4233.ユーロ危機の揺る戻し



ギリシャ国債の棒引きで、ギリシャと同国への債権銀行団との交渉
が13日、休止された。アテネでの協議は合意に至らなかった。ギリ
シャ当局は、自発的なアプローチという点を鑑みて休止すると発表
した。

要するに、CDSの対象となるデフォルトにならないように、当事者間
の自主的な棒引きを行おうとしたが、できなかったというというこ
とである。

選択肢の1つとして、集団行動条項(CACs)を発動することで
あり、強制的なデフォルトを行うことであり、CDS効力が行使できる
ようになる方法。もう1つが、1000億ユーロ程度の追加支援をEU
が行うことである。

何しろ、ギリシャ国債の利率は30%であり、新規発行ができない
ので、減免処置をして新規国債へ交換することしかない。

複数のユーロ圏関係筋は12日、民間債権者との債務交換協議が難
航していることを受け、ギリシャ政府が2月にも遡及(そきゅう)
的な集団行動条項の適用に踏み切る可能性があると明らかにしてい
た。 

これで、金融危機が確実になってきた。CDSの保証で、欧州の銀
行は多大の損失が出ることが確実であり、反対に、複数のヘッジフ
ァンドは、ギリシャ国債取引で利益を得ることができる。ギリシャ
国債の利率は30%程度と市場では捨て値での取引になっているが
、これを買ったヘッジファンドは、CDSにより額面の金額を得る
ことができる。

このCDSに絡んで、野村も大きな損失を出すと言われているが、
どうなのであろうか?

これに追い討ちを掛けるように、格付け会社S&Pは、13日「ユ
ーロ圏の不安を解決できるだけの十分な対策が取られていない」な
どとして、フランスなどユーロ圏のうちの9カ国の長期国債格付け
を引き下げたと発表した。

逆に、ユーロ安で、欧州連合(EU)統計局が13日に発表した昨
年11月のユーロ圏貿易収支は、69億ユーロの黒字となった。黒
字は予想外。輸出が輸入の倍以上のペースで増加した。

さあ、どうなりますか??

しかし、今年は、1月からこのような問題が立て続けに出て、忙し
い年になりそうですね。

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仏など9カ国の国債格下げ発表、独は維持 S&P
2012年1月14日7時27分

 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は13日
、「ユーロ圏の不安を解決できるだけの十分な対策が取られていな
い」などとして、フランスなどユーロ圏のうちの9カ国の長期国債
格付けを引き下げたと発表した。

 フランスとオーストリアが「AAA」の最上級格付けを失い、一
段階下の「AA+」になったほか、キプロス、イタリア、マルタ、
ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペインが格下げになった。
ドイツやオランダなどは最上級格付けを守った。(ロンドン)
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ギリシャ、債務交換法案を議会に提出する計画ない=高官 
2012年 01月 14日 04:08 JST 

[アテネ 13日 ロイター] ギリシャ高官は13日、合意を拒
む民間債券者を強制的に債務交換に応じさせるための法案を近く議
会に提出する計画はないとの考えを示した。 

ギリシャのタネア紙は、財務省が大半の民間債権者との間で合意し
た内容を少数派にも強制的に受け入れさせる法案を13日、遅くと
も16日までに議会に提出すると報じていた。 

高官の1人は「集団行動条項(CACs)関連法案を近く提出する
との観測は事実無根」と述べた。ただ将来的にそのような法案を提
出する可能性については言及を避けた。

複数のユーロ圏関係筋は12日、民間債権者との債務交換協議が難
航していることを受け、ギリシャ政府が2月にも遡及(そきゅう)
的な集団行動条項の適用に踏み切る可能性があると明らかにしてい
た。 

債務交換協議に参加しているヘッジファンドの多くにとっては、ギ
リシャ国債がデフォルト(債務不履行)となり、その際に支払われ
る保険料で損失をカバーする方が益が多く、協議が難航している経
緯がある。 

ギリシャは、債務をより持続可能な水準に圧縮するとともに、欧州
連合(EU)・国際通貨基金(IMF)からの支援を確保するには
、民間債権者との協議で債務負担を大幅に削減する必要がある。だ
が集団行動条項を適用しない場合、民間債権者の参加率が必要とさ
れる水準に達しない可能性がある。 
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国際金融協会:ギリシャとの協議休止−建設的な対応得られず

  1月13日(ブルームバーグ):ギリシャと同国への債権銀行団
との交渉が13日、休止された。アテネでの協議は合意に至らなかっ
たという。
  債権銀行団を代表してギリシャ政府と交渉している国際金融協
会(IIF)は同日の電子メールで、提案に対して「全ての当事者
による建設的で集約された反応が得られなかった」として、「こう
した状況下、ギリシャおよび当局との協議は、自発的なアプローチ
という点を鑑みて休止する」と発表した。
  IIFのチャールズ・ダラーラ専務理事とジャン・ルミエール
氏はこの日にアテネで、ギリシャのパパデモス首相とベニゼロス財
務相と2日目の会談を実施。ユーロ圏初の大規模な債務再編の合意
を目指していた。民間債権者側はギリシャ債で名目50%の評価引き
下げおよび最大1000億ユーロの減免を提案していたとIIFは説明
した。
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11月のユーロ圏貿易収支は黒字、輸出が急増=EU統計局
2012年 01月 13日 21:35 JST

[ブリュッセル 13日 ロイター] 欧州連合(EU)統計局が
13日に発表した昨年11月のユーロ圏貿易収支は、69億ユーロ
の黒字となった。黒字は予想外。輸出が輸入の倍以上のペースで増
加した。急激に悪化している欧州経済だが、安定化への期待感が広
がりそうだ。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は15億ユーロの赤字だった。
11月の輸出は前年同月比10%増加。輸入は同4%の増加だった。
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ヘッジファンドはギリシャ国債で利益図る−損失直面の欧州銀と対照的 

  1月12日(ブルームバーグ):欧州の銀行が債務スワップによ
る損失に直面する中、ニューヨークとロンドンを本拠地とする複数
のヘッジファンドはギリシャ国債取引で利益を得ることを目指して
いる。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。 

  こうした取引を公表する立場にないことを理由にこれら関係者
が匿名で明らかにしたところによると、元ドイツ銀行信用トレーダ
ーのボアズ・ワインシュタイン氏が創設したサバ・キャピタル・マ
ネジメントと、ジェームズ・ディナン氏設立のヨーク・キャピタル
・マネジメント(運用資産140億ドル=約1兆800億円)、ロンドン
を拠点とするケープビュー・キャピタルなどが現在ギリシャ国債を
保有している。これらヘッジファンド運営会社3社の担当者はいず
れも国債保有に関するコメントを控えた。 

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