4313.中国と米国の動向から見るアジア情勢



カンボジアの首都プノンペンでは3日、東南アジア諸国連合(AS
EAN)の第20回首脳会議が開幕した。2日間の日程で開かれる
会議では、10カ国の首脳らがミャンマーで実施されている改革、
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミサイルプログラム、ASE
AN内の紛争調整に関する対策などについて協議するほか、中国と
領有権を争う南シナ海の行動規範の承認も会議の重要なテーマの一
つである。

しかし、中国がこの南シナ海の行動規範を認めることはないし、A
SEAN内の新中的な国ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジアに
働きかけている。しかし、ミャンマーは、親中から親米に乗り換え
ようとしている。タイも経済関係は密接でも、政治的には中立であ
る。

ASEAN内での合意が取れても、中国は認めない。2ケ国交渉に
すると中国は主張している。

そして、中国海軍が南シナ海で活発な活動を展開しているが、中国
は紛争を拡大させないように領海警備に当たる「国家海岸警備隊」
の創設する方向であるが、この警備隊で、活動量は拡大することに
なる。

この南シナ海の活発な中国海軍を監視するために、豪領ココス島に
米軍の無人偵察機を配備する計画が浮上した。また、紛争時の抑止
力として、駐留米海兵隊の第1陣約200人が3日夜、北部特別地域(
準州)のダーウィンに到着した。

もう1つが、フィリピンとベトナムの海軍が、南シナ海での合同演
習などで軍事協力を深めることで合意した。両国は米国とも演習を
重ねており、中国の南シナ海進出を牽制(けんせい)する米国中心
の協力態勢が強まることになる。

また、米国防総省は軍事力を増大させる中国の脅威を念頭に打ち出
した、空軍と海軍の統合作戦戦略「エアシーバトル構想」について
、同盟国日本に戦略概念と、具体化に当たっての同盟国との連携の
重要性を説明して、日本の自衛隊の役割を期待した。それを受けて
、自衛隊は動的防衛論を構築して、ロシア対応の北海道の部隊を南
西諸島にシフトさせることにした。

この日本の動きを見て、中国は、ロシアを引き入れて、アジア情勢
を有利にしたいようである。ロシア東部軍管区幹部は、正式に「朝
鮮半島と日本は潜在脅威」と語り、日本と韓国を仮想敵国であるよ
うな雰囲気と出した。

また、日本は巡視艇供与をフィリピン政府から打診され、受ける方
向である。これができるのは、「武器輸出三原則」緩和で、平和貢
献や国際協力を目的とした「武器」の供与が可能となったことによ
る。

全体的な姿は、米国と中国のアジアを巡る覇権の競争であるが、日
本も一定の役割を持って、中国に臨んでいることが分かる。

この日米のアジア安全保障協力の成果で、長島昭久首相補佐官は、
都内で講演し、日米両政府による米軍再編計画の見直しについて「
安全保障環境を考えたときに、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(
ぎのわん)市)返還問題の解決を待つ時間的余裕はない。普天間を
切り離し、同盟の深化、発展に日米が全精力を傾ける環境が整った
」と成っているのである。

日本も汗を掻き、かつ米国に要求もすることである。今、日本はロ
シア対応に失敗している。これを今後、どうするかが重要なことに
なていると見る。

なるべく、中国の体制を不安定にして、日本の体制を安定化するこ
とである。この取り組みの中心はロシアとの関係正常化であろう。
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米海兵隊、豪への駐留開始 中国にらみ太平洋で軍再編
更新2012年04月03日 12:51米国東部時間

 米軍がアジア太平洋地域で進める再編の一環として、オバマ大統
領が昨年11月に発表した米海兵隊のオーストラリア駐留の第1陣約
200人が3日夜、北部特別地域(準州)のダーウィンに到着した。オ
ーストラリア政府が発表した。

 米側は今後、現地で乾期が始まる4月ごろから半年間を目安に毎年
部隊を派遣。今後4、5年で2500人規模まで段階的に増員し、同盟国
のオーストラリアとともに、南シナ海などで軍事活動を活発化させ
る中国ににらみを利かせる。

