4357.中国漁船拿捕事件



北朝鮮も思い切った行動に出たものである。こともあろうに中国漁
船を中国のEEZ内で拿捕した。

中国は、日本やフィリピンには大きく反発するが、北朝鮮に対して
は、非常に穏やかであった。どうなっているのかと怪しんだが、と
うとう、「北朝鮮の無礼なふるまいは許さない」と南シナ海懲罰戦
争を煽り立てる政府系「環球時報」の「社説」で異例の批判をした。

北朝鮮側に2012年5月8日に拘束された中国人の漁船乗組員29人は、
10日以上勾留された後の5月20日、平壌にある中国大使館が「北朝鮮
外務省から船員を解放したとの知らせを受けた」と発表。

「中国は北朝鮮の無礼なふるまいは許さない。中朝間に特別な余地
は存在しない」と断言し、さらに「北朝鮮は中国人民の生命や財産
を中心に、中国の利益を尊重するべきだ」と主張した。

この事件を起こした原因は、韓国が中国に軍事協定を持ちかけ、そ
れを中国が了解しようとしたことへの反発であると見る。

どちらにしても、この事件で、両国間で領海問題が再度、話し合わ
れることになるはずで、北朝鮮は益々中国への依存度を高めること
になるか。中国からの離脱をするかの道がある。

しかし、中国から離脱をするとすると、米国との関係を正常化する
必要があり、それもできない現状から、北朝鮮は中国の対応がどう
あれ、中国に従属するしかないと見る。北朝鮮は、韓国と中国の友
好関係を苦々しく見るしかないようだ。

さあ、どうなりますか?

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「北朝鮮の無礼なふるまいは許さない」 
中国政府系メディア「社説」で異例の批判
2012/5/23 18:47J-cat

中国の漁船が操業中に北朝鮮の船に拿捕され、船員が拘束された件
で、中国側に異例の反応が見られた。中国共産党の機関紙「人民日
報」系のメディア「環球時報」が、北朝鮮を批判するような内容の
社説を掲載したのだ。
強固な友好関係にある両国だが、社説では「北朝鮮の無礼なふるま
いは許さない」と厳しくクギをさしている。

「今回の一件が両国にとってターニングポイントになるだろう」

環球時報英語版の社説では漁船の写真も掲載、北朝鮮側に2012年5月
8日に拘束された中国人の漁船乗組員29人は、10日以上勾留された後
の5月20日、平壌にある中国大使館が「北朝鮮外務省から船員を解放
したとの知らせを受けた」と発表。翌21日に中国・大連の港に全員
が到着したという。
船員は、中国の領海内で操業していたにもかかわらず北朝鮮の船に
つかまり、無理やり連行されたと主張。北朝鮮当局がかかわってい
るとの話や、解放に当たって北朝鮮側から「身代金」が要求された
、船員が勾留中に殴打され、食料も満足に与えられなかったという
報道も出ている。
北朝鮮の領海付近での操業は危険なようだ。ある中国人によると、
漁船の乗組員は荒っぽい性格の人も少なくないが、北朝鮮近海には
「いきなり発砲される恐れがあるので行かない」との声があるとい
う。
今のところ、中国政府が北朝鮮に抗議したという話は聞かない。一
方で中国共産党系の新聞「環球時報」は5月21日、社説で船員拘束の
件を取り上げた。同紙の電子版「環球網」や英語版「グローバルタ
イムズ」にも掲載されている。その中で、中朝の水陸国境付近の取
り扱いに絡む問題は「今回の一件が両国にとってターニングポイン
トになるだろう」と言及。2国間の友好関係は「確固たる地理的な原
則」に基づいており、その重要性を強調。そのうえで、「中国は北
朝鮮の無礼なふるまいは許さない。中朝間に特別な余地は存在しな
い」と断言し、境界線問題に関してけん制した。
さらに、「北朝鮮は中国人民の生命や財産を中心に、中国の利益を
尊重するべきだ」と主張した。
続けて、最近中朝国境付近で北朝鮮側による「不正行為のうわさ」
が出ており、両国がこうしたうわさを解消するために努力しなけれ
ばならない、とする。最後は「中朝友好」が強化されることを望み
、両国関係が国家戦略レベルだけでなく日常生活の面でも感じられ
るようになるべきだと結んだ。

