4320.正恩氏はミサイル失敗でどうなるか?



北朝鮮では、「主体思想」の国際大会最中で、このミサイル成功で
この大会を盛り上げ、世界からのロケット発射取材の報道陣、主体
思想国際大会のデビ婦人などの参加者たちに、金正恩氏の国防委員
会第一委員長就任と党の第一書記就任と合わせて、顕示しようとし
たのであろう。   Fより

事実上の国防委員長である国防委第一委員長に就任したことで、
2009年1月に始まった3代世襲の手続きが、3年3カ月で完了したこと
になる祝いの席に世界から多くの人を集めて、ミサイルの成功とと
もに祝杯を挙げるはずであった。

しかし、うまくいかなかった。この原因は、金正恩氏の性格がそう
させたように感じる。金正恩氏はお坊ちゃま君の性格と見る。甘や
かされて育ち、自分の言うことが全て実現できると思っているよう
だ。

そして、他人の言うことを聞かないようである。無理な指示を出し
続けている。この金正恩氏に意見が言えるのは、叔母の金敬姫氏か
その夫の張成沢氏しかいない可能性がある。このため、反対意見を
皆が張成沢氏に繋いで、金正恩氏を説得するしかないことになって
いる。このため、張成沢(チャン・ソンテク)氏が朝鮮労働党政治
局委員でナンバー2の国防委員会副委員長に留任したのだ。

この性格で、2009年のデノミを失敗し、今回のロケット発射失敗に
もなっている。韓国国防省の発表によると 2012年4月13日午前7時
39分頃打ち上げられ、ロケットはマッハ4.4(時速5400キロ)で飛行
していたが、7時41分に高度151キロで分解した。というように3段
ロケットを成功させるのは、いくら優秀な技術者でも大変である。

また、米政府当局者は今回の失敗について「これまでの制裁で、ミ
サイルの重要な精密部品の入手が困難になったのが一因ではないか
」と語っている。

別のミサイル専門家は「十分な地上実験を繰り返せば防げる初歩的
なミス」と指摘している。エンジンに改良を加えたときに起きやす
いのが「振動燃焼」。エンジンの形状を変更した場合、異常な振動
が起きてエンジンを爆発させることがあるという。

ということは、精密部品もなく、地道な地上実験ができずに、今ま
でより長距離のミサイルを要求されたのであろう。他人の言うこと
を聞かない金正恩氏の指示なのでしょうね。専門家の意見を聞かな
いことはデノミからである。

この性格であると、韓国海軍哨戒艦天安撃沈や韓国の延坪島(ヨン
ピョンド)砲撃などのテロ活動的なことは成功するが、技術的なこ
とには成功しないように思う。

もう1つの観点は、北朝鮮は「衛星」と称する長距離弾道ミサイル
発射の「失敗」を認める異例の発表をした。しかし、それまでには
4時間半の「空白」もあり、この沈黙は何を意味するのかが重要で
ある。

北朝鮮は「平和的利用」をアピールするため、外国人記者や専門家
を招き、ミサイルや管制センター、さらに「衛星」と称する装置ま
で公開した。午前8時前には、平壌市内のプレスセンターで、外国
人記者らが「失敗か」と北朝鮮側担当職員に詰め寄った。

失敗公表は正午すぎ。中央テレビは午後0時11分に番組を中断、
アナウンサーが失敗のニュースを読み上げ、40秒ほどで元の番組
に戻った。十分準備した発表でないことを印象付けた。

朝鮮半島研究者の重村智計早稲田大教授は、「責任の押し付け合い
から政権内で勢力争いが始まる可能性がある」と述べた。

そして、北朝鮮当局が今後、「正恩氏の反対勢力などによるサボタ
ージュ」として責任転嫁を図る一方、国民向けには失敗しても機体
を自ら爆破させたと「技術」をアピールする可能性が高いとの見方
を示した。

この権力闘争というより、叔母の金敬姫氏かその夫の張成沢氏が、
いつ、我儘な金正恩氏を見放すかであり、このとき、北朝鮮は2大
勢力に分割される。今回の軍部の人事でも世代交代がほとんどなか
った。このため、張成沢氏の勢力が温存されている。金正恩氏の勢
力はまだ少ない。骨肉の争いになる予感がする。

