イランは一日、核燃料棒の製造に成功し、性能試験を初めて行った。 もう一つが、先月下旬から、ペルシャ湾口にあたるホルムズ海峡の 周辺で軍事演習を実施しているイラン海軍は二日、最新の巡航ミサ イル「カデル」の発射試験を成功させた。 この事態に新たな制裁を検討して、収入源である原油輸出禁止のた めに、原油の輸出入でイラン中央銀行と取引する米国外の金融機関 を、米国の金融システムから締め出す内容である。 これを実行されると、日本の大手銀行はイランと原油量の10%を 輸入しているので、米国との取り引きが出来なくなる。 これに対して、イランは先週に制裁への報復としてホルムズ海峡を 封鎖する可能性を示唆した。そして3日、ペルシャ湾から先週一時 的に移動していた米海軍第5艦隊の空母「ジョン・C・ステニス」 に対し、同湾へ戻らないよう警告した。ステニスがペルシャ湾に入 ったら、ホルムズ海峡を本当に封鎖すると言う。 ホルムズ海峡は原油輸送の大動脈と呼ばれる。米政府の統計による と1日平均1700万バレル近く、2011年に世界で海上輸送さ れた原油の35%がここを通過。封鎖されれば、ペルシャ湾の原油 に大きく依存する中国や日本にも深刻な影響が及ぶとみられる。 米・イランの間に緊張感が走る事態に発展している。ステニスは今 もペルシャ湾のホルムズ海峡に向っているので、この動向が注目さ れる。 ============================== イラン 核燃料棒製造に成功 2012年1月3日 東京新聞朝刊 【カイロ=今村実】イランは一日、核燃料棒の製造に成功し、性 能試験を初めて行った。二日にかけてはペルシャ湾でミサイル発射 試験を相次ぎ実施。核開発に対し強まる国際圧力をけん制しようと している。ロイター通信などが伝えた。 国営テレビなどによると、核燃料棒は首都テヘランの研究用原子 炉に装墳(そうてん)された。性能を確認するといい、地元紙は「 この偉業は、欧米諸国を困らせるだろう」と強調した。 イラン国内の原子炉ではこれまで、輸入燃料に依存し、欧米はイ ランの燃料加工技術を疑問視していた。核燃料生産が事実なら、同 国の核燃料サイクル計画の大きな進展となる。 一方、先月下旬から、ペルシャ湾口にあたるホルムズ海峡の周辺 で軍事演習を実施しているイラン海軍は二日、最新の巡航ミサイル 「カデル」の発射試験を成功させた。国営通信の報道として、AF P通信が伝えた。 国営通信は射程を「長距離」と説明しているが、実際は二百キロ 程度にとどまるとみられる。発射試験は初めてで、湾内にあらかじ め置いた目標物の破壊に、成功したという。 一日には別の地対空中距離ミサイルの発射実験も実施。軍による と、対レーダー性能を向上させている。 ============================== 米、国防権限法が成立 原油取引規制でイラン制裁 2012年1月2日22時47分 オバマ米大統領は12月31日、2012会計年度(11年10 月〜12年9月)の国防権限法案に署名し、同法が成立した。核開 発問題をめぐるイランへの制裁強化のため、収入源である原油輸出 に打撃を与えられる新たな措置が盛られており、大統領の判断で発 動できる。 新たな制裁は、原油の輸出入でイラン中央銀行と取引する米国外 の金融機関を、米国の金融システムから締め出す内容。原油取引で イラン中央銀を使う日本や中国、欧州各国にイラン産原油の輸入か らの撤退を迫り、イランの収入源に打撃を与えることを狙う。 ただ、制裁の発動でイラン産原油の輸出量が急減した場合、輸入 国が原油不足に陥ったり、油価が世界的に高騰したりしかねない。 このため、米大統領が「米国の安全保障上不可欠」と判断すれば制 裁を最大4カ月間停止できる運用上の余地も残した。また、イラン との原油取引に絡む決済を大きく減らした金融機関は制裁を免除さ れる。 同法ではまた、在沖縄海兵隊のグアム移転費約1億5600万ド ル(約120億円)が全額削除された。(ワシントン=望月洋嗣) ============================== イラン、米空母めぐり警告 「制裁が効果発揮」と米国 2012.01.04 Wed posted at: 09:24 JST (CNN) イランは3日、ペルシャ湾から先週一時的に移動して いた米海軍第5艦隊の空母「ジョン・C・ステニス」に対し、同湾 へ戻らないよう警告した。米国側はこれをはねつけ、対イラン経済 制裁が効果を発揮していることを示す動きだとの見方を示した。 国営イラン通信(IRNA)によると、警告はイラン軍のサレヒ司 令官が、海軍演習終了後に同国南部で行われた軍事パレードの場で 発した。 ステニスは演習中に、ペルシャ湾からホルムズ海峡を通ってアラビ ア海へ移動していた。米海軍は事前に計画されていた一時的な動き だと説明し、ペルシャ湾への展開を従来通り続ける方針を示してい る。米国防総省のリトル報道官はイラン側の警告に対し、「空母の 展開は米中央軍が任務を果たすために必要だ」と強調した。 イランは先週、ミサイル発射実験を含む演習を開始するとともに、 制裁への報復としてホルムズ海峡を封鎖する可能性を示唆していた。 ホルムズ海峡は原油輸送の大動脈と呼ばれる。米政府の統計による と1日平均1700万バレル近く、2011年に世界で海上輸送さ れた原油の35%がここを通過。封鎖されれば、ペルシャ湾の原油 に大きく依存する中国や日本にも深刻な影響が及ぶとみられる。 米国務省のヌーランド報道官は、イランがこうした警告を連発して いることについて、国際社会による圧力の影響が顕在化し、同国が 孤立感を深めている証拠だと分析。「イラン当局は経済問題の原因 を外国からの制裁のせいだと訴えることで、国内からの不満をかわ そうとしている」との見方を示した。