4237.イスラエルとイランの低度緊張戦争へ



イスラエルは軍部と情報機関が対イランへの準軍事作戦を行ってい
る。

イランでは核科学者が暗殺される事件が頻発している。最初は、
2010年1月に、次いで同年11月にも。2011年7月にはイ
ラン核開発庁で働いていた者が射殺され、同年11月には革命防衛
隊で有力な軍人が爆死した。
 同じ11月にウラン精錬工場で爆発があった。12月にもウラン
濃縮に使う素材を生産する鉄工場で爆発があった。

このほとんどが、イスラエル情報機関であるモサドが絡んでいると
イスラエル参謀総長ベニー・ガンツが仄めかし、かつ2012年にはよ
り多くのの不審死が起こるであろうと議会でいう。

イスラエルは低度緊張戦争行動に出ているが、イランの軍事力は、
非常に限定的であり、その戦争行動に乗るまいとしている。

しかし、現実的なアフマディネジャド大統領側近と革命防衛隊など
超保守派ハメネイ師側近の対立が先鋭化してきた。いつまで熱戦争
にならないかわからない状態で、イラン国内では攘夷派と現実派の
戦いが現にある。幕末の日本と同じ様な状態なのだ。

一方、米国はイスラエルがイランの核プログラムに関連して、同国
を攻撃する準備をしている可能性を懸念している。米統合参謀本部
のデンプシー議長は19日、イスラエルを訪問し、イスラエル軍指
導部と協議する。

イランの報復攻撃は、世界中にある米国の施設でイラン側からのテ
ロという形で行われる恐れがあるほか、ペルシャ湾で石油タンカー
などの航行が封鎖される可能性もある。その他、イランと米国の間
で高まっている同様の対立は、イスラム過激派が望んでいる、異教
徒に対する戦争へ導く危険性もある。これがヨハネの黙示録の世界
になる。

このため、イスラエル・米国ミサイル防衛合同演習が数週間以内に
始まる予定で、かつ大規模演習であったが、最近のイランとの緊張
をさらに激化させることを恐れた米国の要請で延期されることにな
ったようで、イランを刺激したくない米国の思いを現している。

イスラエルは既に戦争モードであり、日本の安住財務大臣が段階的
にイラン原油輸入を削減すると表明した後、あれは個人的見解とし
たが、状況が過熱化した場合、日本が米国のユダヤロビー等から狙
い撃ちにされる可能性があり、その対策を考えておく必要もあるよ
うだ。

事前に米国への単長期の対応策の通知などを行うなどが必要のよう
だ。イスラエルは手恐いし、自国の安全に直結しているので、真剣
である。

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イラン大統領報道顧問に禁固一年の刑
  16.01.2012, 16:11 ロシアの声

 イラン大統領報道顧問を務めるアリ・アクバル・ハヴァンフェク
ル氏は、同国の精神的指導者ハメイニ師を侮辱したとして禁固一年
の判決を受けた。複数のイランのマスコミが伝えたところでは、国
営イルナ通信の長でもあるハヴァンフェクル氏は又、今後5年間ジ
ャーナリストあるいは政治家としての権利が剥奪された。
ハヴァンフェクル氏は自分のサイト上で、ハメイニ師に対しては常
にしかるべき尊敬を持って接し、一度も批判した事など無いにもか
かわらず、こうした判決を受けたと主張している。

 なおEFE通信は、今回の判決は、議会及び大統領選挙が近づい
ている中でアフマディネジャド大統領側近と超保守派ハメネイ師と
の間の対立が先鋭化した証だと指摘している。
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イスラエルのイラン攻撃を止めようとする米国
  16.01.2012, 13:36 ロシアの声

 米統合参謀本部のデンプシー議長は19日、イスラエルを訪問し
、イスラエル軍指導部と協議する。協議では、イスラエルがイラン
を攻撃する準備を行っている可能性について話し合われる。米国の
マスコミが16日、伝えた。
 イスラエル防衛省はデンプシー議長の同国訪問について確認した
が、協議のテーマについては伝えなかった。

 米軍の情報筋が指摘するとろによると、米国はイスラエルがイラ
ンの核プログラムに関連して、同国を攻撃する準備をしている可能
性を懸念している。

 ロシアの著名な政治学者のミルスキー氏は、イスラエルのイラン
攻撃は、米国にとって否定的な結果を有するとの見解を表している。

 1つ目にイスラム世界では、イスラエルからの攻撃が、米国によ
って承認されたものとして理解される可能性がある。

 2つ目に、イランの報復攻撃は、世界中にある米国の施設でイラ
ン側からのテロという形で行われる恐れがあるほか、ペルシャ湾で
石油タンカーなどの航行が封鎖される可能性もある。その他、イラ
ンと米国の間で高まっている同様の対立は、イスラム過激派が望ん
でいる、異教徒に対する戦争へ導く危険性もある。これにより、ロ
シアを含めた世界中で、あらゆるイスラム過激派の活動が急激に活
発化する恐れもある。

