4353.中国拡大に日米の対応



中国は軍事力を背景に、かなり強圧的な外交をしている。そのため
、中国周辺のアジア諸国は、日米に近づき、中国から離れる動きを
している。しかし、米国も国防費の削減等でオフシェア・バランシ
ングの立場にたたされている。このため、日本の立場が、アジアの
中で高まっている。   津田より

0.米国の状況
米国は、シェールガスが自国内で出て中東の石油依存度を下がり、
大幅な財政赤字で、緊縮策として国防費を下げることで、選択的な
軍事体制を引くしかなく、欧州や中東から引き、アジアに力を集中
したいが、中国の軍事力が増大したことで、中国近傍からも撤退し
て、中国の第一波の攻撃をかわして、その後の攻撃を有利にするこ
とを考えている。

オバマ米大統領は1月5日、国防費の削減にあわせた新しい軍事戦
略を発表した。これに続き、前パネッタ米国防長官は2012年1
月26日発表した国防予算の削減計画で米軍地上兵力を10万人削
減する方針を打ち出した。これは歴史的な発表になる。

共和党はティーパーティの影響で、国民の税金を下げるためには国
防費を減少させて孤立主義に向かう傾向が出ている。孤立主義のロ
ン・ポールが最後まで大統領予備選挙に残り、健闘していた。

このため、この1月から米国は、中国対応戦略として中国周辺諸国
の合従策に出ている。インドを取り込み、米比・米越軍事演習など
を頻繁に行っている。

しかし、国防総省のアジア太平洋地域担当の高官ポストが半数以上
、空席という異例の事態が出ている。アジア各国との調整が難しい
状態になっていることが原因である。米国は態度をその都度変化さ
せるので、アジア諸国は米国を信用していない。

このため、米国が単独で「世界の警察官」や「同盟国の調整役」を
務めるのは不可能と宣言したとも言え、日本は米国が足りない新た
な役割を求められている。

徐々に中東から撤退する方向であるが、オバマ米大統領は3月12
日、アフガニスタンの米兵銃乱射事件で反米感情が高まっているこ
とに関し、「出口に殺到するような撤退はしない」と述べ、アフガ
ン駐留米軍の撤退を責任ある形で進めていく姿勢を示したが、中東
での米軍は評判が悪く、米軍は撤退するしかない。

このような状況の上に米国の戦略があると見るが、第二次世界大戦
を思い出す。これは、後で十分に考察する。

1.中国の状況
中国は、2011年9月中旬に環球網に出た記事「中国してみれば
、南シナ海は最良の戦場だ。南シナ海での武力行使においては、攻
撃範囲を限定すべきだ。現在最もひどく騒いでいるフィリピンとベ
トナムに狙いを定める。つまり鶏を見せしめに殺して猿を戒めるの
だ。戦争の規模は懲戒の目的達成を基準とする。」という南シナ海
懲罰戦争を宣言した。これも今後の歴史に残る言葉である。

その上に、尹卓海軍少将は「新しい情勢下にあって中国軍は確かに
海外展開する必要があるが、中国国防の防衛作戦が変わるわけでは
ない」と指摘したが、これは拡大策である。

中国は海洋国家になり、どんどん世界に出て、中国圏を増加させる
ということであり、米国の変わりに世界の覇権を取ると宣言したよ
うなものである。まるで、第二次世界大戦の前のドイツのようであ
る。

事実、英国の国際戦略研究所(IISS)は3月7日、「ミリタリ
ー・バランス2012」で、中国軍の「戦略的な優先事項」が、国
境防衛から、シーレーン(海上交通路)確保などのため東アジア地
域と同地域以遠における海洋での軍事力の展開に移行しつつあると
した。

このため、中国の軍備拡大で2012年の国防予算案が前年実績比
11.2%増の6702億元(約8兆7千億円)に上り、世界第二
位の軍事大国になっている。2050年までには米国を抜く軍事費
になることが予測できる。

米国を追い出すために、「米空母キラー」と呼ばれる中国の新型対
艦弾道ミサイル「東風21D」(射程1500キロ以上)が「恐ら
く配備準備をしている」と米国は認識して、かつ東風21Dを、有
事の際に米空母の中国近海への進出を阻止する兵器として効果を発
揮するとして、在沖縄海兵隊の分散配備計画も、沖縄県の米軍基地
を射程に入れる東風21Dの開発が一因になっている。

