4341.ギリシャの選挙結果



ギリシャの総選挙が6日投開票され、大連立で財政再建を進めてき
た2大政党が惨敗し、わずかながら過半数に届かなかった。ギリシ
ャ国会は一院制で定数300であり、過半数は151議席であるが
、2党で149議席であった。

このため、第1党となった中道右派・新民主主義党(ND)が連立
工作をしたが、NDのサマラス党首は7日夜、「最善を尽くしたが
、各党に参加を拒まれた」として連立協議の失敗を表明した。政権
づくりの主導権は、反緊縮策を掲げて第2党に躍進した急進左翼進
歩連合(SYRIZA)に移った。

憲法の規定では、第1党の組閣が失敗した場合は第2党が、それも
だめなら第3党が連立をめざすが、なお無理なら再選挙となる。

第2党のSYRIZAに移り、ツィプラス党首は「左派を軸に反緊
縮派の連携」を目指し、民主左派、共産党や独立ギリシャ人との連
立政権樹立を視野に入れる。「支持を失った2大政党が政権を保つ
のは法に反する」と批判したツィプラス党首ではあるが、連立政権
を作ることは難しそう。

これら4党合計でも130議席にとどまり、安定した連立政権の樹
立に必要な過半数には届かない。その上、共産党は「SYRIZA
とは立場や戦略に共通点がない」(パパリガ党首)と協力拒否の構
えだ。

このように、第2党が連立工作に乗り出すが、実現は容易ではなく
、6月に再選挙になるとの観測も出始めた。

しかし、ギリシャ総選挙の結果を受け、7日の金融市場では株とユ
ーロが一時、急落し、イタリアやスペインの国債価格も下落(金利
は上昇)した。欧州の緊縮財政路線が見直しを迫られ、政府債務(
借金)危機が再燃しかねない、との見方が広がった。

日経平均株価の終値は261円11銭(2.78%)安い9119
円14銭だった。

ギリシャ国民は、ユーロ圏にとどまり、財政の立て直しと経済成長
を両立させよとの難題を市民がつきつけたが、そのようなマジック
はなく、6月の選挙以後は、ギリシャはユーロ離脱に進むことにな
ると見る。

ユーロ圏維持のND、PASOKが過半数を制することが出来なか
ったことで、次回選挙は、益々不利になる。

さあ、どうなりますか?

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6月に再選挙も=連立協議難航で−ギリシャ
 【アテネ時事】総選挙を終えたギリシャで連立政権の枠組みをめ
ぐる各党の協議が難航している。最大議席を得た第1党が調整に乗
り出したが、緊縮財政策などに対する立場の違いを埋められず失敗。
第2党が連立工作に乗り出すが、実現は容易ではなく、6月に再選
挙になるとの観測も出始めた。
 6日の総選挙では、緊縮策を進めた連立与党が大敗し、23年ぶ
りに単独過半数(151議席)を制した政党が出なかった。このた
め、108議席を得た第1党の右派・新民主主義党(ND)のサマ
ラス党首が7日、大統領の要請を受けて連立政権発足に向け、各党
党首と個別会談に臨んだ。
 第3党の左派・全ギリシャ社会主義運動(PASOK)のベニゼ
ロス党首は、一定の条件付きながら「救国内閣の提案を受け入れる
」と表明。だが、反緊縮を掲げ第2党に躍り出た急進左派連合
(SYRIZA)は拒否。サマラス氏は1日もたたないうちに組閣
断念に追い込まれた。
 これを受け、組閣の主導権は8日に第2党のSYRIZAに移る
。ツィプラス党首は「左派を軸に反緊縮派の連携」を目指し、民主
左派、共産党や独立ギリシャ人との連立政権樹立を視野に入れる。
だが、これら4党合計でも130議席にとどまり、安定した連立政
権の樹立に必要な過半数には届かない。その上、共産党は
「SYRIZAとは立場や戦略に共通点がない」(パパリガ党首)
と協力拒否の構えだ。(2012/05/08-14:31)
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ギリシャ第1党が連立断念 再選挙の可能性高まる
2012年5月8日10時38分

 6日投開票のギリシャ総選挙で第1党となった中道右派・新民主
主義党(ND)のサマラス党首は7日夜、「最善を尽くしたが、各
党に参加を拒まれた」として連立協議の失敗を表明した。政権づく
りの主導権は、反緊縮策を掲げて第2党に躍進した急進左翼進歩連
合に移るが、各党の隔たりは深く、再選挙の可能性が高まっている。

 サマラス氏は7日、大統領から組閣を命じられて各党首と会談した。

 大連立を組んで財政再建を進めてきた中道左派・全ギリシャ社会
主義運動(PASOK)は協力を表明。しかし、急進左翼や民主左
派など、緊縮策反対を掲げた各党は「民意に背く」として連立参加
を拒んだ。

 ND離党組の新党「独立ギリシャ人」は「NDとは組まない」と
会談自体を拒んだ。極右「黄金の夜明け」には、ND側が会談を設
定しなかった。

 憲法の規定では、第1党の組閣が失敗した場合は第2党が、それ
もだめなら第3党が連立をめざすが、なお無理なら再選挙となる。
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南欧の国債下落 東証は今年最大の下げ
2012年5月7日20時32分

