4264.シリアでの戦争危機



アサド政権は、民衆への弾圧を緩めずに、とうとうアラブ連盟から
も見放されて、監視団も追い払い、反政府軍が立ち上がり、それに
対して欧米諸国が武器を支援するようである。

シリアで、政府軍による反体制派への武力攻撃が8日も続き、中部
ホムスなどで、100人以上が死亡したとみられている。
国連安保理で、弾圧停止を求める決議案が否決されて以降、政府軍
の攻撃が激しくなっている。国連が弾圧を勧めている格好になって
いる。承認されたようなことになった。

しかし、欧米諸国が軍事介入をするかと言うと、イラン核問題もあ
り、現時点での介入は考えにくい。

イランとの戦争が始まると、シリアも攻撃されて、イラン・シリア
連合国に欧米イスラエルが侵攻する事になるようだ。

さあ、こちらも目が離さないことになった。


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シリアで政府軍による反体制派への武力攻撃続く 中部ホムスなど
で100人以上死亡か
FNN
シリアで、政府軍による反体制派への武力攻撃が8日も続き、中部ホ
ムスなどで、100人以上が死亡したとみられている。
反体制派の拠点、中部ホムスでは、8日未明から政府軍が街を取り囲
み、ロケット弾で砲撃するなど攻撃を続けた。
ロイター通信は、反体制派の情報として、各地での死者は100人を超
えたと伝えている。
国連安保理で、弾圧停止を求める決議案が否決されて以降、政府軍
の攻撃が激しくなっており、アサド大統領は、ロシアのラブロフ外
相との会談で、暴力停止の考えを示す一方で、反体制派の徹底排除
を目指しているとみられる。
(02/09 06:27)
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シリアへの内政干渉 重ねて批判 露首相
2012.2.9 00:56 [ロシア]
 【モスクワ=佐藤貴生】ロシアのプーチン首相は8日、宗教指導
者らとの会合で反政権デモの弾圧が続くシリア情勢にふれ、「自分
たちの運命は自ら決めてもらわなければならない」と述べ、アサド
大統領の退陣を求める欧米などの姿勢を内政干渉だと批判した。

 インタファクス通信が伝えた。ロシアはラブロフ外相がシリアで
アサド大統領と会談した7日、「シリアの政権側は反体制派との対
話に向けロシアに代表団を派遣する用意があると表明した」などと
する声明を出して調停の成果を強調した。だが、反体制派は約1週
間前にも対話に否定的な回答をしており、実現するかは不明。

 ロイター通信によると、アサド大統領が会談で、政治改革推進や
暴力停止を表明したとのロシア政府の声明について、フランスのジ
ュぺ外相は8日、「ごまかしだ。私たちはだまされない」と一蹴し
た。
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EU市民の退避想定=対シリア旅客機停止も
 【ブリュッセル時事】シリア情勢の悪化を受け、欧州連合(EU
)が同国に在留するEU市民の国外退避などの事態を想定し、危機
対応の取りまとめを進めていることが8日、EU高官の話で分かっ
た。
 危機対応は、シリアのアサド政権による市民弾圧の強化や反政府
勢力との衝突激化など、「最悪のシナリオ」を含む計画。ただ、欧
米によるシリアへの武力介入の可能性は現時点で排除しているとい
う。EU市民の退避では、レバノンやヨルダンなど周辺国との連携
も図る。(2012/02/08-23:36)
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反政府勢力への軍事支援策検討=シリア情勢悪化で米中央軍−CNN
 【ワシントン時事】米CNNテレビは7日、中東を管轄する米中
央軍が、シリア当局による反体制派弾圧で情勢が一段と悪化してい
ることから、反政府勢力への軍事支援をめぐり内部で選択肢の検討
を開始したと報じた。
 米軍の軍事介入ではなく、武器供与などの支援が選択肢に挙がっ
ているという。米議会ではマケイン上院軍事委員会筆頭理事(共和
)らが、反政府勢力への軍事援助を行うべきだと主張している。
(2012/02/08-10:45)
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アサド大統領、モスクワに代表団派遣の用意 反体制派との会談に
向け
2012.2.8 10:20サンケイ
 【モスクワ=佐藤貴生】ロシア外務省は7日、声明を発表し、反
政府デモの弾圧が続くシリアのアサド大統領が、同国の反体制派と
の会談のためにモスクワに政府代表団を派遣する用意があると表明
したことを明らかにした。

 声明は同日、シリアの首都ダマスカスで行われたラブロフ露外相
とアサド大統領の会談を受けて発表された。それによると、ロシア
側は会談で、問題はシリア人たち自身が平和的に解決すべきで、外
国が干渉することなく、主権を尊重した形でなされるべきだとの立
場を示した。その上で、暴力の即時停止や政権側と反体制派との対
話の開始、民主化改革の実行が不可欠だと述べたとしている。