また、韓国軍は同日、ミサイル1段目が落下する見通しだった黄海
にイージス艦「世宗大王」を展開し不測の事態に備えた。最終的に
約20個の破片が、黄海で韓国の西沖合100〜150キロの公海
上の広い範囲に散らばった。イージス艦「世宗大王」は残がいの捜
索に当たっている。

この黄海の水深は平均で約40メートルで、回収は現実的だとみられ
ている。韓国政府の消息筋は「残がいを通じ、北朝鮮の長距離ミサ
イルに関する高度な技術情報を得ることができる」と期待を寄せて
いる。また、現場には、韓国以外にも、中国、ロシア、米国がロケ
ットの捜索を始めているという。 

さあ、どうなりますか?
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北朝鮮、打ち上げを甘く見た?…専門家指摘

 北朝鮮の弾道ミサイルが爆発し、打ち上げに失敗したことについ
て、専門家は「十分な地上実験を繰り返せば防げる初歩的なミス」
と指摘している。

 爆発は1段目の噴射中に起きたとみられている。久保田浪之介・
元防衛庁技術研究本部第三研究所長は「燃料ポンプが途中から異常
に作動し、エンジンが高温となって爆発に至った可能性がある」と
推測する。

 また、前回の打ち上げからエンジンに改良を加えたときに起きや
すいのが「振動燃焼」。エンジンの形状を変更した場合、異常な振
動が起きてエンジンを爆発させることがあるという。

 久保田氏は「十分な地上実験を行えば、こうしたミスは起きない
。確認作業で忙しいはずの打ち上げ直前に『人工衛星』を公開する
など、経験が少ないのに、打ち上げを甘く見ていたのではないか」
と話す。

(2012年4月14日09時06分 読売新聞
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北新体制:金正恩氏、国防委第1委員長に就任
2012/04/14 08:47
金正日総書記は「永遠の国防委員長」
3代世襲の手続き、3年3カ月で完了

 北朝鮮の朝鮮中央通信が13日に報じたところによると、この日行
われた最高人民会議(国会に相当)第12期第5回会議で、故・金正日
(キム・ジョンイル)総書記を「永遠の国防委員長」とするととも
に、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党第1書記を国防委員会第
1委員長に推戴したという。

 朝鮮中央通信は「金正恩同志を共和国(北朝鮮)の最高権力者と
して高く推戴した」とし、国防委員会第1委員長が、これまでの国防
委員長と同様の地位と権能を有することを確認した。今月11日に招
集された第4回党代表者会では、金総書記を「永遠の総書記」、正恩
氏を「第1書記」に推戴したが、これと同じ手法を取ったというわけ
だ。

 国防委員長は、朝鮮人民軍最高司令官、朝鮮労働党総書記ととも
に、金総書記が持っていた主要な肩書の一つだ。正恩氏は金総書記
の喪が明けた直後の昨年12月30日に最高司令官に推戴されたのに続
き、今月11日には「第1書記」に名前を変えたものの、事実上の総書
記となった。さらにこの日、事実上の国防委員長である国防委第1委
員長に就任したことで、2009年1月に始まった3代世襲の手続きが、
3年3カ月で完了したことになる。

 一方、朝鮮中央テレビはこの日、金総書記の銅像の除幕式を生中
継し、正恩氏の叔父に当たる張成沢(チャン・ソンテク)氏を「朝
鮮労働党政治局委員であり、国防委員会副委員長」と紹介し、張氏
が国防委員会副委員長に留任したことを確認した。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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異例の「失敗」公表、4時間半の“沈黙”の裏で何が…海外宣伝工
作が裏目
2012.4.13 23:40 サンケイ

 北朝鮮は13日、「衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射の「
失敗」を認める異例の発表をした。金日成(キム・イルソン)主席
生誕100年と金正恩(ジョンウン)第1書記の業績を誇示しよう
と、多数の海外メディアを招いた宣伝工作が裏目に出た。結局、内
外からの“目”で公表を余儀なくされたが、それまでには4時間半
の「空白」も。この沈黙は何を意味するのか。(桜井紀雄)

 北朝鮮は「平和的利用」をアピールするため、外国人記者や専門
家を招き、ミサイルや管制センター、さらに「衛星」と称する装置
まで公開した。しかし華々しいはずの午前7時39分の発射の瞬間
は、海外メディアへの通告はなかった。