そして、中国軍の初の空母ワリャーク(約6万7千トン)が2012
年中に就役予定であり、南シナ海に配備されるとみられる。

2.南シナ海の攻防
日米は、この中国の南シナ海への侵略を防ぐことが重要であり、沖
縄のアメリカ海兵隊の一部をフィリピンのパラワン島に派遣して、
日本の自衛隊も随行することで一致しているようである。

また、中国から敵とされたフィリピンとベトナムの海軍が、南シナ
海での合同演習などで軍事協力を深めることで合意した。米越比の
合同演習も可能で、米海兵隊と一体運用する自衛隊も演習に参加す
ることになる。

中国の南シナ海での活動を監視するために、オーストラリア領ココ
ス諸島の豪空軍基地に、米軍の無人偵察機を配備するという。

ASEANも3月30日、南シナ海問題について法的拘束力のある
「行動規範」の草案策定に向けた作業部会を開催、4月3、4両日
の首脳会議で討議した。しかし、この「行動規範」を中国は受け入
れないが、中国をけん制する意味はある。

4月8日、フィリピンと中国が領有権を主張する南シナ海・スカボ
ロー礁で、操業中の中国漁船を取り締まろうとした比海軍の艦船と
、これを妨害する中国の海洋調査船が対峙した。スカボロー礁は、
フィリピン本土から200カイリ以内にある経済水域である。

このため、フィリピンとしても引き下がれない。ここで、中国はこ
れまでと違って、海軍艦船を送り込むようなことはせず、沿岸警備
や海洋監視の船を派遣するという新手の巧妙な手法を示した。

このような事態の中で、フィリピンのアルメンドラス・エネルギー
相は4月19日、南シナ海などでの石油・天然ガスの探査開発を民
間企業に委託するための国際入札を4月27日に行うとした。これに
中国が反発している。

この中国の反発を押しのけるように、米軍とフィリピン軍は4月25
日、南シナ海のパラワン島で上陸訓練を実施した。

しかし、中国の傅瑩外務次官が南シナ海のスカボロー礁(中国名・
黄岩島)の領有権問題について5月9日、「事態拡大に対処する各
種準備を行った」と発言したのはフィリピンに対する「最後通告」
だと指摘した。どうもこの時期、中国国内での権力闘争が激しく、
国民の目を海外に向けるために、中比紛争を起こした可能性も指摘
される。

この国内の権力闘争が収まったために、中国は譲歩して、中国が南
シナ海の大部分の海域で5月16日から2カ月半の休漁期間を設け
た。これを受け、フィリピン漁船に対しても16日から2カ月の休
漁期間を設け、スカボロー礁での中比衝突を回避した。

中国は国内の権力闘争が起きると、国民の目を海外に向けるために
、外国との紛争を起こすことが分かり始めている。中国にとっては
外国より、国内の方が制御が難しいということのようである。

しかし、一連の中国の南シナ海での横暴に対して、米海軍は5月9
日、沿岸海域戦闘艦(LCS)の「フリーダム」1隻を来春から約
10カ月にわたり、シンガポールに配備するとした。

この米国の処置と合わせて、日本政府はフィリピンに1000トン
級以上の大型巡視艦を含め12隻の巡視艦を年内に提供することに
した。

3.日本の役割
野田佳彦首相は4月30日(日本時間5月1日未明)、ホワイトハ
ウスでオバマ米大統領と会談した。会談後、「警戒・監視活動で米
軍と自衛隊の連係を強化する動的防衛協力を推進する」という内容
の共同声明が出された。

米国は、オフシェア・バランシングの戦術として位置づけられる空
軍と海軍の統合作戦戦略「エアシーバトル構想」について、日本の
防衛省に戦略概念と、具体化に当たっての同盟国との連携の重要性
を正式に説明して、その上で日本は「動的防衛力」整備を新防衛大
綱で宣言して、日米豪共同覇権を勧めることにしたようである。

この前に、日米は06年の米軍再編ロードマップ(行程表)で、米軍
と自衛隊で一体的な運用を目指す「統合運用」を進めることで合意
している。このため、空自航空総隊司令部が3月26日、府中基地
から在日米軍横田基地に移転した。海上自衛隊はすでに横須賀で、
米軍と合同化しているし、在日米陸軍司令部があるキャンプ座間に
は、12年度末までに陸自中央即応集団司令部が移転することが決ま
っている。

というように自衛隊と米海兵隊は共同運用されることが決まってい
る。このため、米海兵隊の運用と同様な陸海空3自衛隊の「統合運
用」による迎撃能力の強化をする必要が出ている。日本の自衛隊は
米海兵隊と同様な行動を期待されることになる。

