4182.ユーロ危機の進展



イタリアでモンティ新政権が16日、発足した。ギリシャで、16
日夜(日本時間17日未明)、パパデモス新内閣に対する信任投票
が行われ、信任案が可決され、こちらの内閣も発足した。ユーロの
動向を検討しよう。  津田より

0.ユーロ危機の現状
ユーロの問題児であるギリシャとイタリアに新政権ができたことに
なる。これと平行して、EU欧州委員会は15日、国や企業の格付
けの変更について、欧州証券市場監督局(ESMA)への報告を義
務付けることを柱とする格付け会社の規制強化案を発表した。格付
け会社の活動に一定の制限を加え、市場の安定を図る狙いとみられ
る。

しかし、小手先の対応ではユーロ圏でのデフォルト(債務不履行)
を回避することはできず、欧州が回避行動するための時間は、「わ
ずか数日ないし数週間」しか残されていない可能性があるとウィレ
ム・ブイター氏は警告する。また、欧州金融安定ファシリティー(
EFSF)の支援能力拡大がない限り、欧州中央銀行(ECB)が
ユーロ圏を支援するための唯一の手段だと指摘している。

しかし、ECBに対し「最後の貸し手」として踏み込んだ対応を求
める圧力が高まる中、ドラギECB総裁は18日、政府の対応の遅
れに不満をあらわにし、欧州金融安定化ファシリティー(EFSF
)の運用をできるだけ早急に始めるべきとの考えを示した。

しかし、このままでは危機が深化するとして、一定の柔軟性を示す
用意があるようだが、理事会は一枚岩でない。危機対応強化には、
ドイツ出身メンバーが反対している。

また、ECBの危機対応をめぐり、域内2大中核国である仏独の意
見が対立している。フランスはECBによる関与拡大を望んでいる
とみられる一方、ドイツはECBの役割拡大に断固として反対する
姿勢を示した。

また、メルケル独首相とキャメロン英首相は18日、首脳会談を行
い、欧州債務問題について、キャメロン首相はユーロ圏の安定に向
け「断固たる行動」を求めたのに対し、メルケル首相は「漸進的」
な対応が望ましいとの立場を明確に示した。

このようなメルケル首相の慎重な行動で、イタリア国債に続き、ス
ペイン国債も売り込まれ、値下がりした。金利は年6.8%台まで
上がった。財政運営が難しくなる「危険水準」とされる年7%に近
づいた。イタリアの国債利回りは、危険水域とされる7%台で高止
まりしているし、格付けが最上級のフランスやオーストリアの国債
利回りもじわじわと上昇(国債価格は下落)している。

また、ドイツ銀行のアッカーマン最高経営責任者(CEO)は18
日、投資家の間で長期投資に対する消極姿勢が高まっているため、
欧州の銀行による長期資金の調達が一段と困難になっているとした。

パパデモス首相は、「ギリシャがユーロ圏から離脱すれば問題はも
っと複雑になる」と語ってユーロ圏にとどまる意向を示し、2012
年予算案を議会に提出した。財政再建策の断行により、実質GDP
(国内総生産)を前年比マイナス2.8%と厳しく予想し、財政赤
字のGDP比率を5.4%、公的累積債務のGDP比率も145.5
%に抑え込むとした。

しかし、その政府の財政緊縮策に抗議する労組活動家や学生のデモ
が行われ、数万人が参加した。まだ、ギリシャはもめることになり
そうだ。

また、イタリアのモンティ新首相は17日、追加緊縮策を発表し、
最大250億ユーロ(約2兆6千億円)規模になるというが、格付
け会社フィッチは17日、イタリアはすでにリセッション(景気後
退)に陥っている可能性があるとした。ユーロ圏経済の悪化でモン
ティ新政権の課題がより困難になったと警告した。