 ラヂオプレス(RP)によると、北朝鮮国営、朝鮮中央テレビは
午前9時から放映を始めたが、朝鮮労働党代表者会の再放送映像な
どを流すだけで「衛星」発射には全く触れなかった。

 共同通信が平壌発で報じたところによると、海外の発射失敗報道
を受け、午前8時前には、平壌市内のプレスセンターで、外国人記
者らが「失敗か」と北朝鮮側担当職員に詰め寄った。

 しかし職員は苦い表情を浮かべるだけ。「発射映像を見せる」と
していたセンターの大型スクリーンにも何も映し出されなかった。

 失敗公表は正午すぎ。中央テレビは午後0時11分に番組を中断
、アナウンサーが失敗のニュースを読み上げ、40秒ほどで元の番
組に戻った。十分準備した発表でないことを印象付けた。

 脱北者の一人は「北朝鮮で生中継はまず行わない。事実を隠す必
要があるか判断するためだ」と話す。今回も衛星が軌道に乗らなか
った場合の対応の余地を残した可能性がある。外国人記者に向けた
記者会見や正式コメントはなかった。

 1998年や2006、09年の発射では、失敗したにもかかわ
らず「成功」と発表してきた。今回は、対外イメージを考慮して急
遽(きゅうきょ)、公開に踏み切った可能性もある。ただ、上空か
ら米国などのレーダー網が墜落を即座に把握。平壌市内には多数の
外国人記者がいた。北朝鮮のお家芸といえる「偽装」や「隠蔽(い
んぺい)」を許す余地は残されていなかった。
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政権内の勢力争いに発展も=北朝鮮のミサイル発射失敗で
                     −重村早大教授
 朝鮮半島研究者の重村智計早稲田大教授は13日、北朝鮮のミサ
イル発射を受けて都内で記者会見し、「15日の故金日成主席生誕
100周年を前にした『打ち上げ花火』の失敗で、金正恩政権はス
タート早々、危機に直面した」と指摘。今後、「責任の押し付け合
いから政権内で勢力争いが始まる可能性がある」と述べた。
 重村教授は失敗の原因は「技術力不足」と指摘し、北朝鮮当局が
今後、「正恩氏の反対勢力などによるサボタージュ」として責任転
嫁を図る一方、国民向けには失敗しても機体を自ら爆破させたと「
技術」をアピールする可能性が高いとの見方を示した。
 北朝鮮が失敗を早い段階で認めたのは、「隠しても、普及してい
る携帯電話を通じ、平壌に数多くいる中国の旅行者やビジネスマン
からうわさがすぐ広まってしまうため」と分析。また、住民の間で
新指導者に対する失望感が広がるのを防ぐため、「食料配布など挽
回策を取るだろう」と予測した。(2012/04/13-23:36)
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韓国沖で残骸の回収 軍事的緊張高まる朝鮮半島
2012.4.13 23:34 サンケイ

 【ソウル=加藤達也】「人工衛星」と称する北朝鮮の長距離弾道
ミサイル発射を受け韓国の金寛鎮国防相は13日午後、国防省で米
国のソン・キム駐韓大使、シャーマン在韓米軍司令官と緊急会談し
た。

 韓国はミサイルの発射失敗が朝鮮労働党第1書記に推戴(すいた
い)されたばかりの金正恩氏の威信に傷を付け、北朝鮮が軍事挑発
に出る可能性を懸念。会談では北朝鮮情勢の分析や有事の際に米韓
が共同で行う対応について確認したもようだ。

 「発射」の一報を受けたとき、青瓦台(大統領府)で物価関係閣
僚会議の最中だった李明博大統領は、その場で外交安全保障関係閣
僚会議招集を決めた。会議後記者会見した金星煥外交通商相は「北
朝鮮は発射に対する応分の責任を取らなければならない」と言明し
た。

 韓国は米国との取り決めで、保有する弾道ミサイルの射程を300
キロと制限されているが、韓国側には「北朝鮮との射程格差が大き
すぎる」との認識があり、北朝鮮のミサイル射程には重大な関心を
向ける。失敗したとはいえ、今後韓国側が射程延長の要求を強める
可能性もある。

