4274.成長戦略を考える1



日本の今後を考えると、成長戦略を真剣に考えないと本当に日本が
没落する危険がある。このため、政治家は全員、真剣に日本の成長
戦略を考える必要がある。    津田より

0.日本の現状
日本の人口減少と少子高齢化で、老人層が多くなり労働人口が減少
している。労働人口は6500万人であり、全人口が1.2億人で
あるので、半分程度である。人口統計を見ると、2100年には、
日本の人口は4700万人〜3700万人になる。明治維新の日本
の人口が3300万人であるので、激減することになる。

人口減少は、年金が維持できないし、GDPも維持できないので、
経済成長率は、今後マイナスになることが確実である。このため内
需を期待できないので、円高もあり、企業は海外に逃げている。

日本国内投資は、減価償却額と同程度であり、海外は国内投資の倍
以上を使っている。その中心はM&Aであり、2011年11月ま
でに、4兆円を使っている。

国内の中小企業数は、激減しているし、そこでの雇用がなくなって
いる。しかし、中小企業に勤める人たちは、外国人が多い。給与が
15万円程度であり、日本の若者は生活保護で18万円程度貰える
ので、中小企業の工場では働かない。生活保護が恵まれているので
、それより安価な就職先には就職しないようだ。

このため、中小企業は人手不足になっている。このため、自動車工
場が海外に展開して下請けの仕事がなくなると、無理をしないで中
小企業は廃業や休業してしまう。このようにして、蒲田周辺の工場
はなくなり、大田区全体で1983年当時8000社あった工場が
、今では2000社程度になっている。

そして、工場の海外展開で日本は貿易赤字になってきた。雇用がな
くなり、若者は無職で生活保護を求めるようになってきたために、
生活保護者が200万人以上になっている。

所得も減少して、年収200万円〜300万円が大幅増加して、そ
れ以上の年収を貰う家庭は減少している。賃金上昇も緩やかになっ
てきて、50歳になっても25歳のときの給与に比べて1.7倍程
度にしか上昇しなくなっている。

貯蓄も減少している。老年層は貯蓄を切り崩しているためで、消費
の場面で60歳以上の消費が年100兆円にもなる。GDP500
兆円の60%が個人消費であるので、300兆円程度の内、1/3
が60歳以上の消費と言うことになる。このため、生産人口世代が
貯蓄を増加させても、全体的な貯蓄は減少になる。

第2次産業が衰退しても第3次産業があると言われていたが、この
サービス産業の雇用数も2008年以降減少に転じている。増加し
ているのは、医療・介護の分野のみである。

金融業も、日本は欧米に比べてファンドも弱いし、戦略的な投資も
していない。投資先がないために国債を買っている。このため30
%程度が国債依存であるようだ。しかし、日本は今後金融業を国家
の中心産業にしてはいけない。金融はあくまでもサブであり、もし
メインにするとバブルを継続的に人工的に作る欧米のようなことに
なる。その先はバブル崩壊である。

このような条件下で、ある程度の人口減少でも、GDPが落ちない方法
を考えるしかない。

1.世界の問題
世界的な問題は、日本とは逆で人口増加で90億人の人たちをどう
生活させていくかが問題になっている。資源と食料の不足で高騰し
ている。今までは、緑の革命といい化学肥料と農薬で、食糧の増産
が図られた。このため、食糧と人口がバランスしていた。

しかし、農薬と化学肥料により、土地が痩せてきて、食糧の増産が
思い通りにできなくなっている。今はブラジルのアマゾン川の流域
などを開墾して、農地を拡大してなんとか増産しているが、これか
らは、有機農法などに転向しないと農作物を安定的に耕作できない
となってきている。

資源も同様で、石油はピークに達したと言われる。シェールガスや
オイルがあり、今は何とか間に合っているが、いつかは不足してく
る。不足すると高騰することになる。石油以外には、レアメタル、
レアアースなどが不足してきているために、高騰している。また、
水も不足するようだ。

