4265.ギリシャ緊縮策で合意



ギリシャ政府は9日、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)
が次期金融支援の条件として求めていた緊縮策を受け入れることで
連立与党3党と合意したと発表した。

これに対して、ギリシャの官民労組は、この新緊縮策に抗議するた
め、10日午前0時(日本時間10日午前7時)から48時間にわ
たるゼネストに突入した。また、12日にも国会で始まる新緊縮策
の議決を阻むよう組合員に呼びかけており、週末はアテネ中心街で
デモ行動が広がりそうだ。

この緊縮策は(1)公共投資や国防費の圧縮などを通じ、今年の歳出を
国内総生産(GDP)比で1.5%削減する(2)新たな就業者について
、最低賃金を現状(月額約750ユーロ=約7万7000円)から22%引き
下げる(3)公務員を1万5000人削減するなどであり、

しかし、年金削減では合意できずに、他の削減に置き換えたという。

このような動向を見て、EUやIMFはギリシャの実行を重視。ユ
ーログループ(ユーロ圏財務相会合)のユンケル議長は、ギリシャ
議会が一連の措置を承認することが先決と指摘した。

今まで、ギリシャに騙されてきたユーロ圏の財務相も、合意が成立
したからといって追加支援を即実行するわけにはいかず、ギリシャ
が合意を実行に移すのが先決というムードがある。

レーン委員は、もう1つの条件である「ギリシャの債務負担軽減へ
の民間部門の関与(PSI)についての合意案はほぼまとまった。
包括パッケージとしては来週、正式に承認されるはずだ」と述べ、
民間債権者とのギリシャ債務交換協議が事実上まとまったと明らか
にした。

これで、無秩序な債務不履行(デフォルト)の回避できたと見て、
市場は上昇したが、今まで騙されてきた市場も警戒感は、残ってい
るようだ。上昇幅が大きくない。

さあ、どうなりますか?

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ギリシャ 緊縮策実施に懸念も

2月10日 5時44分
深刻な財政危機が続くギリシャ政府は9日、EU=ヨーロッパ連合
などからの追加支援の条件となっている緊縮策について、連立与党
各党との間で合意したと発表し、債務不履行という最悪の事態は回
避される公算が強まっています。
しかし、国民の痛みを伴う緊縮策を受け入れたことに国内の反発が
強まっており、緊縮策が予定どおり実施されるのか懸念も出ていま
す。
ギリシャは来月、多額の国債の償還期限を迎え、EU=ヨーロッパ
連合やIMF=国際通貨基金から追加支援を受けなければ債務不履
行に陥るおそれが強まっており、ギリシャ政府と連立与党は、支援
の前提となる緊縮策を受け入れるかどうか断続的に協議を続けてき
ました。
EUなどが示した案には、年金の削減など国民に一段の痛みを強い
る対策が盛り込まれていたため、協議は長引きましたが、ギリシャ
政府は、9日の午後になって「緊縮策について与党との間で完全な
合意に達した」と発表しました。
ギリシャ側がEUなどの求める緊縮策について合意したことで、ギ
リシャが債務不履行に陥るという最悪の事態は回避される公算が強
まっています。
ただギリシャ国内では、緊縮策に反対する主要な労働組合が10日
から48時間のストライキに突入すると発表するなど、国民の反発
が強まっており、こうしたなかで緊縮策が予定どおり実施されるの
か懸念する声も出ています。
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ギリシャ緊縮策で合意 デフォルト回避へ前進 ユーロ支援策が焦点
2012.2.10 01:18サンケイ
 【ベルリン=宮下日出男】財政危機に陥ったギリシャ政府は9日
、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)などによる約1300
億ユーロ(約13兆円)の第2次支援策の条件になっていた財政緊
縮策の受け入れについて、連立与党との間で最終合意に達した。支
援はギリシャが3月20日に迎える145億ユーロの国債償還を乗
り切るために必要で、合意は無秩序な債務不履行(デフォルト)回
避に向けた前進になる。

 ギリシャ政府は同日、ギリシャとEUなどとの合意内容について
、「連立与党の党首も同意した」との声明を発表した。

 9日夕(日本時間10日未明)には、ユーロ圏の緊急財務相会合
がIMFのラガルド専務理事も出席して開かれ、ギリシャの追加緊
縮策について協議。第2次支援のもう一つの前提である民間金融機
関などとの債務放棄をめぐる交渉状況についても精査するとみられ
、支援策実施に向けた判断が焦点になる。
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ギリシャ、緊縮策受け入れ合意 追加支援へ前進:日本経済新聞
2012/2/10 0:00

