4359.ギリシャ、4つの可能性



ギリシャの再選挙が近づき、再度、ギリシャのユーロ離脱が話題に
なっている。それを検討する。   津田より

0.現状は
ギリシャは一院制で、第一党には50議席のボーナスがあり、第一
党になるかどうかが、政権を取れるかどうかの瀬戸際になる。前回
の5月の選挙では緊縮推進派の新民主主義党(ND)と全ギリシャ
社会主義運動(PASOK)で149議席と、わずか1議席が足り
ないことで、政権が取れなかった。

各党が行う政権協議もできず、心配したパプリアス大統領は、有識
者らで構成する実務者内閣の発足を提案したが、反緊縮派の急進左
派連合(SYRIZA)に反対されて調停に失敗した。このため、
再選挙となり、再選挙日は6月17日となった。

この選挙を目指して、選挙戦を各党はしているが、ギリシャの世論
調査結果で、世界は一喜一憂をしている。26日の世論調査による
と、緊縮推進派の新民主主義党(ND)が、反緊縮派の急進左派連
合(SYRIZA)に対してややリードしていることが分かった。
NDの支持率が23・3%で、SYRIZAが22%。

しかし、その数日前のギリシャのスカイテレビで24日のパブリッ
ク・イシューの世論調査によれば、SYRIZAの支持率は30%
でND26%に支持となり、SYRIZAのリードが続いていた。

というように、世論調査ごとに結果が変わっている。前回の選挙で
緊縮推進派が半数近くまで議席を取れたのは、第一党に与えられる
50議席のボーナスがあるからで、実質的にはギリシャ国民は、反
緊縮政党を支持していることになる。

しかし、世論調査によると、 ギリシャのユーロ圏残留を支持する
回答者の割合は全体の85%に達し、反対は12%にとどまった。
ギリシャ支援の条件については62%が反対し、支持(28%)を
大きく上回った。

というように、ユーロ離脱は反対なのである。ギリシャ国民の希望
は、緊縮財政は反対して、ユーロ圏には留まることになる。

このため、ドイツのメルケル首相がギリシャのパプリアス大統領と
の電話会談で単一通貨ユーロ圏残留の賛否を問う国民投票の実施を
提案したという。反緊縮派の急進左派連合(SYRIZA)が政権
を取っても、ユーロ離脱が出来ないようにしようとしたようである
が、反対されて実現しなかった。

前政権時代のパパンドレア首相がユーロ離脱か残留かの国民投票を
実施しようとした際、大反対したのがメルケル首相であり、この事
実でギリシャから拒否されている。しかし、この間のギリシャの変
化が大きいことによるようだ。

1.選挙戦で
6月17日の選挙に向けて、緊縮推進派の新民主主義党(ND)と
全ギリシャ社会主義運動(PASOK)対、反緊縮派の急進左派連
合(SYRIZA)の選挙活動が面白い。

NDのサマラス党首は5月26日、党員らを集めた演説で、欧州連
合(EU)などと約束した緊縮財政策を破棄すれば「ギリシャは数
年にわたって国際社会から孤立し、食料や薬、燃料が手に入らなく
なる」と強調。「ユーロ圏から離脱すれば、欧州諸国が打撃を受け
るのみならず、ギリシャが完全に破滅する」と訴えた。

これに対して、SYRIZAのツィプラス党首のは5月21日、訪
問先のパリで記者団に対し、欧州連合(EU)による支援条件とし
て合意した緊縮策に関し「地獄のような政策に再交渉の余地はない
」と述べ、あくまで合意破棄を目指すとした。

しかし、世論動向が反緊縮派有利と見たNDは、改革を守る立場か
ら一部修正へと転換し、反緊縮の世論に押された主要政党がそろっ
て緊縮緩和を唱える構図になったが、支援する側のEU諸国、特に
ドイツの反発は必至だ。

