4243.海上テロで日本国債の金利が急騰



ペルシャ湾での海上テロ戦争で日本国債の金利が急騰する 
2012年1月18日 
DOMOTO 
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735 

 目次 
  ■ @ ペルシャ湾でのイラン軍による非対称戦 
  ■ A 世界的な金利急騰と日本国債の金利急騰  
  ■ 結語:システム・ダウンと国債暴落後の日本 

※本稿は下記の記事の続稿です。 

イスラエルと米国のイラン攻撃はいつ始まるか (2012年1月15日) 
http://www.asyura2.com/11/warb8/msg/607.html 

ホルムズ海峡の封鎖の可能性については、石油が専門の経済アナリ
ストの見通しとして、封鎖されるのは数日間であろうとの予測が多
く見受けられる。これに対して軍事アナリストの中で、原油タンカ
ーなどに対してイランが非対称戦(海上・海中でのテロ・ゲリラ戦
)を展開し、ペルシャ湾情勢が軍事的に長期的な混乱に陥るという
見方がある。 

またアメリカ・イスラエルとイランとの対立と衝突が、バーレーン
を通じてサウジアラビア東部州へ、シーア派の反政府暴動として飛
び火する恐れもある。サウジアラビア東部州は世界の原油生産量の
10%を占め、シーア派人口が多くを占める。 

12月28日、バーレーンの米国大使館は職員に対して暴動の恐れのあ
る通勤ルートを替えることを指示した。ワシントン中近東政策研究
所のサイモン・ヘンダーソン氏は、アメリカ・イスラエルとイラン
との衝突はバーレーンのシーア派による国内的緊張を悪化させるだ
ろうと予測している。 

Iran's Strait of Hormuz: A Challenge to U.S. Policy (12月29日) 
http://www.washingtoninstitute.org/templateC06.php?CID=1788 

現在ペルシャ湾内で新たな原油の輸入先を求めている日本や中国な
どの国々は、中東情勢の今後の展開によっては、その財政と経済・
金融へ甚大な被害を受けることも予想される。 
経済アナリストの朝倉慶氏は、ペルシャ湾情勢の混乱による原油価
格の急騰は、世界的な金利の上昇、そして日本国債の金利急騰を引
き起こすと主張している。本稿はその予測の確実性を根拠づけるた
めに、第1節で過去にも行われたペルシャ湾での、イラン海軍によ
る海上テロ戦争について述べる構成になっている。 
  
 ■ @ ペルシャ湾でのイラン軍による非対称戦 
「アメリカ海軍は、イランによるホルムズ海峡の封鎖は数日間で解
除されると主張している。しかしその後、ホルムズ海峡周辺海域で
のイランによる非対称戦によるタンカー・貨物船への急襲・攻撃が
始まる事態にアメリカ海軍は直面する。そしてその攻撃は持続的な
ものになるだろう。イラン海軍による非対称戦こそペルシャ湾の本
当の危険だ。」 

アメリカの中東政策に強い影響力を持つ、親イスラエル系の有力シ
ンクタンク「ワシントン中近東政策研究所」(The Washington 
Institute for Near East Policy )は、現在のペルシャ湾情勢を
このように見ている。 

Iran's Strait of Hormuz: A Challenge to U.S. Policy (12月29日) 
http://www.washingtoninstitute.org/templateC06.php?CID=1788 

The Real Iranian Threat in the Gulf (1月3日) 
http://www.washingtoninstitute.org/templateC06.php?CID=1789 

(ペルシャ湾を除き国土が海洋に面することの少ない)イラン海軍
は、負けることがわかっている軍艦対軍艦の戦いに向ける軍備より
も、むしろ非対称戦に適した船や軍備に投資してきた。これはとく
に革命防衛隊(IRGC)の海軍兵器がそうである。イラン海軍は
、精巧な機雷、超小型潜水艦、移動式対艦巡航ミサイル、小規模船
隊、高速ボート(高速艇)などを中国やロシアの協力を得て購入し
、増強してきた。 

Iran's navy -- especially the naval arm of Iran's Revolutionary
 Guards -- has invested in vessels and armaments that are well-suited 
to asymmetric warfare, rather than the sort of ship-to-ship conflict 
that Iran would surely lose. Thus, they have purchased, 
with Chinese and Russian help, increasingly sophisticated mines, 
midget submarines, mobile anti-ship cruise missiles, 
and a fleet of small, fast boats. In addition, they have reportedly sought 
to develop a naval special warfare, or frogman, capability. 