 米軍は在沖縄海兵隊の一部移転をめぐり、米ハワイやダーウィン
などアジア太平洋地域の基地を巡回する形で駐留させる方式を検討
中。オーストラリア政府によると、第1陣は海兵隊の歩兵中隊で、ダ
ーウィンの基地を拠点に、北部特別地域の演習場などでオーストラ
リア軍などと一緒に訓練を実施する。(共同) 
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南シナ海の行動規範は誕生するか?
3.04.2012, 20:30ロシアの声

 カンボジアの首都プノンペンでは3日、東南アジア諸国連合(A
SEAN)の第20回首脳会議が開幕した。
 2日間の日程で開かれる会議では、10カ国の首脳らがミャンマ
ーで実施されている改革、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミ
サイルプログラム、ASEAN内の紛争調整に関する対策などにつ
いて協議するほか、中国と領有権を争う南シナ海の行動規範の承認
も会議の重要なテーマの一つとなる。  

 今回のサミットで議長国を務めるカンボジアは、南シナ海問題を
会議の公式議題に含めることを拒否した。だがフィリピンが提案し
た行動規範は、サミットの枠内で非公開で開かれる首脳会議で協議
される。  

 首脳会議の前にプノンペンで開催されたASEAN外相会議では
、2012年末までにASEANと中国によって行動規範に署名が
なされることへの期待が表明された。モスクワ国際関係大学付属ア
セアンセンターのスムスキー所長は、その確立は低いとの見解を示
し、次のように語っている。

「問題は非常に複雑だ。全ては中国がASEANとの署名に関する
自国の立場を変えるかに左右される。中国は、南シナ海を巡る論争
は2カ国関係の問題であり、その解決は領有権を主張する国々と個
別に行われなければならないと考えている。だが南シナ海を巡る論
争は、地域の安全保障に関する問題であるため、ASEANの全加
盟国に関係している。フィリピンは最近、この問題に関するASE
AN全体の立場を定めるためにさらに努力している。フィリピンは
中国との2カ国協議に1国で臨むには十分ではないと考えている。」  

 ASEAN加盟国は、行動規範案についてまずASEAN内部で
合意した後、中国に提示する考えだ。このような立場を特に支持し
ているのは中国との領有権論争を抱えているベトナム、フィリピン
、ブルネイだ。他の国々は中国の見解を聞き、それを行動規範の作
成に考慮する必要があると考えている。そのような国は南シナ海の
島々を巡る領有権争いに直接参加しておらず、中国と緊密な関係を
持つミャンマー、ラオス、タイ、カンボジアだ。  

 そのほか南シナ海には米国という重要なプレーヤーもいる。AS
EAN諸国は、地域の安全保障および自国の利益を守るために中国
と米国という2つの大国の間でバランスを取らなければならない。
南シナ海の行動規範が近いうちに誕生する望みは少ない。
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「朝鮮半島と日本は潜在脅威」 ロシア東部軍管区幹部
2012.3.31 20:57サンケイ

 ロシア東部軍管区のドゥロノフ第3空軍・防空司令部司令官は、
ラジオ局「モスクワのこだま」(電子版)が30日に公開したイン
タビューで、不安定な朝鮮半島や領土問題を抱える日本を潜在的な
脅威と見なし、対応できる態勢を準備していると述べた。

 ドゥロノフ司令官は「われわれは、敵ではなくても、少なくとも
潜在的な敵や非同盟国に周りを囲まれている」と発言。さらに「朝
鮮半島の不安定な情勢は監視している。日本とは領土問題があり、
こうした脅威などにはふさわしい対応が迫られる」と語った。

 また、ロシア空軍の爆撃機などが日本周辺空域の飛行を繰り返し
てきたことに関連し「全ての飛行には国際的な義務の履行が条件付
けられている」とし、領空侵犯などの国際法違反に当たらないとの
考えを示した。(共同)
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南シナ海行動規範で協議 ASEAN会議開始
2012.3.30 19:42サンケイ
 東南アジア諸国連合(ASEAN)は30日、一部加盟国と中国
が領有権を争う南シナ海問題について法的拘束力のある「行動規範
」の草案策定に向けた第4回作業部会などをカンボジアの首都プノ
ンペンで開催、4月3、4両日の首脳会議に向けた討議を始めた。

