト・ダヴトグル外相は23日軍司令部と諜報機関の
代表らと会談を実施した。会談の席で、22日シリアの高射砲によ
って撃墜されたトルコ軍機に関し、この先、必要となる足取りにつ
いて討議されている。
トルコのマスコミの報道では会談は2時間に及んだ。このほか行方
不明扱いとされているパイロットらの捜索についても話し合われた
が、ロイター通信によれば、それ以外の内容の詳細は明らかにされ
ていない。

こうした一方で国営テレビ局TRTの報道ではトルコのアリンジ副
首相は23日、撃墜された軍機は戦闘機ではなく、諜報活動を行う
航空機だったことを明らかにしている。
ロイター通信。
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シリア領内へ侵入したトルコの戦闘機が撃墜されたが、今回の事件
はシリアの防空能力を探るためだった可能性も  
2012/06/23櫻井ジャーナル

 トルコの戦闘機を撃墜したのは、数週間前にロシアからシリアへ
提供された「ブクM2対空ミサイルシステム」だとする話が伝えられ
ている。このシステムを調べるために領空を侵犯したのか、配備さ
れた事実を知らずに偵察飛行したのかは不明だ。

 この情報が正しいとするならば、NATO/アメリカはロシアの
動きをこれまで以上に警戒することになるだろう。ロシア側として
は、シリアを攻撃しようとしているNATO/アメリカに対する警
告と考えているかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
トルコ軍の戦闘機、F-4を1機、シリア軍が撃墜した。シリア側の発
表によると、2機のF-4が低空でシリア領内に侵入、そのうち1機を
海岸線から約1キロメートルの地点で撃ち落としたという。トルコ側
も撃墜された戦闘機が国境線を越えたかもしれないと認めている。

 昨年春、シリア国内でFSA(シリア自由軍)がバシャール・ア
ル・アサド体制の打倒を目指して武装蜂起しているが、その頃から
トルコを含むNATOや湾岸の独裁産油国が反政府軍を支援してい
る、要するにこの外部勢力が黒幕だとする情報がある。基本的な青
写真は1991年にできていて、ジョージ・W・ブッシュ政権の時代か
ら資金援助を開始、今ではプロパガンダのほか、武器の提供や兵士
の訓練を実施している。

 蜂起の当初、訓練はトルコの米空軍インシルリク基地で行われた
。最近、コソボの軍事施設でゲリラ戦の訓練を本格化させるとも言
われ、その一方、リビアでNATOと手を組んだアル・カイダ系の
武装集団がシリアへ移動しているとも伝えられている。

 反政府軍を使うだけでなく、自国の特殊部隊を潜入させている国
もあるようだ。イスラエルの報道ではカタールとイギリスが、ウィ
キリークスが公表した民間情報会社のストラトフォーの電子メール
では、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコといった
国の名前が挙がっている。

 ところで、今回の撃墜事件ではトルコ政府がまごついている印象
がある。トルコ軍の現場が暴走したのか、撃墜が予想外だったのか
、といったところではないだろうか。本格的な軍事侵攻を睨み、ト
ルコ(NATO)軍がシリア軍の防空能力を調べていた可能性もあ
る。撃墜が予想外だったとするならば、軍事作戦は練り直しだろう。

 ローマ教皇庁の通信社やドイツの有力紙など、ここにきて反政府
軍が住民を虐殺しているとする「西側」の報告があり、アメリカや
サウジアラビアなどによる軍事支援や破壊/テロ活動の実態も隠し
きれなくなっている。それにつれ、日本のマスコミはシリアの扱い
が小さくなっているようだ。今後、ロシアがシリア軍の防空能力を
高めるようなことがあると、ますます軍事侵攻/制圧が難しくなる
わけで、NATOや湾岸産油国は焦っているのかもしれない。
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シリア、トルコ軍機を撃墜 トルコ「断固たる措置」
2012/6/23 9:56日本経済新聞