中国の海軍陸戦隊の兵力は11万人と日本の陸自と同程度の規模を
誇り、この兵力と互角に戦うには、米海兵隊4万人では足りず、日
本の自衛隊と、その装備が必要になる。「大隅」「伊勢」「日向」
などの全通甲板で、大量の陸自の戦車などを乗せることが出来る艦
船が必要になる。これでやっと中国の侵略に対応して、アジア地域
の防衛が可能になる。この事実をアジア諸国も十分に知っているの
で、日本に期待するのである。

なぜ、韓国はアジアに出てこないかと言うと、北朝鮮との戦闘があ
り、アジア諸国での戦闘を支援できないのと、韓国が離米親中にな
る可能性があり、戦略的に米国とアジアで行動を共に出来ない。

事実、ベトナムのグエン・タン・ズン首相は4月21日、南シナ海
問題について「この地域の平和安定のため、日本を含めてさまざま
な国が協力すべきだ」と述べ、日本など域外国の積極的な関与を求
めた。

しかし、日本は前面には出ない。前面には米国が中国と交渉してい
る。このため、逆に日本国民は、この事実を分からないようだし、
政治家もあまり事実を知らずに、国際政治をしているようである。

この事実を知っている中国は日本との戦争を望まないために、日中
両国政府が東シナ海での危機管理メカニズム構築に向けて広範に意
見交換する「高級事務レベル海洋協議」の会議が5月16日に開催
されたが意見の隔たりが大きかったようである。だが、中国は2正
面作戦になることをしなし、できない。

しかし、東シナ海での紛争に備えて、政府は2月28日、海上保安
庁による海上警察権を強化するため、海上保安庁法と領海等外国船
舶航行法の一部を改正する法案を作り、国境の離島での不法上陸な
どに対し、海上保安官が警察官に代わり陸上で捜査・逮捕できる規
定を盛り込んだ。

中国の経済封鎖も想定して、日本とカザフスタンの両政府は、レア
アース(希土類)の「ジスプロシウム」を共同開発することで合意
した。米軍の「オフシェア・バランシング」と「エアシーバトル構
想」を繋ぐ「オフシェア・コントロール」と言う概念が出てきて、
中国経済的な封じ込め戦略が出てきている。

このオフシェア・コントロールによると、豪州の存在価値が高くて
、その豪州と日本の関係を強固にする必要がある。このため、5月
17日、日豪両国の間で、外交や安全保障分野などの機密情報を適
切に保護するための包括的な協定に署名した。

また、輸出三原則を緩和したことで、日英が防衛装備品を共同開発
することが確定した。この頃の日本の動きは内政面ではほとんど動
かないが、外交・安全保障では日本は革新的な動きを、それも高速
度に行っている。一番、注目しているのが中国軍部である。

そして、イランのホルムズ海峡の封鎖に関連し、野田首相は「日本
のエネルギー源をそこに頼っていることを考えれば、ホルムズ海峡
で何か起きた時を想定し、その前とその後にできることを含め、議
論は当然やっておかなければいけない」と述べ、とうとう、日本は
自分のシーレーンを自分で守ることが必要になってきた。米国は中
東から撤退が近いからである。

このような積極的な日本の外交が認めらて、日本政府が海底資源の
権益確保をめざす4海域の大陸棚延伸が4月27日、米ニューヨー
クにある大陸棚限界委員会で認められた。日本が排他的経済水域(
EEZ)を設定できる「島」と主張する日本最南端の沖ノ鳥島を基
点とした海域も含まれた。

4.今後の動向
米国は、オバマ大統領がアメリカの政治力を極度に低下させたこと
からアメリカに残された復権の選択肢は「実力行使」(戦争)しか
なくなっている。

世界経済も大暴落へ向かっている。世界経済の建て直しにも戦争が
必要だという意見が欧米の支配階層で高まっている。

そのニーズに丁度よく、中国は世界覇権を狙い始めている。そして、
第二次大戦のドイツと同様に米国国内から相当に離れている。そし
て、最初に中国と戦闘しないように、米海兵隊を沖縄の要求によっ
て、中国近傍から離した。

最初に中国と戦闘をするのは、ベトナムかフィリピンである。その
戦闘を支援するのが、日本と米国、豪州で中国を経済封鎖で、中国
を締め上げるというシナリオであるが、そうなるかどうかまだ、分
からない。

中国軍サイドのシナリオが見えないからである。中国はシナリオを
持たずに、国内問題の回避からアジア地域戦争に突入してしまう可
能性もある。ということで米国のシナリオより超えて、核戦争まで
行ってしまうことも考えられる。

さあ、どうなりますか?

