4311.北朝鮮継承体制の動向



北朝鮮が4月12日〜16日に向けて、衛星を打ち上げるために、
ロケットを発射すると宣言している。このロケットは大陸弾道ミサ
イルでもあり、日米韓の3ケ国は反発している。この関連で北朝鮮
の継承体制問題も見えてきた。ここではそれを検証しよう。
             津田より

0.食糧援助とミサイル発射
新体制の北朝鮮は米朝交渉を行い、3月1日に米朝の食糧援助協定
が合意した。北朝鮮はウラン濃縮活動の中断で、食糧支援を勝ち取
り、そして、IAEA要員復帰に対する見返りも想定している。6カ国
協議再開にあたっても要求事項を請求する方向であった。

米民主党政権末期に、米国はいつも北朝鮮に宥和政策を行う傾向に
あるが、今回もそうであるようだ。しかし、その後、米国は北朝鮮
に裏切られている。今回もそうなったが、その時期が早いだけであ
る。北朝鮮としても米国がここまで譲歩するとは思わなかったので
あろう。

「金日成(イルソン)同志の誕生100周年を迎えて衛星を打ち上
げることは、金正日将軍の遺訓であり、久しい前から計画、推進さ
れてきた正常な事業だ」と長い計画の上で実行されることであると
北朝鮮は強調している。

このため、北朝鮮は金総書記死去以前から米側に「衛星」発射計画
を伝えていたことは明らかになっているが、北朝鮮報道官は、これ
までの米朝高官協議でもミサイル発射中止に「衛星打ち上げは含ま
れないと一貫して主張した」とも述べた。

その結果、米朝間での合意は「衛星を含むミサイル発射」ではなく
、単に「ミサイル発射の中止」だけだと主張しているのだ。打ち上
げは「明確な国連安保理決議違反だ」と非難する日米韓などと埋め
がたい認識の隔たりがある。

そして、米国は27日、北朝鮮が長距離ロケットの発射を強行する
意向を示したことを受け、北朝鮮に対する栄養(食糧)支援を中断
する方針を表明した。

これに対して、北朝鮮外務省は31日、同国の衛星打ち上げ予告を
受け、米国が米朝合意に基づく食料支援の中止を警告したことにつ
いて、「合意の核心事項に反するもので、合意を全て壊す遺憾な行
為だ」と非難した。

しかし、北京入りしていた北朝鮮の李根(リグン)外務省米州局長
は30日、ベルリンで31日〜4月1日に研究機関が主宰し、米国
と北朝鮮の関係者が参加する会合に出席し、米国元高官と4月中旬
の発射を予告した長距離弾道ミサイルの問題について意見交換する
見通しを示した。

北朝鮮は、春が一番食糧のない厳しい季節であり、北朝鮮軍部隊の
食糧難も深刻な状況になり、、飢えに耐えられず軍人がカエルの卵
やオタマジャクシまでとって食べている現状があり、米国からの食
糧援助が、必要なのである。

もう1つが、北朝鮮が正恩氏の成果づくりを急ぐ背景には、4月中
旬に開かれる朝鮮労働党代表者会で金正恩氏が党総書記に就任する
方向で、その実績作りであるようだ。この祝砲としてロケット発射
をしたいのであろう。

金総書記が当時の国家最高職責と位置づけられた国防委員長に就任
する直前の98年8月にも、テポドン1号(北朝鮮は「光明星1号
」と主張)が発射されており、ミサイル発射と最高指導者人事とは
関連が深いようだ。

この事情を見ていると、軍部と官僚の権力闘争のような雰囲気を感
じるが、どうも権力継承は順調にいっているようだ。それを見よう。

1.権力継承について
日本の防衛省の防衛研究所は、金正日総書記死去後の金正恩体制に
関しては「権力継承のための期間が短く、今後の行方は不透明感が
増している」と分析している。

しかし、韓国の柳佑益(リュ・ウイク)統一相は、金正日総書記死
去後の北朝鮮の新体制について、「比較的円滑に」機能しているよ
うに見え、「権力継承は安定的かつ用意周到に進んでいる」とした。
こう語る柳統一相は「未来を予想するのは難しいが、北朝鮮は当面
の間、内部の権力基盤強化に集中する可能性が高い」と指摘した。

また、20代後半とされる正恩氏の経験の少なさを考えた場合、国
家を「正しく運営」していけるかどうかには疑問が残るとしながら
も、「北朝鮮のような体制の後継者として生きること自体が大きな
経験だ」とし、年齢そのものは大きな問題にはならないとの見方を
示した。

正恩氏はまだ絶対的な支配力を手にしておらず、信頼の厚い少数の
メンバーが、若い正恩氏の指導力発揮に重要な役割を果たしている
と分析する。正恩氏や金正日総書記の義弟である張成沢氏(65)
を含む集団指導体制であり、特に張成沢氏の存在が大きい。この張
成沢氏の敵・競合相手を粛清しているようである。

というように内部の権力基盤強化とは、数百・数千人規模の粛清で
あるようだ。アムネスティ・インターナショナル(国際人権救援機
構)は、年次報告書で「北朝鮮当局が昨年7月、南北会談に参加し
たり、これを指揮した官僚約30人を、銃殺または交通事故に見せか
けて殺害したという未確認情報を入手した」と。

また、アムネスティは「金正恩(キム・ジョンウン)氏への権力継
承を推進するため、国家安全保衛部(秘密警察)が官僚約200人を拘
禁したという未確認の報告も昨年1月に受けた。このうちの一部が処
刑された恐れがある」とした。

また、北朝鮮の洪錫亨労働党計画財政部長が11年6月に粛清され
たようだ。中国式の経済開放を主張したためという。というように
中国の援助は受けるが、経済の開放は行わない方向のようである。