一方、製造業は世界に拡散して、その付加価値は低下してくる。
もう1つが、同じような製造業の賃金は世界的に同一賃金になるこ
とである。現在、下級船員の賃金が世界的に同一化させて、船員に
なるのは、フィリピン人や発展途上国の人たちになっている。この
現象が今後、多くの産業で起こってくる。

日本は自動車や家電などのメーカが世界に出て、日本に雇用先がな
くなるし、あっても賃金が世界標準化させて、安価になる。
また、日本の優位性のある自動車、家電に狙いを定めて韓国や中国
が追って来ている。技術優位性を失いかねない状態で、米国は革新
性のある技術に狙いを定めて研究開発をしている、この状態で日本
は、行く道に迷っているように見える。

また、日本企業の社長に聞くと、円高、電力不足、海外展開要員が
不足しているという。これも日本から企業が出て行く要因になって
いる。

というような現状において、どのような成長戦略を取れば、日本は
元気になるのかと言う命題になる。

世界の問題を解決することで、日本の生きる道を探ることである。
日本が経済成長すれば、世界から優秀な人たちが集まることになり
、生粋の日本人以外の人たちが次の日本人になっていくことになる
のであろう。

ということで、成長戦略を検討したい。

2.検討の進め方
成長戦略の検討会を、月1回の勉強会で議論しているが、なかなか
良いアイデアがない。いろいろな要素が出てきて、発散してしまう
か、1つの要素に収斂してしまい。全体的な構図が描け切れていな
い。このため、システム的な検討を必要としているだ。

現状の分析は、0章、1章である程度できた段階であるが、それを
基にした成長分野の分析で大きな壁を感じている。

このため、順を追って検討することにした。まず、成長戦略の産業
分野の検討、そして、成長させるために方法の検討、例えば日本版
DARPAや政府系ファンドなどの仕組みなどをおこなう。そして
、最後にそれらを組み合わせた成長戦略の検討、ポートフォリオ分
析や戦略マトリックスを作成して全体像を集約して、優先順位など
を出すことである。

3.分野の検討
まず、成長分野の検討であるが、
・成長する産業分野の候補を洗い出す
・技術革新の動向を見る

このとき、産業規模(売上規模)が重要である。技術革新で新しい
産業が興り、その売上規模が大きいことが重要なのである。

自動車産業は48兆円規模、家電業界は64兆円規模、化学業界は
21兆円規模、これを並ぶのがパチンコ業界で22兆円規模、石油
業界20兆円規模、スーパー業界は18兆円規模、建築業界は15
兆円規模、コンビニ業界6兆円規模であり、IT業界4.8兆円規模
で、農業は4.6兆円規模である。林業は0.1兆円規模、水産業
は0.7兆円規模と小さい。

この産業規模から見ても、自動車や家電を捨てて、農業を守れと言
うのはおかしいことが分かる。関わる人の数が大きく違う。

日本の石油業界は20兆円と小さいが、世界的な石油メジャーは、
1 エクソンモービル(2008年度・売上高4773億ドル) 
2 ロイヤル・ダッチ・シェル(2008年度・売上高4584億ドル) 
3 BP(2008年度・売上高3657億ドル) 
4 シェブロン(2007年度・売上高2209億ドル) 
5 トタル(2008年度・売上高1799億ユーロ) 
6 コノコフィリップス(2007年度・売上高1885億ドル) 
というように、1社で40兆円〜15兆円もあり、非常に大きな規
模を誇っている。全体でも300兆円規模の市場になる。

2011年の企業ランキングを見ると、
1 ウォルマート        アメリカ 小売   4189億ドル
2 ロイヤル・ダッチ・シェル  オランダ エネルギー 
3 エクソンモービル      アメリカ エネルギー 
4 BP             イギリス エネルギー 
5 中国石油化工        中国 エネルギー 
6 中国石油天然気集団公司   中国 エネルギー 
7 国家電網公司        中国 送電 
8 トヨタ自動車        日本 自動車 
9 日本郵政          日本 郵便 
10 シェブロン         アメリカ エネルギー 

