4236.イスラエルと米国のイラン攻撃はいつ始まるか



イスラエルと米国のイラン攻撃はいつ始まるか  


2012年1月15日 
DOMOTO 
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735 

1月14日付のウォールストリート・ジャーナルによれば、アメリカ
軍はイスラエルの空爆に対するイランの報復に対処するために中東
で可能な限りの多くの軍事的準備を進めている。 
イラクには米大使館などの政府職員などが多数留まる予定であるが
、先月のイラク撤退の後、イラク国内のイランのシーア派民兵など
による攻撃で、イラク国内ではアメリカ人の安全が脆弱になってい
る。 
クウェートには15000人の兵士が配置され、ペルシャ湾には2隻目の
空母が移動してきている。 

U.S. Warns Israel on Strike 
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204409004577159202556087074.html?KEYWORDS=israel+us 

アダム・エンタス記者らによる同記事によれば、オバマ大統領とパ
ネッタ米国防長官と複数のトップ高官は、イランへの攻撃を行った
場合の悲惨な結果を警告した一連の親書を、イスラエル指導部へ送
っていたことがわかった。 
その内容は、アメリカがイスラエルに、制裁の効果が出るまでのよ
り多くの時間を求めたことと、イランに核兵器の製造を断念させる
ための(軍事行動以外の)ほかの手段を求めたものであった。 
制裁を強化するなか、オバマ大統領は1月12日にネタニヤフ首相
と電話会談を行い、デンプシー統合参謀本部議長は今週テルアビブ
でイスラエル軍高官らと会談する。 

昨年の11月中旬、イスラエルのバラク国防相は米CNNとのインタ
ビューで、「イランの核施設を攻撃してそれが有効な攻撃であるた
めの期限は今から6ヶ月から9ヶ月までの間である」と発言した(
下記アドレス)。 
アメリカのパネッタ国防長官は12月中旬に「CBSテレビとのイン
タビューで、イランの核兵器製造能力について『恐らく1年ほど、
ことによるとそれ以内の保有が可能』と述べた」そうだ(時事通信)。 

バラク国防相の発言の翌週、ワシントン中近東政策研究所のデイビ
ッド・マコブスキー氏は、イスラエルに残されたイラン攻撃のため
の有効期間は9ヵ月と見ているが、その理由は今年の秋以降はイラ
ンの進めている核施設の分散化にイスラエルの攻撃力が対応できな
くためであるという。(※これは主に、防御力を高めた地下核施設
の拡散化を指している)。ワシントン中近東政策研究所は親イスラ
エル系のアメリカの有力シンクタンクである。 

Israel's Closing Window to Strike Iran (2011年11月22日) 
http://www.washingtoninstitute.org/templateC05.php?CID=3426 

マコブスキー氏によると、現在イスラエルはこの有効期限までに今
のアメリカの制裁が成功するか否か見極めているという(イランの
譲歩もしくは核兵器製造の放棄)。この有効期限を過ぎた今年の秋
以降では、その後の制裁がより厳しいものになろうともイスラエル
にとっては、もはや遅すぎるものとなると述べている。 

バラク国防相の言葉を額面どおりに受け取れば、今年の5月ー8月ま
でがイラン攻撃を開始するリミットだということになる。 
ホルムズ海峡での軍事的緊張の中で、アメリカが今、イランから原
油を輸入する金融機関に制裁を科すという強硬な経済制裁の枠組み
を、2012年1月から原則6ヶ月以内に整えようと急いでいるのはそ
のような時間的背景がある。 

ただし、ネタニヤフ首相とバラク国防相らイスラエル強硬派が、今
年の8月までのどの時点でアメリカの制裁に見切りをつけるかはわ
からない。 

マコブスキー氏によれと、1981年のオシラク核施設空爆の経験をも
とにした場合、イスラエルとアメリカとの非公式会議でイランの核
問題が取り上げられなくなった時、もしくはバラク国防相などのイ
スラエルの要人がイランの核問題についての会見に出て来なくなっ
た時は、その1、2ヶ月前よりもイスラエルの軍事攻撃が差し迫っ
ている可能性があると予想している。オシラクの空爆の時は、アメ
リカとの非公式会議で(強く協力を要請していた)イスラエルが
それを議題に出さなくなった時には、イスラエルの軍事攻撃は最終
段階の準備に入っていた。 

■ 参考資料: 
イスラエルはイラン攻撃で国家崩壊する ―アロー・ミサイル防衛
システムでは国は守れない― (拙稿 2010年1月2日) 
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/30855702.html 

イランの報復戦争とイスラモファシズムの現代 (拙稿 2008年7月21日) 
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/13319656.html 

米国、「国防権限法」の可決で対イラン制裁強化へ (※国防権限
法の猶予期間についての詳細等 日本エネルギー経済研究所 2011年12月21日) 
http://eneken.ieej.or.jp/data/4164.pdf 


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