4323.正恩はお飾りじゃないだろうか?



ふる@鶴川 

 若き「正恩」氏が北朝鮮の指導者になって、体制に変化があるのでは?という 
論調が見られるがどうだろう?期待値としては判るが、権力基盤無き若い指導者 
など、側近達のお飾りに過ぎないのではないかと思う。 

 独裁国家の内情など知ることは出来ないが、北朝鮮は共産主義者が権力闘争を 
繰り広げる独裁国家とは異質の、まさに金王朝独裁国家である。それならば、権 
力者の交代はアジアの宮廷権力闘争の歴史を振り返れば判る。 

 例えば、階級がはっきりしていた日本の武家政権であっても、就任間もない若 
い藩主よりも、旧臣の家老達が権力を束ねていたことが明らかだ。若い藩主が実 
権を握るのは、旧臣達が世を去り、自分の子飼いの側近が権力を継承してから始 
めて実権が得られる。 
 このことは、金王朝独裁政権も同じはずである。長男の「正男」のように長ら 
く権力内にいたならば掌握も可能かもしれないが、「正恩」のように国家権力内 
での経験が短かければ、[金正日」の旧臣達に権力基盤は握られているのは明か 
であって、彼が、自らの意志で国家戦略を担うことなど遙か先の話である。重要 
事項や今後の政治・軍事戦略はすべて側近達の筋書きで行われていくだろう。 

 そもそもに、爺さんの「金日成」に似せられた格好をさせられていることから 
お飾りだろう。案の定、彼は機構的には国家の頂点に立ったことになっているが、 
当然新設されたポストに就任している。ほとんど名誉職じゃないか? 
 それでも、後継者としての存在を見せつけることがるのかと思ったが、昨日の 
彼の演説にはガッカリした。身体を揺すりながらの演説は、棒読みで威厳などあっ 
たものじゃない。 
 「ガルマの国葬」でのジオン公国の「ギレン・ザビ」の演説を参考にできんの 
か! 

 国家として破綻し、中共の支援で生き延びているゾンビ国家の北朝鮮にとって、 
今後、国として生き残るには、中共のように改革開放しか無いことは誰でも判る 
ことだ。しかし、その決断、改革開放に踏み切れば「神格化統治」を続けて来た 
そ金王朝の終焉を意味する。 

 その正論を説いたのは長男の「正男」だ。しかし、「金正日」は「正男」は中 
共に近いので、中共を信じない金正日は後継者から遠ざけたのだろう。 
 「金正日」が生きていれば、「院政」を引きながら徐々に権力を「正恩」に譲っ 
ていったと思うが、最大の支援者を失った「正恩」は、金正日の旧臣達のお飾り 
に過ぎないのは当然でしょう。
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スクープインサイド 三代目は単なるお人形さん狂乱の北朝鮮金正
恩は操られている
2012年04月16日(月) 週刊現代

 金日成軍事総合大学で学んでいた頃、金正恩には二人の「教育係
」がついていた。金正日総書記の死後、急速に台頭したこの二人は
、金正恩を意のままに操り、北朝鮮をわがものにしようとしている。

 ここに来て、北朝鮮国内でもミサイルの発射に懸念を示す勢力が
いたことが明らかになった。外交に従事するテクノクラートたちで
ある。彼らの懸念と金正恩の「発射宣言」までの行動を辿っていく
と、正恩の背後に潜み、若き指導者を操ろうとする人物の姿が浮か
んでくるのだ。

〈人工衛星『光明星3号』を4月に打ち上げるのは時期尚早です。い
まはアメリカとの間で、食糧支援に関する合意が結ばれたばかりで
す。その直後に人工衛星を打ち上げれば、アメリカだけでなく、各
国も反応し、わが国は不利益を被ることになるでしょう〉

 金正恩がミサイルの発射を宣言する直前、北朝鮮の外務省は、正
恩大将に向けてこんな「嘆願書」を送っていた。国際社会の反応を
予想した、強い懸念が窺える。韓国外商部の高官が明かす。

