4181.東アジアサミットでの米中攻防



ASEAN+6(豪州、ニュージーランド、インド、日本、韓国、
中国)+米国、ロシアの18ケ国の首脳が一同に集まる東アジア・
サミットがインドネシア・バリ島で始まった。  Fより

このサミットの前に、オバマ大統領は、豪州を訪問して米海兵隊の
2.5千人をダーウィンに駐留させて、南シナ海への押さえとする
ことにした。

この対応に対して、「オーストラリアは衰退する安全保障人に近寄
るために、経済利益を与えてくれた者を犠牲にした」と中国軍ブレ
ーン・宋暁軍氏は述べ、「ダーウィンは中国の戦略ミサイルの射程
内にある」と威嚇した。

また、環球時報は同日の社説で「豪州は中国をバカにしてはならな
い。中国の安全保障を弱体化させながら、経済協力を進めることは
できない。ここには越えてはならない一線がある」と批判した。

このような批判で、中国の主張する南シナ海懲罰戦争にとって、大
きな痛手になっていることが分かる。

また、日本では、大分県の日出生台(ひじうだい)演習場で陸上自
衛隊西部方面隊(総監部・熊本市)実動演習が、離島侵攻防衛を想
定し、行われた。この演習には北海道の戦車部隊と第1空挺(くう
てい)団(千葉県船橋市)も参加した。

中国は、この大規模な演習を行っていることについて「中日関係の
発展に役立つことをしてほしい」と日本側に要望し、野田首相の訪
中を控え、自衛隊の演習に対する強い反発は避けたようだ。

東アジア・サミット前の予備会談で、南沙諸島などの領有権をめぐ
り中国が一部加盟国と争いを深めている南シナ海問題について、米
中がそれぞれ、互いを強く牽制(けんせい)した。

オバマ大統領は、東アジアサミットを地域安保を話し合う中核的な
場とする考えを伝え、南シナ海での「航行の自由」を含む海洋の安
全保障を取り上げる方針を確認した。

一方、中国温首相は「外部勢力はいかなる口実でも介入すべきでは
ない」として、南シナ海問題に触れ「航行の安全」を理由に関与を
強める米国や日本をけん制した。その上で中国側がこれまで消極的
だった法的拘束力のある「行動規範」の策定について「討議着手を
望む」と明言した。

また、ASEANプラス3(日中韓)首脳会議では、ASEANプ
ラス6(日中韓、豪州、ニュージーランド、インド)による自由貿
易圏構築に向けた作業部会設置を日中が共同で提案した。中国側は
潜在的な脅威とみなすインドが加わることに難色を示し、ASEA
Nプラス3による自由貿易圏構想を主張してきたが、TPPとの関
係で、日本が提案してきたASEAN+6構想に折れた格好である。

ASEANにとっては、米中2大国の関与強化についてフィリピン
のデルロサリオ外相は、「両者のバランスを取ることで利益が生ま
れ、ASEANの繁栄につながる」と歓迎。ASEANのスリン事
務局長は、「ゾウ(米国)は外にいるより中に入れた方が、テント
が強くなる」と述べ、連携強化が地域の安定につながるとの見方を
示した。

ASEANも日本も、米中の対立を利益につなげる方法を模索して
いる。米国が安全保障を担保してくれる仕組みは居心地がよい。中
国は大国として、小国に圧力を掛けることで、自国のルールを押し
付けようとするので、居た堪れないという感情がASEAN諸国に
充満している。この感情を米国も日本も緩和するために関与してい
る。

しかし、一番この感情を利用しているのは、ロシアのようだ。ベト
ナム沖の資源開発に、ロシアのガスプロムが共同で開発するとし、
かつ、インドの工業近代化にロシアが協力するというように、中国
に寄り添い、かつ中国の横暴に居た堪れない国とも繋がり、安全保
障的な恩恵を与えて、自国の利益を得ている。

日本も米国に寄り添い、中国の横暴に居た堪れない非親米国との関
係を構築して、ロシアと同じようなことができると見るが、どうで
あろうか??