米国の言うことも、中国の言うことも聞かないということである。
北朝鮮は、ここまで貧しくなると自立独立が可能で、失うものがな
い。金王朝に忠誠を誓う主体思想を推し進められるようだ。まるで
絶対王政の古代王朝のような国家である。貴族政治の中世の国家と
も違う。

2.粛清の嵐
粛清の嵐は、軍部も例外ではない。喪中に飲酒やセクハラをしたと
いう理由で、軍の高官など10人以上が処刑された。処刑方法も前代
未聞で、金正恩の「髪の毛1本すら残すな」という指示で、高官は追撃
砲の着弾地点に立たされ木っ端微塵にされたという。

この軍部の粛清を行っているのが、張成沢氏の子分である総政治局
第1副局長の金正覚、保衞司令官のチョ・ギヨンチョル、国家安全
保衞部第1副部長の禹東測の3人。

狙われているのが、呉克烈(オ・グクリョル)国防委員会副委員長
の一派である。金正恩氏の異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏
を支持していたとされるグループだ。もう1つが、李済剛(リ・ジ
ェガン)党組織指導部第1副部長(昨年死去)系の朱相成(チュ・サ
ンソン)前人民保安相、キム・サンイク人民武力部副部長、白世鳳
(ペク・セボン)国防委第2経済委員長らである。

というように、狙われているのは元金正男支持派や張成沢氏の宿敵
などである。

金格植・前総参謀長、第4師団長や金永南(キム・ヨンナム)最高
人民会議常任委員長をはじめとする革命元老たちは、表面的には金
正恩氏の支持勢力とみられるので、粛清対象にはなっていないよう
である。

3.経済活性化
しかし、権力継承がうまくいっても、柳統一相は、正恩氏が権力基
盤をより強化するためには、性格などの個人的要素より、経済安定
化のための政策が重要だと指摘する。

革命元老たちは、表面的には金正恩氏の支持勢力であるが、金正恩
氏が上流階層にカネが配ること(統治)ができなくなったときには
寝返る可能性がある。ということで、経済活性化は重要である。

約30年前には韓国を上回る活気があった北朝鮮の中央計画経済だ
が、旧ソ連の崩壊以降は疲弊の一途をたどっており、昨今では国民
の餓死は普通になり、自国軍隊の食糧でさえ、確保できなくなって
いる状況である。人口も大幅に減少しているし、体格もどんどん、
劣化している。

韓国中央銀行によると、2010年の北朝鮮の国民総所得(GNI
)は30兆ウォン(約2兆0360億円)と、韓国の1173兆ウ
ォンのわずか2.56%だった。

北朝鮮は中国の経済開放政策を進める方向ではなく、主体性思想を
堅持して、国民を思想的に縛れる開城工業団地の韓国企業が行う工
場のようなことを考えているようであるが、中国とはこの方式が機
能していない。このため、中国との自由貿易地区は途中で潰れてい
る。

また、金剛山観光も韓国とは中断されている。ということで、韓国
との関係改善が重要であると、柳統一相はいう。

このため、韓国は最近、「朝鮮半島情勢の安定確保」を最優先課題
として南北対話を無条件で進める姿勢に転換したが、北朝鮮はむし
ろ李明博(イミョンバク)政権への敵対姿勢を強めている。

日本とは拉致問題があり、日本が北朝鮮との交渉を拒否している。
このため、米国との関係を見直して、関係強化しようとしている。

4.日本の対応
今回、北朝鮮は黄海に面した東倉里(トンチャンリ)基地を新しい
ミサイル発射場に選択した。これには意味がある。

09年のミサイル発射当時、金正恩が金正日とミサイル発射の場面
を参観し、「迎撃すれば本当に戦争しよう」と。それだけ北朝鮮指
導部は米国や日本の迎撃を懸念していたのだ。 

このため、日本海側にある舞水端里基地に比べて東倉里は日米イー
ジズ艦の接近が難しい。特に中国海岸線と近いため、公海上から発
射された迎撃用ミサイルが中国に落ちる危険もある。 というので、
日米によって、より迎撃が難しいことになる。

また、北朝鮮空軍による平時の飛行訓練は韓国空軍に比べて非常に
少ないが、先月以降、1日最大650回以上の飛行が確認され、訓練を
強化していることが分かったというように、北朝鮮近海にイージス
艦を近づけない体制を取ろうとしているようである。

北朝鮮の意向を受けて、中国外務省の洪磊・副報道局長も27日、
日本政府が自衛隊に対し、北朝鮮による長距離弾道ミサイルの迎撃
態勢を整えるための準備命令を出したことに対し、「関係各国が大
局と長期的な観点から穏当かつ慎重に問題を処理し、冷静さと自制
を保つよう希望する」と呼び掛けたが、迎撃されると北朝鮮は戦争
をする可能性があり、中国によっては痛手になるためである。

日本にとっては、この北朝鮮のミサイル発射は大きなチャンスであ
る。このところ、北朝鮮の軍事行動は、日本国民の意識を変えるの
に、本当に貢献している。今回もそうようである。

軍事評論家の神浦さんは沖縄へのPAC3配備を否定的にとらえる
が、北朝鮮の沖縄方向へのミサイル発射で、日本は自衛隊の空白地
帯である沖縄先島諸島に地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)を配
備できることになる。沖縄は住民感情から、なかなか自衛隊を配備
できないでいたが、北朝鮮がその感情を緩和してくれることになっ
ている。その意味では感謝するべきであろう。

もちろん、大陸弾道弾ミサイルであるので、PAC3もSM3も順
調な飛行であれば、迎撃はできない。

このように、長距離弾道ミサイルに対する破壊措置命令を受け、防
衛省・自衛隊は30日、地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)の沖
縄県への配備のため部隊移動などを始めた。

今後、北朝鮮が、(1)核兵器の小型化に成功した可能性がある(2)高
濃縮ウランによる核開発を進めている(3)弾道ミサイルの射程延長や
発射機の機動性向上に力を入れている−ことなどで核問題の深刻化
になると防衛研究所は報告している。

日本は、北朝鮮や中国の核ミサイル対応を真剣に検討する必要があ
るとみるが、どうであろうか。

さあ、どうなりますか?