しかし、緊縮緩和を唱えることでNDの支持率は上昇に転じている
。このため、SYRIZAの支持率を上回り始めた。

PASOKのベニゼロス党首は5月22日、パリでオランド大統領
と会談し、「ギリシャ国民は二年半にわたる困窮生活で、絶望的な
気分になっている」と緊縮策の一部緩和を求め、経済成長を重視す
るオランド氏の賛同を得ることに成功した。

また、NDのサマラス党首も5月23日、ブリュッセルで開かれた
欧州の中道右派政党の会合に出席し、アイルランドのケニー首相ら
に「緊縮だけでなく、新たな成長戦略も必要」と訴えた。

これに対して、SYRIZAのツィプラス党首は5月21日、オラ
ンド大統領との会談を求めたが、実現しなかった。また、22日に
ドイツも訪れたが、左派党党首と会えただけで、メルケル首相から
は、はなから相手にされなかった。

NDやPASOKは、ドイツとは違う考え方である仏オランド大統
領と接近して、緊縮策の緩和を勝ち取りたいのであろうが、ドイツ
のメルケル首相は、融資条件の緩和を認めていない。

2.EUや世界は
ギリシャの再選挙を前に、ユーロ圏でも動きがある。フランスのオ
ランド大統領は、成長戦略を掲げて当選したことで、ドイツのメル
ケル首相とは考え方が違う。

EU首脳会議では、ドイツ主導の緊縮財政を通じた危機対策に対し
、フランスのオランド大統領が異を唱えた。ドイツが進めてきた対
策はユーロ圏の安定化につながらず、ギリシャのユーロ離脱懸念を
もたらしているとした。

このため、ユーロ共同債発行の可能性に関する議論が行われて、「
特にドイツ語圏の国からあまり支持が得られなかったが、フランス
語圏地域からは一定の熱心な支持があった」とのことである。

ユーロ共同債について、議論が起こっている。

そして、ギリシャがユーロを離脱する場合に備えて、ユーロ圏の各
国や企業が対策作りを進めている。米金融大手シティグループも、
政治の混乱が続くギリシャが2013年1月1日にユーロを離脱す
る可能性が高いとするリポートを発表し、今後、各国政府や多国籍
企業などがギリシャ離脱への準備を進めるものとみられる。

というように、世界の企業がギリシャからの撤退を準備し始めてい
る。

3.今後のギリシャは
ギリシャの先行きには、4つの可能性がある。

 第一に、ユーロ圏を離脱してもEUにとどまるケース。

 第二に、EUを離脱しないとユーロ圏を離脱できないのでユーロ圏
とEUのいずれからも離脱するケース。

 第三に、ECBがギリシャ中央銀行のターゲット2(決済システム)
へのアクセスを認めず、ギリシャがユーロ圏から締め出されるケー
ス。

 第四に、ユーロ圏に残留し、融資条件を緩和してもらうケース。

第一のケースは、オーストリア財界関係者から直接伺った見方であ
り、第二のケースは、EU条約50条(「加盟国はEUからの離脱を決めら
れる」)に基く欧州委員会の公式見解だ。第三のケースは、6月の再
選挙後の新政権が、中央銀行を国有化した上で、中央銀行総裁を解
任し、ECBとのルールを破棄して緊急流動性支援制度を用いて融資を
行う場合に発生する。ギリシャは、ユーロを使用し続けてもユーロ
圏の外に放り出されることになる。

しかし、この3つの可能性はギリシャにとっても、EUにとっても
過酷である。

反救済・反緊縮派が選挙に勝ち、新政権ができれば直ちに、ユーロ
離脱の是非の議論が始まる。それを同時に、ギリシャの銀行で預金
流出が始まる。

この場合、欧州中央銀行(ECB)は週内にもギリシャの銀行への
資金提供を停止するが、しかし、政府にも銀行に注入する資金はな
いので、預金流出を防ぐためには、新政府は市民が預金を引き出す
のを止めるため資本統制を敷くことになる。

そして、第一、二のケースでは、ギリシャがユーロ圏を離脱し、新
ドラクマに貨幣を変更することになり、その撤退作戦の実行時間は
46時間しかない。米国でニューヨーク市場が閉まってからニュージ
ーランドのウェリントン市場が開くまでの時間である。