また、格付け会社フィッチは、米国の銀行は欧州債務危機が悪化し
た場合、信用力が低下する「重大なリスク」に直面するとした。

1.ドイツの解決方法
メルケル独首相は、欧州単一通貨ユーロの採用国が欧州連合(EU)
に残りながら自発的に通貨圏を離脱できるよう、制度の改正をする
方向でのユーロ圏の見直しを行う方向のようである。

 現在のリスボン条約では、EUに加盟して一旦ユーロを採用した
国が通貨圏だけを抜け出す事態を想定していない。ユーロをやめる
場合はEU自体から離脱する必要がある。「ユーロを導入しながら
継続的に通貨圏のルールを守る意志や能力を失った国は、EUから
離脱せずにユーロ圏を自発的に抜けられるようにする」よう求めた。
要するに、危機国の「切り捨て」もやむなしとする域内最大の経済
国ドイツ国内の機運を象徴している。

もう1つが、ユーロ圏国家の一部主権を制限して、予算監視機能を
強化するということであるが、徐々に欧州合衆国化を図ろうとする
案である。

ドイツは、ECBの国債の買取を拒絶しているので、緊急対応がで
きないで、時間が尽きる心配がある。デフォルトになると、CDS
の連鎖が起きて、全世界的な影響をしかねない危険があり、日本や
米国も他人事というわけには行かない。

2.緊急対応策
このような中、欧州中央銀行(ECB)がIMFに融資する案を検
討しているようだ。経済規模の大きい国の救済にも十分対応できる
資金をECBがIMFを通じて提供するということだ。

ECBの規則第23条は「ECBは、第三国および国際金融機関と
の間で、借り入れ・貸し出しを含むすべての銀行取引が可能」と定
めている。そのためIMFはECBの資金を活用し、域内諸国への
支援や予防的与信枠の設定などを単体、もしくはEFSFと協調し
て行える可能性がある。

もう1つが、レバレッジを活用し欧州金融安定ファシリティー(E
FSF)の融資能力を約1兆ユーロに拡大する案も検討されている
というが、難しそうである。

3.各国の反応
このように問題が解決のめどが立たない状態が続き、日銀の白川総
裁も金融政策決定会合後の記者会見で、欧州問題は、新興国市場の
減速や金融市場の変動など、さまざまなルートを通じて日本経済に
影響を与える可能性があるとして、先行きの動向に警戒感を示した。

オバマ大統領も「具体的な計画や構想を打ち出し、欧州がユーロを
支え、そのためにあらゆる措置を講じていくことを示す明確なシグ
ナルを市場に送るまで、現在見られる市場の混乱は続くことになる
だろう」と語った。

このため、NY株、アジア株や欧州株は下落している。そして、ユ
ーロも下落している。

徐々にユーロ発の危機が広がり、新興国にも影響を与えている。特
に中国の経済に大きな影響を与えて、不動産価格が半分程度にまで
下落している。不動産バブル崩壊もあり、それを国家が公共事業で
食い止めている構造である。

さあ、どうなりますか??
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ECB当局者、最後の貸し手としての危機対応強化論に反発
2011年 11月 19日 05:25 JST

 [フランクフルト 18日 ロイター] ユーロ圏債務危機の深
刻化を背景に、欧州中央銀行(ECB)に対し「最後の貸し手」と
して踏み込んだ対応を求める圧力が高まる中、ECB当局者などか
らは反論が相次いだ。 

 ドラギECB総裁は18日、政府の対応の遅れに不満をあらわに
し、欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)の運用をできるだ
け早急に始めるべきとの考えを示した。

 総裁は欧州銀行関連の会議で、欧州連合(EU)首脳はEFSF
創設を1年半以上前に決定し、EFSFの拡充を4週間前に決定し
たと指摘。「長期にわたる決定の実行はいつ行われるのか」と訴え
、ECBの関与拡大要求を退けた。 

 バイトマン独連銀総裁も、政府が危機対応の前線に立つべきと主
張。「危機の収束が成功していないからといって、ECBの責務を
過度に拡大したり、ECBに問題解決の責任を負わせることは正当
化されない」とし、ECBの責務に対する明確なコミットメントは
、ユーロの未来にとって欠くことのできない要素の1つと述べた。
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欧州株式市場は続落、独メルケル首相発言が影響
2011年 11月 19日 04:45 JS

