4291.ギリシャ危機回避で日本は



ギリシャ国内法に基づく国債1770億ユーロのうち、 85.8
%(1520億ユーロ)程度の国債保有者が債務交換への参加を表
明した。

しかし、ギリシャ政府は、国内法準拠国債の保有者すべてに債務交
換を受け入れさせる集団行動条項(CAC)を発動する見通しであ
る。これにより、手続き参加を拒否した債権者が保有するギリシャ
国債も、額面の53.5%の債務が削減される。外国法準拠の国債は、
集団行動条項を発動されないので、100%償還される。日本で発
行のギリシャ国債は減免を免れたようだ。

外国法準拠国債および国営企業が発行した政府保証債の69%に相
当する約200億ユーロの債券保有者が債務交換に同意。

このため、少なくとも1970億ユーロの国債(全体の95.7%
に相当)について債務交換が実施されることになった。

ギリシャ政府の集団行動条項の発動で、国際スワップデリバティブ
協会(ISDA)は、ギリシャ政府による債務減免に関して、デフォル
ト(債務不履行)に備えた保険の機能を持つ金融商品「クレジット
・デフォルト・スワップ(CDS)」の支払い事由に該当するとの見解
を全会一致で決定し、事実上のデフォルトと認定した。

というようにギリシャ国債の償還問題は、今回の局面は解決した。

今後はギリシャ財務赤字が縮小して、国債がこれ以上増加しないこ
とと、ギリシャ経済の再生をどうするかということになる。

一応、ギリシャ危機が解決したことと、米雇用統計がよかったこと
で、ドルが急上昇している。1ドル=82円台になり、日本も一息
入れたような状態になっている。

ギリシャ問題が解決しても、CDSの事由発生で欧州銀行の資金不足の
ために、ユーロ圏経済がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念
が広がっている。

ヘッジファンドが狙うのは、景気上昇局面では、石油や農産品にな
るため、日本国債にならない可能性がある。日銀の国債買取量増加
の影響は大きい。一層の円安は、今後は石油や農産品の価格が上昇
して、日本の消費者が痛めつけられることになるので、注意が必要
になる。

ガソリンが徐々に上昇している。少し前には140円台であったの
が153円程度に数日でなっている。今後は悪性インフレに注意が
必要になるようだ。

日本の総合的な成長戦略が必要である。AV系の市場が韓国・中国
企業に取られた影響が出ている。家電市場は63兆円と自動車業界
の48兆円より大きいので、この産業の不景気が日本に影を落とす
ことになる。このAV系に変わる産業を早期に育てる必要がある。

さあ、どうなりますか?
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米雇用統計受けドル急上昇、対円で10カ月半ぶり高値=NY市場
2012年 03月 10日 08:16 JST 

[ニューヨーク 9日 ロイター] 9日のニューヨーク外国為替
市場ではドルが急上昇。堅調な米雇用統計は景気回復が順調に進行
していることを示し、ドルへの支援材料となった。

ドルは対円で一時、10カ月半ぶりの高値となる82.64円に上
昇。その後は1%高の82.36円で推移した。ドル/円は5週連
続での上昇となる見通し。

一方、ユーロ圏経済がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念は
ギリシャ債務交換の完了をめぐるニュースに影を落とし、ユーロを
圧迫した。
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CDS支払いに該当=ギリシャ国債、事実上のデフォルト―国際業界団
体が認定
時事通信 3月10日(土)5時19分配信
 【ニューヨーク時事】デリバティブ(金融派生商品)取引の業界
団体である国際スワップデリバティブ協会(ISDA)は9日、会合を開
き、ギリシャ政府による債務減免に関して、デフォルト(債務不履
行)に備えた保険の機能を持つ金融商品「クレジット・デフォルト
・スワップ(CDS)」の支払い事由に該当するとの見解を全会一致で
決定した。同国が民間債権者に求めた債券交換を通じた債務減免に
関し、交換を拒否した債権者にも減免を強制できる「集団行動条項
」を発動する方針を示したことを受けた措置で、事実上のデフォル
トと認定した。
 これを受け、ギリシャ国債のCDSの売り手は買い手に対し、債券交
換で投資家が回収できなかった分を支払うことになる見通し。 
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債務削減を強制へ=ギリシャが正式決定
時事通信 3月10日(土)8時40分配信
 【パリ時事】ギリシャ政府筋がAFP通信に明らかにしたところによ
ると、同国政府は9日の閣議で、ギリシャ国債を保有する民間債権者
に債務削減を強制する「集団行動条項」の発動を正式決定した。
これにより、手続き参加を拒否した債権者が保有するギリシャ国債
も、額面の53.5%の債務が削減される。
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情報BOX:ギリシャ債務交換の結果
2012年 03月 10日 08:46 JST 

[アテネ 9日 ロイター] ギリシャ第2次支援の柱である民間
債権者による債務交換への参加率は高水準に達した。債務交換の対
象となるギリシャ国債2060億ユーロのうち、1770億ユーロ
がギリシャの国内法に基づく国債。外国法に準拠するギリシャ国債
はおよそ170億ユーロで、ギリシャ国営企業が発行した政府保証
債が100億ユーロ前後となっている。

以下は、ギリシャ財務省が9日発表した債務交換の結果。

<参加率>

◎ギリシャ国内法に基づく国債1770億ユーロのうち、 85.8
%(1520億ユーロ)程度の国債保有者が参加を表明。

◎国内法準拠国債保有者のうち5.3%相当は、提示条件に反対の
意向を示した。ただギリシャ政府は、国内法準拠国債の保有者すべ
てに債務交換を受け入れさせる集団行動条項(CAC)を発動する
見通し。

◎外国法準拠国債および国営企業が発行した政府保証債の69%に
相当する約200億ユーロの債券保有者が債務交換に同意。

◎集団行動条項が発動されれば、少なくとも1970億ユーロの国
債(全体の95.7%に相当)について債務交換が実施される。

◎外国法準拠国債と国営企業発行の政府保証債については、債務交
換の受付期限を3月23日に延長。すでに回答した投資家について
は、変更は認められない。

<債務交換に反対・態度を保留している債権者の保有割合>

◎国内法準拠国債:250億ユーロ

◎外国法(英国・日本の法律)準拠国債:51億ユーロ

◎国営企業が発行した政府保証債(国内法準拠・外国法準拠の両方
を含む):28億ユーロ


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