中国広東省で政策に不満をもつ烏坎村の住民のデモなどに、当局が 要求を受け入れて妥協する異例の展開が相次いでいる。この紛争は 2012年の中国新体制にどのような影響を与えるのであろうか? Fより 英フィナンシャル・タイムズの予想では、新体制での常務委員は、 習近平(太子党・上海閥)、李克強(団派)、薄熙来(太子党)、 汪洋(団派)、張徳江(実務)、王岐山(太子党・金融専門家)、 李源朝(団派)、劉延東(団派)王剛(実務)、兪正声(太子党・ 上海閥)、戴秉国(実務)であり、保守派の劉雲山が候補から外れ ている。保守派が脱落して、太子党、団派、上海閥の均衡を取って いる。 この保守派が、南シナ海懲罰戦争事件で軍部と組んで巻き返し図っ たができなかった。この事件で薄熙来が脱落した可能性がある。こ の事件で、外交実務の戴秉国は得をしている。12月には、中央経 済工作会議で上海閥の市場経済主義が勝利している。 この影響から、張高麗(上海閥)にとっては、大きなチャンスにな っている。 しかし、今、広東省での事件でこの広東省書記の汪洋がどうなるか ということと、薄熙来が復活するかということになる。 団派である汪洋は、2009年7月、GDP成長率を8%死守とした「保八」 を言う温家宝に対し、「GDPの数値はあまり重視していない」「不景 気なときに成長が鈍るのは当然」と発言し、構造改革や産業の淘汰 を強調した。しかし、共青団派で胡錦濤に可愛がられているので何 事もなく常務委員候補になっている。 また、自身も食品工場の労働者として働いた経験があり、労働者や 弱者にやさしい考え方の持ち主であり、団派の中では人格的な李克 強に対して、過激的な汪洋と対比される。 この汪洋書記が、紛争でもリベラル的な試みをし始めた。中国共産 党に逆らう自治組織に対して、それを容認してしまった。党大会ま で社会の安定を維持したい胡錦濤指導部の意向も強く働いたとみら れるが、汪洋の思想的な部分も影響しているようだ。 しかし、現在、来年の体制を巡る権力闘争中であり、この行動は、 太子党の薄熙来を利する可能性がある。 さあ、どうなりますか? ============================== 中国でデモに異例の妥協 社会安定へ穏当路線か 連鎖反応も 2011.12.22 22:25サンケイ 【上海=河崎真澄】中国広東省で政策に不満をもつ住民のデモに、 当局が要求を受け入れて妥協する異例の展開が相次いでいる。 22日付の中国紙、東方早報などによると、スワトー市で20日 、火力発電所の建設に反対する4万人以上のデモを受け、同日夜に 当局が計画を中止した。また陸豊市の村では21日、土地収用をめ ぐって3カ月続いた大規模なデモで、同省の党幹部と住民側の協議 が成立して、騒乱は終結した。 中国の住民デモは、警察隊投入など力ずくで押さえ込まれるケー スが大半。しかし、来年秋の共産党大会での指導部交代を控え、社 会の安定維持が最大の政治課題になる中、当局が穏当な路線を試み た可能性がある。 スワトー市では、既存の発電所が汚水の放出で海洋汚染を起こし 、住民が不満を募らせていた中で新たな発電所計画が発表され、大 規模なデモが起きた。デモ隊は地元当局庁舎を占拠したほか、幹線 道路を封鎖した。当局は警官隊を出動させたものの、計画中止を決 めた。デモは22日になっても収まっていない。 同省陸豊市烏坎村では約40年もトップの座にあった共産党支部 書記が、農民の土地使用権を勝手に開発業者に売却したり、選挙で 選ばれるはずの村幹部の人事権を握ったりするなど横暴を極めた。 反対派住民への暴行疑惑もあり、9月に大規模暴動に発展していた。 同紙などによると、いずれも事態打開に向けて早期解決を指示し たのは広東省トップの汪洋党委書記。党大会まで社会の安定を維持 したい胡錦濤指導部の意向も強く働いたとみられる。 しかし一方で、当局による今回の妥協が前例になれば、各地で住 民によるデモが連鎖的に起きる危険性もはらむ。同省のデモに触発 された周辺地域の住民の間にもデモの動きがある。 ============================== 抵抗3カ月、共産党が「妥協」=村民運動が異例の展開−中国広東省 【北京時事】中国南部・広東省の村で共産党幹部の専横ぶりに反 発を強めた村民による大規模な抗議活動が3カ月も続いたが、同省 党委員会幹部が21日、村民代表と対話し、村民側の要求を受け入 れ、騒乱は終結した。国内の地方都市で激化する「官」と「民」の 対立は力で抑え込まれるケースが多いが、同村では共産党側が「妥 協」するという異例の展開となった。 