ギリシャは離脱を決めたならば、その条件を交渉するためユーロ圏
財務相と首脳会合の開催を求める必要がある。この準備はニューヨ
ークの金曜午後5時ごろに債券市場が閉まったらすぐに開始する。

ブリュッセルでユーロ圏首脳と交渉している間にアテネでは、議会
が土曜に新通貨発行の計画を発表する。新通貨の名前は、新ドラク
マで、銀行はこの46時間に、預金や賃金などを含め全ての資産と
債務を、決定された為替レートに基づいて新通貨に換算することを
指示される。

150以上の国の紙幣の印刷を請け負う英デ・ラ・ルー社が既にドラク
マ再導入に向けて準備しているという。政府はまた、土曜早朝から
軍を配備して国境を封鎖。紙幣ができるまでの間、ユーロ札にドラ
クマのスタンプを押すという暫定策を実施する。

ギリシャ政府は2800億ユーロの債務について、直ちにデフォルト宣
言するだろう。

そして、ウェリントンで、月曜午前7時に債券・為替市場が開くこ
とになる。このニュージーランド市場が開く瞬間を、全世界の金融
投資家は見つめることになる。おそらくは新ドラクマの暴落で始ま
ることになる。大変な1日になるはず。

第三のケースでは、新通貨への切り替えがないが、ユーロ通貨の分
裂になる。ギリシャ一国の通貨としてのユーロとなり、ギリシャ通
貨となるので、為替が発生して、やはり暴落になる。EU首脳など
との協議がないことで、容易にできる。反緊縮派が選挙に勝っても
、この第三のケースになるように思う。

第四のケースは緊縮推進派が選挙で勝ち、EU諸国に条件緩和の協
議を申し出ることである。この時は、フランスがギリシャの条件緩
和を認めるが、ドイツのメルケル首相は、ギリシャの条件緩和を認
めない。

しかし、ギリシャのユーロ脱退より世界経済への影響が少ないと、
説得される可能性が高いように思う。この第四のケースの可能性が
一番高いように思う。

しかし、今のところは、ギリシャがユーロを離脱する場合のことも
視野に入れて考えるしかない。

しかし、そう考えると経済見通しとしては、選挙直前が一番株が安
く、選挙結果が確定すると、徐々に株価が上昇するような気がする
。しかし、SYRIZAが勝ったら、その時は、ユーロ離脱直前が
一番、株価が低いことになる。

さあ、どうなりますか?

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主要政党党首ら 欧州行脚 ギリシャ再選挙 成果明暗
   2012年5月27日 東京新聞朝刊
 
 【ロンドン=有賀信彦】六月十七日の再選挙を控え、ギリシャの
主要政党の党首らが、欧州各国を訪ねる選挙戦を展開している。ギ
リシャのユーロ圏離脱が取り沙汰される中、各国首脳の支持を得る
ことで、政権担当能力を有権者にアピールするのが狙いだ。しかし
、反緊縮派の党首は会談をあからさまに拒否されるなど、緊縮推進
派と明暗を分けている。

 緊縮推進派の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)のベニゼロ
ス党首は二十二日、パリでオランド大統領と会談。「ギリシャ国民
は二年半にわたる困窮生活で、絶望的な気分になっている」と緊縮
策の一部緩和を求め、経済成長を重視するオランド氏の賛同を得る
ことに成功した。

 同じ緊縮推進派の新民主主義党(ND)のサマラス党首も二十三
日、ブリュッセルで開かれた欧州の中道右派政党の会合に出席。ア
イルランドのケニー首相らに「緊縮だけでなく、新たな成長戦略も
必要」と訴えた。

 一方、反緊縮派の急進左派連合(SYRIZA)のツィプラス党
首は二十一日、オランド大統領との会談を求めたが、実現しなかっ
た。ツィプラス氏は「オランド氏が選挙の公約を破れば、『オラン
ドレウ』と呼ばれるだろう」と指摘。オランドレウとは、国民の信
頼を失って昨年辞任したギリシャのパパンドレウ元首相と、オラン
ド氏の名前を合わせた造語で、会談を拒否した同氏を暗に批判した。