 仏大統領選とギリシャ総選挙の結果を受け、7日の金融市場では
株とユーロが一時、急落し、イタリアやスペインの国債価格も下落
(金利は上昇)した。欧州の緊縮財政路線が見直しを迫られ、政府
債務(借金)危機が再燃しかねない、との見方が広がったためだ。

 東京外国為替市場の対ユーロの円相場は、午後5時時点で連休前
の2日同時刻より1円90銭円高ユーロ安の1ユーロ=103円
92〜96銭。約3カ月ぶりに103円台に急落した。

 東京株式市場は円高ユーロ安で輸出企業の業績が悪くなるとの懸
念から、東京証券取引所第1部に上場する企業の約9割の株価が下
落。日経平均株価の終値は2日終値より261円11銭(2.78
%)安い9119円14銭だった。2カ月半ぶりの安値で、下げ幅
は今年最大だった。フランスやドイツ、スペインの株価指数は前週
末と比べ一時2%前後下落。ギリシャの株価指数は一時約8%急落
した。

 欧州債券市場では、財政再建が遅れるとの心配から、財政不安を
抱えるスペインやイタリアなどの国債利回りが上昇。一方でドイツ
国債は買われて利回りが低下した。
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ギリシャ総選挙、連立与党過半数割れ 反緊縮左派が躍進
2012年5月7日13時42分

 欧州の債務(借金)危機の発端ギリシャの総選挙が6日投開票さ
れ、大連立で財政再建を進めてきた2大政党が惨敗し、わずかなが
ら過半数に届かないことが確実になった。緊縮策への国民の抵抗は
強く、債務返済の拒否を訴えた左派政党が第2党に躍進した。

 20%を超える失業率や増税、不況の深刻化などで2大政党の退
潮が際立った。今後、連立交渉が長引いたり、政局が混乱したりす
れば、欧州危機の新たな火種となる可能性がある。

 ギリシャ国会は一院制で定数300。開票率98%の段階で、2
大政党の中道右派・新民主主義党(ND)と中道左派・全ギリシャ
社会主義運動(PASOK)の得票率は3割余り。解散前に両党で
200を超えていた議席は激減。首位の党に50議席が上乗せされ
る仕組みを使っても149議席にとどまりそうだ。

 支持を伸ばしたのは、反緊縮策を掲げて国民の不満を吸収した小
政党。「債務返済の拒否」を唱えた「急進左翼進歩連合」が第2党
の座を固めた。ND離党組が結成した緊縮策反対の新党「独立ギリ
シャ人」や欧州連合(EU)脱退を訴える共産党とあわせて100
を超す議席を得そうだ。

 また移民の排斥などを唱える極右政党「黄金の夜明け」が都市の
貧困層を中心に支持を広げ、20前後の議席獲得が予測されている。

 今後の焦点は連立協議の行方だ。国際社会の支援をつなぎとめる
条件である財政再建に取り組んできたNDのサマラス党首と
PASOKのベニゼロス党首はそれぞれ「ギリシャをユーロ圏にと
どめるため」として各党に連携を求めた。

 一方で、急進左翼進歩連合のチプラス党首は「支持を失った2大
政党が政権を保つのは法に反する」と批判。財政規律を重んじるド
イツのメルケル首相を「あなたのやり方は失敗した」と名指しで非
難し、反緊縮の勢力での連立を呼びかけた。

 憲法の規定では、まず第1党が連立協議を進めて組閣を目指す。
不調に終われば第2党が、それでもだめなら第3党が協議を主導す
る。なお組閣に至らなければ再選挙となる。

 現状では、2大政党が新たな連立相手を見いださなければ安定政
権は望めない。ギリシャ政府は、2014年までの115億ユーロ
(約1兆2千億円)分の追加の緊縮策をまとめると決めており、6
月中という期限が迫っている。(アテネ=石田博士、玉川透)
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財政緊縮策に「待った」 仏・ギリシャ、有権者の判断
2012年5月7日13時16分

 6日のフランス大統領選とギリシャ総選挙は、欧州各国で財政の
緊縮策に拒否反応が強いことを象徴している。かといってドイツを
中心に進めてきた緊縮策を放棄できるわけではない。財政の立て直
しと緊縮を両立させよとの難題を市民がつきつけた。

 二つの選挙結果に金融市場は敏感に反応した。7日朝の東京外国
為替市場では、ユーロがドルや円に対して売られる先週来の欧米の
流れが続き、株価も下げた。欧州の政府債務(借金)危機の克服に
、不透明さが増したとみなされた。

 「成長」を目指すとしても実現するとは限らない。むしろ財政の
健全化が遅れ、債務危機が深まる恐れさえあるとの不安がつきまと
う。金融大手JPモルガン(ロンドン)のパバン・ワドワ氏は「欧
州が緊縮から成長志向へと転換すれば多くの投資家が、神経質にな
るだろう」と話す。

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