4247.専売制の復活



ゲゼル研究会の森野先生と、昨日はお会いして、お話を聞くことが
できた。森野さんは、話し始めるといろいろな話がどんどん出てく
るのでつらいが、聞きようによってはアイデアの宝庫である。

江戸時代の思想家やその思想などを、他の経済学者は言えない事を
、彼は現代に蘇らすべくいう。彼の昨日の話で2つの話が頭に残っ
ている。

昨日は、徂徠学の経学の方面の代表的継承者である太宰春台の「藩
専売制を採用し富国強兵」策を提唱してきた。

現在は世界の環境は、グローバルで、かつオープンな環境にあるが
、それでは差別化ができずに、民間企業は多大な研究開発の費用が
捻出できずに、世界的に商品も似たようなものになるのは仕方がな
い。インベーションが起き難い状態になっている。

このためには、ローカルでクローズドな環境を国が作り、その機密
を保持して研究開発をしてイノベーションを促進するべきであると。

原子力も原発を廃炉の方向で新炉を作らないとなると、民間会社の
原子力技術者は保持できなくなる。この技術は最後の1つが廃炉す
るまで、この技術者を国家は確保する必要がある。

しかし、民間会社は赤字部門は閉鎖して、技術者は米国の子会社や
中国にいくしかなくなる。そうすると、原発事故時、対応も出来な
くなる。このため、原爆製造いう軍事的な意味でも残すことという
理由をつけて、国家が確保する必要が出てくる。

また、技術だけではなく必須物質である食糧、エネルギーなどは、
食糧安保の観点から、ある程度の食糧を国内に残す必要がある。

また、エネルギー自給の研究は、安全保障上も必要なことである。
ということで、この研究や安全保障問題解決の資金をどう確保する
のかということになる。

この議論は、江戸時代にもあり、太宰春台の「藩専売制を採用し富
国強兵」策を提唱しているという。塩等の販売を国家が行うように
して、その資金でイノベーション研究を行うなどが必要であるとい
うことだ。江戸時代に既に議論されていることであると。

この仕組みは現在も独法が独立採算制度で現在行っている部分もあ
るが、国庫に金が入らない仕組むになっているので、それで研究開
発の費用にならない。これを改めることだという。

もう1つが、フランスで議論されている社会福祉給付制度である。
企業で社会保険の経費が大きいので、企業でも福祉系企業に限って
、この社会保険の経費を補助する制度であり、この給付を個人と企
業で、どのような割合にするかは、労使交渉で決めることになって
いるという。

森野さんによると、この給付金原資は、付加価値税であり、給付付
き税額控除より、事務経費が少なく、かつ個人の詐欺行為を防げる
のでよいという。

社会福祉分野を伸ばすために、フランスはその企業に補助している
が、もし低付加価値の製造業を伸ばしたいなら、この企業に給付を
する手もあるという。

これは、事務経費軽減ということで、官僚は乗ってくるかもしれな
いと思ったが、失業している労働者へのインセンティブがあるのか
どうかと疑問視した。

森野さんも、欧州ではその方向になっていると言う話で、あまり給
付付き税額控除が好きではないようで、その代わりということだそ
うである。まだ給付付き税額控除制度の問題点が見えないが、個人
の申告が基なので、バラツキが出るということを気にしていた。


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