4211.烏坎村の抗議行動



中国・烏坎村の住民は、地元共産党幹部や警察官を村から追放して
、「自治政府」を樹立したが、指導者らは「われわれは共産党を愛
している」と発言し、共産主義体制については反対していないとい
うが、「高度の自治」の民主主義体制を要求している。

このため、中国政府は、自動小銃で武装した数百人からなる人民武
装警察隊をここ数日間、村の外側に送り、パトロールを強化し、同
地域の主要道路に沿ってバリケードを設置して、外部の者が立ち入
らないよう監視している。海外メディアへの流出を警戒しているが
、村サイドが海外メディアに情報を出している。

しかし、流血の事態にならないように、人民武装警察隊は烏坎村へ
の侵入は試みていない。烏坎村郊外には村民が自分たちのバリケー
ドを張り巡らすとともに、数十人が警戒に当たっている。 

住民は平和的解決が目標だと主張しているが、今後の展開が注目さ
れる。

この事件は団派と上海閥の権力闘争にどのような影響を与えるので
あろうか?

さあ、どうなりますか?

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中国・烏坎村の抗議行動が拡大―21日には村外へのデモ行進を計画
2011年 12月 20日 20:21 JST 
WSJ
【中国・烏坎村】中国南部広東省烏坎村の住民たちは、21日に近隣
都市Lufengに向けてデモ行進を計画している。複数の主催者が明ら
かにした。抗議行動が村外に拡大することで、当局の出方が注目さ
れる。 

 烏坎村の住民たちは中国共産党を支持していると引き続き強調す
るとともに、政府指導部に対して烏坎村での汚職や不正土地購入疑
惑の調査を要求している。ただ、住民らはそれと同じくらいに民主
主義も広く支持しているようだ。 

 烏坎村での危機解決に向け、上層部が関与し始めているようだ。
共産党地方支部の指導者は18日に公開されたビデオ講演で、この対
立の解決は可能だと述べた上で、村民が注目を引くために海外メデ
ィアを利用しているとして批判した。 

 烏坎村での反乱は9月に始まり、抗議行動の指導者が警察の留置場
で死亡したことを受けて、先週一段と悪化した。同村の住民は地元
共産党幹部や警察官を村から追放しており、今年、中国での反乱で
最も深刻なケースに発展している。 

 住民は平和的解決が目標だと主張しているものの、上層部への反
発を隠そうとしない。 

村の中心部の広場では19日、約1000人の村民が抗議集会に参加した
。ここ数週間、同様の集会が数回にわたって開かれている。村民た
ちは、抗議は体制全体ではなく、地元当局者の汚職に対するものだ
と主張している。 

 自動小銃で武装した数百人からなる準憲兵隊がここ数日間、村の
外側をパトロールしており、同地域の主要道路に沿ってバリケード
を設置している。準憲兵隊は烏坎村への侵入は試みていない。烏坎
村郊外には村民が自分たちのバリケードを張り巡らすとともに、数
十人が警戒に当たっている。 

 デモ行進は21日朝開始される予定で、当局が鎮圧を試みるのかど
うか、鎮圧に動くとすればどのような方法になるのかについては依
然明らかになっていない。地元当局者らは19日、村民との緊張緩和
を目指し一層積極姿勢を取っているもよう。共産党および近隣村の
幹部も19日、烏坎村選出の代表者との交渉に向けて同村入りした。
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広東省の陸豊市鳥炊村が「自治政府」を樹立し、共産党支配に挑戦?
  毛沢東革命以前、最初のコミューンは、この地からおこった
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2011年12月20日第3520号

 華南の騒擾は新しい段階に突入した。
抗議集会、デモが反政府の色彩を帯び、しかも田舎町で数万の人々
が参加した。連日、暴動発祥の陸豊市を概括する仙尾市首脳らは記
者会見をひらき、住民を懐柔しようとしているが、撲殺された抗議
行動指導者の遺体の返還と、納得のいく説明をもとめる住民等は陸
豊市政府前の広場に座り込みを続行しており、明日(21日)には
大々的な抗議集会とデモを敢行する。
 いま、この現場には世界中のジャーナリストが集まっている。

 北朝鮮指導者の急死にマスコミの焦点が注がれているが、中国の
寒村の革命志向も、大いに注目されるべきだ。

 というのも、警官隊とのにらみ合いが続く広東省仙尾市陸豊市の
鳥炊(ウーカン、と発音)村は共産党ルールには従わない、村独自
の自治政府を樹立すると村民集会で宣言。堂々と共産党政治に立ち
向かおうとしているからである。
 抗議行動の指導者らは「われわれは共産党を愛している」と発言
する一方で、「高度の自治」を要求しているのだから、近来、稀な
政治的事件と言って良いだろう。

 毛沢東革命以前、広東省から革命の松明はともされたが、最初の
コンミューンの成功は、この陸豊市だった。
 かれらはまた同じ道を歩み出した。

 圧倒的な軍隊に蹴散らされるのが運命だろうが、この挑戦を後世
の歴史家はどう位置づけるだろうか?
   ◎◎
 (註 鳥炊村の「炊」は「土」扁)。
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 王洋に焦り、ほくそ笑む薄き来
  広東省暴動は果てしなく拡大、つぎは仙頭市の漁民が数万のデモ
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2011年12月21日第3521号

 月初来大騒ぎの続く広東省仙尾市陸豊市鳥炊村の騒擾は「反政府
」の莚旗を鮮明に「高度の自治政府を自らが作る」と宣言したが、
村の多数は「農地さえ返してくれればそれでよか」と主張を大きく
後退させた。地元へ乗り込んで広東省副書記、陸豊市書記が直接交
渉しているとの報道がある(多維新聞、博訊新聞網ほか)。

背後には事態の早期収拾をはかろうとあせる王洋広東省書記の「飴
とむち」政策が見え隠れする。
王洋は団派のライジング・スターで次の政治局常務委員入りを確実
視されたが、広東に頻発する反政府抗議行動、集会、デモを前にし
て、中央が眉をひそめる事態となっており、焦りが見える。

王洋の指導力が陰れば、替わりに政治局常務委員入りを果たせるの
は重慶書記の薄き来(太子党)であり、事態をにやにやしながら見
守っているそうな。

ところが、20日、問題の陸豊市から北東方面へ百キロ強の仙頭市
海門鎮でも数万人が市政府ビルを囲んで抗議集会を開催し、近くの
石炭火力発電の撤廃、新規増設反対を訴えた。
 海門鎮は嘗ての良港だったが、火力発電ができてから汚染が激し
く、近海での漁業がなりたたなくなって抗議の声が渦巻いていた。



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