4232.イランがホルムズ海峡の封鎖か6?



イスラエルのモサドが、イランの科学者を爆殺させたことで、世界
の世論は、イラン非難から逆転し始めたようだ。イランの20%へ
のウラン濃縮もおかしいが、それを阻止するために、モサドの暗殺
もおかしいと見るようになった。

もちろん、米国は関与を一切否定するが、イスラエルは否定してい
ないし、モサド関係者は、肯定的な評論をしている。

この点を捕らえて、欧州連合(EU)のイラン産原油禁輸措置の実
施は、6カ月先送りする可能性が高くなった。これにより、米原油
先物相場は下げ足を速め、100ドル台を割り込んで引けた。
時間外取引ではさらに98.50ドルまで下落した。

これで、日韓も時間的な余裕を求め、かつ米国と歩調を合わせてき
た欧州も時間的な余裕を求めたことで、米国は譲歩することになる。

また、サウジアラビアもサウド外相を急きょワシントンに派遣して
オバマ大統領と会談し、この問題への対応を協議したが、ここでも
イラン産原油禁輸措置の延期を申し出た可能性がある。

というように、危機は半年ほど、延期されることになる。しかし、
イスラエルの暗殺行動は逆効果になったように感じる。世界世論を
イスラエルの味方に付けていたのに、その世論を敵にしてどうする
のか、非常に独善的なユダヤ人の考えは後悔することになりそうだ。

さあ、どうなりますか?
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米原油先物100ドル割れ、EUの対イラン追加制裁先送り報道で
2012年 01月 13日 07:18 JST

[ニューヨーク 12日 ロイター] 12日のニューヨーク・マ
ーカンタイル取引所(NYMEX)で、米原油先物相場は終盤にか
けて下げ足を速め、100ドル台を割り込んで引けた。

ギリシャやスペイン、イタリアなどの国が原油の代替調達先を確保
できるよう、欧州連合(EU)は対イラン追加制裁の実施をおよそ
半年遅らせる公算が大きいとするブルームバーグ通信の報道が材料
となった。

米原油先物(2月限)は、同報道を受け、米東部時間午後2時
(1900GMT、日本時間13日午前4時)過ぎから下げに転じ
、1.77ドル安の1バレル=99.10ドルで取引を終了した。

時間外取引ではさらに98.50ドルまで下落、昨年12月30日
以来の安値をつけた。

一方、北海ブレント先物(2月限)は0.98ドル安の同111.26
ドル。一時は11月9日以来の高値となる115.12ドルまで買
われていた。

Cameronhanover.comのPeter Beutel社長は「EUがイラン産原油の
禁輸を延期しても不思議ではない。欧州は多くの経済問題を抱え、
緊縮策をとっており、この時期の禁輸は最悪のタイミングだ」と指摘。

Ritterbusch & AssociatesのJim Ritterbusch社長は「(米原油先物
は)100ドルを割り込んだことで、テクニカル要因から売りが加
速した」と述べた。
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EUのイラン産原油禁輸措置、6カ月先送りの見通し−当局者(1)