 ツィプラス党首は二十二日にドイツも訪れたが、左派党党首と会
えただけ。メルケル首相にははなから相手にされず、「オランド大
統領と会談できなかったのも(ギリシャに緊縮策の継続を求める)
メルケル首相が助言したからではないか」と不満をこぼした。
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緊縮支持派がややリード、ギリシャ再選挙世論調査
2012.5.26 23:10 
 26日に明らかになった世論調査によると、ギリシャ国会の解散
に伴う6月17日の再選挙では、前与党で緊縮推進派の新民主主義
党(ND)が、第1党の座を争う反緊縮派の急進左派連合(SYR
IZA)に対してややリードしていることが分かった。ロイター通
信が報じた。

 調査結果によると、NDの支持率が23・3%で、SYRIZA
が22%。NDと同じく緊縮推進派の全ギリシャ社会主義運動(P
ASOK)が12・6%と続いた。(共同)
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緊縮策破棄「破滅」招く=急進左派に対決姿勢−ギリシャ右派党首
 【カンヌ時事】今月のギリシャ総選挙で議会第1党となった右派
・新民主主義党(ND)のサマラス党首は26日、党員らを集めた
演説で、欧州連合(EU)などと約束した緊縮財政策を破棄すれば
「ギリシャはユーロ圏離脱を迫られ、破滅する」と訴えた。再選挙
後に第1党をうかがう反緊縮派の急進左派連合(SYRIZA)を
強く批判し、有権者にユーロ圏残留を判断するよう迫った。
 AFP通信によるとサマラス氏は、緊縮策を破棄すれば「ギリシ
ャは数年にわたって国際社会から孤立し、食料や薬、燃料が手に入
らなくなる」と強調。「ユーロ圏から離脱すれば、欧州諸国が打撃
を受けるのみならず、ギリシャが完全に破滅する」と訴えた。
(2012/05/26-22:12)
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ギリシャ、観光客の予約件数落ち込む 経済に一段の打撃へ
2012年 5月 26日  17:30 JST 
WSJ
 【アテネ】ギリシャで政治的危機や経済混乱が広がるなかで、観
光シーズンは“太陽の光”となるはずだった。 

 しかし、今年は打って変わって見通しは暗い。ドイツをはじめと
する欧州諸国からのギリシャ旅行の予約件数は大幅に落ち込んでい
る。ギリシャでストライキやデモの見通しをめぐり懸念が広がって
いることが背景だ。 

   来月17日の再選挙を控えた政治的不透明感やギリシャがユーロ
圏を離脱するのではないかとの懸念に、過去数週間、旅行者の予約
状況が圧迫されている。夏のバケーションシーズンに向けた5月の予
約状況は前年同月と比較して3分の1ほど落ち込んでいる。今月6日の
総選挙では議席の過半数を獲得する政党がなく、各党は連立政権の
樹立で合意できなかった。以来、ギリシャに関するメディア報道が
激しさを増している。 

 ギリシャ観光事業協会のアンドレアス・アンドレアディス会長は
、「事前予約が広範に落ち込んでいることは明らかだ」と話す。今
夏の観光シーズンに向けた早期予約件数は前年と比較して約15%減
少している。 

  観光シーズンが期待外れに終わることはギリシャ経済が何として
も避けたいことだ。観光業はギリシャの経済活動の約6分の1にあた
り、全職業の約5分の1 を占める。このペースで予約の減少が続く場
合には、観光客数は年間で昨年と比較し約150万人減少することにな
る。そうなれば、国内総生産(GDP)は1ポイント以上押し下げられ
、夏期の10万の職が奪われることになる。また、ギリシャ政府にと
っては税収の落ち込みを意味し、同国の財政目標達成は一段と危う
さを増す。 

 ギリシャ中央銀行が25日に公表した統計によると、今年1−3月期
の同国の観光収入は前年比15%減少した。 

 アテネのアクロポリスの麓に位置する歴史的なプラカ地区でも、
観光業界のムードは暗い。土産物店を営むタマラ・タスラキアンさ
ん(28)は売上高が昨年から50〜60%落ち込んでいると話す。 