参考資料:
p0171.「米国の新戦略は?」2012年1月9日発行
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日本がフィリピンに巡察艦を支援、中国を牽制か
MAY 19, 2012 08:42東亜日報

日本政府が、フィリピンに1000トン級以上の大型巡察艦を含め
12隻の巡察艦を年内に提供すると、香港のニュース週刊誌「亜洲
週刊」が駐中国日本大使館の外交官の話として18日報じた。日本
政府は、ベトナムとマレーシアにも巡察艦を提供する計画だ。
日本がフィリピンなどの海上防衛力の拡充に乗り出したのは、尖閣
諸島をめぐって領有権争いをしている中国を牽制する意図がある。
南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)をめぐって中国と対立
しているフィリピンも、日本に頼って中国を牽制しようとしている。

同誌は、日本で働くフィリピン人は22万人にのぼり、日本とフィ
リピンとの間には領土や歴史などの紛争がなく、密接な関係だと伝
えた。日本はフィリピンの最大貿易国であり、フィリピンの海外直
接投資(FDI)のうち日本の割合は29%で最も多い。
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「知恵」=「計算」=「支配」=「摂理」
2012.05.18 増田俊男

私は2008年11月オバマ大統領がアメリカの新大統領に選ばれた時、
「アメリカの支配者の知恵が、自分たちの嫌いな人種で、自分たち
の利益を代表しないオバマを当選させることが計算上自分たちの世
界支配にとって最高の選択であると分かった」と言っていると、あ
る勉強会(東京と中国)で述べたことがある。

アメリカの利益を「世界の富を我がものとし、世界の政治(安全)
を支配すること」とするならオバマ大統領の4年間はアメリカの利
益を大きく損ねた。

オバマ大統領はアメリカの政治力を極度に低下させたことからアメ
リカに残された復権の選択肢は「実力行使」(戦争)しかなくなっ
た。
このようにオバマ大統領は見事に役割を果たしたことになる。

アメリカに致命的な大統領でも、アメリカの次なる世界支配にとっ
て計算上は立派な大統領なのである。
世界経済も計算上理想の方向(大暴落)へ向かっている。

「支配とは生命の摂理である」ことを総ての知識や理念を超越して
常に生命の基本にしておく必要がある。
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比も休漁、中国に配慮 にらみ合い早期解決は微妙
2012.5.17 16:28サンケイ

 フィリピン漁業当局は、同国と中国の艦船にらみ合いが続く南シ
ナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)と周辺海域で、フィリピン
漁船に対して16日から2カ月の休漁期間を設けた。当局者が17
日までに明らかにした。

 中国が南シナ海の大部分の海域で16日から2カ月半の休漁期間
を設けたことを受け、フィリピン側が配慮した形だ。

 マニラの中国外交筋は17日、共同通信に「好ましい動き」と評
価。両国は事態打開に向け外交交渉を本格化させているが、早期解
決は微妙な情勢だ。
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日中、初の海洋協議へ=尖閣問題も提起か
 【杭州(中国浙江省)時事】日中両国政府が東シナ海での危機管
理メカニズム構築に向けて広範に意見交換する「高級事務レベル海
洋協議」第1回全体会議が16日、中国浙江省杭州市のホテルで開
催される。石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島を都で買い取ると表明
したことに対して中国側が反発を示す可能性もある。
(2012/05/16-06:05)
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南シナ海における中国の「小さな警棒」外交
2012年05月15日(Tue)  WEDG岡崎研究所

National Interestのウェブサイト4月23日付で、米海軍大学のJames
 HolmesとToshi Yoshiharaが、先頃、フィリピンと中国が南シナ海
の砂州を巡って睨み合いをした際、中国はこれまでと違って、海軍
艦船を送り込むようなことはせず、沿岸警備や海洋監視の船を派遣
するという新手の巧妙な手法を示した、と警告しています。

 すなわち、中国は、2010年にその不器用な戦術によって弱い周辺
諸国を怖気づかせ、これらの国同士や米国との間に反中という共通
利害を生むという間違いを犯してしまったが、その間違いから立派
に学び、「小さな警棒」外交、つまり、海軍艦船ではなく、軽武装
ないし非武装の船を使って、本来の目的を達する方法を使い始めた。
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日豪 機密情報保護で協定へ
5月14日 4時16分NHK