 [ロンドン 18日 ロイター] 18日の欧州株式市場は続落
し、6週間ぶりの安値で取引を終了した。メルケル独首相の慎重な
発言が影響した。

 メルケル独首相は、キャメロン英首相との首脳会談で、英国側が
欧州債務問題をめぐり「断固たる行動」を求めたのに対し、「漸進
的」な対応が望ましいとの立場を示すなど、両国間で温度差がみら
れた。

 FTSEユーロファースト300種指数は6.90ポイント
(0.72%)安の950.95で引け、週間ベースでは3.4%
低下した。
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独英首脳会談、債務危機対応に温度差 金融取引税で合意できず
2011年 11月 19日 04:58 JST 
 [ベルリン 18日 ロイター] メルケル独首相とキャメロン
英首相は18日、首脳会談を行い、経済問題などについて協議した。
欧州債務危機への対応をめぐって発言に温度差が見られたほか、金
融取引税に関しても合意には至らなかった。

 欧州債務問題について、キャメロン首相はユーロ圏の安定に向け
「断固たる行動」を求めたのに対し、メルケル首相は「漸進的」な
対応が望ましいとの立場を明確に示した。

 キャメロン首相は当地での共同記者会見で「ユーロ圏の安定に資
するべく、断固たる措置をとる必要があるという点で、われわれは
一致するだろう」と発言。

 一方、メルケル首相は対照的に「ユーロ圏の信認回復に向け、巨
額の危機対応能力を備えるべきとの英国の要求は正しい。だが持っ
てもいない能力を持っているかのように振舞わないよう気をつけな
ければならない。市場はすぐに見破るからだ」とし、慎重姿勢を崩
さなかった。
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欧州銀の長期資金調達、一段と困難に=ドイツ銀CEO
2011年 11月 19日 03:41 JST

 [フランクフルト 18日 ロイター] ドイツ銀行のアッカー
マン最高経営責任者(CEO)は18日、投資家の間で長期投資に
対する消極姿勢が高まっているため、欧州の銀行による長期資金の
調達が一段と困難になっていると述べた。

 フランクフルトで開催中の会議に出席している同CEOは記者団
に対し、「短期資金の調達には問題はない。ただ、長期資金をどの
ように確保できるのか、大きな疑問がある」とし「銀行への長期投
資に対する投資家の意欲はあまり強くない」と述べた。

 ユーロ圏債務危機に見舞われている国へのエクスポージャーが高
い銀行セクターから投資資金が引き揚げられるなか、欧州の多くの
銀行は欧州中央銀行(ECB)による資金供給への依存度を高めざ
るを得なくなっている。
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ギリシャ、12年予算案提出=財政赤字5.4%に抑制
 【ブリュッセル時事】ギリシャからの報道によると、同国政府は
18日、2012年予算案を議会に提出した。財政再建策の断行に
より、実質GDP(国内総生産)を前年比マイナス2.8%とこれ
までより厳しく予想。その上で、財政赤字のGDP比率を5.4%
、公的累積債務のGDP比率も145.5%に抑え込むとした。
(2011/11/19-01:44)
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危機対応の「頼みの綱」、ECBは量的緩和も視野に
2011年 11月 18日 17:52 JST

 [フランクフルト/ブリュッセル 17日 ロイター] 欧州中
央銀行(ECB)は、ユーロ圏債務危機への対応について、一定の
柔軟性を示す用意があるようだ。ユーロ圏債務危機がイタリアに波
及し、市場は危機を打開するのはECBしかないとみなし、手をこ
まねく政界も熱い視線を注いでいる。