中国とも戦略的な互恵関係を作ることである。中国の横暴な振る舞
いを嫌がる国は多く、日本はそれ相当な軍事力を持ちつつ、中国と
も仲良くすることが、日本の利益にも繋がる。

しかし、難しい時代になってきた。安全保障と経済は、ますますリ
ンクしてきて、その2つを十分に持たないと、ビジネスができなく
なる時代になってきた。

また、ユーロ危機が迫り、中国のバブル崩壊も現実問題になって、
景気後退局面になってきている。世界が失われた10年の時代にな
ってきた。

このような景気後退局面で1930年代の感覚に似ているため、本
当の戦争にならないか、不安な時代になってきたように感じる。

さあ、どうなりますか??
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ASEAN関連首脳会議:中国、影響力確保に躍起 南シナ海、経
済で歩み寄り

 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)成沢健一、佐藤賢二郎】
米国がアジア太平洋地域への関与を強めるなか、中国が域内の影響
力確保に懸命となっている。インドネシア・バリ島で18日に行わ
れた東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国首脳との会議で温家
宝首相は、一部加盟国と領有権を争う南シナ海問題で歩み寄る姿勢
を表明し、経済連携についても自由貿易圏構想で柔軟に対応する構
えを見せた。一方、米中2大国の板ばさみになった格好のASEA
Nは、双方とのバランスを保ちながら連携の枠組みを拡大し、求心
力の維持を図っている。

 「外部勢力はいかなる口実でも介入すべきではない」。ASEA
N首脳との会議で温首相は南シナ海問題に触れ「航行の安全」を理
由に関与を強める米国や日本をけん制した。その上で中国側がこれ
まで消極的だった法的拘束力のある「行動規範」の策定について「
討議着手を望む」と明言した。

 温首相は、航行の安全や環境保護など海洋協力に関する30億元
(約360億円)の基金設立やインフラ整備などに向けた100億
ドル(約7700億円)の借款供与も表明。19日の東アジアサミ
ットで米国などが海洋の安全保障を取り上げるのを前に、協調姿勢
をアピールする狙いがあることは確実だ。

 18日午後に開かれたASEANプラス3(日中韓)首脳会議で
は、ASEANプラス6(日中韓、豪州、ニュージーランド、イン
ド)による自由貿易圏構築に向けた作業部会設置を日中が共同で提
案した。中国側は潜在的な脅威とみなすインドが加わることに難色
を示し、ASEANプラス3による自由貿易圏構想を主張してきた。

 しかし、米国が主導する環太平洋パートナーシップ協定(TPP
)が大枠で合意され、日本など3カ国が新たに交渉参加の意向を表
明。国内市場開放に向けた厳しい条件が課されるTPPに中国が参
加する可能性は現時点で極めて低く、日本が提唱してきたASEA
Nプラス6推進という現実的な対応に転じた可能性もある。

 一方、米中2大国の関与強化についてフィリピンのデルロサリオ
外相は18日、「両者のバランスを取ることで利益が生まれ、AS
EANの繁栄につながる」と歓迎。ASEANのスリン事務局長は
AFP通信に対し、「ゾウ(米国)は外にいるより中に入れた方が
、テントが強くなる」と述べ、連携強化が地域の安定につながる
との見方を示した。

 だが、17日のASEAN首脳会議が海洋安全保障問題を協議す
る「ASEAN海洋フォーラム」を日米や中国など東アジアサミッ
ト参加国を加えた枠組みの拡充で検討に入ったことに関し、インド
ネシア外務省高官は「すでに同様の枠組みが複数あり、必要性を精
査する必要がある」と述べ、枠組みの多様化がASEANの影響力
低下につながることに懸念を表明した。

毎日新聞 2011年11月19日 東京朝刊
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中国、海上協力基金設立へ=ASEAN取り込み図る
 【北京時事】中国の温家宝首相は18日、インドネシア・バリ島
で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議で、海
上での実務協力に向け、中国側が30億元(約360億円)に上る
「中国−ASEAN海上協力基金」を設立することを提案した。ま
た、ASEANのインフラ設備建設のため100億ドル(約7600
億円)の追加借款を行うと表明した。
 中国外務省によると、基金は海洋分野の研究、環境保護、航行安
全、救難捜索、犯罪取り締まりをはじめ、幅広い海上協力に活用す
る。
 中国は南シナ海の領有権をめぐりベトナムやフィリピンと争って
いるが、経済力をてこにASEANを取り込み、南シナ海問題の複
雑化を回避したい考えだ。(2011/11/18-19:40)
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ASEANプラス3、広域貿易圏構築で一致

 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)=梁田真樹子、今井隆】
東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓によるASEANプラ
ス3首脳会議が18日、ヌサドゥアで開かれた。

 東アジアの経済統合をめぐって、ASEANプラス3に豪州、イ
ンドなどを加えた「ASEANプラス6」を念頭に、ASEANが
域外国と結ぶ自由貿易協定(FTA)を通じて、広域貿易圏を構築
する方向性で一致した。

