4277.橋下・大阪維新「船中八策」の骨格



■(追伸)橋下・大阪維新「船中八策」の骨格にツッコミを入れる。

橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会が次期衆院選の公約として策
定する「船中八策(維新八策)」骨格の全文が、漸く報じられた。

「橋下維新 これが『維新八策』だ! 骨子全文」 
産経新聞 2月21日(火)16時8分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120221-00000546-san-soci

維新の地方議員や3月に設立する維新政治塾での議論も踏まえ、最
終決定する模様だ。

さて読んで見ると、「骨格」だけあって、項目だけが踊っていて何
やら情報整理術のKJ法の作業中といった感じだが、一言で総括す
れば 「ナショナル・ミニマムを伴う自立社会の建設」という理念が
感じ取れ、筆者は全体の方向性としては賛成の立場である。

大阪維新の会は、13日の全体会議での発表に合わせ、ペーパーを
非公式扱いで流したため、当日報じられた内容は各紙ともバラつき
があった上に、「骨格」のそのまた要約というものだった。

今回明らかになった「小骨」の部分について、その時に書いた拙文
(「橋下・大阪維新『船中八策』の骨格に現時点でツッコミを入れ
る。」 http://www.pjnews.net/news/819/20120215_2 等)を補足す
る形で、各論についての不明点、懸念点及び異論等が在る項目のみ
につき、以下にそれを記す。

◆リバースモーケージ(所有不動産を担保に年金のような融資を受
ける仕組み)の制度化 ◆

通常この仕組みは、契約期限が来ると全額融資を返済しなくてはな
らないものだが、無期限とか年齢150才期限等を想定しているの
か? 

◆新エネルギー、環境、医療、介護などの特定分野に補助金を入れ
て伸ばそうとするこれまでの成長戦略と一線を画する「既得権と闘
う」成長戦略?成長を阻害する要因を徹底して取り除く◆

ここでイメージされている成長戦略の実行手段は、規制緩和や地方
分権であろう。

主軸に据えるのはそれでよいが、弊害は多い補助金、税制措置につ
いてもサンセット方式で透明・時限的なものであれば選択肢として
排除すべきではない。

また、有望だが民間だけでは参入に躊躇するものは、「新重商主義
」の観点から民間と折半した国の直接投資(リスクもビジネスライ
クに完全に折半する)により国家プロジェクトとして進めるべきで
ある。

◆労働市場の流動化、自由化→衰退産業から成長産業へ、外国人人
材の活用◆

外国人人材の活用は、日本人の雇用と重なる分野に於いては、一方
で競争を促進し付加価値を高めるというメリットがあるが、一方で
は日本人の雇用を食って失業者を増やすデメリットもあるので、精
緻に設計する必要がある。

概ね、ハイレベル分野に外国人を入れるならばメリットの方が大き
いであろうが、ミドルレベル分野に入れるとデメリットの方が大き
いであろう。

また、日本人がやりたがらない、いわゆる3K分野に入れると「ゲ
ットー」の出現等の別の問題が生まれる。

◆一生涯使い切り型人生モデル ◆

これを文字通り徹底すれば、相続は一切出来なくなり共産主義に近
付くが、労働意欲減退、海外資産逃避を防ぐため、少なくとも一定
財産の留保は必要だろう。 

◆脱原発依存、新しいエネルギー供給革命◆ 

「新しいエネルギー供給革命、脱原発依存」の順に、在るべき時系
列に合わせ順番を入れ替えて表現すべきだろう。

代替エネルギーの現実的な目処が、脱原発の前提条件として必須で
ある。

なお、原発政策については、福島原発事故の解明、責任者の追及・
処罰、再発防止へ向けての体制一新が必要なのは言うまでもない。

◆自主独立の軍事力を持たない限り日米同盟を基軸◆

ある週刊誌が指摘していたが、内外から同盟破棄が最終目的のよう
に捉えられてしまう。 

「自主独立の軍事力を持つ事と、日米同盟の深化を同時に進める」
等のように表現を変えるべきだ。

日本が覇権国家にならない限り、否なってもなお、安全保障上、大
国と同盟をしない事は有り得ない。

即ち、少なくとも安全保障の上では、予見し得る未来に於いて米国
を取るか中国を取るかの二者択一である。

 イラク戦争等を起こした米国は、決して正義の国ではない。しかし
、外交・防衛とは相対的なものであり、大国との関係では、比較し
て国際的大義と国益に適う方、よりマシな方を同盟相手に選ばなけ
ればならない。

なお、外交には理念・原則がなくてはならない。それが無ければブ
レる。ブレれば必ず負ける。

例えば、「国際的大義を伴う長期的国益の追求」のようなものを確
たる外交の基本理念として掲げるべきである。

以上、引き続き「船中八策(維新八策)」の具体化・明確化と読者
の「橋下ウォッチ」に役立てば幸いである。

                    以上

佐藤


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