 【イスタンブール=シナン・タウシャン】トルコ政府は23日未明
(日本時間同日午前)、トルコ空軍機が22日昼ごろにシリアに近い
地中海沖で撃墜されたと発表した。トルコ政府は声明文で「詳しい
調査後に必要な断固たる措置を取る」と表明した。両国関係はシリ
アの反政府運動の弾圧を巡って悪化しており、撃墜により一段と緊
張が高まりそうだ。

 シリア国営メディアも「シリア軍が領海内で戦闘機を撃墜した。
その後トルコ軍機であると分かった」と報道した。撃墜されたのは
F4戦闘機で、トルコ南部ハタイ県に近い地中海沖を偵察飛行中だ
ったとの報道もある。

 トルコのエルドアン首相は22日夜、緊急の安全保障会議を招集し
、今後の対応を協議した。トルコ軍の艦船やヘリが行方不明のパイ
ロットを捜索している。シリア海軍も捜索に協力しており、トルコ
側を刺激しない意向と見られる。ただトルコメディアにはシリアに
謝罪と賠償を求める声が出ており、外交問題に発展する可能性が高
い。

 トルコとシリアは900キロメートル以上の国境を接し、シリアの反
政府運動の弾圧でトルコに3万人以上のシリア難民が流入している
。今年春にはシリア領からトルコ領の難民キャンプに向けて発砲が
あり、負傷者が出た。
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イランの提案、6カ国側が拒否 核協議、事実上の決裂
2012年6月21日21時41分

 モスクワで19日まで開かれた核開発問題をめぐるイランと国連
安全保障理事会常任理事国など6カ国の協議で、20%ウラン濃縮
停止を含むイラン側の提案を6カ国側が全面的に拒否し、事実上決
裂したことがわかった。7月に双方の専門家が会議を開くが、外交
努力は限界に近づきつつある。

 「こちらの提案はすべて却下された」。イランの交渉関係者は朝
日新聞の取材に不満をぶちまけた。

 この関係者によると、イラン側は協議初日の18日、核の平和利
用の権利を6カ国側が承認するよう要求し、19日正午までに回答
するよう求めた。

 イランはその見返りに、20%濃縮を停止することなどを提案。
核兵器製造の意図が疑われている20%濃縮で譲歩しつつも、発電
用とする低濃縮ウラン(3.5%)の生産はあくまで続けるという
意思表示だった。
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Report: Iran, Russia, China to hold mass military drill in Syria
Jun.19, 2012 | 11:51 AM HAARETZ

イラン・ロシア・中国・シリア各軍がシリア国内で7月初旬に大規模
な合同軍事演習を行う予定とイラン通信社。 兵9万名、戦車千輌、
航空機400機参加と。エジプト政府は中国戦艦12隻のスエズ運河通行
を許可したと。 
Iran's semi-official Fars News Agency claims plans underway 
for joint land and sea-based war games, with 90,000 soldiers 
and hundreds of aircraft taking part, to take place in early 
July.

Iran, Russia, China and Syria are planning to hold joint 
military drill in Syria in early July, according to a report 
published Tuesday morning by Iran's semi-official Fars News 
Agency.
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国連監視団が活動一時停止=暴力激化で危険拡大−シリア
 【カイロ時事】シリアでの暴力停止を目指すアナン国連・アラブ
連盟特使の調停案に基づく国連停戦監視団は16日、声明を出し、
政府軍と反体制派の双方が暴力を激化させているとして、活動を一
時的に停止したことを明らかにした。
 監視団のムード団長は声明で「監視団はパトロール活動を停止し
、追って通知があるまで拠点に滞在する」と述べた。衝突の激化で
調停案は既に暗礁に乗り上げているが、監視団の活動一時停止によ
り、一段の情勢悪化につながる恐れがある。
 在英人権団体「シリア人権監視団」によると、16日にも22人
が死亡。反体制武装組織「自由シリア軍」が占拠している中部ホム
スでは、政府軍が再び大規模攻撃を仕掛けるとの観測も流れている。
(2012/06/16-22:02)
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シリア 戦闘がほぼ全域に拡大  NHK
2012年6月15日
  自由シリア軍 ホムスから首都ダマスカスに向け前進中