 作業部会は2月末の前回に引き続き、行動規範に盛り込むべき要
素について、インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイの4カ国
がそれぞれ提示した原案を一本化する作業を行ったもようだ。

 首脳会議では南シナ海問題のほか、民主改革を進めるミャンマー
への支援や、長距離弾道ミサイル発射実験とみられる「衛星」打ち
上げを予告した北朝鮮をめぐる情勢などが主要議題となる。(共同)
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中国、海岸警備隊検討 
2012.3.30 14:46サンケイ
 中国国防省の楊宇軍報道官は30日の定例記者会見で、中国軍の
一部から領海警備に当たる「国家海岸警備隊」の創設を求める声が
出ていることについて「関係部門が手続きに従って提案を検討して
いる」と表明した。

 中国の海洋部門は、国家海洋局、農業省漁政局、公安省などと多
くの省庁にまたがっており、日本の海上保安庁に匹敵する組織を整
備すべきだとの声が高まっていた。(共同)
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米偵察機、オーストラリアから中国監視か
Australia May Let US Use Cocos Islands
南シナ海への足がかりがほしいアメリカと、最大の貿易相手国、中
国の挟間で悩む豪政府
2012年03月29日(木)18時21分newsweek
フレア・ピーターセン

 インド洋に浮かぶココス諸島は、オーストラリアとスリランカの
ほぼ中間に浮かぶ美しい島々。この地を領有するオーストラリアに
とっては、重要な戦略的拠点でもある。ここに、米軍の無人偵察機
を配備する計画が浮上した。目的は、南シナ海で活発化する中国軍
の活動だ。

 ワシントン・ポスト紙によれば、アメリカのこの要望をオースト
ラリアも受け入れる可能性があるという。

 アメリカがココス諸島の利用を希望するのは、インド洋のディエ
ゴガルシア米軍基地が手狭になったためとみられる。ココス諸島に
空軍基地を置くことができれば、高空飛行の無人偵察機「グローバ
ルホーク」を飛ばすための理想的な拠点となる。

 オーストラリアとアメリカは強力な同盟国であり、昨年11月にバ
ラク・オバマ米大統領がキャンベラを訪れた際には、両国はアジア
太平洋地域での防衛協力を強化する方向で合意した。

 だがそれと同時に中国は、オーストラリアにとって最大の貿易相
手国。これまでも中国側を刺激しないように細心の注意を払ってき
た。

 それでもジュリア・ギラード豪首相は、ココス諸島についてアメ
リカと協議していることを否定しなかった。

 スティーブン・スミス豪国防相は、ココス諸島の活用案について
「長い目で見れば可能性はある」と語る一方、今のところ協議は行
われておらず、「オーストラリアが先走りをすべきではない」と釘
を刺した。
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中国艦船、比EEZ内に 南沙、資源探査域近く
更新2012年03月29日 10:07米国東部時間
USFL
 中国とフィリピンなどが領有権を争う南シナ海にある南沙(英語
名スプラトリー)諸島周辺で今月中旬、中国海軍のフリゲート艦と
みられる艦船がフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内で監視活動を
していたとして、フィリピン海軍が退去を要求、艦船が現場を離れ
ていたことが29日、分かった。フィリピン海軍幹部が共同通信に明
らかにした。

 中国海軍が南シナ海で活発な活動を展開している実態があらため
て浮き彫りになった。現場は、フィリピン側が資源探査、開発を進
めるリードバンク海域近く。リードバンクでは昨年、フィリピン側
の資源探査船が中国側の妨害に遭うなどトラブルが頻発した。

 フィリピン海軍幹部によると、中国が実効支配する南沙諸島のミ
スチーフ礁には中国海軍のフリゲート艦など数隻がほぼ常駐。うち
1隻がリードバンク海域に向かったとみられる。ミスチーフ礁はフィ
リピンが領有を主張していたが、中国が1995年に進出した。(共同)
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フィリピン・ベトナム海軍、合同演習へ 中国を牽制
2012年3月28日20時19分

 フィリピンとベトナムの海軍が、南シナ海での合同演習などで軍
事協力を深めることで合意した。両国は米国とも演習を重ねており
、中国の南シナ海進出を牽制(けんせい)する米国中心の協力態勢
が強まることになる。