同省陸豊市烏坎村では約40年もトップに君臨した共産党支部書 記が、農民の土地使用権を勝手に開発業者に売却したり、選挙で選 ばれるはずの村幹部の人事権を握ったりするなど横暴を極めた。村 民は市政府などに陳情を繰り返したが、9月に怒りが爆発、大規模 暴動に発展した。 村民側は同時に、自主選挙で選んだ13人の代表から成る自治組 織「臨時理事会」を発足させ、討論による意思決定を徹底した。し かし理事会を「不法」と認定した当局は代表5人を拘束し、うち1 人が死亡。当局が「心臓病」と発表すると、「拷問死」と反発を強 めた村民のデモは激化し、バリケードで村を封鎖した。 これに対して武装警察が村を包囲。「民主化運動を武力弾圧した 1989年の天安門事件前夜のような緊張状態となった」との見方 も出ていた。 事態打開に動いたのは広東省トップの汪洋党委書記。中国メディ アによると、汪氏は「烏坎事件の発生は偶然ではなく必然だ。経済 発展の中で積もり積もった矛盾を長期間ないがしろにした結果だ」 と解決を指示した。烏坎村の動きに触発された周辺の村に抗議活動 が波及する中、社会の不安定化に危機感を強めた胡錦濤指導部の意 向もあったとみられる。(2011/12/22-16:47) ============================== 中国共産党、次期指導体制の骨格固めへ−15日から6中全会 10月14日(ブルームバーグ):中国共産党は15日から開催する第17 期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で、世界の経済大国とな った中国を率いる次期指導体制の骨格固めを目指す。 シンガポール国立大学(NUS)リー・クアンユー公共政策学院の 黄靖教授は、来年後半に党総書記に任命される見込みの習近平国家 副主席ら9人の政治局常務委員を決めるため、党指導者間の主導権 争いが激しくなっていると指摘する。 黄教授は、「今こそ中国の次世代のリーダーが明らかになるべきと きだ。誰が写真や映像に撮られる機会が多いか、誰の話やスピーチ が報道されるか。こうしたことで確認することは可能だ」と述べる。 国際通貨基金(IMF)と英スタンダードチャータード銀行は、中 国が今後10年以内に米国を抜き、世界一の経済大国となると推計し ている。ただ、景気減速懸念も浮上。欧州債務危機の深刻化が世界 の経済成長に最も寄与している中国にも打撃となる中、次期常務委 員による見通しが重要性を増すことになる。 党員8000万人を抱える中国共産党のトップでもある胡錦濤国家主席 は党総書記を来年後半に退き、2003年に就いた国家主席の座も13年 3月に習副主席に引き継ぐ。03年からの胡政権下で中国経済は年平 均10.9%成長を記録、日本を抜き世界2位の経済大国となった。 香港中文大学のウィリー・ウォラップ・ラム非常勤教授は、北京で 4日間開かれる6中全会では次期常務委員の人選の詰めが進むと予 想する。昨年の5中全会では、習副主席が党中央軍事委員会の副主 席に任命され、胡主席の後継者としての地位を確実にした。 ============================== 中共の次期政治局常務委員候補に11人を予想=うち選出されるのは 7〜9人?―英紙:レコードチャイナ 2011年6月4日、英紙フィナンシャル・タイムズは、中国共産党の最 高意思決定機関、中央政治局常務委員会の次期常務委員を予想し、 そのリストを掲載した。5日付で香港紙・明報が伝えた。 中国では「党が国家を指導する」とされているため、中央政治局常 務委員会は事実上、中国の最高指導部となっている。次期常務委員 が選出されるのは2012年の中国共産党第十八回全国代表大会(十八 大)。現在は9人体制になっているが、記事は候補者11人を選び出し 、「この中から9人もしくは7人が選ばれる」とした。 リストに掲載されたのは、習近平(シー・ジンピン)国家副主席( 58)、李克強(リー・コーチアン)副首相(56)、薄熙来(ボー・ シーライ)重慶市委書記(62)、汪洋(ワン・ヤン)広東省委書記 (56)、張徳江(ジャン・ドージアン)副首相(65)、王岐山(ワ ン・チーシャン)副首相(63)、李源朝(リー・ユエンチャオ)中 央組織部長(61)、戴秉国(ダイ・ビングオ)国務委員(70)、劉 延東(リウ・イエンドン)国務委員(66)、王剛(ワン・ガン)全 国政協副主席(69)、兪正声(ユー・ジョンション)上海市委書記 (66)。 現役の政治局委員ではない戴国務委員が入った。記事はまた、現役 の政治局委員である張高麗(ジャン・ガオリー)天津市委書記(65 )と劉雲山(リウ・ユンシャン)党中央宣伝部長(64)が政治局委 員のメンバーから外されると予想している。(翻訳・編集/NN)