内戦状態に陥ったとされるシリアでは、首都の中心部以外のほぼす
べての地域に戦闘が拡大し、物資の輸送路となる幹線道路を巡って
激しい攻防戦が続いており、こうした戦闘に巻き込まれる市民の犠
牲者が増え続けています。

シリアでは、反政府勢力の自由シリア軍と政府軍の間で激しい攻防
が続いています。国連の仲介による停戦は破棄され、戦闘は首都ダ
マスカスの中心部以外のほぼすべての地域に拡大し、本格的な内戦
に突入したとみられています。

このうち、最も激しい衝突が起きている中部のホムスでは、自由シ
リア軍が政府軍を押し戻して、北部からの物資の輸送路となる幹線
道路を支配下に置き、さらに首都ダマスカスにつながる道路を前進
しているもようです。
これに対し政府軍は、戦闘用のヘリコプターを使って上空から激し
い爆撃を加えているほか、自由シリア軍の前進を阻止するため、大
量の地雷を使い、首都につながる幹線道路の防衛を強化しています。

シリアの人権団体によりますと、戦闘に巻き込まれる市民の犠牲者
は増え続けていて、13日から14日にかけてもシリア全土で
130人以上が死亡したということです。

国連の停戦監視団の活動が困難を極めるなか、戦闘の激化を食い止
めるための新たな方策が求められています。
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露外務省 シリアでの戦争に備え精鋭部隊を準備
  6.06.2012, 17:41ロシアの声

   ロシア国防省は、シリアを含めた国外活動のための軍部隊の準備
を集中的に開始した。
   新聞「ニザヴィースィマヤ・ガゼータ(独立新聞)」が国防省の
匿名の情報筋からの話として伝えたところでは、シリアでの戦闘準
備を行うのは、空挺部隊プスコフ第76 降下突撃師団、サマーラの第
15総合旅団、さらには、かつて軍参謀本部情報総局(GRU)の特
務大隊「ザーパド(西)」及び「ヴォストーク(東)」での勤務経
験のあるチェチェン人特務部隊などになるだろうとの事だ。

   なおシリアで起こりうる戦闘行動に向けて、黒海艦隊海兵隊の各
旅団のメンバーからなる特務部隊が、すでに準備を行った。

   その一方で国防省報道部とセルジュコフ国防相そしてラヴロフ外
相は、こうした情報に反論している。ラヴロフ外相は「そうしたも
のはシリアの在野勢力の『作り話』であり、明らかに、アナン国連
及びアラブ連盟特使のプランによるシリア平和調整を台無しにする
事に向けた挑発である」と述べた。
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「有志国の独自行動も」 シリア虐殺、米国連大使が警告
2012/5/31中国新聞

 【ニューヨーク、ジュネーブ共同】米国のライス国連大使は30日
、シリアのアサド政権が反体制派などへの武力弾圧を続け、国連安
全保障理事会も意見対立から制裁に踏み切れない場合には、アナン
前国連事務総長による停戦プロセスにこだわらず、有志国による独
自行動を取らざるを得なくなると述べた。

 シリア問題に関する安保理会合後、記者団に述べた。100人以
上が犠牲となったシリア西部での虐殺を受け、アサド政権に警告す
る一方、制裁に反対するロシアや中国をけん制した。独自行動の内
容については明言を避けた。

 一方、ロイター通信によると、シリアの反体制武装組織「自由シ
リア軍」指導者のアサアド大佐は31日、アナン氏に対し、停戦調停
の失敗と反体制派の武装闘争再開を認めるよう求めた。反体制派が
停戦プロセスに見切りをつけ、有志国による独自行動が加速する可
能性がある。