 ただ、理事会は一枚岩でない。危機対応強化には、ドイツ出身メ
ンバーが反対している。

 バイトマン独連銀総裁やシュタルク専務理事らが、ECBが危機
対応を強化して域内政府の最後の貸し手となることに反対している。
ECBが金融政策上最も重要としているインフレ抑制がないがしろ
にされる恐れがある、というのが理由だ。

 ECBでは、政府の危機感がECBの介入によって後退し、対応
が手抜きになっては元も子もないというムードが強い。バイトマン
氏らの懸念はそれも反映している。

 それでも、ドイツ以外の理事会メンバーは、イタリアが現在直面
しているような国債利回りが維持不能な水準に達した場合、政府の
借り入れコスト押し下げに向けECBの債券買い入れプログラムを
活用しても良いという姿勢を示している。
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ギリシャで数万人デモ=新政権下で初
 【パリ時事】ギリシャ各地で17日、政府の財政緊縮策に抗議す
る労組活動家や学生のデモが行われ、数万人が参加した。主要政党
の支持を受けたパパデモス新政権が発足して以来、大規模デモは初
めて。
 現地からの報道によると、首都アテネ中心部では少なくとも5万
人がデモに参加。議会周辺でデモ隊の一部が投石するなどし、警官
隊が催涙ガスを発射して鎮圧に当たった。また、欧州連合(EU)
事務所前の無人の警備員詰め所が放火された。
 北部のテッサロニキでも約1万5000人がデモ行進。AFP通
信は警察関係者の話として、この日のデモで11人が逮捕され、警
官4人が負傷したと伝えた。(2011/11/18-08:00)
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欧州危機:揺れる世界経済 仏国債、利回り上昇 信用格差、高格
付け国間でも

 欧州債務危機問題で、財政の信用力を示す格付けが最上級のフラ
ンスやオーストリアの国債利回りがじわじわと上昇(国債価格は下
落)している。欧州危機の長期化観測を背景に、市場は各国の財政
状況に敏感に反応。同じ最上級格付けの国債でも、比較的財政力の
弱いフランスの利回りは、財政黒字を確保しているドイツの2倍程
度に拡大し、利回り差がユーロ導入後の最大となるなど信用格差が
生じている。

 17日の欧州市場で、フランス国債は売りが優勢となり、指標と
なる10年物の利回りは一時、3・8%台に上昇し、09年7月以
来、約2年4カ月ぶりの高水準をつけた。オーストリア国債の利回
りも3・6%台と5月以来の水準となり、1%台を維持するドイツ
との差が開いている。格付けが最上級の国では、オランダも国債利
回りが上昇しつつある。

 フランス、オーストリア、オランダの国債の格付けは最上級
(AAA=トリプルA)を維持しており、通常であれば、国債の信
用に不安はなく、売り込まれることはない。しかし、欧州4位の経
済規模で財政不安に直面しているイタリアの国債利回りが、危険水
域とされる7%台で高止まりし、スペイン国債の利回りも急騰する
中、市場では「欧州経済の混乱が長引く」との見方が拡大。格付け
が最上級でも財政赤字を抱えるフランスなどの国債が売られやすく
なっている。

毎日新聞 2011年11月18日 東京朝刊
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欧州危機対策、IMFがECBから融資受ける案浮上
2011年 11月 18日 04:23 JST

 [ブリュッセル/パリ 17日 ロイター] ユーロ圏と国際通
貨基金(IMF)は、債務危機対策として欧州中央銀行(ECB)
がIMFに融資する案を検討している。複数の関係が明らかにした。

 イタリアやフランスなどユーロ圏中核国にも危機が波及しつつあ
る中、経済規模の大きい国の救済にも十分対応できる資金をECB
がIMFを通じて提供することが狙い。

 ある当局者は「一部で議論が行われている。ECBの法的な制約
を回避する1つの方法となり得る」と述べた。

 レバレッジを活用し欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の
融資能力を約1兆ユーロに拡大する案も、当初見込まれた規模まで
の拡大は実現が危ぶまれる状況にあるほか、実現しても不十分な公
算が大きい。そのためエコノミストの間では、市場に対して信頼で
きる保証を提供できるのは、ECBのほかにはないとの見方が広が
っている。
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イタリアはすでにリセッション入りした恐れ=フィッチ
2011年 11月 18日 00:08 JS