参考資料:
P0169.北朝鮮の新体制と今後は?
4215.北朝鮮の新体制と今後は?
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L3/231225.htm

==============================
食料支援中止は合意違反=北朝鮮
 【ソウル時事】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省スポークス
マンは31日、同国の衛星打ち上げ名目の長距離弾道ミサイル発射
予告を受け、米国が米朝合意に基づく食料支援の中止を警告したこ
とについて、「合意の核心事項に反するもので、合意を全て壊す遺
憾な行為だ」と非難した。(2012/03/31-23:18)
==============================
北高官、ミサイル発射問題で米側と意見交換か

 【北京=大木聖馬】北京入りしていた北朝鮮の李根リグン外務省
米州局長は30日、空港で記者団の取材に応じ、ベルリンで31日
〜4月1日に研究機関が主宰し、米国と北朝鮮の関係者が参加する
会合に出席することを明らかにした。

 李局長は「(米国からは)元官僚が出席するようだ。(米朝)双
方の関心事などを深く議論する」と述べ、北朝鮮が「人工衛星」と
称して4月中旬の発射を予告した長距離弾道ミサイルの問題につい
て意見交換する見通しを示した。

(2012年3月31日10時36分  読売新聞)
==============================
北朝鮮「衛星」:PAC3、沖縄向け出発

 北朝鮮が「衛星」として4月中旬の打ち上げを予告した長距離弾
道ミサイルに対する破壊措置命令を受け、防衛省・自衛隊は30日
、地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)の沖縄県への配備のため部
隊移動などを始めた。配備される4カ所のうち、宮古島に向かう部
隊が30日夜、空自白山分屯基地(津市)を出発した。4月5日ま
でに配備を終え、迎撃態勢を整える。

 沖縄には白山のほか、岐阜基地(岐阜県各務原=かかみがはら=
市)と饗庭野(あいばの)分屯基地(滋賀県高島市)の部隊が展開
。両分屯基地のPAC3は海自呉基地(広島県呉市)から輸送艦で
宮古島と石垣島へ、岐阜からの2基は名古屋からチャーターした民
間船で沖縄本島へ運ぶ。

 白山分屯基地では30日午後9時過ぎ、PAC3を搭載した車両
2台や大型トラックなど約20台が、三重県警の車両に先導されて
出発、隊員たちが敬礼で見送った。【谷口拓未、鈴木泰広】

毎日新聞 2012年3月31日 0時44分(最終更新 3月31日 1時01分)
==============================
北朝鮮の核、深刻化=東アジア概観−防衛研
 防衛省の防衛研究所は30日、日本周辺の安全保障環境を分析し
た2012年版「東アジア戦略概観」を発表した。北朝鮮の核問題
について「解決の見通しは依然不透明で、懸念はさらに深刻化して
いる」と指摘。金正日総書記死去後の金正恩体制に関しては「権力
継承のための期間が短く、今後の行方は不透明感が増している」と
分析している。
 核問題の深刻化の背景として、(1)核兵器の小型化に成功した可能
性がある(2)高濃縮ウランによる核開発を進めている(3)弾道ミサイ
ルの射程延長や発射機の機動性向上に力を入れている−ことなどを
挙げた。(2012/03/30-05:07)
==============================
北朝鮮、人民軍の入隊の身体条件は143センチ・37キロか=韓国
2012年03月31日15時16分サーチナ

 北朝鮮の指導者金正恩氏が、軍部隊の栄養失調者をなくすよう繰
り返し指示していたことが分かった。北朝鮮人民軍兵士の栄養失調
は厳しい状況で、兵士の入隊基準が身長143センチ、体重37キロとも
いわれている。複数の韓国メディアが報じた。

 実質ミサイルとみられる人工衛星の発射に、巨費を投じている北
朝鮮の食糧事情は深刻で、児童たちの栄養失調はもちろんのこと、
人民軍兵士の栄養状態も戦力にならないほどだという。そのため、
人民軍兵力の確保が難しくなり、人民軍に入隊するための身体条件
も何度か下方修正されたというのが情報筋の証言だ。

 韓国メディアによると、1990年代初頭までは入隊の条件として身
長150センチ、体重48キロと定めていたが、兵力の確保が難しくなっ
たことから90年代半には身長148センチ、体重43キロまでに下方調整
したという。最近となっては、身長143センチまで、体重37キロまで
にさらに引き下げたとの報道もある。

 特に、近年軍における厳しい食糧事情がたびたび報じられている
が、栄養失調は過半数、餓死する兵士も続出し、軍には栄養失調を
減らすための「栄養失調者保護所」があるほどだという。飢えを凌
ごうと民家に押し入って食料を略奪する兵士や、強い不満から反乱
をおこす兵士がいるなど、人民軍兵士の食糧難は想像を絶すると伝
えられている。

 米自由アジア放送によると、金正恩氏は軍兵士たちの栄養失調問
題を重視しており、指導者になってから17回も軍部隊を訪問した際
に各部隊の将校に交代で特別食を供給するように指示したため、将
校から不満の声が上がっているという。(編集担当:金志秀)
==============================
北朝鮮兵士も…飢えに耐えられずこんなことまで…
2012年03月29日15時52分中央日報
  北朝鮮軍部隊の食糧難が深刻な状況になる中、飢えに耐えられず
軍人がカエルの卵やオタマジャクシまでとって食べている、という
証言が出てきた。 