 ライス大使はシリアでの戦闘や衝突が拡大、周辺国まで紛争に巻
き込まれる可能性が「非常に高い」と指摘。その場合には「(アサ
ド政権の合意に基づく)アナン氏の停戦案や安保理の権限の枠外で
行動する用意があるかどうか検討するほかなくなる」と述べた。

 また、安保理でロシアや中国の反対を受け困難になっている対シ
リア制裁について、安保理の場だけでなく各国政府により「協議が
続く」とも述べた。

 オバマ米大統領は30日、ドイツ、フランス、イタリアの首脳とテ
レビ会議でシリア問題などを協議し、政権移行を直ちに実現しなけ
ればならないとの認識で一致した。今後、有志国による安保理外で
の連携が強まる可能性がある。

 ただ、ライス大使は同日のCNNテレビで、武力行使の可能性を
意味した発言なのかを問われ「そういうことを言ったのではない」
とも話した。
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安保理が緊急会合 シリア砲撃、死者100人超 
2012年05月29日 10:34米国東部時間

 国連安全保障理事会は27日、シリア軍によるとみられる西部ホム
ス近郊フーラの砲撃で多数の死者が出た事態を受け緊急の非公開会
合を開いた。

 砲撃の経緯や被害について、国連シリア監視団(UNSMIS)のムー
ド団長が報告。ロイター通信によると、フーラでの砲撃の死者は少
なくとも108人に達したと述べた。一方、反体制派の「自由シリア軍
」は死者数を116人としている。安保理は国連とアラブ連盟の合同特
使、アナン前国連事務総長による停戦提案が守られていない現状に
ついて協議し、事態の悪化阻止を目指す。

 複数の安保理外交筋によると、常任理事国の英国やフランスが砲
撃を非難する安保理報道声明案を準備、26日に各国に配布したが、
砲撃を政府軍による行為と断定して非難する文言にロシアが反発。
現場の調査結果の報告を受けるとともに文面を協議することになっ
た。(共同)
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NATOがトルコ=シリア国境の銃撃に懸念を表明
2012年04月13日 

国際4月12日 9日、シリア=トルコ国境キリス県の難民キャンプ
がシリアからの銃撃を受け、シリア人難民4人と、キャンプで働い
ていたトルコ人スタッフ2人が負傷しました。
トルコ政府はこれを重く受け、エルドアン首相は「NATOはメンバー
国であるトルコを守る責任がある」と発言しました。

NATOはのスポークスウーマン、カルメン・ロメロ氏は今日、「われ
われはシリアの状況を深く懸念している。メンバー国トルコがシリ
ア国境で銃撃を受けたことを“きわめて深刻に”受けとめ、同盟国
を守る責任を取る」と言いました。
エルドアン首相はNATOの規約第5条「メンバーへの攻撃は全同盟国
への攻撃とみなす」を取り上げて、NATOの助力を求めています。

先週、NATOのラスムッセン事務局長は「NATOはシリアの状況を監視
しつづけるが、シリアに介入するつもりはない」と言っていました
が、シリアからの銃撃でNATOも態度を変えたようです。
NATOのロメロ氏は「NATOはアナン特使が進める平和計画を全面的に
支持する。いま、全国際社会はこの計画を実現するために努力をし
なければならない」と言っています。

シリアの13か月におよぶ流血を終らせるための国連支援の休戦計
画は、今日から実施されるはずですが、シリア体制側がこの計画に
応じるかどうかはわかりませんね。
==============================
友好関係にあった中東の2大国イランとトルコが、反体制派への武
力弾圧を強めるシリアのアサド政権への対応を巡って対立し、両国
間の亀裂が広がっている。トルコは、核開発問題で対立するイラン
と米欧諸国の間で仲介役を務め、今月13日にトルコでの核協議開
催が決まりかけていたが、アサド政権批判を強めるトルコに対して
イランが反発。イランが会場変更を求める事態に発展している。

