4349.ギリシャ再選挙へ 連立協議が決裂



ギリシャの再選挙、ユーロ離脱が確実視される状況になり、ユーロ
離脱を見越した動きが出ている。

EUのユーロ圏17カ国は14日、財務相会合を開き、ギリシャに
財政緊縮策を計画通り実行するよう求めることを確認した。ユンケ
ル議長(ルクセンブルク首相)は会合後の記者会見で、「ギリシャ
をユーロ圏に残すことが我々の揺るぎない望みだ」と強調したが、
財政緊縮策を確実に実行することが重要として、緊縮策を緩めたと
きの対応をまだ協議していないとした。 

この緊縮策を継続させようとして、ギリシャのパプリアス大統領は
14日、再選挙回避に向けて、有識者を首相に据える「実務家内閣
」を提案したが、急進左翼進歩連合は「欧州連合(EU)などから
の支援策を維持する政権の枠組みであることは変わらない」として
、この提案を拒絶した。

このため、主要政党党首の連立協議は15日決裂し、再選挙が決ま
った。選挙管理内閣をつくった上で、6月中旬にも投開票がある。

これを受けて、ユーロ圏では、当局者がギリシャのユーロ離脱の可
能性を公然と語り出すなど、欧州の財政・金融危機は緊迫の度合い
を強めている。

 15日の欧州市場は、ギリシャの協議決裂の報道直後に主要株価
指数が軒並み急落したのをはじめ、ロンドン外国為替市場でもユー
ロが円に対して一気に60銭近く下落し、一時1ユーロ=102円
台前半まで円高・ユーロ安が進んだ。日経平均も8900円台を一
時割り込んだ。

ギリシャでは、国内の銀行からの預金引き出し額が14日までに7億
ユーロ(約710億円)に達した。

再選挙の結果次第ではギリシャ財政が完全に破綻し、ユーロ圏離脱
に追い込まれる可能性も指摘される中、預金引き出しのペースが、
今後さらに速まることも予想される。ユーロの方が新ドラクアより
価値があるために、今の内に引き出して、外国の銀行に預けるか、
自宅でユーロのまま置いておくことが個人としては有利になる。

さあ、どうような危機がギリシャやEUを襲うかが、見物になって
きた。

==============================
ギリシャの預金引き出し、約710億円に 国民に不安:日経
2012/5/16 8:07

 【アテネ=共同】連立交渉が決裂し、6月の再選挙実施が決まっ
たギリシャで、国内の銀行からの預金引き出し額が14日までに7億
ユーロ(約710億円)に達したことが15日、分かった。

 連立政権樹立に向けて調停を行っていた同国のパプリアス大統領
が14日夜、主要政党党首らに数字を示した。地元メディアは6日の
総選挙後の引き出し額だと報じている。国家の将来への不安が広が
り、資産防衛に走る国民の姿が浮き彫りになった形だ。

 再選挙の結果次第ではギリシャ財政が完全に破綻し、ユーロ圏離
脱に追い込まれる可能性も指摘される中、預金引き出しのペースが
今後さらに速まることも予想される。大統領は、金融機関の経営体
力が弱まっていることに懸念を示した。

 地元メディアによると、ギリシャ国内の銀行の預金残高は、今年
3月時点で計約1650億ユーロ。2009年に財政危機が表面化して以来
、減少傾向にある。
==============================
ギリシャ緊縮策不透明に、離脱警戒するユーロ圏

 【ブリュッセル=中沢謙介】ギリシャの連立政権協議が失敗し、
再選挙の実施が決まったことで、ユーロ圏などがギリシャ支援の前
提としている財政緊縮策の行方は一層不透明になった。

 ユーロ圏では、当局者がギリシャのユーロ離脱の可能性を公然と
語り出すなど、欧州の財政・金融危機は緊迫の度合いを強めている。

 15日の欧州市場は、ギリシャの協議決裂の報道直後に主要株価
指数が軒並み急落したのをはじめ、ロンドン外国為替市場でもユー
ロが円に対して一気に60銭近く下落し、一時1ユーロ=102円
台前半まで円高・ユーロ安が進んだ。