 [ミラノ 17日 ロイター] 格付け会社フィッチは17日、
イタリアはすでにリセッション(景気後退)に陥っている可能性が
あり、ユーロ圏経済の悪化でモンティ新政権の課題がより困難にな
ったと警告した。

 フィッチは声明で「失業が増加するなか、構造改革と緊縮財政策
に対する政治的な支持、および国民の支持を維持することは難しく
なる」と指摘。「改革が効果的に実施され、中期的に経済成長を後
押しするということを投資家に納得させることは、同じくらい困難
になる」とした。

 またイタリア国債利回りについて、現在の水準で推移し続けた場
合、イタリアの債務は持続不可能となる水準まで上昇していると指
摘。2012年には総額1930億ユーロの国債償還が控えている
ことから、同国が市場から資金調達できる状況を保全することは「
絶対に必要」との見方を示した。

 イタリアでは来年2月だけで360億ユーロの国債が償還を迎え
る。
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イタリアが追加緊縮策 最大250億ユーロ規模
2011年11月17日22時34分

 イタリアのモンティ新首相は17日、上院で所信表明演説し、ベ
ルルスコーニ政権が国際公約とした2013年までの財政均衡を確
実に実現するための追加緊縮策を発表した。削減額は明示されなか
ったが、地元メディアによると、最大250億ユーロ(約2兆6千
億円)規模になるという。 

 抜本的な緊縮策を早めに打ち出し、国債金利を7%台まで上昇さ
せた金融市場をなだめる狙いだ。 

 緊縮策の目玉は、35億ユーロが見込まれる不動産税の復活だ。
減税を掲げて総選挙で勝利したベルルスコーニ氏は、高所得層も含
めて1軒目の購入物件を非課税にしていた。 
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スペイン国債の金利、6.8%台 ユーロ導入後最高に
2011年11月17日23時58分

 17日の欧州債券市場で、スペインの国債が売り込まれ、値下が
りした。価格が下がると金利は上がるため、金利は一時、前日より
0.4%幅高い年6.8%台まで上がった。7月につけた6.6%
を上回り、欧州通貨「ユーロ」ができた1999年以降では最も高
い水準になった。 

 財政運営が難しくなる「危険水準」とされる年7%に近づいた。
スペインは9月の失業率が22.6%とユーロ圏で最も高い。景気
悪化や税収の落ち込みで、借金が今後増えるのではないかと心配さ
れている。 
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ギリシャ議会、パパデモス新内閣を信任

 【アテネ=佐藤昌宏】ギリシャ議会(一院制、300議席)で
16日夜(日本時間17日未明)、パパデモス新内閣に対する信任
投票が行われ、賛成255票、反対38票で信任案が可決された。

 パパデモス首相は投票に先立ち、「ギリシャがユーロ圏から離脱
すれば問題はもっと複雑になる」と語ってユーロ圏にとどまる意向
を改めて強調し、財政危機に挙国一致で対処するよう呼びかけた。
首相は、21日にブリュッセルで、欧州連合(EU)のファンロン
パイ欧州理事会常任議長(EU大統領)、バローゾ欧州委員会委員
長と会い、今後導入する緊縮策などについて改めて説明する。

(2011年11月17日10時57分  読売新聞)
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イタリアのモンティ新政権発足、閣僚に政治家含めず自身は経済相
を兼任 
2011年 11月 17日 10:41 JST 
			
 [ローマ 16日 ロイター] イタリアで新政権が16日、発
足した。新首相に就任したモンティ元欧州委員が発表した閣僚人事
は、政治家を含まない16人の有識者で構成され、テクノクラート
型内閣で債務危機への対処と金融市場の沈静化に取り組む。