  28日の米国自由アジア放送(RFA)によると、両江道甲山郡
(ヤンガンド・カプサングン)に駐留する第43軽歩兵旅団のある
兵士は「政治犯は管理所でネズミやカエルを取って食べるというが
、私たちはかたっぱしからとって食べている」とし「ネズミ、ヘビ
、バッタ、カエルをはじめ、カエルの卵、オタマジャクシも食べて
いる」と伝えた。 

  北朝鮮当局は軍用米の不足にもかかわらず軍兵力を減らしていな
い。咸鏡北道(ハムギョンブクド)のある幹部消息筋は「将軍様(
金正日)が生前に、軍兵力を減らして軍用米問題を解決することを
検討したと聞いている」とし「しかし『社会に不満を抱いている若
者を放置すれば何が起こるか分からない』という考えで数を減らせ
なかった」と伝えた。
==============================
北朝鮮空軍の飛行訓練、大幅に増加
1月以降は訓練が6倍以上に増加
戦時用備蓄燃料も使用しているもよう
忠誠を誇示すると同時に開戦に備えるためか
2012/03/29 09:03

 北朝鮮空軍による平時の飛行訓練は韓国空軍に比べて非常に少な
いが、先月以降、1日最大650回以上の飛行が確認され、訓練を強化
していることが28日までに分かった。

 北朝鮮空軍は、これまで訓練がなかった週末にも訓練を行うよう
になったほか、韓国空軍の戦闘機がスクランブル発進する地点まで
南下することもあったという。

 韓国政府筋は28日「北朝鮮空軍による最近の飛行訓練回数は、例
年の冬に比べて非常に増加している。現在、その背景についてさま
ざまな観点から分析を行っている」と語った。さらに「金正恩(キ
ム・ジョンウン)氏が1月に空軍を集中的に視察してから、このよう
な変化が出てきたことに注目している」と話した。韓米両国の軍当
局は、北朝鮮空軍は最近の訓練強化に伴い、例年に比べ2倍近い燃料
を使ったものと予想されることから、戦時用の備蓄油にも手をつけ
たかどうかについても分析を進めている。

 韓国軍筋によると、北朝鮮空軍の戦闘機は昨年まで、普段は1日平
均100回未満、訓練が比較的多くなる冬季でも1日最大300−400回程
度しか訓練を行わなかったという。これは、平時でも1日平均700−
800回飛行訓練を行う韓国空軍に比べると非常に少ない。また1990年
代以降、北朝鮮空軍戦闘機による1日の飛行回数は、最大でも450−
500回程度にとどまっていた。ところが最近は1日650回以上にまで飛
行回数が増加しており、韓米両国の軍関係者を驚かせている。上記
の韓国軍筋は「1日に650回以上飛ぶのは、ここ十数年間では間違い
なく最高記録だと思う」「韓国空軍のF16は、1回の飛行で最低200万
ウォン(約14万6000円)から300万ウォン(約21万9000円)以上の費
用が掛かる。北朝鮮の戦闘機による飛行回数増加に伴う追加費用に
ついて正確には分からないが、急増しているのは間違いないだろう
」などと述べた。

 北朝鮮空軍はこれまで、通常は週末には訓練を行ってこなかった
が、最近は週末や休日にも訓練を行っていることが確認された。そ
のため韓国空軍のパイロットもこれに備え、週末と休日にも待機を
始めたという。

 韓国空軍は北朝鮮空軍の燃料備蓄量をおよそ1カ月分とみている。
しかし最近になって北朝鮮は飛行回数を大幅に増やしていることか
ら、戦時用の備蓄燃料を一部使用した可能性が高い。韓国軍当局に
よると、北朝鮮が訓練に必要な航空燃料を海外から追加で輸入した
という情報は確認されていないという。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
==============================
ミサイル:米国、対北栄養支援を中断へ
国防省次官補代行が表明
2012/03/29 09:01
    
 米国は今月27日、北朝鮮が長距離ロケットの発射を強行する意向
を示したことを受け、北朝鮮に対する栄養(食糧)支援を中断する
方針を表明した。

 国防省のピーター・ラボイ次官補代行(アジア・太平洋担当)は
28日(現地時間)、米国議会の聴聞会で「北朝鮮によるミサイル発
射計画は、彼らに国際的な義務を果たす意思がないことを示すもの
だ。われわれは北朝鮮に対して行うこととした栄養支援を中断する
しかない」と主張した。その上でラボイ氏は「現在のような状況で
は、もし支援が行われたとしても、その物資が住民に対し十分に行
き渡るかどうか信頼できない」と指摘した。

 また、国家安全保障会議(NSC)のベン・ローズ副補佐官も27日、
ソウルで行われた核安全保障サミットに出席した際、随行記者たち
との懇談会で「かつて北朝鮮は、挑発と悪行によって支援を受け続
けてきたが、われわれは今後、そのような行動に振り回されること
はない」と語った。

ワシントン= イム・ミンヒョク特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
==============================
「北朝鮮、南北会談に参加した官僚らを処刑」
アムネスティが報告書で主張
2012/03/28 09:08
    
 国際NGO(非政府組織)アムネスティ・インターナショナル(国際
人権救援機構)は、27日に発行した死刑に関する年次報告書で「北
朝鮮当局が昨年7月、南北会談に参加したり、これを指揮した官僚約
30人を、銃殺または交通事故に見せかけて殺害したという未確認情
報を入手した」と発表した。

 アムネスティは報告書で「金正恩(キム・ジョンウン)氏への権
力継承を推進するため、国家安全保衛部(秘密警察)が官僚約200人
を拘禁したという未確認の報告も昨年1月に受けた。このうちの一部
が処刑された恐れがある」と主張した。

