4219.国家ビジョンの構築2



国家ビジョンが必要であると何遍もこのコラムで述べている。しか
し、国家ビジョンとは国家百年の大計を決めることであり、国の方
針になる。戦後、吉田茂が経済優先で軍事を米国に任せる富国弱兵
の国家ビジョンを示した。しかし、この国家ビジョンは米国の国力
低下で見直すことが必要になる。

3.人口予測と対応策
総人口の減少は、決定的で1970年代には出生数が200万人か
ら2010年には半分の100万人まで落ちている。2010年に
は出生数と死亡者数が逆転して、人口減少になった。それより劇的
なのが労働人口で、7500万人から6300万人まで落ちたが、
今後、団塊の世代が退職してくるので、労働人口は大幅に減少する。

しかも、この労働人口というのは、15才から64才までの人口で
あるので、無職の学生、専業主婦やホームレスなどを含む。このた
め、労働を実際にしている人の数の実体は、6000万人以下であ
る。

しかし、この労働人口の減少でも、総人口が1.2億人である。現
時点で従属人口と労働人口が1対1であるが、これが、2030年
以降には労働人口と年金取得者とが1対1になることで、今までの
年金の維持もできなくなることが確実である。このため、年金改革
が必要なのである。現時点は基礎年金部分を税で補うことにしてい
るが、早晩、これだけでは済まなくなる。

そして、2100年になると、このままの政策では、総人口も明治
維新と同じような3700万人に減少する可能性がある。この問題
の対策は、移民政策と女性の就業しかない。

世界的な競争の時代になり、本当に必要な人、世界で戦える人は、
労働人口の3割程度である。そうすると、1800万人程度であり
、男女の比も大体同じとなると、世界的に戦える人たちの労働が必
要になる。この人たちが、日本を支えることになる。この才能豊か
な人たちは、男女を区別しないで働いてほしいものである。そうす
ると有能な働く女性をサポートする職業ができる。保育と家政サー
ビスである。これを労働人口の7割の4200万人が行えばよい。

7割の4200万人の仕事を作るにも、有能な人が必要であり、そ
の戦える人を世界から求めることが必要になる。有識者の移民政策
だ。単純労働者は、日本の7割が行うために、いらない。

4.産業政策、移民政策
産業政策としては、労働人口の全員の職を作ることが重要である。
労働人口3割は世界的に活躍できるが、7割の人の雇用をどうする
かが重要である。

しかし、状況は良くない。2100年に向けて、総人口が3700
万人になるために、今後、人口減少と老齢化で、消費需要が徐々に
減少する。販売業の従業員数が2010年から減り始めている。こ
の販売業も徐々に減少することが確実である。製造業は、空洞化が
進み、1992年から減少している。今は日本に競争力がある産業
まで海外に脱出している。

このため、益々、日本の製造業が無くなってきた。雇用先で増えて
いるのは、医療・介護分野だけである。農業の従業員数は、現在も
250万人と労働人口の3%程度であり、今後、減少するはずで、
農業の近代化を行うことで競争力を付けることであるが、雇用とい
う問題では、農業に期待はできない。農業問題は、次に考察する。

人口が減少することで、内需に期待ができない。現状の維持がやっ
とである。すると、外需に期待するしかない。

外需に期待するためには、輸出を行う環境を整備するしかない。こ
のために、自由貿易を推進することが重要なのである。それも非関
税障壁の除去や知的財産の保護などである。この取り決めとして重
要な位置を占めるのが、TPPである。米国は中国に進出した企業
の問題点を意識して、非関税障壁を失くそうとしている。これには
乗るしかない。もう1つが、円高問題であるが、いろいろな問題が
絡み合うが、それを評論家たちは見ようとしない。これも次に考察
する。

外需に期待するということは、日本の強みを強化していくことが必
要で、それも最先端の製造業しかない。そして、製造業の先端技術
を使うものというと、軍事産業が一番である。ここを米国と共同で
開発すれば、世界に受けることになる。日米軍事・産業同盟を行う
ことである。原子力産業のように、米国で設計して、日本が製造す
る。技術が必要ないところは、東南アジアの日系企業で作ることで
ある。最先端としては、原子力、火力、鉄道、水道などインフラ系
もそうであり、期待できる。

人口減少の一番大きな解決方法は、移民を受け入れることである。

しかし、移民政策には問題を含み、英国など欧州の移民政策の失敗
を見ることである。1つは、イスラム教徒を入れたことで、彼らは
異文化になじまない。異文化民族ではなく、同質文化の人たちを受
け入れることである。もう1つが単純労働者の導入である。これを
受け入れてはいけない。

この反省から、日本は有識者の移民で、かつ日本文化と似ているタ
イ・ラオス・ベトナム・ブータン・ネパール人の移民政策を進める
べきである。この民族の起源が、揚子江の流域で米作をしていた民
族で北からの漢民族に追われた人たちである。日本も揚子江の下流
域で米作をしていた民族が大量に移動してきたことで人口が急増す
るというように、この民族との親和性が高い。

もう1つが、台湾高砂族の系列のポリネシア人たちで、この人たち
が、日本の縄文人を形成したという。

そして、ここに介護学校や医療学校などを作り、日本語も教えて、
日本の免許が取れるようにしてしまう。こうすれば、有能な人材を
集めることができる。

5.国家ビジョンは
このように、日本はハイテクにシフトして、普通の大国になるしか
ない。富国強兵政策である。普通の経済軍事大国である。そして、
その力を米国と共同で世界平和に処することである。米国の衰退で
世界が混乱する可能性が高いので、日本も米国の衰退した軍事力分
を補うことが必要になっている。これを言い換えると、日米共同覇
権国家体制にすることだ。

特に中国、イランなどの世界に混乱を巻き起こす動きを徹底的にマ
ークし、それをすると、自国にとっても損失が大きいと、外交的な
手段で言える様にしておくことである。

今回の南シナ海懲罰戦争を中国ができなくしたように、中国にとっ
て不利になれば、行うことはできない。軍事力の確保が外交の交渉
力を高めることになる。

6.TPPなど貿易自由化と円高阻止
7.経済振興策



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