4240.米国のホルムズ海峡封鎖に対する作戦は?



米国は、「ジョン・ステニス」を休暇に入れるように、3隻目の空
母「エーブラハム・リンカーン」を投入した。当面はこの3隻で警
戒するが、現時点では、イラン単独での行動は無く、長期的な瀬戸
際作戦になりそうである。

この均衡を壊すことになるイスラエルの航空攻撃は、イスラエル国
防相によると、同国によるイラン核施設攻撃の観測が高まっている
ことについて、「われわれは決定していない。(判断するのは)ず
っと先の話だ」と述べ、こうした見方を否定した。

また、核科学者が爆殺された事件で、イスラエルのアヤロン副外相
は「イスラエルが関与しているというイランの主張には根拠がない
」と述べ、関与を正式に否定した。

空母3隻を投入したことで、パネッタ米国防長官は18日、イラン
が原油輸送路のホルムズ海峡の封鎖を辞さない強硬姿勢を見せてい
ることについて「不測の事態に対処する万全の態勢を敷いている」
と自信を示した。

しかし、米国のイランに対する経済制裁については、日韓中印とも
に、代替石油輸入先を探しているが、インドはイランからの石油輸
入を止めないと宣言したし、日本は適用除外を申請、中国はイラン
石油の価格を引下げ交渉を行い、価格の下落を期待するという米国
の意図とは逆な行動に出ている。

このように、米国の経済封鎖は、かなずしも成功していない。

この米国の経済封鎖が上手くいかないことを見て、中国もイランの
ホルムズ封鎖に反対して、イランの暴発を止める方向になった。

また、米国の経済封鎖実施にはイスラエルの航空攻撃を止めること
には、一定の効果があったようだ。バラク国防相をパネッタ米国防
長官が説得したのでしょうね。

これを平行して、デンプシー統合参謀本部議長は、ペニー・ガンツ
総参謀長と電話会談をして説得したようである。ロシアは、イスラ
エル航空攻撃を意識して、攻撃があれば、最新のS−300をイラ
ンに供与することを仄めかしている。

米国とイランは、今までに海上戦闘をしたことがある。プレイング
・マンティス作戦と米国は言っているが、この戦闘でイランのフリ
ゲート艦2隻、高速艇6隻、哨戒艇1隻を沈没、大破させている。

このため、イランは、米海軍、航空母艦の実力を知っているので、
そう簡単には、ホルムズ海峡を封鎖しないし、できない。

封鎖ではなく、イラン高速艇での進路妨害に対しては、アーネスト
・ウィル作戦を過去に行っているので、それを再度実行することに
なる。この対応では、イラン艦艇は手も足もでないことになる。

イランの将校ではなく、米国将校が「水を飲むより簡単である」と
言っても大きな間違いではないように感じる。
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不測の事態へ態勢万全=対イラン、交渉チャンネルも−米国防長官

 【ワシントン時事】パネッタ米国防長官は18日、国防総省で記
者会見し、イランが原油輸送路のホルムズ海峡の封鎖を辞さない強
硬姿勢を見せていることについて「不測の事態に対処する万全の態
勢を敷いている」と自信を示した。
 長官は、空母「カール・ビンソン」と「エーブラハム・リンカー
ン」の2隻を現在中東に派遣しており、「地域に強力な米軍のプレ
ゼンス(存在)がある」と述べた。また緊迫した情勢に十分対処で
き、「現時点で特別の措置を講じるつもりはない」と指摘。武力衝
突を避けるため、過度にイランを刺激しない考えも示した。
 イランとの交渉を「チャンネルを通じて行い続ける」とも述べ、
外交による問題解決を優先すべきだと改めて強調した。米メディア
によると、米政府は海峡を封鎖しないよう警告する書簡をイランに
送っている。(2012/01/19-08:42)
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米国のイラン経済制裁に苦しむ日中韓=代替輸入国確保に奔走
―中国紙  レコードチャイナ

2012年1月17日、環球時報は、イランに対する経済制裁を受け、世界
各国は代替輸入国を探して湾岸諸国と接触していると報道した。

米国はイランの核開発に対してついに経済制裁を始める方針を固め
た。日本を含む世界各国にイランからの原油輸入を禁止するよう求
めている。イラン中央銀行と取引がある金融機関はブラックリスト
に掲載され、米金融機関との取引が禁止される法案も成立した。

こうした状況を受け、原油価格は12月末から1バレルあたり6ドル
(約462円)上昇。またイランに代わる輸入元を確保しようと、各国
関係者の中東詣でが続いている。韓国の金滉植首相はオマーンを訪
問。また日本はUAEと原油供給保証の契約を取り交わしたという。