領土・領海事項は中国で最も重要
中国事情に詳しいノンフィクション作家、安田峰俊氏は「環球時報
」について、「中国メディアの中でも『タカ派』で、勇ましいこと
を言いがち」と評する。それでも、北朝鮮へ「苦言」を呈する論調
は珍しいようだ。
今回の漁船拿捕は、中朝の境界問題と密接に絡んでいる。「領土や
領海に関連する事項は、中国で最重要と位置付けられます」と安田
氏。自国のテリトリーに何らかの影響を及ぼす相手に対しては、そ
れがたとえ友好国の北朝鮮であってもピシャリと注意しておく必要
がある、というわけだ。
とは言え中国政府も、尖閣問題の際に日本を激しく非難したのと同
じ調子で、北朝鮮に対するわけにはいかない事情がある。北朝鮮は
地政学的に対日、対米関係上の緩衝地帯としての役割があるからだ。
そこで環球時報の社説を「利用」して、北朝鮮にメッセージを送る
のを中国当局が容認した、とも推測できる。
中国メディアの「意外」な批判を、北朝鮮はどう受け止めるのだろ
うか。北朝鮮問題を専門とする韓国紙の記者に取材すると、両国間
で今回のような境界線をめぐって騒動が起きると「中朝関係はむし
ろ強化される」と話す。ただしこれは「相互愛」が増すわけではな
く「戦略的な理由」からだという。北朝鮮側にとっても、国際社会
で貴重な「味方」である中国との関係が悪化しては困るわけだ。
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中国漁船拿捕で浮上した「東経124度問題」
2012/05/22 09:58 朝鮮日報

 北朝鮮が西海(黄海)上で中国遼寧省の漁船3隻を「拿捕(だほ)
」し、その後解放した事件の背景には、両国間で画定されていない
海上境界線をめぐる神経戦があったのではないかとする分析が浮上
している。中国が協定も結ばないまま、慣行として適用してきた境
界線を主張し、北朝鮮と摩擦が起きたとの見方だ。

■EEZ画定できず

 中国と北朝鮮の間では、いまだに排他的経済水域(EEZ)が画定さ
れていない状態だ。韓日間で結ばれている漁業協定さえまだない。
国際海洋法裁判所の白珍鉉(ペク・チンヒョン)裁判官は「北朝鮮
と中国には公式な海洋境界協定がない」と指摘した。

 現在、西海での両国の暫定的な海洋境界線は、1962年に北朝鮮の
金日成(キム・イルソン)主席と中国の周恩来首相が結んだ朝中国
境条約が根拠となっている。

 同条約は西海での両国の領海境界線の基点を鴨緑江の河口(東経
124度10分6秒)と定めている。ここから南へ北緯39度31分51秒まで
の範囲で両国の領海を設定。さらに東経123度59分26秒から124度26
分までを「自由航行水域」とした。

 中国は同条約を根拠として、東経124度を中朝間の暫定的な海上境
界線としてきた。中国政府は漁船が東経124度を越えないように指導
。北朝鮮もそれを了解するのが慣行だった。今回中国漁船が「拿捕
」されたのは、東経123度57分、北緯38度5分の海域で、124度線から
見て中国側の海域で、北朝鮮は慣行を無視して「拿捕」したことに
なる。

 しかし、北朝鮮にも言い分はある。北朝鮮は朝中国境条約の締結
から15年後の1977年に200カイリの排他的経済水域(EEZ)を設定し
た。北朝鮮のEEZは、中国と重なった場合、両国の中間線を境界線と
している。北朝鮮の主張に従えば、中国船舶が「拿捕」された海域
は北朝鮮のEEZに属する。外交安全保障の専門家は「北朝鮮にとって
は、中国船がEEZを侵犯したと主張する根拠がある。漁業資源が枯渇
し、中国漁船が北朝鮮側にしばしば越境するのをけん制するため、
北朝鮮が極端な措置を取った可能性がある」と指摘した。
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韓国、中国軍との協力推進へ協定交渉 災害時の物資融通など
2012/5/21 13:37日経
 【ソウル=内山清行】韓国軍と中国の人民解放軍が相互に物資な
どを融通できる協定を締結する方向で両国政府が交渉していること
が分かった。韓国の国防省報道官が21日明らかにした。韓国は日本
と物資を相互提供する協定を協議している。中国とも交渉を進める
ことで同国の反発を和らげる狙いがあるとみられる。

 中韓の協定は国連平和維持活動(PKO)や大規模災害、海賊対
策などでの協力を想定。同報道官は記者会見で「物品役務相互提供
協定(ACSA)に似た内容」と説明したが、詳細や交渉の進み具
合などは明らかにしなかった。中韓は朝鮮戦争(1950〜53年)で互
いに戦った関係にある。



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