 【パリ=古谷茂久】ギリシャ政府は9日、欧州連合(EU)と国
際通貨基金(IMF)が次期金融支援の条件として求めていた緊縮
策を受け入れることで連立与党3党と合意したと発表した。これを
受けてユーロ圏諸国は同日夜(日本時間10日未明)に財務相会合を
開き、同国向け支援の是非を協議する。金融支援が実行される公算
が大きくなり、ギリシャは無秩序な>デフォルト(債務不履行)の回
避に向け大きく前進する。

 パパデモス首相は「ユーロ圏の会合を前に、新たな財政緊縮策に
ついて合意が得られた」などとする声明を発表した。欧州中央銀行
(ECB)のドラギ総裁も同日、フランクフルトで「ギリシャの首
相から主要政党が(緊縮策で)合意に達したとの連絡を受けた」と
述べた。

 ギリシャが受け入れた緊縮策は(1)公共投資や国防費の圧縮などを
通じ、今年の歳出を国内総生産(GDP)比で1.5%削減する(2)新
たな就業者について、最低賃金を現状(月額約750ユーロ=約7万7000円
)から22%引き下げる(3)公務員を1万5000人削減する――など。ギ
リシャは2010年から国際社会による支援を受けている。だが、財政
再建が想定通りに進んでいないことから支援側のEUとIMFが次
期支援の前提条件として新たな緊縮策を提案し、受け入れを迫って
いた。

 国民の反発が強い年金支給の減額については各党とも8日の協議
では受け入れに難色を示していたが、デフォルトの危機を目前に首
相の説得で同意したとみられる。ただ、年金削減では合意できず、
別の歳出を削減することが決まったとの報道もある。いずれにせよ
、ギリシャ議会は10日以降、緊縮策に関する法案の成立を急ぎ、改
革を断行する姿勢を国際社会にアピールする。

 ギリシャが支援条件を受け入れたことで、EUとIMFは、ギリ
シャ向け次期支援1300億ユーロの正式決定に向け調整を本格化する
。これとは別に民間側の支援として、ギリシャ国債を保有する債権
者団は近く自発的な債務削減に関する最終決定をする。民間債権者
を束ねる国際金融協会(IIF)は、ギリシャ連立与党が緊縮策を
受け入れるかどうかを見極めた上で態度を決めるとの立場をとって
いる。今回のギリシャ与党各党の合意で、協議にはずみがつくと期
待される。

 官民による次期支援が固まればギリシャは当面の資金繰りのメド
が立つ。同国は3月20日に約145億ユーロの国債大量償還を控えるが
、EU・IMFによる支援が決まればデフォルトは回避。ギリシャ
は14年ごろまでの資金を確保することになる。
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ギリシャ:48時間ゼネスト突入 新緊縮策に抗議

 【ローマ藤原章生】アテネニュース電子版によると、ギリシャの
官民労組は、ユーロ圏などからの第2次支援に伴う新緊縮策に抗議
するため、10日午前0時(日本時間10日午前7時)から48時
間にわたるゼネストに突入した。また、12日にも国会で始まる新
緊縮策の議決を阻むよう組合員に呼びかけており、週末はアテネ中
心街でデモ行動が広がりそうだ。

毎日新聞 2012年2月10日 9時51分(最終更新 2月10日 10時13分)
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ギリシャ連立与党が緊縮策で合意、EU・IMFは実行を重視
2012年 02月 10日 11:02 JST 

[アテネ/ブリュッセル 9日 ロイター] ギリシャの連立与党
党首は9日、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から第2
次支援の条件として求められていた財政緊縮策と改革案について合
意に達した。

ギリシャの1300億ユーロの支援獲得に向け「あとはユーログル
ープの政治的承認が必要」(ベニゼロス・ギリシャ財務相)という
段階になったが、 EUやIMFはギリシャの実行を重視。ユーロ
グループ(ユーロ圏財務相会合)のユンケル議長は、ギリシャ議会
が一連の措置を承認することが先決と指摘した。

ギリシャが第2次支援を受けるための条件である緊縮策をめぐる連
立与党党首の協議は、9日未明の段階で、国民生活に長期的影響を
及ぼす年金給付の削減問題が唯一合意できず残った。未合意事項を
残したまま財務相会合が開かれるブリュッセルに向かったベニゼロ
ス財務相だが、その後、実務者レベルで債権者と合意に達し、連立
与党の党首と政治的合意が成立したと明らかにし、「あとは最終ス
テップとしてユーログループの政治的承認が必要」と記者団に語っ
た。