 韓国軍は同日、ミサイル1段目が落下する見通しだった黄海にイ
ージス艦を展開し不測の事態に備えた。

 韓国軍はミサイルの残骸を回収する方針で落下位置の確認を急い
でいるが、北朝鮮側は残骸の回収についても「即時に無慈悲な攻撃
で断固懲罰する」と警告しており、朝鮮半島の軍事的緊張は高まっ
ている。
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板挟みの中国 冷静な対応呼びかけ
2012.4.13 23:31 サンケイ
 【北京=川越一】中国外務省の劉為民報道官は13日、北朝鮮の
「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射を受け、関係各国に
「冷静な対応」を求める談話を発表した。北朝鮮と国際社会の板挟
みに苦慮する中国としては、「対話による解決」の限界を示されて
もなお、同じ主張を繰り返すしか策はない。

 劉報道官は同日の定例記者会見でも、「関係各国の反応を注視し
ている」とした上で、「自制心を保ち、朝鮮半島の平和と安定を損
なわずに、対話を維持することを望む」と強調した。念頭にあるの
は、今後、活発化する国連安保理での制裁論議に他ならない。

 発射強行で、中国が唱え続ける6カ国協議再開はかなたに遠のい
た。発射前の通告もなかったという。メンツを潰されながら、北朝
鮮に対して強硬姿勢を取ることができない。ともに孤立するとして
も、国際社会に完全には同調できない。追いつめられた北朝鮮の“
暴走”が加速すれば、中国が不利益を被るからだ。

 北朝鮮の体制崩壊、難民流入という最悪のシナリオを避けたいの
は当然。中国の北朝鮮専門家はさらに、「北朝鮮がもめ事を起こす
たびに中国の外交資源が消耗する」と嘆く。北朝鮮が核・ミサイル
開発を進めれば、日米韓の対北警戒態勢が増強され、それがやがて
、中国の軍備拡張に向けられることも懸念されている。

 北朝鮮は2009年、ミサイル発射に続き、核実験を行った。当
時、中国は追加制裁に同調する一方、温家宝首相を訪朝させて関係
修復を図った。胡錦濤国家主席が朝鮮労働党第1書記に就任した金
正恩氏に送った祝電で、友好関係の継続を約束したのも、安全保障
上の後ろ盾となって“暴走”を抑止する意図だ。北朝鮮を突き放せ
ない中国。その“良識”が試される。
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挽回で核実験警戒=ミサイル、重要部品欠乏か
              −外貨獲得影響も・米国防総省
 【ワシントン時事】米国防総省と中央情報局(CIA)などの情
報機関は、北朝鮮が13日に長距離弾道ミサイル「テポドン2号」
の発射に失敗したものの、通常戦力に劣る同国は引き続きミサイル
と核兵器開発を強化するとみている。失敗から挽回するために、3
回目の核実験を強行するとの見方もあり、警戒を強めている。
 北朝鮮が2009年に試射したテポドン2号は3000キロ以上
飛行したが、3段目分離に失敗していた。今回の打ち上げでは「北
朝鮮がミサイルの推進力、多段式ロケットの分離精度、ロケットの
姿勢制御の技術をどの程度向上させたかに注目していた」(国防総
省幹部)。
 しかし、結果は打ち上げから約90秒で空中分解したとされる。
09年のテポドン2号は手持ちのノドンや1990年代初期に取得
した旧ソ連製の弾道ミサイルの寄せ集めとみられている。米政府当
局者は今回の失敗について「これまでの制裁で、ミサイルの重要な
精密部品の入手が困難になったのが一因ではないか」と米メディア
に語っている。
 ミサイルは北朝鮮の貴重な外貨獲得手段だが、06年、09年に
続く3回目のテポドン2号の打ち上げ失敗で「信頼性は低下し、北
朝鮮のミサイルビジネスへの影響は避けられない」(米情報機関筋
)との見方もある。(2012/04/13-22:56)
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「欲張った結果、失敗に」軍事アナリスト小川和久氏
2012.4.13 21:03 サンケイ

 北朝鮮が「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射の失敗に
対し、軍事アナリストの小川和久氏は「金日成主席生誕100年の
ビッグイベントを盛大に成功させようと欲張った結果、失敗した」
との見方を示す。

 失敗の原因について小川氏は「南向きのコースを取ったのが大き
な原因」と分析する。地球の自転を利用できる東向きのコースと異
なり、燃料を2割程度多くして推力を増やさなければならないとい
い、「燃料が増えたことで、強度やバランスがうまく取れず、空中
分解した可能性がある」と指摘する。