 古代遺跡や太陽の降り注ぐ白しっくい塗りの建物が並ぶ島々にあ
ふれたギリシャは世界でも人気トップ20位に入る観光地で、通常は
ドイツや英国をはじめとする欧州連合(EU)からの旅行客が全体の
約半数を占める。しかし、財政危機や社会不安をめぐる懸念を受け
て、多くの観光客がスペインやトルコといった他の地中海の観光地
に向かう結果となっている。 
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ギリシャ、反緊縮派が伸張 ユーロ残留は有権者の85%支持
2012.5.26 05:00サンケイ
  
 ギリシャで6月17日に実施される再選挙を控えて、財政緊縮策
に反対する急進左派連合(SYRIZA)が有権者の間で支持を広
げていることが明らかになった。

 ギリシャのスカイテレビで24日公表されたパブリック・イシュ
ーの世論調査結果によれば、SYRIZAの支持率は30%と1週
間前の28%から上昇した。財政緊縮策を支持する新民主主義党(
ND)も前週の24%から26%に支持が拡大したが、なおSYR
IZAのリードが続いている。全ギリシャ社会主義運動(PASO
K)の支持率は15.5%と、前週の15%からわずかに伸びた。

 ギリシャのユーロ圏残留を支持する回答者の割合は全体の85%
に達し、反対は12%にとどまった。ギリシャ支援の条件について
は62%が反対し、支持(28%)を大きく上回った。調査は
1214人を対象に18日から23日にかけて行われた。

 過去2年余りの間に年金や賃金の引き下げが実行されたギリシャ
では、SYRIZAへの有権者の支持が広がり、5月6日の総選挙
で第2党に躍進。6月17日に実施される再選挙は、ギリシャ国民
のユーロ圏残留の決意が問われると受け止められている。

 一方、DATA・RCが実施した世論調査によると、有権者の支
持率はNDの23.5%に対し、SYRIZAが23%と拮抗(き
っこう)している。
(ブルームバーグ Maria Petrakis、Tom Stoukas)
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ギリシャ、緊縮後退の懸念 改革派が公約修正へ
2012/5/26 1:05nikkei
 【アテネ=上杉素直】6月17日の再選挙が決まったギリシャで、
欧州連合(EU)と約束した財政緊縮策を後退させる動きが目立ち
始めた。先の選挙で得票率1位の新民主主義党(ND)は改革を守
る立場から一部修正へと転換。2位に躍進した急進左派連合(SY
RIZA)は緊縮策の撤回を繰り返す。反緊縮の世論に押された主
要政党がそろって緊縮緩和を唱える構図だが、支援する側の反発は
必至だ。
 6日の総選挙ではEU支援の見…
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ギリシャのユーロ離脱は来年1月?米シティーが予測
2012.05.26ZAKZAK

 米金融大手シティグループは25日までに、政治の混乱が続くギ
リシャが2013年1月1日にユーロを離脱する可能性が高いとす
るリポートを発表した。今後、各国政府や多国籍企業などがギリシ
ャ離脱への準備を進めるものとみられる。

 リポートは、ギリシャが6月17日に行われる国会の再選挙で財
政緊縮策を守れる新政府を樹立できず、政局の混迷が続くと指摘。
欧州連合(EU)に行き詰まり感が強まるとして、13年1月1日
の離脱の可能性を「50〜75%」と予測した。

 さらに、離脱後にギリシャが採用する新通貨がユーロに対して60
%下落するとして、大規模だが管理可能な影響を欧州全域に与える
との見方を示した。 

 民間では、英ブリティッシュ・エアウェイズとスペインのイベリ
ア航空の親会社IAGや、ドイツの自動車大手BMWも準備を開始
しているという。(ロンドン・内藤泰朗)
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ギリシャのユーロ離脱を準備 欧州各国や企業
2012.5.25 08:34 サンケイ
 再選挙を6月に控えたギリシャがユーロを離脱する場合に備えて
、ユーロ圏の各国や企業が対策作りを進めていることが24日、明
らかになった。ロイター通信が報じた。