イランが展開させる非対称戦についての指摘は、欧米の海軍の上級
将校の話としてロイターも取り上げている。匿名を条件としたその
将校の話は次のようである。 
============================================================
この地域では常時アメリカ第5艦隊の空母が1隻か2隻で、イラン
をペルシャ湾かインド洋からの射程距離内で監視している。中東地
域でのこれまでのアメリカ軍の軍事的支配力を痛感しているイラン
は、アメリカに対して非対称戦という戦術を採用している。 

民間のトラックに積まれたミサイルは海岸線に隠すことができる。
民間の帆船や漁船は機雷を敷設するのに利用することができる。超
小型潜水艦は、高度な「船種を識別するスマート機雷」や「目標を
追尾するホーミング機雷」を敷設するために、浅瀬に隠すことがで
きる。 

またイランでは、小型の自爆用の高速ボートを含む何百もの小型の
高速攻撃艇から成る船隊を増強してきたと考えられている。その船
隊は、考えられる最悪の状況として、攻撃で炎上した複数のタンカ
ーから離れながら、ホルムズ海峡を通過しようとする複数の多様な
船舶を同時に攻撃といった状況が想定される。 

Iran Could Close Hormuz?but Not for Long (ロイター 1月6日) 
http://www.cnbc.com/id/45896971?__source=ft&par=ft 
============================================================
イランが非対称戦を展開させるホルムズ海峡は次のような地形的特
徴と航行量を持つ。 

「北にイラン、南にオマーンの飛び地に挟まれている。最も狭いと
ころでの幅は約33km。イラン本土近傍のゲシュム島やホルムズ
島をはじめとして、複数の島が海峡内にある。(中略)毎日1700
万バレルの石油をタンカーが運ぶ。日本に来るタンカーの全体の8
割、年間3400隻がこの海峡を通過する。船舶の衝突を避けるた
め幅3kmずつの航行出入レーンが設けられている。オマーン領ム
サンダム半島の先にある小島のレーダーで航行を監視している。」
(ウィキぺディア) 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%82%BA%E6%B5%B7%E5%B3%A1 

※ホルムズ海峡での航行(地図と衛星写真)とペルシャ湾での領海線 
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/mix3.S.hormuz.JPG 

ホルムズ海峡は非常に狭く大きな軍事力が使いにくい。 
狭い海峡でタンカーなどの航行量の多いホルムズ海峡へは、アメリ
カの海空軍のミサイル攻撃は不可能。イランによるホルムズ海峡で
の非対称戦に対して、アメリカ陸軍と特殊部隊は海峡に面したイラ
ン沿岸部へ侵攻し陸上戦を始めなくてはならなくなる。つまり米軍
は、ホルムズ海峡のすぐ北沿岸で米軍が最も苦手とするテロ戦争を
覚悟せねばならない。 

さらに2008年9月に作成されたワシントン中近東政策研究所の非対称
戦についてのレポートでは、非対称戦の戦術の対象海域にペルシャ
湾全海域がその筆頭として挙げられている(オマーン湾とカスピ海
をも含む)。 
このレポートによると、イラン革命防衛隊(IRGC)の海軍
(IRGCN:N=Navy)は1985年にイラン海軍から独立して創設さ
れた。レポートでは、イラン・イラク戦争(1980-1988)で「タンカ
ー戦争」と呼ばれた革命防衛隊の小型ボート(高速艇)によるゲリ
ラ戦術が、ペルシャ湾で採用され始めたことが記載されている。こ
の時にはペルシャ湾に大量の機雷が浮遊した。(イラクは開戦当初
から、ミサイル搭載のボートや水雷などによるイラン商船への攻撃
を始めていた。) 

Iran's Asymmetric Naval Warfare (「イランの海上での非対称戦」 2008年9月 PDF ) 
http://www.washingtoninstitute.org/pubPDFs/PolicyFocus87.pdf 

パネッタ米国防長官はデンプシー統合参謀本部議長とともに、ホル
ムズ海峡を封鎖することは決して許さない、イランが海峡を封鎖す
れば「軍事行動も辞さない」と豪語するが、膨張した財政赤字を抱
え、ホルムズ海峡をめぐる対立はアメリカにとっても危険なチキン
ゲームとなっている。 