  1月12日(ブルームバーグ):欧州連合(EU)のイラン産原
油禁輸措置の実施は6カ月先送りされる可能性が高くなった。協議
に詳しいEU当局者が12日、明らかにした。ギリシャやイタリア、
スペインなどがイランに代わる原油供給元を見つける必要があるた
めという。
  同禁輸措置は、まず今月23日のEU外相理事会で合意を得るこ
とが必要。協議が非公開であることを理由にこの当局者が匿名で明
らかにしたところによると、イタリアの石油会社最大手ENIへの
債務返済のための原油売却を可能にするためイタリアへの適用免除
が盛り込まれる公算も大きい。外相理事会での合意の約3カ月後に
、石油化学製品の禁輸措置が先に実施される見通しだという。これ
が伝えられると、12日のニューヨーク原油先物相場は一時1.9%安の
1バレル=98.93ドルを付けた。
  EUの行政執行機関、欧州委員会のマヤ・コツィヤンチッチ報
道官は12日の電話インタビューで、「EU27カ国の専門家らは極め
て集中的に作業している」とした上で、「彼らは1月23日の採択を
念頭に、制限措置のさまざまな選択肢を検討している」と説明した
。禁輸措置の段階的導入や適用免除についてはコメントを控えた。
  関係者によると、禁輸措置の段階的導入は、イタリアやギリシ
ャ、スペインなどイラン産原油への依存度が最も高い国の懸念を和
らげるとみられる。欧州委員会のデータによると、2010年のEU全
体のイラン原油輸入にこれら3カ国が占める割合は計68.5%だった。
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アラブ産油国 海峡封鎖を警戒
1月13日 5時15分NHK
核開発問題で欧米と対立を深めるイランが、原油輸出に対する制裁
が強化されれば、世界の原油の主要な輸送路となっているホルムズ
海峡を封鎖すると警告するなか、アラブの産油国は、海峡をう回し
て原油を輸出できるパイプラインの整備を急ぐなど、警戒を強めて
います。
この問題は、核開発問題で欧米との対立を深めるイランが、ペルシ
ャ湾のホルムズ海峡で大規模な軍事演習を行うとともに、原油輸出
に対する制裁が強化されれば、報復措置として海峡を封鎖すると警
告しているものです。こうしたなか、ペルシャ湾を挟んでイランと
向かい合うアラブの産油国のうち、UAE=アラブ首長国連邦は、
ホルムズ海峡が封鎖された場合などに備えて海峡をう回して原油を
輸出するためのパイプライン計画について、半年以内に完成させて
運用を開始する方針を明らかにしています。

また、サウジアラビア政府は「世界の原油取り引きがあくまでも安
定的に行われることを望む」という声明を発表するとともに、10
日には、サウド外相を急きょワシントンに派遣してオバマ大統領と
会談し、この問題への対応を協議したものとみられます。

アラブの産油国は、政治体制やイスラム教の宗派の違いなどから、
イランと歴史的な対立関係にあるほか、ホルムズ海峡が封鎖されれ
ば、自国の原油輸出に影響が出るおそれがあるだけに警戒を強めて
います。
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イラン人核科学者殺害への関与否定…米国務長官

 【ワシントン=山口香子】クリントン米国務長官は11日の記者
会見で、「イラン国内のいかなる暴力行為についても米国の関与を
一切否定する」と発言、テヘランで同日起きた爆弾テロでイラン人
核科学者が殺害された事件への米国の関与を全面否定した。

 事件では、イラン中部ナタンツの核施設幹部だったとされるモス
タファ・アフマディロシャン氏(32)が死亡。イラン治安当局は
、イスラエルや米国の犯行だと主張していた。

 同時に長官は、イランが、制裁強化の流れに対抗し、原油輸送の
大動脈であるホルムズ海峡の封鎖をちらつかせていることについて
、「この種の挑発の危険性をイランに理解させることが重要だ」と
指摘。「(海峡は)国際的な水路であり、米国などは、その維持に
全力をあげる」と述べた。

(2012年1月12日12時55分  読売新聞)
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焦点:イラン核科学者殺害、イスラエル関与なら「対決不可避」
2012年 01月 12日 16:25 JST

[エルサレム 11日 ロイター] イランの首都テヘランで11
日に核科学者が爆殺された事件は、イスラエルの対外特務機関モサ
ドが関与していた場合、同国による対イラン工作の新たなケースと
なり、核開発問題をめぐるイラン情勢がさらに緊張する可能性があ
る。

この事件は、イラン核科学者のムスタファ・アハマディロウシャン
氏(32)が乗った車にオートバイが接近し、ドアに取り付けられ
た爆弾が爆発。同国メディアによると、同氏と運転手の2人が死亡
した。

イスラエル当局はこれまで起きた類似のケースと同様、事件への言
及を避けているが、イラン側は直ちにイスラエルが関与していると
非難した。

専門家らは倫理的な立場からこうした攻撃を批判し、暗殺の長期的
な効果を疑問視している。しかし、こうした「闇の作戦」を長年続
けてきたイスラエル当局は、自国防衛には不可欠な役割を担ってい
ると考えている。