玄葉外務大臣は、今週、オーストラリアのカー外相と会談し、日豪
両国の間で、外交や安全保障分野などの機密情報を適切に保護する
ための包括的な協定に署名する見通しです。

オーストラリアのカー外相は16日から3日間の日程で日本を訪れ
、17日に玄葉外務大臣と会談する予定です。
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「世界に良い影響」日本トップ…BBC読売調査

 英BBC放送が読売新聞社などと22か国で共同実施した世論調
査によると、日本が「世界に良い影響を与えている」という評価は
58%で、「悪い影響を与えている」は21%だった。

 調査は、国際社会に影響を及ぼす16か国と欧州連合(EU)の
評価を聞いたもので、「良い影響」は日本が最も高く、ドイツ56
%、カナダ53%、英国51%などが続いた。

 日本が1位になったのは、ドイツと並んでトップだった2008
年以来。約1年前の前回調査ではカナダ、EUと同率で3位だった
。日本への評価をみると、中国と韓国を除く20か国で「良い影響
」が「悪い影響」を上回っている。
(2012年5月11日08時02分 読売新聞)
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比に「最後通告」=中国系香港紙
 【香港時事】中国系香港紙・文匯報は9日の論評で、同国の傅瑩
外務次官が南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権問
題について「事態拡大に対処する各種準備を行った」と発言したの
はフィリピンに対する「最後通告」だと指摘した。
 論評は、フィリピン側の挑発的な行動が中国当局と民間の「強い
不満」を招いていると強調。「小規模な武力衝突の可能性も排除で
きない」とする中国の国際問題専門家の見解を伝えた。
(2012/05/09-17:49)
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米海軍がシンガポールに戦闘艦を来春配備、中国けん制
2012年 05月 10日 15:25 JST 

[ワシントン 9日 ロイター] 米海軍は9日、新型戦闘艦1隻
を来春から約10カ月にわたり、シンガポールに配備する方針を発
表した。南シナ海の領有権をめぐり、近隣諸国との間で衝突が続い
ている中国をけん制する狙いもあるとみられ、同海域で緊張が強ま
る可能性もある。

シンガポールに配備されるのは沿岸海域戦闘艦(LCS)の「フリ
ーダム」。将来的には最大4隻の同艦をローテーション配備する方
針だという。
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陸海空3自衛隊 尖閣奪還作戦を策定 「中国が占領」連携対処
2012年05月09日08時15分産経新聞

 陸海空3自衛隊が昨年11月の統合演習で、沖縄・尖閣諸島が中
国に占領されたと想定し、詳細な奪還作戦を策定していたことが8
日、分かった。擬装漁民の不法上陸をきっかけに周辺海域まで中国
に占領されるというリアルなシナリオで構成され、中国の弾道ミサ
イルの命中精度向上を踏まえ、陸海空3自衛隊の「統合運用」によ
る迎撃能力の強化策も検証していた。
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アジア太平洋の「防衛強化」 日米共同声明、中国を意識 
2012年5月1日3時49分 

 野田佳彦首相は30日(日本時間5月1日未明)、ホワイトハウ
スでオバマ米大統領と会談した。会談後、両首脳は共同で記者会見
し、日米同盟を「アジア太平洋地域の平和と経済的繁栄に不可欠」
とする共同声明を発表。この地域での安全保障や経済面での協力を
強め、同盟をさらに強化する方針を打ち出した。 
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日米が中国軍拠点包囲戦略
2012年04月30日10時05分中央日報

日本と米国が30日(米国現地時間)にワシントンで行われる首脳
会談で、中国を狙った「動的防衛協力」に合意する予定だと、共同
通信など日本メディアが29日報じた。 

共同通信によると、オバマ米大統領と野田佳彦日本首相が会談後に
発表する共同声明には、「警戒・監視活動で米軍と自衛隊の連係を
強化する動的防衛協力を推進する」という内容が明記される予定だ
。これは海洋進出のために活発な動きを見せている中国を牽制する
ためのもので、沖縄と南西諸島を中心に両国軍の機動性と抑止力を
向上させるのが目的だ。 
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レアアース、カザフから調達 脱中国狙い5月合意へ
2012年4月29日10時59分

 日本とカザフスタンの両政府は、レアアース(希土類)の「ジス
プロシウム」を共同開発することで近く合意する。来年から日本が
1年で使う分の1割強を輸入し、年々増やしていく。日本はレアア
ースの8割を中国に頼ってきたため、「脱中国依存」を進めるきっ
かけにする。
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中ロ、軍事演習で蜜月アピール 米のアジアシフト牽制
2012年4月27日18時48分