 イタリアのグリーリ副経済相は同通信に対し「そうした事態が起
きないようにしたいが、あらゆる可能性が考えられる」と明言。再
選挙で、欧州連合(EU)などからの支援の条件となっている緊縮
財政に反対する政権が誕生し、ギリシャがユーロ離脱に追い込まれ
る事態への備えはできていると述べた。

 イタリアのほか、フィンランドやドイツ、オランダ、ベルギーな
ど、ユーロ圏17カ国のうち半数以上がギリシャ離脱への準備を開
始したか、近々始めるとしている。

 民間でも大手航空やドイツの自動車大手BMWも準備を開始して
いる。(共同)
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EU首脳:ユーロ共同債で対立−ギリシャには緊縮継続求める 

  5月24日(ブルームバーグ):欧州連合(EU)首脳は23日ブ
リュッセルで開いた緊急会議で、ユーロ共同債構想をめぐって激し
く対立した。ギリシャに対しては、ユーロ圏残留の条件である財政
緊縮を継続するよう求めた。リセッション(景気後退)に苦しむス
ペインに関しては緊急救済策を見送った。 

欧州危機が始まって2年余りの間で18回目となる首脳会議では、ド
イツ主導の緊縮財政を通じた危機対策に対し、フランスのオランド
大統領が異を唱えた。ドイツが進めてきた対策はユーロ圏の安定化
につながらず、ギリシャのユーロ離脱懸念をもたらしている。 

ルクセンブルクのユンケル首相は、6時間にわたった首脳会議が終
了した24日未明、記者団に対し、首脳会議でユーロ共同債発行の可
能性に関する議論が「盛り上がらなかったわけではない」とした上
で、ユーロ共同債に対しては「特にドイツ語圏の国からあまり支持
が得られなかったが、フランス語圏地域からは一定の熱心な支持が
あった」と述べた。 
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緊縮策合意は破棄=「再交渉の余地なし」−ギリシャ左派党首
 【パリ時事】緊縮財政に強硬に反対するギリシャのツィプラス急
進左派連合(SYRIZA)党首は21日、訪問先のパリで記者団
に対し、欧州連合(EU)による支援条件として合意した緊縮策に
関し「地獄のような政策に再交渉の余地はない」と述べ、あくまで
合意破棄を目指す考えを示した。ギリシャ紙カティメリニが伝えた。
 ツィプラス氏は、フランス大統領選に出馬した急進左派・左翼党
のメランション党首と会談。この中で「前例のない人道危機に直面
するギリシャに新自由主義政治を押し付ける実験だ」と緊縮策を批
判した。さらに「EUと金融資本、銀行家、投資家が結託し、ギリ
シャの破滅を望んでいる」と主張した。(2012/05/22-09:49)
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ギリシャにユーロ圏残留問う国民投票を提案か、ドイツ首相 
2012.05.19 Sat posted at: 16:58 JST 

(CNN) 財政緊縮策の是非をめぐる混乱が続き議会の再選挙が
決まったギリシャの首相府は18日、ドイツのメルケル首相が
ギリシャのパプリアス大統領との電話会談で単一通貨ユーロ圏残留
の賛否を問う国民投票の実施を提案したと述べた。

ドイツ政府はこの事実を否定したが、ギリシャ首相府は発言を撤回
していない。首相府によると、メルケル首相は来月17日の再選挙
と並行して国民投票の実施を提言した。

メルケル首相とパプリアス大統領との電話会談は、メルケル氏が米
国で開かれる主要国首脳会議(G8サミット)へ出発する前に行わ
れた。

ギリシャの主要政党である新民主主義党(ND)のサマラス党首は
、ユーロ圏残留は多大な犠牲を払って決められた選択だとし、国民
投票案を拒否した。メルケル首相が再選挙前に提案したことにも反
発した。