金真明(キム・ジンミョン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
==============================
核安保サミット、閉幕 北ミサイル 遺訓統治の「呪縛」 
突き進む正恩体制
産経新聞 3月28日(水)7時55分配信
 ■「打ち上げ絶対に放棄しない」

 北朝鮮は27日、事実上の長距離弾道ミサイル発射である「衛星
」打ち上げは、金正日(キム・ジョンイル)総書記の「遺訓だ」と
して「絶対に放棄しない」と表明した。同日閉幕した核安全保障サ
ミットに参加した日米露韓は発射阻止で足並みをそろえたが、金正
恩(ジョンウン)政権の結束を担保する遺訓の“呪縛”がある限り
、北朝鮮が核ミサイルを前面に掲げた強硬路線を転換する可能性は
ないに等しい。(桜井紀雄)

 「金日成(イルソン)同志の誕生100周年を迎えて衛星を打ち
上げることは、金正日将軍の遺訓であり、久しい前から計画、推進
されてきた正常な事業だ」。北朝鮮外務省報道官は27日、こう主
張した。ラヂオプレス(RP)が伝えた。

 北朝鮮が金総書記死去以前から米側に「衛星」発射計画を伝えて
いたことは明らかになっているが、報道官は、これまでの米朝高官
協議でもミサイル発射中止に「衛星打ち上げは含まれないと一貫し
て主張した」とも述べた。

 その結果、米朝間での合意は「衛星を含むミサイル発射」ではな
く、単に「ミサイル発射の中止」だけだと主張しているのだ。打ち
上げは「明確な国連安保理決議違反だ」と非難する日米韓などと埋
めがたい認識の隔たりがある。

 「金正日同志の遺訓を一寸のぶれなく貫徹し、将軍が導いた先軍
(軍事優先)の道を続けることはわが(朝鮮労働)党の不動の意志
だ」。朝鮮中央放送が27日、伝えた正恩氏の言葉だ。「経済強国
宣布の祝砲が一日も早く打ち上げられるようにしなければ」とも指
摘したという。

 昨年12月に金総書記が死去して以来、北朝鮮が繰り返し強調し
てきたのが「遺訓」だ。韓国政府関係者は「正恩政権は独自路線を
打ち出すより、当面『遺訓』の名分の下、結束を図ろうとするだろ
う」とみる。

 党機関紙労働新聞によると、李英浩(リ・ヨンホ)朝鮮人民軍総
参謀長ら軍幹部は26日、4月中旬に招集される党代表者会で正恩
氏を「党の最高位に頂く」と表明した。正恩氏の党総書記就任に向
けた準備が加速していることがうかがえる。

 しかし、体制安定に欠かせない食糧問題について「衛星」を打ち
上げれば米国からの支援が望めない状況だ。

 「経済強国宣布の祝砲」といえる存在はミサイル発射しかなく、
発射阻止に向けた圧力は、逆に北朝鮮の態度を硬化させる方向に作
用しかねない。
==============================
日本に自制呼び掛け=ミサイル迎撃準備で−中国外務省
 【北京時事】中国外務省の洪磊・副報道局長は27日の記者会見
で、日本政府が自衛隊に対し、北朝鮮による長距離弾道ミサイルの
迎撃態勢を整えるための準備命令を出したことに対し、「関係各国
が大局と長期的な観点から穏当かつ慎重に問題を処理し、冷静さと
自制を保つよう希望する」と呼び掛けた。
 同副報道局長は「外交ルートや平和的な方法を通じて問題を適切
に解決し、北東アジアや朝鮮半島の平和と安定を守るよう望む」と
強調した。(2012/03/27-18:06)
==============================
正恩氏の総書記就任示唆?…軍幹部「最高位に」

 【ソウル=中川孝之】朝鮮通信(東京)によると、北朝鮮の労働
新聞(電子版)は27日、朝鮮人民軍の李英●リヨンホ総参謀長ら
軍幹部が26日、4月中旬に開かれる朝鮮労働党代表者会を前に、
後継指導者の金正恩氏を「党の最高位に頂く」と述べたと報じた。
(●は金ヘンに「高」)

 正恩氏が代表者会で党総書記に就任する準備が進んでいることを
、強く示唆した形だ。

 発言は、代表者会への軍の出席者を決めるため、この日開かれた
朝鮮人民軍代表会で出た。李総参謀長らは、軍最高司令官の正恩氏
を党最高位に推挙することは「人民軍の鉄のような意志の噴出」と
強調した。

 北朝鮮では、4月15日の金日成主席の生誕100年に合わせ、
党代表者会や最高人民会議(国会)などの政治日程が続き、正恩氏
が金正日総書記の死去で空席となった最高指導者ポストに就くとみ
られている。

(2012年3月27日18時10分  読売新聞)
==============================
北朝鮮、ミサイル発射「絶対に放棄しない」

 「人工衛星」と称して長距離弾道ミサイル発射を予告している北
朝鮮の外務省スポークスマンは27日、「主権国家の合法的権利で
あり、経済発展の必須の要求である平和的衛星発射を絶対に放棄し
ない」と述べた。

 朝鮮中央通信の質問に答えた。

(2012年3月27日15時26分  読売新聞)
==============================
「茂山郡に天安艦沈没させた英雄がいる」 
脱北者「茂山郡党組織書記の発言」
金素烈記者
[2012-03-27 10:38 ] デイリーNK
  	
2010年3月に沈没した天安艦は、北朝鮮の潜水艦の魚雷攻撃によって
襲撃され、これは金正恩の指示で行われたという脱北者の証言が出
された。

昨年5月に韓国に入国した咸鏡北道出身の脱北者チェ・ヨンピル(仮
名)さんは26日、(天安艦事件が発生した翌月の2010年4月、茂山郡党
組織書記がある行事で「南朝鮮の軍艦をぶっ潰した英雄が表彰休暇
を受け、茂山の実家に帰ってきている」と自慢げに語っていた)と話
した。

