4186.中国のサミット後の動向



東アジアサミットで、中国は孤立していた。南シナ海での武力行使
は、東南アジアとの「行動規範」化で合意したことで、脅しを封鎖
された。このサミットでは中国は譲歩が目立ち、米国は攻勢を掛け
たようである。

東南アジア諸国は、米国が参加したことで、中国とのバランスが取
れたと喜んでいる。米国は、テロ戦争から西太平洋へ重点を移すと
述べ、ASEAN諸国から歓迎されている。

というように、一方的に中国の外交上での後退が目立ったのが、今
回の東アジアサミットであった。このため、中国は外交の建て直し
をする必要が出ている。

中国の国務院外交部は、上位組織である党中央政治局の指示で動く
が、もう1つあり、それが中央軍事委員会の指示である。

中央軍事委員会は、強硬的な考えで、南シナ海の局地に限定して先
制「速攻」であとは外交解決という形式の戦争を考えているようだ
った。大兵力で南シナ海の南沙諸島のベトナム領、フィリピン領を
奪い取ることである。通常兵力では、中国とベトナムでは段ちの差
がある。

この計画を公表して、ベトナムとフィリピンに譲歩を迫ったが、結
果は逆に日米印を引き込んでしまった格好になっている。中央軍事
委員会は、この事態を反省して、総参謀部の下部組織として「戦略
計画部」を新たに設立し、情報戦略を調整する役割を果たすようだ。
その役割は、国務院外交部と総参謀部の調整であろう。

今回の中国ほど、内部で戦略が分裂している状態を見たことがない。
政府の情報を流す人民日報と環球網の記事が、正反対なことはなか
った。

軍部と外交実務家の意見が割れているのに、それを調整できずにい
ることが長く続いた。このため、胡錦濤中央軍事委員会主席(国家
主席)が決定したのだ。

中国・国防部は、中国人民解放軍の海軍による西太平洋沖での軍事
演習を、11月下旬に行う方針を示した。米国のオフシェア・バラン
シングに対応して、その穴を埋める行動に出てきた。

この行動に対抗して、空母に必要な制動ワイヤーをロシアは供与拒
否したとある。艦載機が着艦するときに必要なものであるが、米国
はロシアに手を回したようであるが、そうではなく、ロシアがS-33
のコピーで、中国がJー15を作ったことに怒った結果のようだ。

また、日米の経済的な対中包囲網のTPPについても、中国は「遅
かれ早かれ参加することになる」とし、野田内閣は「価値観外交」
に再び振り子を戻したが、この外交は長く続かないと見ている。

その証拠に、玄葉光一郎外相が外相就任後、初めて北京を訪問し、
中国の温家宝首相、楊潔チー外相、戴秉国国務委員と相次いで会談
し、再発防止のメカニズム構築に向けた実務者協議を提案した。こ
の会議で日本は、再度、アジアに戻ると見ている可能性を見ている。

中国は、外交的な優位性復帰の仕掛けを作り始めている。
さあ、どうなりますか?

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中国政府、西太平洋沖での軍事演習の実施へ…11月下旬をメドに
2011/11/24(木) 10:04サーチナ 

  中国・国防部は23日、同部の公式ホームページで、中国人民解
放軍の海軍による西太平洋沖での軍事演習を、11月下旬に行う方針
を示した。
  国防部は、同海域での軍事演習の目的について、「年度計画内
の定例演習。特定の国家を対象としたものではなく、関連する国際
法にのっとって行う」と説明。中国に対する、同海域における航行
の自由や、合法的権益が妨げられるべきではない、と強調した。
(編集担当:青田三知)
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中国の空母に制動ワイヤーが足りない!ロシアは供与拒否、調達は
ほぼ絶望的―カナダ軍事誌
レコードチャイナ

2011年11月24日、中国の空母開発が大きな難題に直面している。ウ
クライナから購入した「ワリャーグ」に艦載機の着艦に必要な制動
ワイヤーがついていなかったのだ。中国がこれを国際市場で調達す
るのはほぼ不可能とみられている。カナダの軍事専門誌「漢和防務
評論」がロシア当局者の話として伝えた。
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「中国も遅かれ早かれTPPに参加する」、政府系シンクタンクの学者
が指摘―中国
レコードチャイナ
2011年11月23日、中国の政府系シンクタンク・中国社会科学院の張
蘊峰(ジャン・ユンフォン)学部委員は環太平洋経済連携協定(TPP
)に中国が参加する可能性について、「遅かれ早かれ参加すること
になる」と話した。24日付でシンガポール華字紙・聯合早報が伝えた。

張委員は北京で開かれた中国国際経済交流センター主催の経済フォ
ーラム「経済毎月談」で、「TPPは米国に再びアジア太平洋地域の市
場を主導するための突破口を与えた。米国の戦略の目的は東アジア
市場の開放を推進すること。TPPにかこつけて長い間門戸を固く閉ざ
してきた日本市場を開放させることも含む」と指摘した。
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軍総参謀部に「戦略計画部」=作戦・情報を調整か―中国
2011年11月22日22時6分
         
 【北京時事】中国人民解放軍は作戦や情報を指揮する総参謀部の
下部組織として「戦略計画部」を新たに設立し、22日に北京で発
足大会を開催した。中国中央テレビなどによると、胡錦濤中央軍事
委員会主席(国家主席)が決定したもので、中国の軍備増強が進む
中、複雑化する作戦・情報戦略を調整する役割を果たすとみられる。

 中央軍事委は、総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部の「4
総部」体制。その中でも実戦部隊の指揮を担当する総参謀部には作
戦部や情報部などがあるが、7月には通信部が情報化部に改編され
ており、今回の戦略計画部新設も総参謀部改革の一環とみられる。 

[時事通信社]
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日本の「価値観外交」は必ず失敗する
 ここ数年、日本外交の振り子は激しく揺れている。数年前に「自
由と繁栄の弧」を持ち出したかと思えば、少し前には「東アジア共
同体」となり、そして野田内閣は「価値観外交」に再び振り子を戻
した。だが注意深く見れば、現在の「価値観外交」は「繁栄の弧」
を欠く「自由の弧」外交であることがすぐにわかる。(文:韓佐民
・中日関係史学会理事、元駐大阪副総領事。「環球時報」掲載)
「人民網日本語版」2011年11月18日
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尖閣衝突の再発防止へ実務者協議を 中国に玄葉外相提案
2011年11月24日0時51分

 玄葉光一郎外相は23日、外相就任後、初めて北京を訪問し、中
国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相、楊潔チー(ヤン・チエチー
、チーは竹かんむりに褫のつくり)外相、戴秉国(タイ・ピンクオ
)国務委員と相次いで会談した。玄葉氏は尖閣諸島沖での中国漁船
衝突事件を踏まえ、楊氏に再発防止のメカニズム構築に向けた実務
者協議を提案。楊氏も「協力を進めたい」と応じた。
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早川:
米軍及び議会報告を読めば、中国は局地戦の限定して先制「速攻」
であとは外交解決という形式の戦争を考えていることが分かる。全
面戦争は考えてない。空母はその局地への介入を拒むか、遅らせれ
ばよいと考えている(A2AD)。

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