4345.政治の空転が続く日本



消費税増税だけが話題になるが、徐々に今年の予算執行に影響する
法案の行方が気になる。

野田政権の国会空転から、国民生活に直結する数々の法案が置き去
りにされている。政府が最も気をもむのが特例公債法案で、今年度
予算の一般会計歳出約90兆円のうち約4割は国債発行によって賄
われるが、国債発行の根拠となるのが、この法案が国会を通過する
必要がある。

この法案が通らないと、9月には予算の歳出ができなくなる。この
ため、一般歳出分の予算執行が遅れている。歳出が出来なくなるこ
とを見越して、各省は歳出を絞っているようだ。

震災の特別予算で14兆円の歳出を見越して、景気が回復すると見て
いたが、この調子であると、予算の執行が出来ずに、景気回復には
ならない可能性も出てきたように思う。

この法案だけではなく、自民党・公明党などが人質にしている法案
が多数あり、この審議を行わないと、今年の景気にも大きな影響を
与えることになる。特例公債法案、原子力規制庁設置関連法案、衆
院選挙制度改革関連法案など。

民主党の輿石東幹事長は民主党所属国会議員の会合で「ダブル選挙
」を持ち出したので、衆院選挙制度改革関連法案の審議は当分行わ
ないということだとしても、残りの2法案は早く審議して通さない
と、国民生活に多大な影響を与える。

審議が進まない原因の多くが、小沢さんの問題に帰着している。小
沢さんが一審で無罪になったが、これを受けて、民主党は8日の常
任幹事会で、小沢一郎元代表の党員資格停止処分を10日付で解除
することを正式決定した。

しかし、10日には検察役の弁護士が控訴を決めて、まだ小沢さん
の無罪は確定にならなかったが、8日の解除は有効とした。

これは事前に弁護士が控訴をすることを知っていて、輿石幹事長は
解除したように思う。また、野田首相も知っていて、認めたのだ。

そして、野田首相が小沢さんを消費税増税で説得するというが、こ
の両者では、今の条件では合意できないはず。野田首相は何かの交
渉の玉を持っている必要がある。

小沢さんは大阪維新の会と連立したが、残念ながら松井知事など元
自民党の幹部たちは、小沢さんが大嫌いであるので、小沢さんが望
んでも、連立は出来ない。このため、小沢さんは民主党を離党でき
ない。

そうすると、小沢さんが出来ることは民主党での主導権を握ること
である。小沢さん個人は無罪が確定していないので、代表戦に立候
補できない。野田首相は、消費税増税を通せば、それで首相を辞め
てもよいと思っている。もう1つの条件が9月には、予算の歳出が
できなくなる。

野田さんの支持率は、20%程度であり、このまま選挙に突入した
ら、民主党は大惨敗になる。これらの条件を挙げると、1つの道が
見えてくる。

小沢さんと野田さんが合意できる条件は、消費税増税法案を小沢G
は認めるが、9月の代表選挙に野田さんは出馬しないで、両者が合
意出来る候補に相乗りして、その候補で衆議院選挙に臨むことであ
る。

これができると、自民党との消費税増税賛成の変わりに衆議院選挙
を早期に行うことという条件が揃うことになる。参院で自民党が賛
成するので、消費税増税法案、衆院選挙制度改革関連法案は成立す
ることになる。

野田さんと小沢さんが合意できる民主党の代表候補は細野環境相し
かいない。対する自民党は、谷垣さんでは無理で、安倍さんでも負
ける。自民党で民主党の細野さんに勝てるのは、小泉ジュニアか河
野太郎さんしかいないはずであり、どうなるかですね。

大阪維新の会は、おそらく7月ー8月の計画停電や大阪市の高齢者
負担増などで、失速しているはず。橋下さんのツイッターを見てい
ると、非常に正義感はあるが、ときどきトンデモ評論家の意見を聞
いてしまい、正論、常道を攻撃してしまうことで、多くの人たちが
限界を感じているように見える。それでも大阪を中心に20議席程
度は取るが、それで終わりのような気がする。

いつも、常道、正論を歩むことが必要であり、生命、食料、エネル
ギーの安全保障上の問題は、国の経済に大きな影響を与えるので、
奇道を用いてはいけないことを国民は気がつくことになると見る。

さあ、どうなりますか?