「北朝鮮の外務省は、『せめて発射するなら、5月以降の方が問題は
大きくならない』とも進言したようです。従来であれば、金正恩に
意見をすることなど、畏れ多くて簡単にできることではない。しか
し、対外関係の悪化を懸念した外務省の高官らは、決死の覚悟でこ
う訴えたのです」

 そもそも北朝鮮の外務省は、「太陽節を迎える前に、アメリカか
ら食糧の援助を受け、盛大にこれを祝う準備をしなければならない
」という正恩直々の指示を受け、アメリカとの交渉に当たっていた
のである。

 2月末、ようやく合意がなされた直後に「ミサイル発射宣言」が伝
わったのだから、外務省はこの矛盾する正恩の指示に、戸惑いを覚
えずにはいられなかった、とこの高官は語る。

「少なくとも対外方針に変更がある場合、事前に正恩から外務省に
対して通達の『お言葉』があるはず。しかし、外務省にはそれすら
もなかった」

 対米関係の改善を命じておきながら、もう一方ではアメリカや世
界を挑発する。いくら正恩が経験不足の指導者だからといって、こ
んな矛盾した行動にでるはずがない。韓国の外務官僚から見れば、
北朝鮮の「奥の院」で外交方針をめぐるなんらかの混乱が生じてい
ることは明らかだった。

金正恩には知らされていない

 中国で北朝鮮問題を分析する高官の一人も、発射直前の正恩の行
動に不可思議な点があった、と明かす。

「昨年10月、まだ金正日総書記が存命だったとき、李克強・副首相
が平壌を訪問し、食糧支援を巡る協議を行った。『わが国は現在、
食糧不足、物資不足に喘いでいる。来年の太陽節を盛大に祝うため
にも、中国からの食糧、原油、化学肥料の支援を増やしてほしい』
と訴える金正日総書記に対して、李副首相は『わかりました。胡錦
濤主席に伝えて、努力してみます』と返事をして、国に持ち帰った
。金総書記が亡くなったのは、ちょうど中国側がこの援助要請にど
う返事をするか検討している最中だった」

 金正日総書記の死後も、中国側がこの援助要請への返答をしない
ままでいると、痺れを切らした金正恩から、中国に次のような催促
が届けられたという。

「以前要請した援助の件はどうなっているだろうか。食糧情勢に変
化はなく、中国からの支援を期待している」

 北朝鮮の窮乏ぶりを感じ取った中国は、さすがにこの懇願を反故
にすることはできず、「太陽節に向けて援助を増やす方向で検討す
る」と北朝鮮側に伝えた。金正恩も、この返答に感謝する旨のメッ
セージを送ってきたという。

 ところが、その直後にミサイル発射の宣言が行われたのである。
中国側の戸惑いは想像に難くない。

「二度にわたって支援を要請してきた北朝鮮が、何の連絡もなしに
ミサイル発射実験を行うとは考えられなかった。そんなことをすれ
ば、こちらで検討していた食糧援助が中止されることぐらいは分か
っているはずだ」(同中国高官)

 中国はこのとき「ミサイル発射実験は、金正恩ではなく別の人間
の意志によって進められている」と確信したという。つまり、金正
恩は別の権力者に操られている可能性がある、ということだ。そし
て分析を重ねるうちに、ある結論にたどり着いた、とこの高官は説
明する。

「北朝鮮外務省による発射延期≠フ進言は、金正恩によってでは
なく、二人の軍人によって却下されていたことが分かった。李英鎬
・朝鮮人民軍総参謀長と、金英徹大将がその人だ。進言が金正恩に
たどり着く前に却下されたことから、実質的な決定は、軍に多大な
影響力をもつこの二人によってなされている可能性が高い」

 李英鎬・人民軍総参謀長と金英徹大将。この二人は長年、金正恩
の教育係として仕えてきた人物である。その二人が金正恩王朝にな
って頭角を現し、平壌の奥の院を牛耳るようになっている、という
のだ。

