4298.成長戦略の行動計画



成長戦略の目標と将来の姿を前4回のコラムで示したが、それでは
、それをどのように実行していくのかという実行計画を作ってほし
いという要望を感じる。  津田より

0.成長戦略の概要
詳細は、過去の有料メルマガを読んでいただきたいが、無料版でも
わかり、参考資料にURLを書いたので読んでほしいが、ここでは少し
だけ概要を述べることにする。

今後2100年に向けて、このままでは日本の人口が3700万人
まで減少していくことが予測されている。このため、今後人口減少
で、日本の経済成長はマイナスになり、現在の社会システムの維持
は無理になる。

今回、消費増税をしたとしても税収は大幅に足りなくなり、なおか
つ、生産人口が急減し老齢人口が増えるので、数回の増税をしても
税収だけでは社会システムを維持できなくなる。どうすればよいか
というと、税収を増やすことではなく、税外収入を増やすしかない。

もう1方、成長戦略を考えると、イノベーションの仕組み再構築が
必要である。日本の発展は、国鉄と電電公社の研究所が大きな役割
を果たしていた。研究開発費が、電電公社当時の通信研究所では、
5000億円程度であったが、通信研究の国家機関である情報通信
研究機構の予算は450億円である。鉄道技術研究所時代は、
1000億円規模が、現在のJR総研の予算は150億円程度である。

国の機関では、産業技術総合研究所(産総研)が最大で予算は1500
億円弱であるが、昔の電電公社の通信研究所には及ばないことにな
る。

この2研究所は、研究結果を国内民間会社に技術移転していた。し
かし、民営化でできなくなってしまった。これにより、イノベーシ
ョンを起こすことができる規模の研究機関が日本にはなくなったの
だ。

このことから、このような研究所ができても、外圧で潰されないよ
うにする必要と厳格な秘密が必要である。このためには軍事研究所
しかない。

というように、20兆円程度の税外収入を増やし、5000億円程
度の研究開発費が捻出できる事業を国家が率先して作るしかない。
となると、エネルギー系企業しかない。エクソンなどメジャーは売
上高50兆円にもなる。半分程度が利益で大きい。サウジなどは、
国営石油会社の儲けで国民は無税である。というように石油関連企
業を国営ですることだ。

しかし、日本では石油が出ないし天然資源がないので、もちろん、
新しい石油代替エネルギーしかない。この候補が、藻からの石油、
ススキからのエタノール、そしてメタンハイドレードである。この
3つの内、1つでもイノベーションが起こると、この計画が実行で
きる。そして、今原発事故で、石油を大量に買っているので日本は
貿易赤字になっている。電力料金も10%以上も上がるという。

というように、日本としてはエネルギー産業を再構築する必要に迫
られている。イノベーションを起こすべく、この3つの研究には、
国費が投入されている。ということで、国営化できるかどうかが、
勝負であるのだ。

参考資料:
4286.成長戦略を考える3
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240304.htm
4280.成長戦略を考える2
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240226.htm
4274.成長戦略を考える1
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/240219.htm

1.東電の国有化
日本は危機が起こると、それを乗り越えるために技術開発を始めて
、危機を乗り越えてきた。たとえば、1980年代の石油危機でエ
ネルギー消費の効率化を遂げて、日本製品の省エネ化ができて、そ
れで日本は、世界に日本製品を売り込めたのである。今回もこの原
発事故でのエネルギー不足を乗り越えることができると見る。

国は原発事故を起こした東電を一時国営化する計画である。東電は
LNGガスの輸入量が日本で一番多く、東京ガスよりも多い。この
ため、今でもガスの購買価格の競争力を持っている。

韓国ガス公社に抜かれる前までは、東京電力が世界で一番LNGを
輸入する会社であった。東京電力のLNGガス輸入量は、2億78
万トンで、東京ガスの輸入量は東京電力の約半分しかない。

東京電力は、売上高5兆円の売上高ランキングで17位の巨大企業
である。エネルギー企業としては売上高9.6兆円のJXの次であ
る。

このため、LNGや原油などのエネルギー資源価格が高騰すると、
即座にその経営に影響してくる。このため、エネルギー資源の研究
は重要なテーマになる。この延長上で、東京電力を全国送電国営会
社にして、LNG火力や石炭・重油火力を別会社化して現在の東電
株主を移すことである。