一方、ドイツ政府の報道官は、メルケル首相は電話会談で欧州は再
選挙の結果や選挙後の迅速な新政権の発足を待っているとするドイ
ツの基本的立場を説明したと述べた。首相は16日、ギリシャのユ
ーロ圏残留に協力するとの見解も表明していた。ただ、ギリシャが
苦境を乗り切るためには犠牲を払うことが必要だともくぎを刺して
いた。

再選挙に関するギリシャの世論調査では、緊縮策に反対し欧州連合
(EU)などによるギリシャ支援策の棚上げを主張する急進左派の
政党が小差で勝利するとの予測が出ている。左派系政党が勝利した
場合、ギリシャがユーロ圏を離脱し、結果的にユーロ崩壊につなが
るとの懸念も深まっている。

ギリシャでは5月6日に議会の総選挙が実施され、緊縮策を推進し
てきたNDなどの2大政党が有権者の反発を買い勢力を大きく後退
させた。獲得議席数の上位政党による連立協議も全て失敗し、再選
挙が決まった。政治的混迷が深まる中で、EUなどの支援策の前提
条件となっていた財政切り詰めの約束を果たせず今後の債務返還も
滞るとの不安が広がっている。

欧米系格付け会社のフィッチ・レーティングスは17日、ギリシャ
国債の格付けを「Bマイナス」から「CCC」に1段階引き下げる
と発表、同国のユーロ圏離脱の可能性が高まったことを理由にした。 
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ギリシャ再選挙6月中旬 16日にも管理内閣
2012/5/15 22:49 nikkei

 【イスタンブール=花房良祐】ギリシャのパプリアス大統領は15
日、有識者らで構成する実務者内閣の発足を目指す調停に失敗した。
大統領府報道官は同日、16日にも選挙管理内閣をつくり再選挙する
と発表した。再選挙は6月17日となる。ギリシャは緊縮財政策を
維持してユーロ圏に残留するか、離脱を覚悟で緊縮策を放棄するか
が問われる。

 地元メディアなどが伝えた。緊縮財政派の第1党・新民主主義党
(ND)と第3党・全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は、連
立内閣成立に向けて穏健な反緊縮派の最小政党「民主左派」との連
立を探った。同党は連立参加の条件として第2党の急進左派連合が
連立政権に参加を要求したが、急進左派連合は拒否した。

 パプリアス大統領は調停に乗り出し、14日には政治家を加えず有
識者らによる実務者内閣を提案した。NDとPASOKは賛意を示
したが、急進左派連合などが拒絶。大統領は再選挙を回避するため
15日も主要5党の党首と会談したが、溝は埋まらなかった。
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ギリシャのユーロ脱出大作戦、緊迫の46時間をシミュレート

  5月24日(ブルームバーグ):ギリシャがユーロ圏を離脱する
ことを決めた場合、その撤退作戦の実行時間は46時間しかない。米
国でニューヨーク市場が閉まってからニュージーランドのウェリン
トン市場が開くまでの流れを事前に検証してみよう。
この2日弱の間に、ギリシャ政府は社会の混乱を抑え、場合によっ
てはソブリン債でデフォルト(債務不履行)宣言し、新通貨を計画
して銀行を支え、資本流出を阻止するとともに、救済が断ち切られ
た後の支払い資金手当てを模索しなければならない。財政を管理で
きず2010年以降2回の救済を必要とした国の、しかも誕生したばか
りの新政権の手に負える仕事ではなさそうだ。

今月6日の総選挙後に政権を作れなかったギリシャは6月17日の再
選挙に向け準備している。英ランカスター大学のアリストトゥル・
カリス教授によれば「救済か反救済かの選挙」だ。

この選挙で反救済・反緊縮の新政権ができれば直ちに、ユーロ離脱
の是非の議論が始まるだろうと、元国際通貨基金(IMF)幹部の
エコノミスト、マルコ・アヌンツィアータ氏は予想する。「事態は
われわれが考えているよりも急速に展開する可能性がある。新政権
の改革否定コメントが預金流出を引き起こすことがリスクだ」と同
氏は述べた。
預金流出が始まった場合、欧州中央銀行(ECB)は週内にもギリ
シャの銀行への資金提供を停止すると、元欧州委員会エコノミスト
でINGグループに在勤するカルステン・ブルゼスキ氏はシミュレ
ートする。政府にも銀行に注入する資金はない。