 その意味でイランに対するイスラエルと米国の戦いはロシアだけ
でなく、イラン産原油の大規模輸入国である日本にも影響を及ぼす
だろう。
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米イスラエル関係(合同演習の延期等)
中東の窓
2012年01月16日 17:32イスラエルアメリカの外交政策

15日付のイスラエル紙ネットはいずれも、先にご報告した両国の
ミサイル防衛合同演習が延期されたと報じています。
記事によると、合同演習は数週間以内に始まる予定で、大規模演習
とされていたが、最近のイランとの緊張をさらに激化させることを
恐れた米国の要請で延期されることになったとのことで、実施の記
事は夏以降、最低6月の延期とのことです。
また、その延期の背景の一つには、オバマ大統領が発表した米軍経
費の大幅削減計画も関係しているとのことです。
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4175928,00.html
http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/israel-and-u-s-postpone-massive-defense-drill-in-fear-of-escalation-with-iran-1.407466

他方、同じく15日付のhaaetz net の別の記事は、イスラエル副首
相のMoshe Ya’alonが、オバマ大統領は大統領選挙への考慮から、
イラン制裁法案を弱めたと失望を表明したと報じています。

記事によると圧倒的多数で、イラン中央銀行に対する制裁法案を通
したのに、選挙年に石油価格の高騰で経済を冷やすことを恐れたオ
バマが多くの逃げ道を用意したと非難しているとのことで、これに
対して英仏等はイラン原油に対する完全な禁輸を表明したと評価し
たとのことです。
(記事の要点は以上で、選挙戦の相手の共和党はいずれも一致して
、対イラン強硬政策を支持している(要するにイスラエル支持)こ
とに鑑みれば、オバマ大統領がイラン制裁にへっぴり腰と言うのは
、必ずしも選挙運動上有利に働くともかぎらないので、副首相の非
難は若干一方的な感じもします。
因みにバラク国防相はオバマの承認した制裁案を高く評価している
とのことです。
他方日本では財務大臣が段階的にイラン原油輸入を削減すると表明
した後で、あれは個人的見解とされましたが、今後状況が過熱化し
た場合に、日本がユダヤロビー等から狙い撃ちにされないように、
対策を考えておく必要もあるかと思います)
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CIA関与の証拠ある イラン、核科学者殺害
2012.1.15 00:32サンケイ
 イラン外務省は同国の核科学者が殺害されたことについて「米中
央情報局(CIA)の関与を示す確かな証拠がある」とする書簡を
米国の利益代表部を務めるテヘランのスイス大使館に送付し、強く
抗議した。イランのメディアが14日伝えた。

 また、外務省は英国にも「(核科学者の殺害は)英当局がイラン
に対する情報工作を宣言した直後に起きた」と非難する手紙を送っ
たという。

 事件は11日朝、テヘラン北部で発生。車に取り付けられた爆弾
が爆発し、核科学者の大学教授らが死亡した。イランは核開発の妨
害を狙ったイスラエルや米国が関与したテロだと非難。米国は関与
を否定している。(共同)
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佐々木の視点・考え方

イランが最後に外国に武力侵略したのは200年前のガージャール
朝時代のイランロシア戦争が最後だ。

 1980年代にイラクとの戦争をしているが、これもイラクが米
国の後押しを受けてしかけたもの。

 一方で、声高にイラン批判を繰り返す米国やイスラエルは、この
10年の間に10回もの他国への武力進攻を行っている。

 イランでは核科学者が暗殺される事件が頻発している。最初は
2010年1月に、次いで同年11月にも。2011年7月にはイ
ラン核開発庁で働いていた者が射殺され、同年11月には革命防衛
隊で有力な軍人が爆死した。
 同じ11月にウラン精錬工場で爆発があった。12月にもウラン
濃縮に使う素材を生産する鉄工場で爆発があった。

 11日の科学者の暗殺だけを見れば、何も思わないが、2年間の
事件の推移をみれば、そして10日のイスラエルの参謀総長が国会
の外交・安保委員会で、今後イランではさらに多くの不審死が起こ
るであろう。2012年はイランの核開発問題にとって、極めて重
要な年になる」と述べた事を知れば明らかに意図を持った攻撃だと
誰でも分かる。

 つまり、イスラエル・イラン戦争が既に始まっていると考えるの
が自然だ。あとは、あとどれだけイランを挑発すればイランが武力
反撃に出るかという事だけが残っている。


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