核開発や弾道ミサイル開発を推し進めるイランに関しては、モサド
元長官のメイル・ダガン氏が最近のテレビインタビューで、「彼ら
(イラン)が思うようなスケジュール通りに行っていない」と、一
連の妨害工作の効果を暗に語っている。

アハマディロウシャン氏のような科学者の殺害は、明らかにイラン
側の核専門家の数を減らすものと言える。またイスラエル当局者は
、他の専門家にもパニックが広がり、モサド情報員が呼ぶ「バーチ
ャル・ディフェクション(実質的な離脱)」現象も生み出すと指摘
する。

イラン情勢に詳しいこの当局者はロイターに対し、「大量の辞職者
が出るというわけではないが、自分たちの安全が脅かされるという
妄想が拡大する」と述べ、核開発から距離を置く専門家が増える効
果などが期待できるとの見方を示した。

<殺害の歴史>
国際原子力機関(IAEA)は9日、イランが中部コム郊外フォル
ドウの地下施設で、ウランの濃縮作業を開始したと発表した。この
動きには、主要国のほか、中東湾岸諸国の多くも、核兵器に転用さ
れる可能性があるとして非難。一方でイラン側は、ウランを医学研
究の原子炉に使用すると主張し、平和的な利用が目的だと訴えた。

過去2年間でイランの核開発にかかわる専門家が殺害されるのは、
アハマディロウシャン氏で少なくとも3人目。

イスラエル軍のスポークスマンはフェイスブックに、「誰がイラン
の科学者を殺害したのか分からないが、その件で涙を流すことはな
い」と投稿。また、モサド元幹部のイラン・ミズラヒ氏も、イラン
で活動する国はイスラエルだけではないとした上で、「反イランの
動きは非常に強力で、そうした勢力はイラン国内で活動する能力を
持っている」と語る。

イスラエルはこれまで、国家として暗殺や脅迫に関与してきたこと
を認めており、最近では1995年にマルタでイスラム過激派組織
のパレスチナ人指導者が殺害された事件のほか、2010年にドバ
イのホテルでイスラム原理主義組織ハマスの司令官が殺害された事
件への関与が疑われている。

ミズラヒ氏は「テロと戦う場合、テロ組織の幹部を標的とすること
には賛成だ」と語り、暗殺行為を正当化している。

<逆効果>
イランの核開発をめぐって、イスラエルは米国と同様、軍事攻撃に
踏み切る可能性を示唆している。しかし、両国とも中東地域のさら
なる不安定化は望んでおらず、専門家も、イスラエルの単独攻撃1
回でイランの核開発計画を消滅させることはできないとみる。

また、暗殺作戦には計算できないリスクもある。イスラエルは1997
年、ハマス指導者殺害ためにヨルダンの首都アンマンに刺客を送っ
たが、発覚して当局が逮捕。当時1期目だったネタニヤフ首相は、
イスラエルで収容されていたハマスの精神的指導者アハメド・ヤシ
ン師を釈放し、ヨルダンとの関係修復を図らざるを得なくなった。

イランは、昨年11月に同国の革命防衛隊幹部が殺害された事件に
ついて、イスラエルの妨害工作であるとの見方を否定。しかし、今
回の事件では直ちにイスラエルの関与を非難しただけでなく、死亡
したアハマディロウシャン氏が中部ナタンツのウラン濃縮施設で勤
務していたという情報も明らかにした。

テルアビブ大学の中東専門家ウジ・ラビ教授は、イランの情報公開
の姿勢について、国内外に論理的根拠や正当な理由を提供し、将来
の政治的・軍事的な実力行使に備えていると指摘。

イランは現在、欧米諸国が同国の原油輸出に制裁措置を取ればホル
ムズ海峡を封鎖すると警告しているが、ラビ教授は「避けられない
対決の場」として、こうした問題がイスラエルと欧米諸国によるイ
ランへの空爆に波及する可能性があると予想している。

(ロイター日本語ニュース 原文執筆:Dan Williams記者、翻訳:
橋本俊樹、編集:宮井伸明)


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