資本統制導入
新政府は市民が預金を引き出すのを止めるため資本統制を敷くかも
しれないと、英国立経済社会研究所(NIESR)のエコノミスト
、ドーン・ホーランド氏は言う。「これは非常に迅速に行う必要が
ある」と同氏は述べた。
ギリシャは離脱を決めたならば、その条件を交渉するためユーロ圏
財務相と首脳会合の開催を求める必要がある。このような準備はニ
ューヨークの金曜午後5時ごろに債券市場が閉まったらすぐに開始
する。フランクフルトとブリュッセルでは午後11時になる。アテネ
は深夜。
財務相らは土曜に会合し、日曜の首脳会議を準備。首脳会議がギリ
シャ離脱計画を完成させるだろうとブルゼスキ氏は予想している。
ギリシャは、IMFからの支援を求める間のつなぎ融資を欧州から
得られるかもしれない。「欧州は野良犬のようにギリシャを追い出
すことはせず、幾つか骨を投げ与えるだろう」と同氏は述べた。
政府当局者がブリュッセルで交渉している間にアテネでは、議会が
土曜に新通貨発行の計画を発表するかもしれない。新通貨の名前は
恐らくユーロ以前と同じドラクマになるだろう。銀行はこの間に、
預金や賃金などを含め全ての資産と債務を、決定された為替レート
に基づいて新通貨に換算することを指示される。ロジャー・ブート
ル氏らキャピタル・エコノミクスのエコノミストらは、換算レート
は等価にするべきだとの論文を発表している。

国境封鎖
政府は新しい紙幣とコインも注文しなければならない。英紙タイム
ズは18日、150以上の国の紙幣の印刷を請け負う英デ・ラ・ルー社が
既にドラクマ再導入に向けて準備していると報じた。新紙幣とコイ
ンができるまではユーロが使われるかもしれないが、市民はユーロ
の温存を図り振込みやクレジット、デビットカードなどでの支払い
を増やすだろう。
政府はまた、土曜早朝から軍を配備して国境を封鎖。紙幣ができる
までの間、ユーロ札にドラクマのスタンプを押すという暫定策を実
施する。
また、ドイツのフレンスブルク大学の欧州研究科責任者のシャーロ
ット・ゲータナイズ氏は、ギリシャが2800億ユーロの債務について
直ちにデフォルト宣言する可能性が高いとみている。「新通貨の価
値低下によって巨額の対外赤字が生じるだろう。従ってIMFに頼
るしかない」と同氏は電話で述べた。
IMFはできる限り厳しい条件を課そうとし、ギリシャは歳出削減
をめぐる譲歩を引き出そうとする中で、IMFとの交渉は週末いっ
ぱい続くだろう。

暴動の恐れ
ユーロ離脱という歴史的な大事業はギリシャ新政権の手に余る公算
だ。ウニクレディトのチーフエコノミスト、エリック・ニールセン
氏は、ギリシャ政府が「秩序ある退出を演出できるとは全く思わな
い」として、「法律を導入することすらできない国が、新通貨の印
刷を手配し銀行をコントロールし資本フローを制御、しかも秩序立
ってできることなどあり得ない」と述べた。
ギリシャがユーロ離脱を準備しているという情報が漏れれば、ギリ
シャ市民は街頭に繰り出してくるだろう。ノムラ・インターナショ
ナルのストラテジスト、レフテリス・ファルマキス氏は「暴動が起
こらないと考える理由がない」と話す。
そして欧州で日曜が終わりかけ、米東海岸が午後になるころ、ウェ
リントンでは月曜の午前7時になり、債券・為替市場が開く。金融
顧問グループ、トリプルTコンサルティングのアナリスト、ショー
ン・キーン氏は「ニュージーランド市場が開く瞬間を、全世界がオ
ンラインで見つめるだろう」と話した。

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