そして、現在の東電は送電国営会社にして、藻からの石油、または
メタンハイドレードのエネルギー供給専売会社にすることだ。
東電を国営エネルギー専売会社に衣替えするのだ。

2.藻からの石油
仙台市は、下水処理施設「南蒲生浄化センター」の生活排水を藻の
繁殖用水として利用する。筑波大は石油系の炭化水素を作る藻「オ
ーランチオキトリウム」増殖の研究、東北大は石油を抽出する技術
開発の研究を行う。3者による実証実験設備の整備は2013年中に完了
の予定となる。

再生可能エネルギー自給と下水処理能力の向上、費用の削減という
効果の両立をめざし、2020年前後には実用化に目途をつけたいとし
ている。今回の研究に携わる専門家からは、藻の石油生産と水処理
のプロセスを上手く統合することで、原油並みのコストパフォーマ
ンスの実現を目指すとしている。

この「オーランチオキトリウム」は計算上では2万ヘクタールの生産
で国内の原油輸入量と同じ石油の生産が可能になるとされている。
休耕田で日本の原油生産ができると言う。

2011年12月 - 渡邉信教授の研究チームと自動車メーカーのマツダが
共同でオーランチオキトリウムから精製した油を軽油に70%混ぜ
て、クリーンディーゼル車を走らせる実験を行い成功した。

この研究は産官学連携で、出光興産、デンソー、住友重機、熊谷組
、トヨタ中央研究所などが支援している。

この内、デンソーがすでに培養装置研究をしていて、大量に各種の
藻を培養している。藻を栽培して燃料を作るという技術が、生物学
の段階から、エンジニアリングの段階に進んでいる。

現時点でも、1リットル当たり50円程度の効率であり、1バレル
は159リットルであるから、1バレル7950円である。1バレルが
市場で110ドル前後であり、1ドルが85円とすると1バレル=
9800円となる。

有望なエネルギー資源を手に入れつつある。

3.メタンハイドレード
メタンハイドレードも従来の石油・天然ガス採掘技術の応用である
「減圧法」による採取に成功したことで、実用化へ向けて開発が進
んでいる。国は2018年度をメドにメタンハイドレートの実用化技術
を確立し、2019年からは商業生産を開始する方針を打ち出した。

そして、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、愛
知県渥美半島沖約70キロ、水深約1000メートルの沖合で、次
世代のエネルギー資源として期待される「メタンハイドレート」の
海洋産出試験に向けた掘削作業を始めた。

というように、やっと採掘が始まったが、そのガス生産価格は
46円/m3となり、実勢価格の倍程度のコストまでになってきた。

ということで、今後の価格動向と、技術の進化でのコスト削減にな
り、有望な状態になるはずである。こちらの実用化も近い。

4.軍事的研究所
現在も目黒に防衛研究所はあるが、防衛省の政策研究の中核として
、主に安全保障及び戦史に関し政策指向の調査研究を行うとともに
、自衛隊の高級幹部等の育成のための戦略大学レベルの教育機関と
しての機能を果たしているが、技術研究所ではない。現在、日本で
は軍備の研究開発は、防衛省技術研究本部が行っている。

しかし、この技術研究本部では日本の成長目的の研究所とは違うの
で、早期に新しい軍事研究所を立ち上げる必要がある。そのときに
は、産総研の中から軍事研究したほうがよいものを移転して、それ
を中心に構成する必要がありそうである。

DRAPA的な組織は、JSTなどを転用した方が早いようである。

さあ、どうなりますか?

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メタンハイドレート掘削開始=世界初の海洋産出へ−渥美半島沖
 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は15日、愛
知県渥美半島沖約70キロ、水深約1000メートルの沖合で、次
世代のエネルギー資源として期待される「石油天然ガス・金属鉱物
資源機構(JOGMEC)は15日、愛知県渥美半島沖約70キロ
、水深約1000メートルの沖合で、次世代のエネルギー資源とし
て期待される「メタンハイドレート」の海洋産出試験に向けた掘削
作業を始めた。」の海洋産出試験に向けた掘削作業を始めた。今後
約40日かけて計4本の井戸を掘り、来年1月から3月にかけて深
海底からの世界初の産出を目指す。(2012/02/15-18:11)

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