当時、北の党幹部は住民への政治講演会で「我々の軍隊が敵に痛快
な報復を与えた」と宣伝していた。しかし、韓国に入国した脱北者
の証言を通じて、天安艦沈没の状況証拠が伝わるのは、今回が初め
てだ。

チェさんによれば、キム・グァン茂山郡党委員会組織書記は、2010
年4月に万景台体育競技マラソン大会の優勝者を祝うための祝宴を開
いた。この席には優勝者のシム某さんと父親が参加した。

キム書記は「我が郡から英雄が同時に2人が出てきた事は、またとな
い光栄。南朝鮮の軍艦を撃破した潜水艇英雄とマラソン勝者を同時
に輩出した」述べた。

チェさんは、天安艦攻撃が2009年11月に西海で発生した大青海戦の
復讐であると、大青海戦を行った北朝鮮軍部隊を除隊した人物から
直接聞いたと付け加えた。

大青海戦で大敗した際に金正恩は、「負傷した兵士を11号病院(平
壌人民病院)に搬送し、無条件に完治させ、元の部隊に復帰させろ
。私は彼らと共に復讐戦を行う決意だ」と指示を下した。

北朝鮮は、天安艦沈没後の5月に行われた韓国・国防部の合同調査団
の「北潜水艦の魚雷攻撃による沈没」という結果発表に対して、特
大謀略劇と反論した。天安艦襲撃2周年を迎えた26日にも、オンライ
ンサイトの我が民族同士を通じて、「天安艦沈没事件は、我々とな
んら関係がない」と主張した。

チェさんは「当時、北では我々が沈没させたと宣伝しており、住民
も人民軍が行ったという事を全く疑わなかった。特に幹部は、天安
艦を沈没させたことに対して、今も誇りを持っている」と付け加え
た。
==============================
「衛星準備は最終段階」 北朝鮮、発射強行を強調
2012.3.26 21:13 [北朝鮮]
 【北京共同】北朝鮮の対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会のウ
ェブサイト「わが民族同士」は26日の論評で、長距離弾道ミサイ
ルの試射とみられる北朝鮮の「衛星」打ち上げの準備作業が「最終
段階」にあることを明らかにした。

 北朝鮮の外務省報道官は23日、準備作業が「本格的な実動段階
に入った」との談話を発表しており、あらためて打ち上げを強行す
る姿勢を示した形。韓国国防省は26日、ロケットの胴体が発射施
設に運搬されたことを確認している。

 論評は、宇宙空間を平和的に開発・利用することは「国際的に公
認された主権国家の合法的権利」と強調、打ち上げを正当化した。

 一方、朝鮮中央通信は、「衛星」打ち上げについて「農業や国民
経済に必要な天気予報の研究で大きな一歩を踏み出す」とする気象
水文局当局者の話を紹介、経済的な意義を強調した。
==============================
中国主席「発射中止へ努力」表明 北朝鮮ミサイル
2012年3月26日14時8分

 訪韓している中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と韓国の
李明博(イ・ミョンバク)大統領が26日午前、韓国大統領府で会
談。韓国政府によると、北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」として予告
している長距離弾道ミサイル発射について胡主席は「深い憂慮」を
示し、中止させる努力をすると表明した。

 中国はこれまで「打ち上げ」に憂慮を表明していたが、中止を求
める姿勢を示したのは初めて。

 韓国政府の説明によると中国側は、北朝鮮に対して「打ち上げ」
を放棄し、国民生活の発展に集中するよう求めていることを明らか
にした。両首脳は、この問題が朝鮮半島の平和と安定や北朝鮮の核
問題をめぐる6者協議の再開にも悪い影響を与える可能性があると
の認識で一致した。
==============================
金正恩「粛清の嵐」?砲弾の着弾地に立たせて処刑
2012年03月26日14時50分J-CASTテレビウォッチ

衛星だかテポドンだか、どちらにせよ危険極まりない北朝鮮の発射
予告で緊張が高まる中、この国の内部で粛清が行われているという
。井上貴博アナが「けさ単」コーナーで、「私より2歳年上の人物が何
を考えているのか、つぶさに洗い出してみました」と取り上げた。

父親見習って「政敵殺し権力の足場固め」
金正日総書記の死去から100日目の25日(2012年3月)、首都・平壌
で盛大な追悼大会が開かれた。日本の四九日のようなもので、喪が
明けたことを意味する「百日祭」(ペギルチェ)の行事で、正午に汽
笛とサイレンが鳴らされ軍人や市民が3分間の黙とうを行った。

この100日間の喪中で密かに行われてきたのが残酷な処刑だという。
「けさ単」の情報源は、韓国最大の発行部数を誇る朝鮮日報が消息筋
の情報として伝えた記事で、それによると―。喪中に飲酒やセクハ
ラをしたという理由で、軍の高官など10人以上が処刑された。処刑
方法も前代未聞で、金正恩の「髪の毛1本すら残すな」という指示で、
高官は追撃砲の着弾地点に立たされ木っ端微塵にされたという。

「コリアレポート」の辺真一・編集長は、「この報道には信ぴょう性
に疑問が残るが、もし本当ならセクハラなどが処刑の理由ではなく
、体制に逆らった見せしめだろう」と見る。

一方では、「父親を見習った」との見方もある。アムネスティ・イン
ターナショナルでは「金正日は1994年の権力継承の時、数か月で数
百人を政治犯収容所に入れ、その大半を処刑し盤石の態勢を固めた
。それを見習っている」と見ている。