 中国とロシアの合同軍事演習が27日、6日間の日程を終えた。
両海軍にとって初めての大規模で実戦的な海上訓練で、その「蜜月
関係」をアピールした。ともに演習の先に見据えるのが、アジア太
平洋シフトを進める米国の動きだ。
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沖ノ鳥島海域の大陸棚延伸 日本の申請、国際機関認める
2012年4月28日5時1分

 日本政府が海底資源の権益確保をめざす4海域の大陸棚延伸が27
日(現地時間26日)、米ニューヨークにある大陸棚限界委員会で
認められた。日本が排他的経済水域(EEZ)を設定できる「島」
と主張する日本最南端の沖ノ鳥島を基点とした海域も含まれる。
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米比両軍が上陸訓練 南シナ海、9月も演習へ
2012.4.25 20:26サンケイ 

 米軍とフィリピン軍は25日、南シナ海のパラワン島で上陸訓練
を実施、メディアに公開した。在沖縄海兵隊も加わった。また、フ
ィリピン軍幹部は、パラワン島で9〜10月に両軍の今年2回目の
合同演習を予定していると共同通信に明らかにした。
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自衛隊がフィリピン基地使用 日米が検討開始、パラワン島有力
2012.4.24 07:59 サンケイ

 在日米軍再編見直しにからみ、米海兵隊と自衛隊がフィリピンの
訓練施設を共同使用する方向で日米両政府が検討を始めたことが
23日、分かった。パラワン島のフィリピン海、空軍基地が有力で
、ルソン島の基地も候補として挙がっている。
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南シナ海問題、日本関与を ベトナム首相が会見
2012.4.21 19:04サンケイ

 来日中のベトナムのグエン・タン・ズン首相は21日、都内の日
本記者クラブで記者会見し、中国と東南アジア諸国連合(ASEA
N)の一部加盟国が領有権を争う南シナ海問題について「この地域
の平和安定のため、日本を含めてさまざまな国が協力すべきだ」と
述べ、日本など域外国の積極的な関与を求めた。中国は「領有権を
争う当事国間での解決」を主張しているが、対中国強硬派として、
米国や日本などを含む多国間での解決を目指す姿勢をあらためて強
調した。(共同)  
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米アジア担当 半数以上が空席
4月21日 4時15分NHK

アメリカ政府では、アジア重視の新たな国防戦略を打ち出したにも
かかわらず、それを実行に移す国防総省のアジア太平洋地域担当の
高官ポストが半数以上、空席という異例の事態となっており、議会
の一部からは「新戦略の具体化に遅れが出るのではないか」という
懸念の声も上がっています。
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フィリピン、南シナ海の資源巡り入札へ 中国の反発必至
2012年4月20日7時21分

 フィリピンのアルメンドラス・エネルギー相は19日、南シナ海
などでの石油・天然ガスの探査開発を民間企業に委託するための国
際入札を27日に行うと明らかにした。南シナ海に主権を主張し、
入札の中止を求めていた中国が激しく反発するのは確実だ。
(マニラ=四倉幹木)
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比・中の艦船、領有権巡り南シナ海でにらみ合い

 【マニラ=石崎伸生】フィリピン外務省は11日、フィリピンと
中国が領有権を主張する南シナ海・スカボロー礁で、操業中の中国
漁船を取り締まろうとした比海軍の艦船と、これを妨害する中国の
海洋調査船が対峙していると明らかにした。8日から
(2012年4月11日19時39分 読売新聞)
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日英、防衛装備品を共同開発へ 輸出三原則の緩和後初
2012年4月10日21時50分

 野田佳彦首相は10日、英国のキャメロン首相と首相官邸で会談
し、防衛装備品の共同開発・生産を早期に開始することで合意した
。武器輸出三原則の緩和後、協力相手国が決まったのは初めて。日
本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)で、早期に交渉
を始めることも確認した。
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総隊司令部 横田移転を完了 
「同盟のシンボル」 日米共催で"同居"祝う
2012年3月29日朝雲ニュース