次の記事は1月6日に起きた、革命防衛隊によるものと思われる小
型高速艇の、米軍艦船と警備艇への2件の敵対行為を米国防総省高
官が明らかにしたものだ。 
=============================================================
イラン高速艇が米軍艦船らに威嚇行為、ペルシャ湾などで2度 (1月14日 CNN) 
http://www.cnn.co.jp/world/30005273.html 
(※ 同記事を抜粋) 

イランによるホルムズ海峡封鎖の威嚇で緊張が高まるペルシャ湾情
勢で、米国防総省高官は13日、同海峡と同湾で1月6日、イラン
の複数の高速小型艇が米軍艦船と湾岸警備隊の警備艇に急速に接近
する敵対行為を2件起こしていたことを明らかにした。 
米軍の水陸両用輸送船「ニューオーリンズ」への接近はホルムズ海
峡で起きたもので、同船は警笛や音声で応答を呼び掛けたものの反
応がなく、一時は約457メートル内にまで近付いたという。 

また、クウェート市から東方へ約121キロ離れたペルシャ湾上で
同日、米沿岸警備隊の警備艇「アダック」が航行中、イランの高速
艇による威嚇行為を受けた。イラン人乗組員は自動小銃AK47で
武装していたとみられ、少なくとも1個のビデオカメラを保持して
いた。高速艇の1隻の前部には機関銃が装備され、要員が張り付い
ていたという。 

ペルシャ湾での米軍艦船とイラン海軍艦船との遭遇は長年報告され
ているが、米海軍によるとイラン艦船によるより挑発的な行為がこ
こ数週間増えている。小型の高速艇は通常、イランの精鋭部隊、革
命防衛隊の所属で、イラン海軍艦船より戦闘的な行為が目立つとい
う。 
============================================================
イランの革命防衛隊の司令官は同じ日の1月6日に、2月に行われ
るホルムズ海峡の軍事演習は「これまでとは異なる新たな形になる
」と述べたそうだが、これは革命防衛隊の非対称戦(海上・海中で
のテロ・ゲリラ戦)に関するものになるのではないか。これが非対
称戦を想定した軍事演習であれば、現在進められているアメリカの
経済制裁に反対する国際世論が湧き上がるだろう。 

イラン、2月にホルムズ海峡で新たな軍事演習 革命防衛隊 (1月7日 CNN) 
http://www.cnn.co.jp/world/30005187.html 

ワシントン中近東政策研究所が作成したこのイランの非対称戦につ
いてのレポートには、機関砲装備の小舟、対艦ミサイル発射装置を
装備した小型魚雷艇、機雷を敷設するための小型ボートの船隊、
そして機雷の写真も掲載されており、超小型潜水艦などの特に大き
さが参考になると思う。 

 ■ A 世界的な金利急騰と日本国債の金利急騰 
ロンドンのシンクタンクの上級エコノミストで、イスラエルの国家
経済委員会のアドバイザーも務めたインバル・ロバス氏は、昨年12
月11日の投資経済サイトで2012年の世界経済の主要なマクロ経済テ
ーマを取り上げている。 
ロバス氏はその筆頭にイラン問題による世界的に深刻な石油危機を
予想し、それが2012年を通じて世界経済の大きな不確実性要因とな
り、エネルギー価格を高騰させ、中国や新興国市場の経済成長を脅
かし、そして世界的な高いインフレを引き起こすと述べている。
またイラン問題は、多くのユーロ圏諸国でスタグフレーションの危
険性を引き上げるとも述べている。 

The Main Macroeconomic Themes For 2012 
http://seekingalpha.com/article/313134-the-main-macroeconomic-themes-for-2012 

同様に12月16日には船井サイトで朝倉慶氏が、イラン問題による原
油急騰により世界的に高いインフレが起こることを述べ、世界中の
金利と日本国債の金利が急騰し始めると警告している。 
冒頭のグラフは日銀の公定歩合の推移を示すものである。これを見
ると1973年の第4次中東戦争の後(第1次オイルショック)と1979
年のイラン革命の後(第2次オイルショック)、そして1991年の湾
岸戦争の後の数年間、ペルシャ湾からの原油供給の大幅な減少と原
油価格の暴騰とともに金利が急騰しているのがわかる。インフレの
加速を抑制するために日銀による公定歩合の引き上げが行われたの
である。 