処刑すでに数百人―軍も恐れる「死の3人組」
処刑情報とともに、いま「死の3人組」と呼ばれる人物の名が浮かび
あがっているという。軍内部の思想を監視する総政治局第1副局長の
金正覚、軍の不正・腐敗を監視する保衞司令官のチョ・ギヨンチョ
ル、国民の監視・摘発を担当する国家安全保衞部第1副部長の禹東測
の3人だ。この3人によって粛清された数は、すでに数百人にのぼる
ともいわれている。

コメンテーターの柿崎明二(共同通信編集委員)「父親を見習ったと
いうより、おじいちゃんから3代続いた粛清政治が行われていること
になりますね」

背景にあるのは、年齢から来るコンプレックスではと辺真一は次の
ように分析する。
「軍の視察で高官を怒鳴ったり、片手をポケットに入れて握手をした
り、普通なら考えられない無礼な態度が見られます。若い正恩が軍
を配下に置いているというアピールでもあるが、礼儀を守らないの
は反感を生む両刃の剣で、短期間での権力掌握で焦りが出ているの
だろう」
==============================
北朝鮮:「軍事強国化、金総書記の功績」 平壌で追悼大会

 【北京・米村耕一】北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記死
去から100日目の25日、新指導者の金正恩(キムジョンウン)
氏らが出席した中央追悼大会が平壌で開かれた。崔永林(チェヨン
リム)首相らが演説し、金総書記の業績をたたえたうえ正恩氏の下
での団結を訴えた。正恩氏の発言はなかった。

 朝鮮中央通信によると、崔首相は「わが国(の地位)を世界的な
軍事強国、堂々たる核保有国に引き上げたのは金正日同志の功績だ
」とたたえ、金総書記の方針継続を強調した。

 また、正恩氏は朝鮮人民軍の李英鎬(リヨンホ)総参謀長らと、
金総書記の遺体が安置されている錦繍山太陽(クムスサンテヤン)
宮殿を訪れた。

 北朝鮮は現在、李総参謀長や張成沢(チャンソンテク)国防副委
員長らが正恩氏を支える体制を取っている。25日付朝鮮労働党機
関紙「労働新聞」(電子版)は「歴史上、指導者交代期に政治的混
乱が起こる例は少なくないが、われわれの社会は最高の政治的安定
を成し遂げている」と主張した。

毎日新聞 2012年3月26日 東京朝刊
==============================
IAEA、北朝鮮と協議開始 核施設へ監視要員派遣で

 【ウィーン共同】国際原子力機関(IAEA)当局者は21日、
北朝鮮・寧辺の核施設へのIAEA監視要員派遣をめぐり、北朝鮮
当局と協議に入ったことを明らかにした。IAEAは16日に北朝
鮮から関係者派遣の招請状を受けていた。天野之弥事務局長は派遣
に意欲的で、協議は北朝鮮への約3年ぶりの要員復帰に向けた第一
歩となる。

 この当局者によると、IAEAは北朝鮮とともに、米国などとも
協議を始めた。合意をめぐる状況のほか、要員の派遣時期、現場で
の監視手順など具体策についても詰めていくとみられる。

2012/03/22 06:20   【共同通信】
==============================
北朝鮮の新ミサイル発射場、高度な政治外交学的意味があった?
2012年03月19日10時12分 中央日報

  北朝鮮が平安北道鉄山郡(ピョンアンブクド・チョルサングン)
の東倉里(トンチャンリ)基地を新しいミサイル発射場に選択した
ことには、高度な政治外交学的な意味が込められている、というの
が専門家らの分析だ。 

  まず、残骸の落下に対する周辺国の反発を静めるためいう見方が
多い。北朝鮮は09年4月など3度の発射をすべて東側で行った。
日本列島を横切る軌道であり、日本の反発が強かった。発射体と推
進体が日本領土に落ちる可能性があったからだ。 

  北朝鮮は16日、「光明星3号」打ち上げ計画を発表し、国際民
間航空機関(ICAO)と国際海事機構(IMO)に関連航路情報
を通知した。これによると、1段目の推進体の落下地点は辺山(ピ
ョンサン)半島西側140キロの公海上、2段目の推進体はフィリ
ピン東側190キロの公海上と推定される。北朝鮮領空を抜け出し
た直後から公海上の軌道を選んだのだ。 

  また、従来の発射基地だった咸鏡北道花台郡(ハムギョンブクド
・ファデグン)舞水端里(ムスダンリ)基地に比べ、米国や日本に
迎撃される可能性を減らした。技術的にミサイル迎撃は発射直後が
最も容易だ。舞水端里基地に比べて東倉里は日米イージズ艦の接近
が難しい。特に中国海岸線と近いため、公海上から発射された迎撃
用ミサイルが中国に落ちる危険もある。 

  北朝鮮の朝鮮中央テレビは今年1月8日、09年のミサイル発射
当時、金正恩(キム・ジョンウン)が金正日(キム・ジョンイル)
とミサイル発射の場面を参観し、「迎撃すれば本当に戦争しよう」
と述べたと紹介した。それだけ北朝鮮指導部は米国や日本の迎撃を
懸念していたのだ。 

  このため東倉里発射基地は徹底的に計算された位置選択という分
析が出てきている。内部的には金正恩に対する偶像化操作の側面も
ある。東倉里基地は金正恩の指示で00年に建設が始まり、08年
に完工したためだ。内部燃料貯蔵および注入装置、組立施設、自動
化装置など現代化した施設を備わっていると評価される。このため
金正日の死去100日(3月26日)と金日成(キム・イルソン)
100回目の誕生日(4月15日)というイベントを迎え、最先端
を強調してきた金正恩を浮き彫りにできる素材になるということだ。 

  問題は、東倉里基地に十分な衛星制御設備が整っている可能性が
大きくないという点だ。北朝鮮の経済事情を考慮すれば、天文学的
な経費がかかる衛星技術は初歩水準にとどまっていると推定される。
衛星制御技術とシステムも不足しているという評価が多い。韓国航
空宇宙研究院の関係者は「人工衛星を打ち上げて維持するには制御
システムが必須。北朝鮮はリアルタイムで人工衛星を観測して制御
するための観測船舶や施設が不足していると考えられる」と述べた。 