中国、日本、インド、韓国。アジアの4大経済体は米国の制裁に対し
て、政治的決定と経済とのバランスを確保するのに苦しんでいる状
況だ。(翻訳・編集/KT)
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中国首相「ホルムズ海峡の航行は保証されねばならない」
サーチナ 1月19日(木)11時16分配信

 中国の温家宝首相は18日、訪問先のカタールで「いかなる状況に
あっても、ホルムズ海峡の安全と、正常な航行は保証されねばなら
ない」と述べた。中国はこれまでイランと密接な関係を構築してき
たが、同国のホルムズ海峡封鎖を示唆していることに、懸念を示し
た。中国新聞社が報じた。

 温首相はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールの湾岸3カ
国を訪問し、帰国の前の記者会見でイラン問題に対する考えを示し
た。

 温首相はまず、「中国は、イランが核兵器を製造し、保有するこ
とに一貫して反対している」と表明。中東地区に非核地域を築かね
ばならないと述べた。中国は、米、ロ、英、仏、中国の国連安保理
常任理事国にドイツを加えた6カ国の働きかけを支持しており、問題
の平和的な早期解決を望んでいるという。

 温首相は、「中国とイランが正常な貿易関係を保っていることは
隠し立てしない」と述べた上で、「われわれは、商取引をすること
を(譲歩できない)大原則としているわけでは、絶対にない」と主
張。「中国はイラン問題における国連の議決を支持する。第4回の議
決には、中国も賛成票を投じた。われわれは一貫して議決を順守す
る。議決に違反する挙動をすることはありえない」と述べた。

 イランとの石油貿易について「行っているのは中国だけでない。
リビアと石油貿易をしていたのが中国だけではないのと同じだ」と
主張し、「正当な経済取引は保護されるべきだ。そうでないと、世
界の経済秩序は混乱する」と述べた。

 イランはしばしば、ホルムズ海峡の封鎖を示唆している。温首相
は「いかなる状況にあっても、ホルムズ海峡の安全と、正常な航行
は保証されねばならない」と述べ、海峡航行の保証は「世界的な利
益、全人類の利益だ。どんな問題が発生した場合も、極端な措置を
行うことは、世界各国と人々の願いに反する」と述べた。
(編集担当:如月隼人)
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イスラエル、核科学者暗殺を否定 「イラン根拠ない」
2012年1月18日21時21分
 イランで11日、核施設に勤務した経験がある科学者が爆殺され
た事件で、イスラエルのアヤロン副外相は「イスラエルが関与して
いるというイランの主張には根拠がない」と述べ、関与を否定した。
イスラエルのラジオ局が18日、伝えた。イランでは2010年か
ら核科学者の暗殺事件が相次いでおり、イランはイスラエルや米国
の関与を主張している。(カイロ=貫洞欣寛) 
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イラン攻撃、決定していない=イスラエル国防相

 【エルサレム時事】イスラエルのバラク国防相は18日、国際社
会で同国によるイラン核施設攻撃の観測が高まっていることについ
て、「われわれは決定していない。(判断するのは)ずっと先の話
だ」と述べ、こうした見方を否定した。イスラエル軍放送が伝えた。
(2012/01/18-23:55)
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プレイング・マンティス作戦
プレイング・マンティス作戦(Operation Praying Mantis)は、イ
ラン・イラク戦争中の1988年4月に行われたアメリカ海軍によるイラ
ンへの攻撃作戦。イラン海軍がペルシア湾に敷設した機雷によって
アメリカ海軍艦艇損害を受けたことに対する報復行動として行われ
た。アメリカ軍はイランによって機雷が敷設されたものと断定し、
軍事的報復行動を行うこととした。

この作戦は、第二次世界大戦後にアメリカ海軍が行った最大規模の
水上戦闘であり、イラン海軍の2隻の軍艦および6隻の武装高速艇が
撃沈された。イラン軍の高速武装艇に対して、エンタープライスか
らの攻撃機が、高速武装艇の集団に対しクラスター爆弾を投下し、
6隻を撃沈した。

イラン海軍のアルヴァンド級フリゲート「サハンド」は、命中弾を
受け炎上、弾庫に引火し沈没した。イラン海軍のフリゲート「サバ
ラーン」は、撃破した。 アメリカ軍の損害は海兵隊のAH-1攻撃ヘリ
コプター1機が事故で墜落し、2名が死亡したのみである。

この時期、アーネスト・ウィル作戦(Operation Earnest Will)も
行われていた。この作戦は、イラン・イラク戦争中の1987年7月24日
〜1988年9月26日の米軍によるクウェートのタンカーの船団護衛作戦
である。ペルシア湾上において、イラン軍やイラク軍による船舶攻
撃からの防衛を目的とした。


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