トルコのイスタンブールで1日に開かれたシリア反体制派の支援国
会合には米欧やアラブ諸国が多数参加。アサド政権への圧力を確認
する場となった。これにシリア政府を支援するイランが反発。ラリ
ジャニ国会議長は3日、「(イランと敵対する)イスラエル支持者
ばかりの会合だ」と、トルコを暗に批判。関係悪化を象徴した。
【2012年4月7日 毎日】
==============================
袋小路の打倒アサド武闘路線 自由シリア軍拠点ルポ
2012.4.3 22:03サンケイ 

 【アンタクヤ(トルコ南部)=大内清】シリアのアサド政権打倒
を目指す離反兵らの武装組織「自由シリア軍」がトルコ南部に置く
拠点に2日入った。取材に応じた幹部は国際社会の武器支援を訴え
、不利に傾く戦況に焦りの色を濃くしていた。ただ、反体制派の在
外代表組織「シリア国民評議会(SNC)」と同様、同軍も国内反
体制派との連携を欠く上、主導権争いが顕在化。武装闘争路線は袋
小路に入り込んでいる。

 政権側の攻撃を逃れた約1万7千人が避難しているトルコの南部
アンタクヤ。その郊外に点在するシリア人キャンプの一つ、アパイ
デンには、自由シリア軍の指導部や、一部の戦闘員とその家族らが
暮らすテントが立ち並んでいた。

 作戦基地だというこのキャンプの門では、警備のトルコ兵が人の
出入りに目を光らせる。アサド政権を強く批判しつつも国境付近で
の戦闘激化は避けたいトルコには、自由シリア軍を庇護(ひご)下
に置くとともに、勝手な行動を取らぬよう監視する目的があるとみ
られる。

 「いま必要なのは、対戦車砲や携行式の地対空ミサイルだ」。会
議用のプレハブ小屋で会見した自由シリア軍ナンバー2のクルディ
大佐は、こう力を込めた。

 同軍は、3月に西部ホムスの拠点を政権側に制圧されて以降、各
地で撤退を続け苦戦を強いられている。

 もともと同軍は「少数部隊が各自で自由に活動する」(別の幹部
)ネットワーク型組織の性格が強く、指揮系統は確立されていない。
装備も脆弱(ぜいじゃく)なため、現在は戦車やヘリで攻勢を強め
る政権側によって各個撃破されているといい、大佐の言葉には焦り
がにじむ。

 カタールなど湾岸アラブ諸国が武器供与を主張してはいるが、イ
ラクなど周辺国には、それらが国際テロ組織アルカーイダ系勢力に
流出することへの懸念が強い。アナン前国連事務総長が暴力停止に
向けた調停努力を続ける中、指導部が望む武器を質・量ともにそろ
えるのは難しいといえる。

 組織運営の問題も多い。2月に、政権軍からの離反では最高位の
ムスタファ・シェイフ准将一派が独自の組織を結成。その後、自由
シリア軍と統合で合意したものの、権限配分でクルディ大佐ら同軍
指導部と対立している。さらに最近では欧州在住の退役軍人らが新
組織「シリア国民軍」を設立し、一本化どころか分裂が加速しかね
ない状況だ。

 キャンプでは、子供を肩車する父親の姿も見えた。国内に潜入す
ることが多い戦闘員らにとっては、つかの間の休息の場でもある。
激しい戦闘が続く北部イドリブ出身の戦闘員は「十分な武器があれ
ば政権軍をたたきつぶす」と息巻いた。

 しかし、今月1日、有志国の「シリアの友人」会合で「全シリア
人の正統な代表」に承認されたSNCでも、主導権争いは収束して
いない。戦闘員らは士気の高さに胸を張ったが、反体制派につきま
とう内紛体質は、米欧などに武器供与をためらわせ、求心力低下に
つながる可能性もある。
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リビアやシリアでは米軍がアル・カイダと手を組んでいる 
櫻井ジャーナル 2012.03.16