  これに対し飛距離3000キロ以上の発射能力を見せたミサイル
技術はすでに検証された状態だ。韓国国防部の当局者は「北朝鮮の
ミサイル発射技術は韓国より進んでいる」と述べた。韓国は米国と
のミサイル協定のため、300キロ以上の弾道ミサイルを開発でき
ないが、北朝鮮は1980年代後半から長距離ミサイルを開発して
きた。これを根拠に専門家は東倉里基地を人工衛星関連施設ではな
くミサイル発射基地と見なしている。
==============================
北朝鮮後継体制初の合意 対話局面転換のシグナルか
聯合ニュース 3月1日(木)11時13分配信
 【ワシントン聯合ニュース】米国と北朝鮮が米朝高官協議の結果
を同時に発表したことは、北朝鮮が米国を相手に金正恩(キム・ジ
ョンウン)氏による後継体制を印象づけたという点で外交的な意味
合いが小さくない。北朝鮮は金正日(キム・ジョンイル)総書記の
遺訓に従い、米国との交渉を続けていく意志を打ち出した。また、
非核化という方向性を示したことは今後、北朝鮮核問題だけでなく
朝鮮半島情勢にも大きな影響を及ぼすとみられる。
==============================
インタビュー:北朝鮮の権力移行は「円滑」=韓国統一相
2012年 01月 17日 10:07 JST 

[ソウル 16日 ロイター] 韓国の柳佑益(リュ・ウイク)統
一相は16日、ロイターのインタビューに応じ、金正日総書記死去
後の北朝鮮の新体制について、「比較的円滑に」機能しているよう
に見えると述べた。ただ、後継者である金正恩氏が疲弊した経済を
立て直すには、中国からの支援の先を見据えなくてはならないとの
考えを示した。

「権力継承は安定的かつ用意周到に進んでいる」。こう語る柳統一
相は「未来を予想するのは難しいが、北朝鮮は当面の間、内部の権
力基盤強化に集中する可能性が高い」と指摘し、今月に入って市場
に流れていた政変の憶測については「事実無根」だと一蹴した。

また、20代後半とされる正恩氏の経験の少なさを考えた場合、国
家を「正しく運営」していけるかどうかには疑問が残るとしながら
も、「北朝鮮のような体制の後継者として生きること自体が大きな
経験だ」とし、年齢そのものは大きな問題にはならないとの見方を
示した。

祖父である故金日成主席、父の故金正日総書記との比較では、正恩
氏はまだ絶対的な支配力を手にしておらず、信頼の厚い少数のメン
バーが、若い正恩氏の指導力発揮に重要な役割を果たしていると分
析。「重要なことは、北朝鮮の安定化に向けた変化を働き掛けるた
め、われわれがどんな助けを提供できるか考えることだ」と述べた。

北朝鮮や中国と強いつながりを持つある関係筋は先月ロイターに対
し、北朝鮮は今後、正恩氏や金正日総書記の義弟である張成沢氏(
65)を含む集団指導体制となるとの見方を示していた。

<経済再建の鍵は中国ではなく韓国>
柳統一相は、正恩氏が権力基盤を強化するためには、性格などの個
人的要素より、経済安定化のための政策が重要だと指摘する。

約30年前には韓国を上回る活気があった北朝鮮の中央計画経済だ
が、旧ソ連の崩壊以降は疲弊の一途をたどっており、韓国中央銀行
によると、2010年の北朝鮮の国民総所得(GNI)は30兆ウ
ォン(約2兆0360億円)と、韓国の1173兆ウォンのわずか
2.56%だった。

柳氏は、北朝鮮の経済立て直しにおける中国の役割を疑問視。「中
国は明らかに北朝鮮の体制安定を望んでいる」が、その影響力は政
治分野のみに限られ、北朝鮮を経済的破滅から救えるのは韓国だけ
だいう。「中国は(北朝鮮との)国境地帯で投資し、貿易を促進す
るだろうが、それが北朝鮮経済を生き返らせるとは考えにくい」と
いうのがその理由。「壊れた経済を再建させた経験があるのは韓国
。経済立て直しのリスクを理解し、そのリスクを受け入れる用意が
あるのも韓国だ」と述べた。
==============================
【緊急事態】北朝鮮で数百人規模の粛清が行われる
2011/12/21(水) 

国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは20日までに
、過去1年間にわたる情報収集の結果として、北朝鮮の権力継承者と
なる金正恩氏とその支持勢力が後継体制の足場固めのため、粛清を
強化していると明らかにした。 
正恩氏への脅威とみなされ、粛清された政府当局者は数百人に上り
、処刑されたり、政治犯収容所に送り込まれたりしているという。
==============================
北朝鮮計画財政部長、また粛清か=中国式開放主張との説も−韓国紙
 【ソウル時事】6日付の韓国紙・朝鮮日報は、安保当局者らの話
として、北朝鮮の洪錫亨労働党計画財政部長が今年6月に粛清され
たとみられると報じた。中国式の経済開放を主張したためとの情報
もあるという。前任の朴南基氏も昨年前半に2009年11月のデ
ノミ(貨幣呼称単位の変更)失敗で粛清されたとされている。
 洪氏は昨年7月に計画財政部長に就任。さらに同9月の党代表者
会で政治局委員と経済担当書記となった。しかし、今年6月6日の
党政治局拡大会議で書記の職を解く決定が下された。安保部門の当
局者は「政治局委員も解任されたことが確認された。粛清の可能性
を裏付ける」と指摘した。(2011/10/06-10:50)

コラム目次に戻る
トップページに戻る