というように、世界的には石油産業が上位を占めることになる。

穀物メジャーを見ると、
1カーギル 米国 売上高は1,166億ドル、13万人(2008年度)
2ADM   米国 売上高は810億ドル(2011年度)
と、石油産業に比べると、小さいことがわかる。

水産業を見ると、総合的に水道・下水と運営しているのが、仏スエ
ズG社の1兆5千億円、仏ヴェオリアW社の1兆920億円の規模
である。現時点では大きくない。

自動車業界では、トップはトヨタで売上高13兆円規模である。

市場規模から見ると、エネルギー産業(特に石油)、自動車産業、
世界的に不足すると予想されている食糧系は、上位2つに比べると
小さい。

日本での市場規模が大きな家電業界は、韓国、中国の追い上げで今
後、その市場規模は円の動向にもよるが小さくなる可能性が高い。

このため、家電市場規模を何か違うもので、補填することが重要で
ある。

日本の技術開発で特に優秀なものを見ると、IPS細胞など再生医
療、リグニンの取出し、ロケットやジャイロなど航空宇宙軍事、藻
や雑草からの石油、ロボット技術、再生エネルギー技術、炭素繊維
などの繊維技術、植物工場など多岐にわたる。

この新技術を分類すると、石油代替が藻や雑草からの石油、リグニ
ンの取出し、再生エネルギー技術である。この内、再生エネルギー
分野は、中国の追い上げが厳しいし、LED分野では韓国、中国が
市場を独占しつつある。

次の医療分野は、IPS細胞研究でトップにいるので期待したいが
、その市場規模は製薬業界規模とすると8兆円規模であり、世界ト
ップのフェイザーの売上高6兆円規模である。

ロボット分野では、現在1兆円市場であるが、将来的には4兆円産
業になる可能性がある。ロケットなど軍事分野は、世界的な市場規
模が100兆円であり、意外と大きいが、石油産業規模よりは小さ
いことが分かる。ロボットとロケット分野は軍事産業と言うことで
同じになる。

ここでわかるのは、新技術と分野を見ると、石油産業の代替エネル
ギー分野と関連分野が有望そうであることが分かる。世界、特に欧
米が力を入れるのは納得ができる。

米国は1990年代の復活でIT 技術の革新で行ったが、これからの
復活はシェールガスとシェールオイルで行うようで石油代替産業と
なる。米国は軍事産業を育ててきた。これも軍事産業は大きい市場
規模だからである。

ということで、石油エネルギー代替>軍事産業>化学産業の3つを
中心にどう進めるかの方法を次回、検討したい。


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ミャンマー難民、日本への移住希望減る 「適応に苦労」
2012年2月15日18時39分
 タイに住むミャンマー難民のうち、日本への移住を希望する人た
ちの適性を調べるための面談が15日、タイ北西部メソトで開かれ
た。先に日本へ渡った人たちの一部から苦境が伝えられる中、面談
を受けたのは2家族9人にとどまった。 

 難民受け入れは、日本政府が2010年に始め、今年は試行期間
3年間の最終年。「第三国定住制度」と呼ばれ、これまでに9家族
45人が日本に移住。最終年に当たる今年の応募は最も少ない10
人だった。うち1人は会場に姿を見せず、今後、追加面接する。全
員が移住できたとしても、3年間の合計人数は当初予定だった90
人の約6割にとどまる。 

 日本政府が移住希望者を募っているメソト郊外のメラキャンプに
は現在、約4万6千人の難民が暮らす。05年に制度を始めた米国
には、すでにタイ各地の難民キャンプから5万人超が移住。後発組
の日本には親族や知人がいないからと、元々人気が低かった。難民
委員会のトゥントゥン委員長は「日本へ行った第1陣の人たちの一
部から『日本になじめない』という電話が残った親族にかかってき
ている」と話す。

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