 韓国国防部幹部が、この二人の人物について、こう説明する。

「李英鎬は、スイス留学を終えた金正恩に帝王学を教え込むため、
金正日総書記直々の命で正恩の教育係に任命された。金正日総書記
が死去し、正恩がその後を継ぐやいなや、正恩の右腕としてあらゆ
る式典や視察に同行している最重要人物の一人。現在、正恩の一日
の行動や視察日程などはすべて彼の仕切りで決まっており、正恩は
ただ彼の言うことに従うのみだと伝わっている。

 一方の金英徹も元々は正日総書記の懐刀で、しばしば他国との会
談に同席を命じられていた。『英徹さえそばにいれば、すべて上手
くいく』と褒められるほど、総書記のお気に入りだった。英徹は同
じく金正恩がスイス留学後、金日成軍事総合大学に通い始めた後、
正恩に軍事教育を施したとされる。今年2月15日に上将から大将に昇
進し、正恩の信頼も厚い。3月5日、金正恩が韓国との軍事境界線近
くの板門店を視察した際、金英徹がその横にぴたりとくっついて歩
いていたと報告されている」

 正恩の教育係であったこの二人は、正恩が軍部内で確固たる基盤
を確立していないことを危惧していた。軍部が安定しないままでは
、金正恩体制は覚束ない。そこで、正恩にこう伝えたのである。

「大将様、わが国は太陽節を迎えようというのに、経済も食糧事情
も改善しません。このままでは盛大にお祝いすることができません
。もっとも恐ろしいのは軍部の突き上げです。不満分子が『大将は
なにも成果を挙げていない』と漏らすかもしれません。そこでミサ
イルを発射することで、彼らの不満を解消し、忠誠を誓わせなけれ
ばならないのです」

殺された人民武力部副部長

 執務経験に乏しい正恩は彼らの言葉に耳を傾け、ただ頷くよりほ
かなかった。そして、「人工衛星発射」が宣言されたのである。

「李英鎬と金英徹にとって、ミサイルの発射は悲願だった。正恩は
金日成軍事総合大学の砲兵科で学び、卒業論文は『GPSによるミサイ
ル誘導』であったが、このときの指導教官が李英鎬だった。李英鎬
にとって今回のミサイル発射は、自分の教育の成果を内外に見せ、
その力を誇示する絶好の機会、というわけだ。現に、李英鎬は4月25
日に行われる朝鮮人民軍建軍80周年までに、元帥に昇格することが
予想されており、ミサイル発射はそのハクをつけるためにも、必要
なことなのだ。

 一方の金英徹もミサイルとは縁が深い。金正日総書記が'09年にテ
ポドン2号を発射したその20日後、金英徹は総書記とともに、ミサイ
ルを管轄する人民軍第851部隊を視察している。アメリカや韓国にも
攻撃的な姿勢を示しており、以前より『わが国のミサイルがアメリ
カにまで届くことを証明する必要がある』と力説してきた」(前出・
韓国国防部幹部)

 軍内部での求心力を高め、そして自分たちの力を誇示するために
も、ミサイル発射は必要不可欠だったのである。

 ミサイルだけではない。正恩体制を確固たるものとするため、彼
らは政敵の追い落としにも尽力してきた。中国外務省高官が明かす。

「1月下旬に北朝鮮内で、人民武力部副部長が粛清されたという情報
が流れた。各国の機関が真偽の確認に追われたが、中国はこれが李
英鎬の指令によって行われたものだと把握している。殺された人民
武力部副部長の上官が、李英鎬と長らく権力闘争を繰り広げてきた
、金永春・人民武力部長だからだ」

 金正日総書記の片腕として数々の軍事・テロ作戦に関わってきた
金永春は、'09年以降、李英鎬と出世競争を繰り広げてきた。朝鮮人
民軍の内部は、金永春派と李英鎬派に分かれ、「仁義なき権力闘争
」を展開してきたのである。

 そして、ついにその権力闘争に終止符が打たれようとしている。
1月下旬、李英鎬は金正恩に「大将様に忠誠を誓っていないものが軍
内にいる」と進言し、金永春の部下である人民武力部副部長を粛清
したのだ。