 モンティ首相が経済相を兼任するほか、国内リテール最大手銀行
インテーザ・サンパオロのパッセラ最高経営責任者(CEO)を産
業・インフラ・運輸相に起用した。

 モンティ首相は、欧州首脳に要求されている緊縮財政計画を17
日に提出する。1200GTM(日本時間午後9時)頃に上院に提
出、その後夕方には上下両院で新政権への信任案が採決される見通
し。 
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ECBの危機対応めぐり仏独が対立、独首相は関与拡大に反対
2011年 11月 17日 08:24 JS

[パリ/ローマ 16日 ロイター] ユーロ圏債務危機が深刻さ
を増す中、欧州中央銀行(ECB)の危機対応をめぐり、域内2大
中核国である仏独の意見が対立している。

 フランスはECBによる関与拡大を望んでいるとみられる一方、
ドイツはECBの役割拡大に断固として反対する姿勢を示した。

 フランスのペクレス政府報道官は16日、「ECBはユーロの安
定だけでなく、欧州の金融安定という役割も担っている。欧州の金
融安定確保に向け、ECBが必要な措置を講じると信じている」と
述べ、ECBの関与拡大を求める考えをにじませた。

 一方、メルケル独首相は「諸条約を踏まえれば、ECBが(ユー
ロ圏の危機をめぐる)問題を解決する可能性はない」と言明。EC
Bの役割拡大を求める圧力に抵抗する姿勢を明確にした。

 その上で市場の信認を得るには、ユーロ圏ですでに合意した改革
の実施や、条約改正に伴うユーロの強化以外に道はないと主張した。 

 同日の欧州債券市場では、イタリア10年債利回りが、長期的に
持続不可能とされる7%の水準を再び上回った。

 また10年物の仏独国債利回り格差は195ベーシスポイント(
bp)に拡大し、ユーロ導入以来の最高水準を更新。オランダ、オ
ーストリアなど他の主要国国債も売られた。

 ただECB当局者は、最後の貸し手として踏み込んだ対応を求め
る海外からの圧力に対し、引き続き抵抗する姿勢を示している。

 市場関係者によると、ECBはこの日もスペイン・イタリア国債
を買い入れたものの、売り一服は長続きせず、利回りの上昇には歯
止めがかかっていない。また限定的かつ断続的な買い入れ方針に変
更の兆しは見えないという。
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欧州は「数日ないし数週間」の猶予しかない恐れ
                   −シティのブイター氏

  11月16日(ブルームバーグ):ユーロ圏でのデフォルト(債務不
履行)を回避するために欧州が行動するための時間は、「わずか数
日ないし数週間」しか残されていない可能性があると米銀シティグ
ループのチーフエコノミスト、ウィレム・ブイター氏が警告した。

  ブイター氏はブルームバーグテレビジョンの番組「サーベイラ
ンス・ミッドデー」の司会者トム・キーン氏とのインタビューで、
「時間がなくなるスピードが速い。スペインやイタリアのような国
の基本的に不必要なデフォルト発生の重大なリスクが生じるまで、
恐らく数カ月の猶予があるとは思うが、数週間ないし数日かもしれ
ない。それは欧州の銀行システムを北米もろともひきずり倒す金融
の破局につながる。欧州は今、行動する必要がある」と訴えた。

  同氏はまた、高債務国の救済基金である欧州金融安定ファシリ
ティー(EFSF)の支援能力拡大がない限り、欧州中央銀行(E
CB)がユーロ圏を支援するための唯一の手段だと指摘。ECBは
「最後の貸し手」の役割を拒否し、ソブリン債を直接買い入れるこ
とに消極的だとした上で、「ECBは渋々受け入れざるを得ないの
だろうが、彼らがそれをやらなければ、ユーロ圏は終わりだ」と語
った。
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フィッチ:米銀は「重大なリスク」に直面−欧州危機で信用力低下も