下記グラフ参照:日銀による公定歩合の推移 
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/60wiki.750px-The_Basic_Discount_Rate_and_Basic_Loan_Rate_svg.jpg 

以下の記事は12月16日の朝倉氏の抜粋記事で、12月28日発売の同氏
の新刊『もうこれは世界大恐慌』の序章に使われている。 
============================================================
大波乱の幕開け(最新著『もうこれは世界大恐慌』序章) 
2011年12月16日 
http://www.funaiyukio.com/money2/index_1112.asp 
(引用開始) 

 ■ これから始まる国家破綻レースの一番手は日本 
 なぜ日本なのか? 仮にイスラエルがイランを攻撃、ないしはこ
のまま欧米とイランの関係が抜き差しならないところに来て、軍事
行動を含む対立に発展すればどうなるでしょうか。まず誰でもわか
ることは、原油の大暴騰です。現在1バーレル100ドル近辺の値
段は一気に200ドル以上に暴騰するでしょう。その後、何が起こ
るのか? 不況下の大インフレです。特に中東の石油に依存してい
る日本にとっては石油価格の暴騰、並びに供給不足は大打撃になる
に違いありません。そして世界にも万遍なくインフレの波が襲って
くるのです。インフレとなれば、金利は上がらざるを得なくなりま
す。現在、景気後退懸念で政策的に低下させている金利ですが、こ
のような低金利が続けられると思いますか? 

 1973年の石油ショックで、石油価格が一気に4倍になり、日
本全体は大混乱に陥りました。その時は狂乱物価となって日本中が
パニックに襲われたのです。仮にイランで火がついて原油が2倍以
上の価格となったら、どのような状態になるか? 物の値段はどう
なるのでしょうか? 
(中略) 
 日本は石油輸入の10%をイランに頼ってきました。しかし日本
政府は、今回の米国の要求を断るわけにはいかないでしょう。東日
本大震災の後、日本では原子力発電所が次々とストップ、原発の再
稼働ができない状態です。当然電力の供給は火力に頼っていくわけ
です。日本エネルギー研究所によれば、このまま原発の再稼働がな
ければ、必要となる原油量は2012年に4096万バーレルにな
ると言われています。これは2009年度に比べて3倍の量です。
ただでさえ、これほど石油不足となっているのにイランの原油が止
められようとしているのです。 

 そして現在、世界中で怒濤のようにマネーが印刷され続けていま
す。欧州を発火点として国債の危機、ソブリン危機が叫ばれていま
す。このような袋小路に陥った世界に、一方で世界最大の火薬庫と
言われる中東に火が付いたら……。そうなったら世界各国の金利は
どうなりますか? 

 疑問の余地はないでしょう。全世界で万遍なく金利が急騰します。
例外はありません! 
 いま問題になっているイタリア国債10年物などは、現状でも危
険水域の7%を超えてきていますが、それどころか10%を超える
金利となっていくでしょう。フランスやドイツの国債もその動きに
追随していくことでしょう。もちろん米国債も現在のような2%と
いうわけにはいきません。4%、5%、場合によっては10%と金
利が駆け上がっていくことでしょう。日本はどうなるのでしょうか
? いま1%近辺の10年物国債の金利は3%に上昇ですか? 5
%までいきますか? そのように世界中に金利高が波及した時、世
界中で一番苦しい国はどこでしょうか? 世界中で一番金融が危な
くなる国はどこですか? 

 日本に決まっています! 世界の流れに乗って、石油価格暴騰の
波を受け、金利が5%に上昇する。その世界はどういう世界ですか
? 日本国は1,000兆円も借金があって、税収は38兆円です。
金利が5%になれば、金利支払いだけで50兆円。まさに日本の国
家財政は間違いなく、算数ができる小学生から大人まで誰が見ても
日本は国家破綻です! 
(引用終了) 
============================================================
 ■ 結語:システム・ダウンと国債暴落後の日本 

第1節で見てきたように、ホルムズ海峡周辺でイラン海軍による非
対称戦が展開してタンカー・商船などの航行が阻害された場合、原
油輸送の代替ルートは非常に阻害されたものになる。本稿のはじめ
に挙げたサイモン・ヘンダーソン氏の記事によれば、サウジアラビ
アの原油の一部はアラビア半島を横断して紅海へ、アラブ首長国連
邦の原油のほとんどがオマーンを通る陸上パイプラインで運ばれる
予定だ(ほぼ完成しており、5,6月までに稼動)。しかし、クウ
ェート、イラクの南部地域、カタール、そしておそらくイラン自身
、これらのすべての原油の輸出が止まると述べている。 