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首相、増税法案修正に柔軟 幹事長「ダブル選望ましい」
2012年5月12日1時54分

 野田佳彦首相は11日の内閣記者会のインタビューで、この日審
議入りした消費増税法案について「あくまで全力で通す」と強調し
、法案修正にも柔軟に応じる考えも示した。一方、民主党の輿石東
幹事長は衆院解散の時期について「ダブルが望ましい」と述べ、来
年夏の参院選との同日選挙を実施すべきだとの考えを明らかにした。

 輿石氏は民主党所属国会議員の会合で「ダブル選挙」を持ち出し
た。今国会での「話し合い解散」を模索する自民党と、ダブル選挙
を嫌う公明党を牽制(けんせい)する一方で、消費増税法案への反
対姿勢を鮮明にする小沢一郎民主党元代表との融和を優先して採決
の先送りを図る狙いだ。

 この発言に対し、首相は「大事なテーマをあれこれ言わない」と
言及を避けた。藤村修官房長官は11日の会見で「解散権は首相に
ある。時期を(輿石氏と)共有するような案件ではない」と不快感
を示した。
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消費増税法案:野党、批判続出も対案なく 会期中成立困難
毎日新聞 2012年05月11日 23時11分

 衆院本会議で11日から論戦が本格化した消費増税法案は、自民
党などの野党から、政府が法案に盛り込んだ「名目3%、実質2%
」の経済成長を目指す「努力目標」の取り扱いや低所得者対策など
、あいまいな制度設計に対して批判が続出した。野田佳彦首相は「
(増税論議で)民主党と自民党の前には大河があるが、渡るべき川
は深くない」と自民党に歩み寄りを求めたが、自民党側も対案を示
しておらず、6月21日までの今国会中の成立は見通せない状況だ。

 政府は増税の条件として「経済状況の好転」を法案に明記し、経
済成長の努力目標も盛り込んだ。質問に立った自民党の金子一義議
員は「増税時にデフレ脱却が必要になったが、その道筋を示してい
ない。致命的だ」と批判。野田首相は「デフレ脱却や経済活性化へ
の取り組みと一体改革は同時に進めなければならない」と強調し、
成長戦略として再生可能エネルギーの普及などに取り組む姿勢を示
した。しかし、名目成長率は91年度を最後に3%を下回り続けて
おり、努力目標の達成のハードルは高い。
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消費税だけじゃない! まだまだある置き去り法案 特例公債法案
、規制庁、選挙制度…
2012.5.10 23:22 サンケイ

 野田佳彦首相が「政治生命を懸ける」消費税増税関連法案の陰で
、国民生活に直結する数々の法案が置き去りにされている。首相が
参院で問責決議を受けた2閣僚の更迭に踏み切らず、衆院では社会
保障と税の一体改革特別委員会以外の審議がストップしているため
だ。政府・民主党が積極的に事態打開に動く気配もなく、6月21
日までの会期の延長は不可避な情勢だ。(村上智博)

夏にも財源枯渇?

 積み残しの重要法案のうち、政府・民主党が最も気をもむのが特
例公債法案だ。今年度予算の一般会計歳出約90兆円のうち約4割
は国債発行によって賄われるが、国債発行の根拠となるのがこの法
案。同法案を扱う衆院財務金融委は13時間審議しただけで3月7
日以降は停滞している。このままでは「夏過ぎには財源が枯渇する
」(財務省幹部)という危険な状況だ。

 同法案は昨年の通常国会でも大きな焦点となった。自民党が菅直
人首相(当時)の退陣を法案成立の条件に掲げ、結局、8月10日
までずれ込んだ。

 法案を所管する安住淳財務相は、消費税増税関連法案を審議する
衆院特別委の審議に張り付きとなり、6月21日の会期内の審議再
開は難しい情勢。自民党は協力の条件に衆院解散の確約を持ち出す
とみられ、成立へのハードルはなお高くなっている。

冬も電力不足?