  11月16日(ブルームバーグ):格付け会社フィッチ・レーティ
ングスは、米国の銀行は欧州債務危機が悪化した場合、信用力が低
下する「重大なリスク」に直面しているとの見解を示した。
  フィッチは16日の発表資料で、「ユーロ圏の債務危機を時機を
失することなく秩序立った形で収拾できない限り、米銀行業界の広
範な信用見通しが悪化する恐れがある」と指摘した。
  フィッチはまた、圧力にさらされているギリシャやアイルラン
ド、イタリア、ポルトガル、スペインの欧州各国市場への米銀の直
接のエクスポージャーは手に負える範囲内にあるとしながらも、「
しかし感染がさらに拡大すれば重大なリスクをもたらす」と警告し
た。
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ユーロ自発離脱、可能な制度を 独与党が決議  :日本経済新聞
2011/11/16 13:31
【ベルリン=菅野幹雄】ドイツの与党でメルケル首相が率いるキリ
スト教民主同盟(CDU)は15日までライプチヒで開いた党大会で
、欧州単一通貨ユーロの採用国が欧州連合(EU)に残りながら自
発的に通貨圏を離脱できるよう、制度の改正を促す決議を採択した。
ギリシャのように財政規律の維持が難しくなった参加国へのけん制
を強める狙いがある。

 現在のリスボン条約では、EUに加盟して一旦ユーロを採用した
国が通貨圏だけを抜け出す事態を想定していない。ユーロをやめる
場合はEU自体から離脱する必要がある。CDUの決議では「ユー
ロを導入しながら継続的に通貨圏のルールを守る意志や能力を失っ
た国は、EUから離脱せずにユーロ圏を自発的に抜けられるように
する」よう求めた。

 CDUの決議は、ユーロ圏の一部の国の債務不安が通貨圏全体の
信用低下に及ぶ事態を防ぐ意図がある。すぐに制度改正が実現する
可能性は低いものの、危機国の「切り捨て」もやむなしとする域内
最大の経済国ドイツ国内の機運を象徴している。
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EU、格付け会社の規制強化へ 財政危機で新対策

 【ロンドン共同】欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会
は15日、国や企業の格付けの変更について、欧州証券市場監督局
(ESMA)への報告を義務付けることを柱とする格付け会社の規
制強化案を発表した。

 日本や米国などに比べ一段と厳しい内容。欧州財政危機が進行す
る中、格付け会社の活動に一定の制限を加え、市場の安定を図る狙
いとみられる。

 格付け会社と格付けを受ける企業の癒着を防ぐため、格付けの発
注企業に対し、3年ごとに格付け会社を変更することも義務付ける。
規制強化案は欧州議会での審議を経て法制化される見通し。

2011/11/16 10:51   【共同通信】
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ドイツ首相:国家主権の一部を移譲も、条約改正でユーロ圏強化

11月16日(ブルームバーグ):ドイツのメルケル首相は16日、ユー
ロ圏を強化し、統一通貨への信頼を高める上で、同国は主権の一部
を移譲する用意があるとの見解を示した。 

  メルケル首相は「ユーロ圏の危機に対する耐久力を一段と高め
る」には、欧州連合(EU)の条約を改正してEUの関連機関を強
化し財政規律引き締めを監視する必要があると発言。アイルランド
のケニー首相とのベルリンでの共同記者会見で語った。 

  メルケル首相はまた、「ドイツはユーロが維持、防衛されるこ
とを市場と世界に示す必要性を認識しており、国家主権の一部を移
譲する用意がある」と言明。力強いEUに加え、ユーロ圏の「17カ
国が強化され、国際市場から信頼されることを望んでいる」と続け
た。 

  ケニー首相によれば、メルケル首相は条約改正について「国家
予算を編成する点において、介入と監視の役割を担うが、一部諸国
が独自の予算削減策に取り組む柔軟性を持ち合わせる」ことを意味
すると説明した。 

  メルケル首相はまた、既存の条約では欧州中央銀行(ECB)
が「ユーロ問題を解決する可能性はない」と述べた。 



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