 フィリピン、ベトナムともに南シナ海のスプラトリー(南沙)諸
島の領有権をめぐって中国と対立している。フィリピン海軍による
と、3月中旬に比海軍幹部がベトナムを訪問し、南シナ海で演習や
パトロールを合同で実施する方針を決めた。軍艦建造の技術協力も
進めるという。演習などの実施時期は明らかにされていない。

 フィリピン軍は米軍と4月下旬に南シナ海での合同演習を予定し
、米国から中古のフリゲート艦を購入するなど協力を深めている。
ベトナムも毎年、米軍との合同訓練を行っている。中国は、石油や
天然ガス資源が豊かな南シナ海を「核心的利益」と位置づけており
、3国の緊密な軍事協力で緊張が高まる可能性がある。
(マニラ=四倉幹木)
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対中国戦略で連携、日本に説明=情報共有と相互運用性重視
                 −エアシーバトル構想・米

 【ワシントン時事】米国防総省が、軍事力を増大させる中国の脅
威を念頭に打ち出した、空軍と海軍の統合作戦戦略「エアシーバト
ル構想」について、日本の防衛省に戦略概念と、具体化に当たって
の同盟国との連携の重要性を正式に説明していたことが22日、分
かった。国防総省筋が明らかにした。
 米側は説明で、自衛隊との情報共有と相互運用性を重視している
ことを伝えた。国防総省は今後、紛争時に米軍部隊の介入を阻む中
国の「接近阻止」作戦への対処や、対北朝鮮を含めた多層的なミサ
イル防衛網の構築などについて、具体的な有事のシナリオに基づき
、同盟国と協議を進める。
 同省は同戦略を予算要求することを踏まえ、アジア太平洋の主要
同盟国への説明を開始。日本には1月17日、2月21日と同29
日に国防総省で開催された日米協議の中で説明したという。
 エアシーバトル戦略をめぐっては、田中直紀防衛相が2月に国会
で、「理解しているところではない」と発言し、知識不足を露呈し
ていた。(2012/03/23-14:37)
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長島補佐官 米軍再編見直し「同盟深化の環境整った」
2012.3.22 17:12サンケイ

 長島昭久首相補佐官は22日、都内で講演し、日米両政府による
米軍再編計画の見直しについて「安全保障環境を考えたときに、米
軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)返還問題の解決を
待つ時間的余裕はない。普天間を切り離し、同盟の深化、発展に日
米が全精力を傾ける環境が整った」と述べた。

 長島氏は「グアムと沖縄に米国の抑止力が維持されることこそが
わが国の安全保障、地域の平和と安定に極めて重要だ」とも語り、
在沖縄米海兵隊の必要性を強調した。 
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ODA:政府、フィリピンに巡視艇供与検討 「武器三原則」緩和
で可能に

 政府はフィリピンに対し、政府開発援助(ODA)で巡視艇を供
与する方向で検討に入った。23日に東京で開く両国の次官級戦略
対話で、フィリピン側に正式な要請書を出すよう促す。フィリピン
は南シナ海を挟んで中国と対峙(たいじ)しており、米国が軍事支
援を強化しているが、日本も海上保安能力の構築を支援することで
米国と共同歩調を取る構えだ。

 巡視艇供与はフィリピン政府からの打診を受けたもの。日本政府
は、フィリピンから要請書が出た段階で、フィリピンに国際協力機
構(JICA)の調査団を派遣し、年内の供与合意に向け協議を加
速させる。

 昨年12月の「武器輸出三原則」緩和で、平和貢献や国際協力を
目的とした「武器」の供与が可能となった。今回の巡視艇供与はそ
れを受けた措置だ。

 06年6月にインドネシアに巡視艇3隻をODAで供与した際、
政府は三原則の「例外」とするため官房長官談話を出したが、三原
則緩和によって談話は不要となり、供与までの手続きは簡素化され
る。

 ただ、両国政府は供与にあたり(1)目的外使用しない(2)供
与した巡視艇を第三国に渡さない−−ことを定めた合意文書を作成
する方向だ。【横田愛】

毎日新聞 2012年3月23日 東京朝刊



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