4337.金正恩体制の将来



金正恩体制の将来
ふる@鶴川 

 ミサイル発射失敗。翌日の金日成生誕100年祭の際の金正恩の棒読み演説で、 
「金正恩体制は長くは持たず、いずれ韓国に統一されるだろう。」という意見が 
チラホラしているが、筆者は韓国との統一の可能性は少ないと思える。 

<そもそもに、韓国は本気で北との統一を望んでいるのか?> 
 統一は民族の悲願であり、北朝鮮が韓国に統合されるのが国際的に一番落ち着 
くところと考えるのが自然である。 
 しかし、この選択は周辺国が一番望んでいない。 

『韓国』 
 民族統一の悲願が達成されるが、北と吸収統一することは、北の前近代的なイ 
ンフラ整備と、南北の経済格差の解消のため財政支出はとても韓国経済が持たな 
い。 

『日本』 
 韓国だけでもやっかいな反日国家であったのに、半島に強力な反日国家ができ 
れば、ますます、中共・韓国はその点で日本にアジアのイニシアチブを取らせま 
いと連携するから、統一後には日韓の政治・外交での対立が深まるだろう。 
 一方、過去に日本が韓国に対して行った潤沢な支援は財政赤字の日本には不可 
能。それ以上に、若者に芸能絡みで好韓者が増えても、竹島、従軍慰安婦、日本 
海問題と政治的に反日姿勢を見せるため韓国への嫌韓国民が根付いているのも大 
きな障害になるだろう。 

『中共』 
 この国が一番朝鮮半島での統一を望まない国になる。 
 中共にとっては北朝鮮の消滅は緩衝地帯が消え、アメリカの影響力を受けてい 
る国と隣接することは安全保障上望ましくない。 
 北崩壊後の中共の対応の鍵は、中共の経済状況次第。今、独裁共産党への国民 
の不満は、かろうじて経済成長で押さえられているが、経済状態が悪化して人心 
が不安定になった時には、抑圧されている非漢民族の政治的揺さぶりが中共の懸 
念となるだろう。 
 特に、北朝鮮の国境に接する朝鮮族地域は、統一韓国と結びついて政治的独立 
などで治安悪化の懸念がある。 
 また、その治安悪化押さえる「飴」として、東北地区開発(旧満州)には、日 
本海に通じる羅津港などの貿易・軍港がほしいが、統一韓国になってその恩恵が 
得られるか不明な点で、中共が意のままに操れる北朝鮮国家存続が望ましい。 

 金独裁体制にとって、今後も中共に援助を頼る体質からの脱却の理由が見つか 
らない。 
 しかし、金一族の独裁体制が続く限り北朝鮮の自力更生など不可能。何もでき 
ない分、失敗に対する権力闘争の草刈り場が続き、住民の生命は天候任せになっ 
て飢餓状態は続く。 

 瀬戸際外交、先軍政治の限界を超えている現段階で権力闘争がより激しくなれ 
ば、飾りに過ぎない正恩体制の崩壊は時間の問題。 
 中共が北の国家としての崩壊を恐れれば、北の要請と称して解放軍を北朝鮮に 
侵攻させ、正恩を降ろして独裁体制政治を終わらせ、中国寄りの改革開放で金一 
族の「神格統治」から通常の社会主義集団指導体制に体制変化をもたらし中共の 
傀儡国家が誕生するはず。 

その後は、 
 1.中共の衛星国家として生き残る。 
 2.拡大朝鮮自治区として中共に併呑される。 
 3.中共の経済崩壊から韓国に統一される。 

 北が生き残るには、中国が経済破綻をしないことが前提である。それと、現在 
熾烈な権力闘争が行われている中共指導部で、今後、改革・保守派のいずれが実 
権を握るかによっても情勢が変わってくるだろう。 

 保守派が握れば、韓国との緩衝地帯としての北朝鮮は残すか自治区に移行し、 
羅津港は日本海の入り口として、ロシア、日本・アメリカに対峙する軍港として、 
戦略的な要衝になる。 
 一方、改革派が握れば、軍事よりも経済優先で、先の日本海の港湾は中国資本 
で整備され、半島と日本海経由の二本立てで物流の道ができ、中共東北区の発展 
に寄与するようになる。 

==============================
韓国で航空機GPSに障害 北朝鮮の攻撃か
2012年05月02日17時57分?聯合ニュース

【ソウル聯合ニュース】韓国国土海洋部は2日、韓国首都圏を中心
に先週末から、航空機の衛星利用測位システム(GPS)に障害が
起きていると明らかにした。

 同部は「4月28日午前6時14分ごろから、首都圏を運航する
航空機でGPS信号のかく乱が発生している。5月2日午前10時
40分までに、延べ252機でかく乱信号が発生した」と説明した。
仁川空港と金浦空港を離着陸した航空機のほか、京畿道・烏山や忠
清南道・泰安などの朝鮮半島中部でも発生しているという。

 かく乱の被害があった航空機は、韓国の航空会社7社の241機
と、外国の航空会社9社の11機。主に午前6時から午後11時の
間に発生した。ただ、GPSシステムに障害があっても、別の航法
装置を利用するため、航空機の運航は正常通りという。

 同部は4月28日にGPSを利用する航空機に注意を呼びかける
とともに、韓国の放送通信委員会に状況を届け出て調査を要請した。

 今回のGPS障害は、北朝鮮による攻撃の可能性も指摘されている。



コラム目次に戻る
トップページに戻る