 ユーロ圏は14日夜(日本時間15日未明)の財務相会合で、ギ
リシャに緊縮策の着実な実施を求めるとともに、ユーロ圏として支
え続ける方針を確認したばかりだった。会合後の記者会見で、ユン
カー議長(ルクセンブルク首相)は、ギリシャがユーロから離脱す
る可能性について「一瞬たりとも想定していない。ナンセンスだ」
などと、強く否定した。

 その背景には、ギリシャ政局の混迷が深まる中、市場でギリシャ
のユーロ離脱観測が強まり、スペイン国債の利回りも上昇するなど
、欧州経済の不安定さが増す厳しい状況があった。

(2012年5月16日09時28分  読売新聞)
==============================
ギリシャ再選挙へ 連立協議が決裂
2012年5月16日0時10分

 ギリシャのパプリアス大統領による主要政党党首の連立協議は15
日決裂し、再選挙が決まった。大統領府が明らかにした。選挙管理
内閣をつくった上で、6月中旬にも投開票がある。

 同国の政治空白が長期化する中、欧州連合(EU)などからの支
援停止や、ユーロ圏離脱もさらに現実味を帯びてきた。

 パプリアス大統領はこの日、国会に議席を持つ党のうち、極右「
黄金の夜明け」を除く各党に会談を呼びかけた。共産党が出席を拒
み、5党が参加した。

 大統領は有識者を首相に据えた「実務家内閣」を提案していたが
、「緊縮策反対」を掲げる急進左翼進歩連合などが「総選挙で表さ
れた民意に背く」と、既存の2大政党との連立への反対を貫き、実
務家内閣まで論議は至らなかった。

 ギリシャは、EUなどからの融資を受けるため、6月末までに約
116億ユーロ(約1兆2千億円)分の追加緊縮策を決めることに
なっている。しかし、再選挙により遅れる可能性がある。
(アテネ=石田博士)
==============================
ギリシャ大統領、「実務家内閣」で連立提案
2012年5月15日10時48分

 ギリシャのパプリアス大統領は14日、再選挙回避に向けて、有
識者を首相に据える「実務家内閣」を提案した。しかしロイター通
信によると、急進左翼進歩連合は「欧州連合(EU)などからの支
援策を維持する政権の枠組みであることは変わらない」として、こ
の提案を拒絶し、再選挙に照準を合わせている。 

 「実務家内閣」構想は、既存の2大政党である中道右派・新民主
主義党(ND)、中道左派・全ギリシャ社会主義運動(PASOK
)に民主左派を加えた3党首との会談で出た。ND、PASOKと
の連立を拒否する急進左翼を懐柔するため、できるだけ政党色を薄
めた政権をつくる狙いとみられる。 

 ギリシャは昨年11月、2大政党が大連立した際に、元中央銀行
総裁のパパディモス氏が首相に就任。「実務家内閣」で財政再建を
進めてきた。
==============================
「ギリシャをユーロ圏に残す」強調 EU財務相会合議長
2012年5月15日8時52分

 欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国は14日、財務相会合を開
き、ギリシャに財政緊縮策を計画通り実行するよう求めることを確
認した。ユンケル議長(ルクセンブルク首相)は会合後の記者会見
で、「ギリシャをユーロ圏に残すことが我々の揺るぎない望みだ」
と強調した。 

 ギリシャは6日の総選挙で、緊縮策に反対する政党が躍進。連立
政権に向けた協議が難航し、再選挙の可能性が高まっている。この
日の財務相会合では、ギリシャへの支援を続ける一方で緊縮策の実
行を求めることを確認した。 

 ユンケル議長は記者会見で、ギリシャのユーロ圏離脱について「
この日の議題ではなかった」としながらも、ギリシャの財政赤字削
減については「状況が劇的に変化した場合、期限延長の議論を排除
しないだろう」と含みを持たせた。


コラム目次に戻る
トップページに戻る