マニングス特技兵がウィキリークスに情報を流したことはアル・カ
イダを助けることになったと米軍は主張するが、リビアやシリアで
は米軍がアル・カイダと手を組んでいる 

 内部告発を支援しているウィキリークス。このサイトに情報を提
供したとされているブラドリー・マニング特技兵の裁判が始まって
いるが、その中でアメリカ軍は情報の流出が間接的にアル・カイダ
を助けることになったと主張しているらしい。

 言うまでもなく、この主張は自分たちの行動と矛盾している。リ
ビアでムアンマル・アル・カダフィ体制を転覆させるため、アル・
カイダ系の武装集団「LIFG(リビア・イスラム戦闘団)」と自
分たちが手を組み、シリアでアル・カイダ系の武装集団を助けてい
ることを忘れたのだろうか?ヒラリー・クリントン国務長官もこの
現実を認識しているはずだ。

 シリアの反政府軍はイラクから武器や兵士を集めているような発
言もあるが、NATO軍がリビアから武器を大量に運び込んでいる
疑いがあり、イギリスとカタールの特殊部隊が潜入しているとイス
ラエルのメディアが報道したほか、ウィキリークスが公表した民間
情報会社ストラトフォーの電子メールにはアメリカ、イギリス、フ
ランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊が入っているという推測も書
かれている。

 また、アメリカの情報機関や特殊部隊、イギリスやフランスの特
殊部隊がトルコにある米空軍インシルリク基地で反シリア政府軍の
中核、「SFA(シリア自由軍)」の将兵を訓練しているとも言わ
れている。

 サウジアラビアやカタールといった湾岸の独裁産油国はシリアへ
軍事介入するべきだと主張しているが、カタールはプロパガンダで
も重要な役割を果たしている。その道具がアル・ジャジーラ。カタ
ール体制を批判しない限り、「言論の自由」は認められているよう
だが、リビアのケースもシリアのケースもカタール政府は明確に攻
撃姿勢を見せている。
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反体制派「自由シリア軍」とは?その成り立ちと今後
2012年03月05日 19:42 

【3月5日 AFP】27日間にわたって政府軍による激しい砲撃に抵抗し
た末、中部ホムス(Homs)のババアムル(Baba Amr)地区から「戦
略的撤退」をした反体制派の自由シリア軍(Free Syrian Army、FSA
)。政府軍を離反したリヤド・アサド(Riyadh al-Asaad)大佐によ
って率られたFSAは、数千人規模の戦闘員を抱えるものの、いまだに
統率は乱れ、政府軍の地上部隊による猛攻に対抗するだけの火力は
有していなかった。

■離反兵士らで結成、戦闘員2〜4万か 経験は浅い

 前年7月、アサド大佐はシリア政府による反体制デモ弾圧に抗議し
て、軍からの離反を発表。同大佐率いるFSAは、トルコ国境に近い北
西部イドリブ(Idlib)地区や中部ホムス、南部ダルアー(Daraa)
などで政府軍との戦闘を開始した。

 8月末には、シリア軍で初めて政府に抗議して離反兵士となったフ
セイン・ハルムシュ(Hussein Harmush)大佐率いる自由将校旅団
(Free Officers Brigade)と合流した。ハルムシュ大佐の下には多
くの離反兵士が集まっていたが、同大佐はその後政府側に拘束され
、現在は生死不明だ。

 FSAの正確な構成人数は特定困難だが、アサド大佐が前年11月にAFP
の取材に語ったところでは、およそ2万人。4万人の戦闘員がいると
主張する離反将校もいる。ただし多くは戦闘経験が浅く、率いるア
サド大佐本人もまた、かつては軍のIT部門に所属していて戦闘経験
はなかった。