 空自航空総隊司令部(司令官・齊藤治和空将)と関連部隊が3月
26日、府中基地から東京都福生市の在日米軍横田基地に移転を完
了、運用を開始した。平成18年5月の日米安全保障協議委員会(
2プラス2)の合意に基づくもので、空自は同年12月に調査工事
を開始。昨年3月末に移転完了の予定だったが、東日本大震災の影
響などで今年度末にずれ込んだ。
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「朝鮮半島と日本は潜在脅威」 ロシア東部軍管区幹部
2012.3.31 20:57サンケイ
 ロシア東部軍管区のドゥロノフ第3空軍・防空司令部司令官は、
ラジオ局「モスクワのこだま」(電子版)が30日に公開したイン
タビューで、不安定な朝鮮半島や領土問題を抱える日本を潜在的な
脅威と見なし、対応できる態勢を準備していると述べた。
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南シナ海行動規範で協議 ASEAN会議開始
2012.3.30 19:42サンケイ
 東南アジア諸国連合(ASEAN)は30日、一部加盟国と中国
が領有権を争う南シナ海問題について法的拘束力のある「行動規範
」の草案策定に向けた第4回作業部会などをカンボジアの首都プノ
ンペンで開催、4月3、4両日の首脳会議に向けた討議を始めた。
(共同)
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米偵察機、オーストラリアから中国監視か
Australia May Let US Use Cocos Islands
2012年03月29日(木)18時21分newsweek
フレア・ピーターセン

 インド洋に浮かぶココス諸島は、オーストラリアとスリランカの
ほぼ中間に浮かぶ美しい島々。この地を領有するオーストラリアに
とっては、重要な戦略的拠点でもある。ここに、米軍の無人偵察機
を配備する計画が浮上した。目的は、南シナ海で活発化する中国軍
の活動だ。
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フィリピン・ベトナム海軍、合同演習へ 中国を牽制
2012年3月28日20時19分

 フィリピンとベトナムの海軍が、南シナ海での合同演習などで軍
事協力を深めることで合意した。両国は米国とも演習を重ねており
、中国の南シナ海進出を牽制(けんせい)する米国中心の協力態勢
が強まることになる。
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対中国戦略で連携、日本に説明=情報共有と相互運用性重視−エア
シーバトル構想・米
 【ワシントン時事】米国防総省が、軍事力を増大させる中国の脅
威を念頭に打ち出した、空軍と海軍の統合作戦戦略「エアシーバト
ル構想」について、日本の防衛省に戦略概念と、具体化に当たって
の同盟国との連携の重要性を正式に説明していたことが22日、分
かった。国防総省筋が明らかにした。(2012/03/23-14:37)
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アフガン戦略変更せず=性急な撤退を否定−米大統領
 【ワシントン時事】オバマ米大統領は12日、アフガニスタンの
米兵銃乱射事件で反米感情が高まっていることに関し、「出口に殺
到するような撤退はしない」と述べ、アフガン駐留米軍の撤退を責
任ある形で進めていく姿勢を示した。カーニー大統領報道官も記者
会見で、アフガン戦略に変更はないと強調した。
(2012/03/13-09:11) 
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中国軍幹部「空母、今年中に就役」、南シナ海に配備か
2012年3月9日20時22分

 中国海軍副司令官の徐洪猛・中将が9日、北京で朝日新聞記者ら
の取材に対し、試験航行をしている中国軍の初の空母ワリャーク(
約6万7千トン)が今年中に就役予定であることを認めた。就役が
遅れるとの見方もあったが、当初の計画通り建造が進んでいること
を示す発言だ。

 ワリャークは昨年8月以降、計4回の試験航行をしている。就役
後はベトナムなどと領有権問題を抱える南シナ海に配備されるとみ
られる。(北京=峯村健司) 
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中国海軍、東アジア以遠でも展開 英戦略研発表

 【ロンドン共同】英国の有力シンクタンク国際戦略研究所(II
SS)は7日、各国の軍事力や地域情勢を分析した報告書「ミリタ
リー・バランス2012」を発表、中国軍の「戦略的な優先事項」
が、国境防衛から、シーレーン(海上交通路)確保などのため東ア
ジア地域と同地域以遠における海洋での軍事力の展開に移行しつつ
あるとの見方を示した。

 軍事費については、中国政府発表の2010年の国防予算約53
30億元(約6兆8千億円)に対し、研究開発費などを加えた国防
関連の総支出が約7530億元に上ると独自に推計。購買力平価で
ドル換算すると、公表値の2倍超に膨らむとの試算も示した。
2012/03/07 19:30 【共同通信】
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中国人民解放軍の「海外展開」が必要=中国海軍少将
2012/03/07(水) 09:17サーチナ 