市場では、合意成立により、3月20日に国債の大量償還を控えた
ギリシャの無秩序なデフォルト(債務不履行)はとりあえず回避さ
れる、との見方からユーロや欧州株が上昇。イタリア、スペイン、
ベルギーなどのリスク保証料が低下した。

だが、ギリシャ問題を討議するためブリュッセルに集まったユーロ
圏の財務相は、合意が成立したからといって追加支援を即実行する
わけにはいかず、ギリシャが合意を実行に移すのが先決というムード。

欧州委員会のレーン委員(経済・通貨問題担当)は、連立与党党首
が合意との報に「ギリシャ政府が法律、その他の措置を通じて具体
的な行動に移し、第2次支援は実施できると欧州諸国を納得させる
かどうかにかかっている」と述べていた。

会合終了後、ユンケル議長は、第2次支援の決定に必要な要因は9
日時点ではすべて出そろっていないと指摘し、ギリシャ議会の決定
が先決と述べた。ギリシャに対しては、今後実施する改革で、債務
を2020年までに対国内総生産(GDP)比120%に削減する
ことなど、昨年10月26日のユーロ圏首脳会議の合意事項を尊重
すべき、と注文を付けた。

レーン委員は会合終了後、民間債権者とのギリシャ債務交換協議が
事実上まとまったと明らかにした。

同委員は「ギリシャの債務負担軽減への民間部門の関与(PSI)
についての合意案はほぼまとまった。包括パッケージとしては来週
、正式に承認されるはずだ」と述べ、「これでギリシャの債務負担
は極めて大幅に削減され、10月の欧州首脳会議で目標に定めた対
GDP(国内総生産)比120%へと縮小するだろう」との見方を
示した。

<ギリシャ政府も議会に承認要請>

ギリシャ政府も、連立与党に議会での承認を訴えた。

ギリシャが求められていた財政節減で、確定していなかった3億ユ
ーロ相当は9日、「トロイカ」と呼ばれる欧州委員会、欧州中央銀
行(ECB)、IMFとの協議でメドが立ち、連立与党党首も了承
した。

政府報道官は声明で「最初のステップは、議会が承認し、各会派が
新経済プログラムの政策と目標へのコミットメントを示すことだ。
われわれすべてが責任を果たすべき時にきている。必要なのは言葉
でなく行動だ」と表明した。

緊縮策について、連立与党を構成する全ギリシャ社会主義運動
(PASOK)の報道官は、最低賃金は22%引き下げられると述
べた。

連立与党党首の協議で、最後まで合意できず残っていた年金給付の
削減問題は、政府当局者によると「他の分野の歳出をカットするこ
とで、給付の削減を最低限に抑える」方針という。

IMFは、ギリシャ連立与党が改革案で合意したことを受け、今後
も詳細についてギリシャ政府との協議を続ける方針を示した。

IMFの報道官は定例会見で、「ギリシャ連立与党内で合意を得る
ことが最初の重要なステップだった。次のステップは、得られた合
意に基づき、協議を継続する事だ」と発言。

そのうえで、ギリシャに対し、合意された緊縮策や改革が、4月に
実施される公算の総選挙後も続行されるという保証を求める姿勢を
示した。

国民からは重い負担を強いる緊縮策や改革に不満の声が再びあがっ
ている。

主要な2つの労働組合、公務員連合(ADEDY)と労働総同盟
(GSEE)は、10日から11日にかけ48時間のストライキを
計画。

ADEDYの幹部はロイターに、若者や失業者、年金生活者に苦痛
をもたらす痛みの多い措置は受け入れられない、とし「暴動が起る
だろう」と述べた。

<ECBの支援参加、ドラギ総裁は明言避ける>

ECBは額面約500億ユーロのギリシャ国債を、市場で約380
億ユーロで取得している。

ドラギ総裁は、いわゆる含み益を、ECBの政府への融資を禁止し
ている規則に抵触せずに還元するルートはあるとの認識を示したが
、具体的な措置を講じるかどうかには踏み込まなかった。

理事会後の記者会見で、ECBが保有債券を取得価格で欧州金融安
定ファシリティー(EFSF)に売却することはできるかとの質問
に対し総裁は、EFSFは政府に値するため、EFSFへの資金提
供は政府への融資になるとしたうえで、域内中銀のECBへの出資
比率に基づく利益の分配は融資にあたらない、と述べた。

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