 対する政府軍は、シリア政権に忠誠を誓う14万〜16万の熟練兵士
を有し、強力な迫撃砲や戦車、ヘリコプターを配備している。

■クウェートなどが武器供与を表明

 シリア全土に散った部隊を統率することの困難さに加え、FSAには
政府軍の戦車に対抗できる重火器も不足している。だがシリア国内
でAFPの取材に応じた一部のFSA戦闘員らは、間もなく地対空ミサイ
ルと対戦車ミサイルが外国から届くと語り、この動きを阻止するた
め政府軍がバハアムルを制圧し、レバノンとの国境を封鎖したのだ
との見方を示している。

 反体制勢力の全国組織「シリア国民評議会
(Syrian National Council、SNC)」は先に、反体制派戦闘員に武
器を供給するための「軍事事務所」の設立を発表。既にカタールな
ど複数の国が武器供与に前向きな姿勢を表明。クウェート議会はシ
リア反体制派への武器供与を求める決議を採択した。

 今年2月には、離反兵として過去最高位のムスタファ・シェイク
(Mustafa Al-Sheikh)大将が新組織「高等革命評議会
(Higher Revolutionary Council)」を設立。SNCによると、FSAと
ともに新設される「軍事事務所」の監督下に入るという。(c)AFP
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シリア内戦はもう避けられない
――シリアの混迷とアラブ諸国の思惑
アンドリュー・タブラー  近東政策ワシントン研究所次世代フェロー 
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2012年3月号 

地域諸国が(宗派その他の思惑から)それぞれシリアの国内勢力に
関与し、現地で代理戦争が展開されかねない事態へと陥りつつある。
いまや事態はこの方向へと急速に向かいつつある。シリア社会は分
裂している。自由シリア軍を中心に反政府運動が拡大する一方で、
政権が倒れた後に何が起きるかわからないために、一部には、現状
に不満を感じつつも、少なくとも表向きはアサド政権の立場を支持
する人々もいる。そして(スンニ派)アラブ諸国は、民衆を殺害す
る手法をアサド政権が際限なく続け、流血の事態を積み重ねている
ことに対する怒りだけでなく、イランを中核とするシーア派三日月
地帯、イラン枢軸を切り崩すには、(アラウィ派ながらも、イラン
との緊密な同盟関係にある)アサド政権を倒すのが最善であると判
断し、シリアの政権が倒れることを願っている。

危機的な状況と二つの「自由シリア軍」>

―― シリアにおける政府軍と反政府勢力の衝突はもはや管理不能
な状況に陥っているのか。
 
 社会暴力はますます激化し、反政府運動が展開される地域が拡大
し続けている。別の言い方をすれば、ますます多くの人が武装し、
銃を手にしている。

 二つの集団が武器を調達し、武装強化している。政府軍から離脱
した兵士たちが、武器を携えて「自由シリア軍」に参加する一方、
一般民衆も市民軍を組織し、彼らも自分たちのことを「自由シリア
軍」と呼んでいる。市民軍は、政府軍のスナイパー、政府に忠誠な
部隊の軍事作戦からデモ参加者を守ろうとしている。現在、レバノ
ンとの国境地帯を中心に、積極的な活動をみせているのは、この市
民軍だ。国境地帯はもはや政府の管理下にはなく、人々はレバノン
から自由に武器を調達できる状況にある。

 さらに、政府軍を離脱した兵士で構成される「自由シリア軍」は
軍の兵器庫を攻略して、戦車や装甲車を破壊できる兵器を持ち出し
ている。シリア政府はこの状況を前にしても、管理権を再確立でき
ずにいる。状況は急激に悪化している。

 多くの地域で起きている暴動に対して、政府は完全武装した軍隊
を送りこまざるを得ない状況に追い込まれている。政府軍が制圧に
成功した地域もあるが、そうできていない地域も数多くある。いま
や、暴動はダマスカス近郊やアレッポでも起きており、政府は大き
な脅威にさらされている。


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