 原子力発電所の再稼働と密接に絡む原子力規制庁設置関連法案も
手つかずだ。

 首相は7日、民主党の城島光力国対委員長に「気になっているテ
ーマだ」と懸念を示し、月内の成立を指示した。政府は再稼働手続
きで、規制庁の基準による安全確認を担保とする方針。再稼働を急
ぐ首相にとって規制庁設置は焦眉の急なのだ。

 政府は当初、規制庁を環境省の外局として4月に設置するはずだ
った。これに対し自民、公明両党は同月20日、「より高い独立性
を持たせるべきだ」として、国家行政組織法に基づく三条委員会と
する対案を衆院に提出。だが、民主党を交えた3党の実務者協議は
進んでいない。設置が遅れれば、今夏だけでなく、冬の電力需給に
も影響が出る。

解散すらできない?

 首相が「4月中に与野党合意を得る」と明言した「一票の格差」
是正などの衆院選挙制度改革関連法案も、まとまる気配がない。

 与野党協議の座長を務める民主党の樽床伸二幹事長代行は4月25
日、衆院比例代表定数の75削減や、中小政党に有利な連用制の一
部導入を盛り込んだ新たな私案を提示した。しかし、各党の主張を
切り張りした内容に野党は猛反発。民主党は大型連休明けの与野党
幹事長会談で仕切り直す予定だったが、具体的に決まっていない。

 最高裁が指摘した一票の格差の違憲状態を放置し続けて衆院を解
散すれば、選挙無効という前代未聞の事態も招きかねない。首相の
解散権をしばる可能性もあるが、9日の政府・民主三役会議で首相
は「頑張るように」と人ごとのように指示しただけだった。
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首相と小沢氏の会談調整 輿石氏「合意は可能」
'12/5/10中国新聞
 民主党の輿石東幹事長は10日午後の記者会見で、野田佳彦首相と
、消費税増税関連法案に反対する小沢一郎元代表の会談を調整する
考えを表明した。「増税に慎重な方々とも、協議すれば必ず合意形
成できる。首相、小沢氏を含めて会談を考えたい」と述べた。

 輿石氏は直接会談により増税法案をめぐる党内対立を収拾させた
い意向で、小沢氏の対応が焦点となる。民主党は10日付で、小沢氏
に対する党員資格停止処分を約1年3カ月ぶりに解除、小沢氏の役
職就任や党代表選出馬が可能となった。

 首相は10日の衆院本会議で、小沢氏の党員資格停止処分解除に関
し「党の意思決定機関で所要の手続きを踏んだ決定だ。党代表の私
も含めて全ての議員が尊重すべきだと考える」と述べ、問題はない
との認識を強調した。自民党の野田聖子氏への答弁。
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小沢氏の党員資格停止処分解除変えず 控訴受け民主党
2012年5月9日20時41分

 民主党は9日、小沢一郎元代表に対する党員資格停止処分につい
て、控訴にかかわらず10日付で解除することを確認した。党内に
は判決確定前の処分解除に慎重論もあったが、輿石東幹事長は9日
、記者団に「なぜ(処分解除を)変えないといけないのか」と否定
した。

 野田佳彦首相も9日の政府・民主三役会議で、樽床伸二幹事長代
行から処分解除について報告を受け、「分かりました」と了承した
。藤村修官房長官は9日の記者会見で「党の規約に基づいて必要な
手続きを取って行われた」と述べ、処分解除を見直す考えのないこ
とを強調した。

 小沢氏は1年3カ月ぶりに党員資格を回復し、代表選に立候補す
ることも可能になる。だが、刑事被告人の立場が続くことで事実上
、立候補は困難になるとの見方が広がっている。側近も「出馬は難
しくなった」と述べた。
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小沢氏の党員資格停止解除を正式決定 民主党常任幹事会
2012年5月8日20時52分

 民主党は8日の常任幹事会で、無罪判決を受けた小沢一郎元代表
の党員資格停止処分を10日付で解除することを正式決定した。小
沢氏は消費増税法案への反対姿勢を強める構えで、野田佳彦首相は
党内に大きな火種を抱えたままの政権運営を強いられる。

 輿石東幹事長は即日解除する方針だったが、常任幹事会で生方幸
夫衆院議員が「裁判は確定しておらず、待ってから結論を出すべき
だ」と主張したため、指定弁護士による控訴期限の10日付とした
。ただ、控訴された場合でも同日付で処分を解除する。

 小沢氏に増税法案賛成の確約を求める意見もあったが、結局は条
件をつけなかった。輿石氏は終了後、「合意形成できるよう汗をか
いていきたい」と記者団に強調したが、小沢グループが反対姿勢を
強めるのは確実で、法案の成否は見通せない。


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