「金永春はこの粛清に震え上がったと聞く。実際、4月25日までの間
に、李英鎬は永春を粛清、あるいは失脚させるのではないか、とみ
られている。粛清にはいたらなくとも、李英鎬が元帥に昇進すれば
、金永春は今後置物のようにおとなしくしているしかなくなるだろ
う」(同高官)

傀儡政権と脅迫外交

「人民軍の鉄のような意志によって、正恩大将は党の最高位に就任
されるのである!」

 李英鎬は先頃開かれた人民軍代表会において、高らかにこう宣言
した。4月15日の金日成生誕100周年に向けて、金正恩を国の最高位
である党総書記に就任させるという、強い意志を内外に示したのだ。
同時にこれは、李英鎬による権力闘争の勝利宣言でもあった。政敵
をも追い落としたいま、金正恩を頂においた「傀儡政権」は完成に
向かいつつあるのだ。

 スイスのル・マタン紙は先日、金正恩の学生時代の成績表を公開
し、「体育、音楽以外、成績はイマイチであった」ことを明らかに
した。落ちこぼれ≠ェ国を主導するよりは、傀儡であったほうが
よっぽどマシなのかもしれないが、しかし李英鎬や金英徹も、国際
社会を混乱に陥れようとする「危険人物」であることにかわりはな
い。

「特に李英鎬は核兵器の使用や実験に関する権限を握っており、李
総参謀長が北の権力をほぼ掌握したとすれば、今後は核による脅迫
外交を行う可能性が高い。さらに、昨年11月下旬にイランの国防関
係者が訪朝した際、李英鎬は彼らと核開発技術についての情報交換
を行った可能性が濃厚で、今後は核技術の流出が懸念される事態と
なる。粛清によって北朝鮮国内が安定したとしても、対外的にはよ
り危険な方向を歩む可能性を懸念している」(前出・中国外務省高官)

 4月4日、中国政府は銭利華・中国国防省外事弁公室主任を団長と
する中国人民解放軍の代表団を平壌に派遣した。中国はミサイル発
射への強い懸念を示し、発射を断念させようと、最後の賭けに出た
のだ。

 これまで中国は、北朝鮮国内が安定するのなら、正恩が国を治め
ようが傀儡だろうが関係ないという態度をとってきた。ところがこ
こにきて、介入を強める必要が出てきたのである。それは、ある意
外な事情からだと前出の中国外務省高官は漏らす。

「中国国内でこれほどまでミサイル発射への懸念が高まっているの
は、福島第一原発の事故がきっかけとなっている。あの事故以来、
中国でも反核≠フ動きが活発となっており、北朝鮮の核開発問題
にも、国民が強い関心を示すようになった。北朝鮮は'06年と'09年
の過去2回、ミサイル発射の後に核実験を行っている。李英鎬が実権
を握っている以上、今回の発射実験の後も核実験に乗り出すだろう
が、北が核実験を行えば、中国にも放射性物質が飛んできて、汚染
されるのではないかという恐怖心が芽生えているのだ」

 今年指導者の交代が行われる中国では、どんな些細なことであっ
ても国内で騒動が起こることは避けたい。北朝鮮が核実験を行えば
、国内で抗議運動が起こることも十分に考えられる。この混乱を予
防するためにも、「核実験の芽」を摘んでおきたい---それが中国の
本音なのである。

 しかし、北朝鮮側は中国の再三の警告にも聞く耳を持とうとして
いない。中国の最後の賭けも、失敗に終わった。ミサイル発射は誰
にも止められない。

 4月3日、日本列島が暴風雨に見舞われたこの日、朝鮮半島も季節
外れの強い冷気に襲われ、北朝鮮では数十年ぶりとなる4月の大雪が
降っていた。

 平壌市内では10cm以上もの積雪が観測されたが、北朝鮮の権力者
たちは、この雪を見てこう歓喜したという。

「春も間近というのに、雪が降るとは。太陽節を前に、天がわが国
のこれからを祝福してくれているのだろう!」

 傍から見ればただの偶然であっても、いまの彼らにしてみればす
べてが「祝い事」となるのだ。どこまでもおめでたいこの国に、国
際社会はいつまで振り回され続けなければならないのだろうか。


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