4224.国家ビジョンの構築5



植生革命が起きる。それは、世界的な石油不足が起きて、資源の奪
い合いになっているためである。

10.製造業の生き残りについて
製造業が一番、雇用創造力が高い。今は中級・低級な大量生産品は
海外の労働力が安い地域で作り、高付加価値で高級品を日本が作る
しかない。この高級品は、職人の技術力がないと作れないことが必
要で、そのような物を作り、世界の富裕層を対象として売っていく
しかない。

もちろん、中級品生産も給付付税額控除政策ができれば、日本に残
ることはできるが、社員に高給を払えないので豊かにはしない。な
るべく、技術を付けて高級品に転換して、中級品の生産を少なくす
ることである。中級品生産はタイなど海外に移転することである。
中級品生産は、従業員の技術力を上げる訓練のために生産すること
である。

この高級品を作れる技術力を持っている地場産業が重要なのである。
この技術力を用いて、何を作るかが問題である。そこには世界の富
裕層が何を求めているかを知ることである。日本の伝統的な品物を
現代風に、かつ地域で望む風合いが違うので、それ向きにアレンジ
して作ることである。

欧州に売るために、南部鉄瓶もいろいろな色のものができていると
か、燕市の洋食器の技術でワイン機器を作るとか、静岡のお茶をタ
イに売るために砂糖で甘くするとかの地元に合わせることが重要で
ある。また、極細糸で布を作り欧州に売っているとかで、海外を相
手にして中小企業でも生き残れている。

デザイナーの奥山さんは地場産業の技術でフォーミラーカーを作っ
ている。このように職人の技術力+デザインで、生き残る方法があ
る。

もう1つが、最先端技術、イノベーションを追求することである。
H2Bロケットの技術は、誘導装置やエンジンなど高い精度が必要
であり、海外でもできるところは少ない。軍事技術では、対ミサイ
ル迎撃ミサイルのSM3ブロック2Aである。

相手ミサイルの軌道をレーダーや衛星などで捕らえて、そのミサイ
ルに当てることであるが、これは高度な技術が必要である。これが
できるのは、日本にレーザー・ジャイロ技術があることで精度が非
常に高いことだという。

しかし、イージスシステムが根幹であり、この衛星など多くは米国
技術である。そのイージスシステムの誘導部分に日本の技術が入っ
ている形である。このように米国の技術に日本の技術を追加して、
最先端の物ができることが多くなっている。

技術は蓄積されるので、日本の技術力を徐々に上げていくことが重
要である。一歩一歩の着実な技術の積み重ねが日本の優秀な技術力
の根幹である。このような分野を広げるしかない。

新幹線技術、汚水処理膜技術、ロケット・ミサイルの推進系と誘導
技術、炭素繊維や傾斜金属など素材技術、薬品などの化合物系技術
などと、今後の藻やススキ、紙からのバイオエタノール生成などの
生物利用技術など、日本の次のイノベーションを引き起こすことで
ある。

今後のイノベーションの主流は、藻類や微生物などを利用すること
である。古代に藻類や微生物が石油や鉄などの鉱物を濃縮や生成さ
せたことは、徐々に分かってきている。

今後有効な資源がなくなり、この資源を生み出すことが重要になる
が、この方法は、リサイクルと濃縮生成しかないが、そのどちらに
も微生物の利用が重要なキーになる。

日本は高温多湿で、微生物の環境には適しているし、種類が多く、
その中から最適な微生物を選択できる。今後の植生文明は、日本の
時代である。現状でも木質が重要になり、それの生育環境として日
本は最適である。この良い例が、筑波大の渡辺先生が見つけたオー
ランチオキトリウムである。

11.防衛力の整備について
日本の労働人口が減少して、軍隊も今の兵力を維持できなくなる。
防衛費も一時的には増額するかもしれないが、その後には減少させ
ることになる。このため、整備の中心は空自と海自に重きを置き、
陸自は海兵隊的にして、いつでも海自の艦船で出動できるような海
陸自連携が重要になる。

今回の東日本大震災でも米軍の海兵隊と海軍は統合運用が絶妙であ
ったが、日本の自衛隊は統合運用ができず、かつ理解できなかった
ようである。米海兵隊は日本の自衛隊に対して、反省点をまとめて
協議したいと言っているが、どうなったのでしょうね。

米海軍と海上自衛隊の統合演習は盛んにやっているが、海兵隊と陸
自の統合演習が今まであまりやっていない。このため、米海兵隊は
統合運用ができない日本の陸自を心配しているようである。

今後、仮想敵国はロシアから中国にシフトする必要があり、南西諸
島での戦闘を想定していくことである。このときには海自と陸自の
統合運用ができないと、圧倒的な中国海軍陸戦隊には勝てないこと
になる。米海兵隊はそのように見ている。

中国潜水艦は、第一列島線を超えて西太平洋に出てきているが、こ
れは沖縄列島の海峡の全てにソナーを設置するだけで、動向が把握
できる。この設置を急ぐことである。

12.外交
軍事力がないとまともな外交はできない。去年の外交で日本が活躍
できたのは、SM3ブロック2Aを持っていたことで、それがほし
いために、日本と防衛協定をインド、ベトナムは結んだのだ。

外交では、敵ともコミュニケーションパス残すことが重要であり、
引田天功さんを北朝鮮に送れなかったことは、非常に残念である。
日本人は、クールヘッドで考え、ホットハートで方針を考えない。
どうすれば、一刻も早く拉致被害者を救出できるか、真剣に考えて
いないことがよく分かる。このためには、敵とも交渉機会を残すと
いう外交の基本をつぶすからである。

戦争ができなければ、交渉を行うしかない。この交渉の芽をつぶし
ているのが、ホットヘッドで考える人たちである。このような人が
日本の外交をつぶし、拉致された人たちを救出できなくさせている。

交渉するときでも、相手国と戦争になることも想定して、交渉する
ことが重要だという外交の基本を知ってほしいものである。




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