 今回は、事前に外国メディアに発射場が公開されるなど“異例ず
くめ”の発射だった。小川氏は「開かれた金正恩体制を世界に示そ
うとした意味合いが強い」と強調した上で、北朝鮮が失敗を認めた
点を挙げ、「(軌道に乗らなかったことで)北朝鮮が自爆装置で爆
破した可能性も排除できない」との見解も示した。
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北朝鮮ロケットは韓国近海へ 残がい回収で思わぬ「成果」か
2012/4/13 19:31J-cast

北朝鮮の「実用衛星」と称するロケットの打ち上げは、あっけなく
失敗に終わり、国営メディアも打ち上げ失敗を認めるという異例の
事態になった。
ロケットは20個ほどの破片になって海上に落下したとみられる。北
朝鮮の技術力を読み解くための有力な材料なだけに、今後、各国に
よる「残がい探し合戦」が加速しそうだ。

高度151キロで分解
各国の発表によると、ロケットは北朝鮮の東倉里(トンチャンリ)
から2012年4月13日午前7時39分頃打ち上げられたが、1〜2分程度飛
行してから落下した。
韓国国防省の発表によると ロケットはマッハ4.4(時速5400キロ)
で飛行していたが、7時41分に高度151キロで分解した。海軍のイー
ジス艦「世宗大王」が、ロケットの打ち上げから分解までを探知し
たという。
聯合ニュースによると、1段目のブースター(噴射装置)が爆発して
17個に空中分解。続いて2、3段目も3つに空中分解した。残がいは、
韓国中部の群山(クンサン)の西方100〜150キロの黄海上に落下し
たとみられている。

国営の朝鮮中央通信と朝鮮中央テレビは正午過ぎ、「地球観測衛星
は、軌道に入ることができなかった。科学者、技術者、専門家が失
敗の原因を調べている」と失敗を認める異例の声明を伝えた。北朝
鮮は1998年と09年にもロケットの打ち上げを行っており「軌道進入
成功」だと強弁したのとは対照的だ。

過去2回は水深が深く回収できず
過去2回のロケット打ち上げの際は、落下地点の太平洋側の水深が深
かったこともあって、いずれも残がいの回収には失敗している。
だが、今回は、回収できる可能性が高そうだ。朝鮮日報が3月19日に
報じたところによると、ロケットの1段目がほぼ燃え尽きたうえで黄
海沖約140キロに落下することが予想されていた。これは、今回、ロ
ケット全体が落下した地点とほぼ同じだ。黄海の水深は平均で約40
メートルで、回収は現実的だとみられている。例えば、02年に韓国
が国産液体推進科学ロケット「KSR3」を黄海上に打ち上げた際には
、ロケットの回収に成功している。記事によると、韓国政府の消息
筋は「残がいを通じ、北朝鮮の長距離ミサイルに関する高度な技術
情報を得ることができる」と3月時点で期待を寄せていたが、予想よ
りも大きい成果が得られる可能性もある。予想時点では、1段目のロ
ケットは高度250〜300キロで切り離されるとみられていたため、「
大半は燃え尽きるか損傷する」とみられていた。だが、実際に落下
したのは、それよりも100キロ以上低い高度151キロ。分解してはい
るものの、部品が燃えてなくなる割合は大幅に少なくなっている可
能性がある。
現場は公海と見られ、韓国以外にも、中国、ロシア、米国がロケッ
トの捜索を始めているという。   
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北ミサイル、20の破片が広範囲に…韓国国防省

 【ソウル=中川孝之】韓国国防省は13日午後、北朝鮮の長距離
弾道ミサイルが発射から9分余りで海上に落下するまでの、詳細な
追跡結果を発表した。

 黄海に展開していた韓国海軍のイージス艦が、レーダーで捕捉し
た情報だという。

 それによると、午前7時38分頃、北朝鮮西岸・東倉里の基地か
ら発射されたミサイルは、2分15秒後、同基地の南方数十キロ、
高度約70キロで二つに分離した。韓国軍は「空中爆発したと推定
される」としている。

 ミサイルは二つに分離したまま、さらに上昇を続けたが、最高高
度151キロに達した韓国北西部・白島上空でいずれも落下し始め
、最終的に約20個の破片が、韓国の西沖合100〜150キロの
公海上の広い範囲に散らばった。

(2012年4月13日19時18分 読売新聞)


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