 インタファクス通信は7日、反体制派「シリア国民評議会」の幹
部の話として、ロシア政府の仲介による政権側との対話の可能性を
否定しなかったと伝えた。ただ、露外務省は1月30日にもシリア
の政権側が対話に応じる意向を表明したと発表したばかり。このと
き反体制派は「ロシアがアサド大統領退陣を受け入れることが条件
だ」と回答したとされる。ロシア独自の“仲介外交”が結実するか
は不明だ。
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シリアめぐる最悪のシナリオ、米露の代理戦争に発展も
2012年 02月 9日 08:17 JST

[ワシントン 7日 ロイター] 混迷を深めるシリア情勢をめぐ
り、米国のオバマ政権が最悪のシナリオも検討し始める中、シリア
の内戦が「アラブと西欧諸国」対「ロシアとイラン」の代理戦争に
発展しかねないと指摘する声もある。

ワシントン近東政策研究所のシリア専門家であるアンドリュー・タ
ブラー氏は「中東諸国の中には今後、(反体制派の)自由シリア軍
に味方する国も出てくる。すでにレバノンからシリアに武器が流入
しているし、ヨルダンやトルコ、イラクやロシアからもますます入
ってくるだろう。誰もがシリア情勢に関与し始めることになる」と
語る。

米当局者はシリア政策について、軍事的役割を担うことは望んでお
らず、反政府勢力への支援と避難民への人道的援助に重点を置いて
いると強調する。一方、ロシアとイランは、シリア政府に改革を促
すものの、西側がアサド政権を退陣させようとする動きには反対し
ている。

米政府内には、シリアの状況が冷戦時代のような代理戦争へと向か
っているのではと危惧する者もいるという。

<複雑なパズル>
冷戦時代、米国とソ連は、中南米やアフリカ、アフガニスタンなど
で、それぞれの同盟国や反政府武装勢力に武器を提供し、代理戦争
を行った。

11月に大統領選を控えるオバマ米大統領は、同盟国のイスラエル
やトルコ、ヨルダンなどの脅威となりかねないシリアに深く関与す
ることは避ける姿勢を見せている。アサド政権に圧力をかけるべく
経済制裁は科しているものの、同大統領は今週、NBCテレビに対
し「武力介入せずに解決しようとすることが非常に重要であり、そ
れは可能だと考える」と語り、昨年リビアのカダフィ政権に対して
行ったような軍事介入を否定した。

一方、シリアに武器を輸出し、同国の港湾都市に軍の基地も構えて
いるロシアは、シリア政府への支援を後退させるそぶりは見せてい
ない。ラブロフ外相は7日、シリアの首都ダマスカスを訪問し、ア
サド大統領と会談。同大統領が暴力停止に向け努力しており、間も
なく新たな政治改革を公表するだろうと語った。

また、イランもシリアを支援する国の1つ。シリアは、イランがレ
バノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」を支援するのをずっ
と助けてきた。

<待ち受けるリスク>

これまでのところ、米国のシリア政策は限られているように見える
。ロシアと中国が国連安全保障理事会でシリア非難決議に拒否権を
行使した後、クリントン米国務長官は、たとえ安保理の支持がなく
とも、米国は同盟国と協力してシリアへの制裁を強化し、同国の民
主化を支援していくと強調した。

しかし、多くのアナリストは、シリアで今以上に暴力が拡大すれば
、米国と西側諸国はさらなる対応を迫られるかもしれないと指摘す
る。その場合、直接的に軍事介入しなくても、大きな政治的リスク
を伴うことになる。

米国務省のヌランド報道官は、シリア反体制派への武器提供は解決
策にはならないとし、「答えは、暴力を停止させるために民主的な
対話に導くことにある」と語った。

一方、ブルッキングス・ドーハ・センターの中東専門家シャディ・
ハミド氏は、この発言を希望的観測だと一蹴。「シリア政府は最後
の血の一滴が流れるまで戦いを続けるだろう。政治的解決には楽観
的になれない」とし、国際社会は軍事介入の可能性について、もっ
と積極的になるべきだと主張した。

しかし、代理戦争に向かうと全ての専門家が考えているわけではも
ちろんない。イラクやアフガニスタンでの長期にわたる負担で米世
論には厭戦(えんせん)感があり、代理戦争への突入はオバマ大統
領にとって政治的リスクになるからだ。

また、ワシントンにある戦略国際問題研究所のシニアアナリスト、
アンソニー・コーデスマン氏は、米国の懸念がロシアの共感を得る
可能性もあると指摘。ロシアがシリア決議案に拒否権を行使したか
らといって、アサド政権を永久に支援するとは限らないという。

コーデスマン氏は「(シリアには)危機にさらされているロシアの
利益があるが、それは死活的な利益ではない」とし、「ロシアは決
定的な影響力を示すようなやり方を模索しているはずだ。しかし幅
広い安定化も望んでいる」と語った。

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