  中国の軍事紙・解放軍報が「国家利益が拡大するところまで新
しい作戦を広げる必要がある」と報じたことについて、北京で全国
両会(全国人民代表大会と全国政協会議)に出席した全国政協委員
の尹卓海軍少将は、「新しい情勢下にあって中国軍は確かに海外展
開する必要があるが、中国国防の防衛作戦が変わるわけではない」
と指摘した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  尹氏によれば、現在、中国の軍事力は海上や海外における利益
の拡大より遥かに遅れている。これは、中国の国外での合法権益が
しっかり守られないことを意味しているという。「中国の海上輸送
は毎年90%を占め、2億トン以上輸入される原油のうち大多数は海上
輸送によるものだ。また、多くの海外投資もある」と尹氏は語り、
日々拡大する海上と海外の合法的な利益を保護するために中国軍は
「海外展開」を行い、テロリストや海賊など非伝統的な脅威に対応
する力を高めなければならない述べた。
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中国の国防予算11.2%増 近代化・拡大路線鮮明に
2012年3月4日12時58分

 中国の2012年の国防予算案が前年実績比11.2%増の67
02億元(約8兆7千億円)に上ることが分かった。当初予算比で
は11.5%増。中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)
の李肇星報道官が4日に北京であった記者会見で明らかにした。
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海保警察権強化 法案を閣議決定
2012.2.28 17:56サンケイ

 政府は28日、海上保安庁による海上警察権を強化するため、海
上保安庁法と領海等外国船舶航行法の一部を改正する法案を閣議決
定し、国会に提出した。国境の離島での不法上陸などに対し、海上
保安官が警察官に代わり陸上で捜査・逮捕できる規定を盛り込んだ。
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中国、「米空母キラー」配備準備=新型対艦ミサイル−国防総省
 【ワシントン時事】米国防情報局(DIA)のバージェス局長は
16日の上院軍事委員会の公聴会で、「米空母キラー」と呼ばれる
中国の新型対艦弾道ミサイル「東風21D」(射程1500キロ以
上)について、同国が「恐らく配備準備をしている」と証言した。
 国防総省は東風21Dを、有事の際に米空母の中国近海への進出
を阻止する兵器として強く警戒。在沖縄海兵隊の分散配備計画も、
沖縄県の米軍基地を射程に入れる東風21Dの開発が一因になって
いる。米軍は東風21Dの能力を分析した上で、日本など同盟国と
も連携し、長距離攻撃能力を柱にした対中国シフトを敷く方針だ。
(2012/02/17-07:30)
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米 海兵隊フィリピン派遣で協議
2月16日 6時23分NHK 

沖縄のアメリカ海兵隊の一部をグアムに移すなど、海兵隊の再配置
を検討しているアメリカ政府は、中国が海洋進出を急ぐ南シナ海に
面したフィリピンのパラワン島に新たに部隊を派遣する方向で、フ
ィリピン政府と協議を進めていることが分かりました。
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自衛隊のホルムズ海峡派遣、法制面を検討…首相

 野田首相は10日の衆院予算委員会で、イランがペルシャ湾入り
口のホルムズ海峡の封鎖を警告していることに関連し、「日本のエ
ネルギー源をそこに頼っていることを考えれば、ホルムズ海峡で何
か起きた時を想定し、その前とその後にできることを含め、議論は
当然やっておかなければいけない」と述べた。
(2012年2月10日23時27分 読売新聞)
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米国:国防予算削減計画 アジアで連携深化 日本に新たな役割要
求も
 【ワシントン白戸圭一】パネッタ米国防長官は26日発表した国
防予算の削減計画で米軍地上兵力を10万人削減する方針を打ち出
した。中国の軍事的台頭をにらんで在日米軍を含めアジア・太平洋
地域では兵力を維持する一方、同盟国・友好国との連携を深める。
財政赤字と国内経済の低迷にあえぐ米国が単独で「世界の警察官」
を務めるのは不可能と宣言したとも言え、日本も新たな役割を求め
られることは確実だ。
毎日新聞 2012年1月28日 東京朝刊
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米、2正面戦力維持せず 国防費削減へ軍事戦略転換
2012年1月6日1時45分
 オバマ米大統領は5日午前(日本時間6日未明)、国防費の削減
にあわせた新しい軍事戦略を発表した。二つの大規模な地域紛争に
同時に対処する「2正面戦略」に必要な戦力は維持しない方針を表
明。アフガニスタンなどで泥沼化した戦争が軍事費増大につながっ
た反省から、長期的な軍事作戦を前提とした態勢も取らない。一方
、中国の軍事的脅威が増すアジア太平洋地域の戦力は増強する。 


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