サウジアラビアは中国にとって最大の原油調達先だ。中国は輸入で
第3位のイランからの原油が途絶えた場合に備え、サウジなど他の
産油国から調達を増やす方向で動いている。しかし、ワシントン中
近東政策研究所が指摘するように、イラン革命防衛隊による非対称
戦でペルシャ湾全体からの原油輸出が大きく阻害される可能性があ
る。これは日本についてもまったく同様だ。そしてその時こそ石油
価格は暴騰し、それが長期化する可能性がある。 

本稿のはじめで、ワシントン中近東政策研究所のサイモン・ヘンダ
ーソン氏が、「米国・イスラエルとイランの衝突は、バーレーン国
内のシーア派による国内的緊張を悪化させるだろう」と予測してい
ることを述べた。エジプトのムバラク政権が崩壊した昨年2月の「
アラブの春」では、バーレーンのシーア派による政変がサウジアラ
ビアの石油地域である東部州でのデモと連動する恐れをマスコミが
報じた。 

現在の、シーア派国家イランへのアメリカを中心とした制裁が、バ
ーレーンとサウジの政変へ波及する可能性、イラン政府のバーレー
ンに対する過去の政権転覆工作については、下記の拙稿をご参考に
してほしい。 

ペルシャ湾の火薬庫 ―バーレーンをめぐるサウジとイランの衝突― (2011年3月8日) 
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/34602314.html 

最悪の事態を想定した場合、バーレーンとサウジアラビアの情勢が
動揺すれば、ペルシャ湾情勢と石油価格はさらに混乱する。 
今後の中東情勢を考えるにあたり、まず冒頭で挙げた1月15日の拙
稿によって、イスラエルと米国、そしてイランの今後の動向につい
て概観的なスケジュールの予測をまとめてみた。 
ホルムズ海峡とペルシャ湾において、まだイラン軍の本当の戦術は
その姿を現していない。第1節で紹介したワシントン中近東政策研
究所のレポートは、ペルシャ湾でのイラン海軍のテロ活動やゲリラ
戦術について過去の歴史的事例を挙げてペルシャ湾の危機を警告し
ている。 

1月5日のAFP通信はアメリカの政治情勢について、「共和党議員
らの強硬論と対照的に、国防総省や米軍高官からはイランを空爆し
てもせいぜい核開発を数年遅らせる程度の効果しかなく、リスクが
大きすぎるとの警告が繰り返し出されている」と伝えている。 

イスラエルのバラク国防相はCNNのインタビューで、今年の夏頃
までにイスラエルはイランを攻撃することを示唆した発言をした(
冒頭拙稿参照)。オバマ大統領の再選がかかったアメリカの大統領
選挙は11月に行われる。オバマ大統領が選挙の直前にイラン開戦を
利用するにせよ、しないにせよ、イスラエルが暴発したらアメリカ
は再び中東でのテロ戦争に巻き込まれる。イランとイスラエルが中
東情勢と世界経済を混乱させれば、アメリカはそれを収拾する役割
を果たさざるを得ない。 

ホルムズ海峡とペルシャ湾の混乱による世界的な金利の急騰と高イ
ンフレ、そして日本国債の金利急騰については第2節で扱った。ヘ
ッジファンドのジョージ・ソロスは世界の資本主義システムの現状
について、「人々はシステムが現実に崩壊したことを理解していな
い」と述べているそうだ。 

システムが崩壊した後の国際情勢の中で、「国債暴落後の日本」を
どのように創っていくべきか、それを、気づいた人達から考えてい
くことが重要であると思う。 

■ 参考リンク 
イラン・イラク戦争(1980-1988) 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E6%88%A6%E4%BA%89 

タンカー戦争 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E6%88%A6%E4%BA%89 

イランの報復戦争とイスラモファシズムの現代 (拙稿 2008年7月21日) 
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/13319656.html 

イスラエルはイラン攻撃で国家崩壊する ―アロー・ミサイル防衛システムでは国は守れない―(拙稿2010年1月2日) 
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/30855702.html 

ペルシャ湾の火薬庫 ―バーレーンをめぐるサウジとイランの衝突―(拙稿 2011年3月8日) 
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/34602314.html 

DOMOTO 

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