 会議にはASEAN各国首脳と野田首相、中国の温家宝首相、韓
国の李明博大統領が出席した。

 野田首相は会議で、経済統合について「東アジアでの貿易投資自
由化への検討を加速化させたい」と発言。経済連携協定の早期交渉
入りのため、8月に中国と共同提案した、貿易、サービス、投資の
3分野で自由化を検討する作業部会の早期設置を呼びかけた。

(2011年11月18日21時14分 読売新聞)
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南シナ海問題、米中が強く牽制 首脳会談を急きょ設定
2011年11月19日4時50分

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は18日、インドネシア・バ
リ島ヌサドゥアで中国、米国と個別に首脳会議を開いた。スプラト
リー(南沙)諸島などの領有権をめぐり中国が一部加盟国と争いを
深めている南シナ海問題について、米中がそれぞれ、互いを強く牽
制(けんせい)する発言をした。外交筋によると、19日の東アジ
アサミットを前に同日午前、急きょ米中首脳会談が開かれることが
決まった。さらに対立が深まるのを避けるためとみられる。

 18日午後、ASEAN首脳との会議でオバマ大統領は、東アジ
アサミットを地域安保を話し合う中核的な場とする考えを伝え、南
シナ海での「航行の自由」を含む海洋の安全保障を取り上げる方針
を確認した。

 安保新戦略でアジア太平洋地域へ軸足を移す意向のオバマ大統領
はインド洋から南シナ海に至るシーレーン(海上交通路)に位置す
るインドとフィリピン、マレーシア、インドネシアの各首脳とも個
別に会談。中国に対する「国際世論」づくりの地ならしに動いた。
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「両国関係に役立つことを」=自衛隊演習で中国外務省
 【北京時事】中国外務省報道局の劉為民参事官は17日の記者会
見で、陸上自衛隊が10日から18日まで南西諸島の防衛を想定し
て九州で大規模な演習を行っていることについて「中日関係の発展
に役立つことをしてほしい」と日本側に要望した。
 劉参事官は野田内閣が対中関係の発展を希望していることに言及
し、「中国側も日本側と共に努力して、両国の戦略的互恵関係をさ
らに深めたいと願っている」と表明。野田佳彦首相の年内訪中を控
えて、自衛隊の演習に対する強い反発は避けた。(2011/11/17-18:44)
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離島侵攻防衛を想定し実動演習 自衛隊
2011年11月17日20時58分

 大分県の日出生台(ひじうだい)演習場(由布市など)で行われ
ている陸上自衛隊西部方面隊(総監部・熊本市)実動演習が17日
、報道陣に公開された。離島防衛を想定し、北海道の戦車部隊が攻
撃側として参加した。

 演習には約2200人、車両約400両が参加した。演習場の一
部を約5キロ四方の離島に見立て、そこを西部方面隊の部隊が防御
する想定。第7師団(北海道千歳市)の90式戦車4両や89式装
甲戦闘車10両は、攻撃部隊として参加した。

 午前7時、港に上陸したとする戦車部隊に防御側は攻撃ヘリで応
戦。機影は見えないが飛行音が聞こえた。港での攻防が終わると、
うなりを上げながら進む90式戦車が姿を現した。戦車部隊の前方
を数人の隊員が地雷や急襲などを警戒しつつ前進した。

 防御側は陣地を二重につくって待ち構えた。18日までの演習で
、港から約4.5キロの拠点をめぐり攻防戦を繰り広げ、「バトラ
ー」と呼ばれる交戦用訓練装置などを使って勝敗を決するという。

 これに先立ち、離島が攻撃される事態を想定し、防御側の第42
普通科連隊(熊本市)は民間チャーター船で鹿児島・志布志港から
大分・別府港まで海上を移動する訓練をした。防御側への増援で、
空中降下を任務とする第1空挺(くうてい)団(千葉県船橋市)も
参加した。
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米豪が軍事協力強化 中国政府は反発 「ダーウィン基地は射程内」

 【大紀元日本11月18日】米国のオバマ大統領と豪州のギラード首
相は16日、アジア太平洋地域における米軍の軍事力配置を強化す
る計画を共同発表した。計画の第一段階は、豪州のダーウィン港の
軍事基地に2.5千人の米軍を配置する予定。

 ダーウィン港はアメリカ軍にとって地理的位置が有利で、東南ア
ジアで有事のとき、迅速に対応できる。

 オバマ大統領はギラード首相との共同記者会見で、米国はアジア
太平洋地域への投入と責務を強化すると再び強調した。

 一方、中国政府は早くも反応を示した。

 中国外交部の劉為民・報道官は同日の定例記者会見で、「世界経
済が低迷し、発展を促進することが国際社会の共通認識と焦点にな
った今、軍事同盟を強化・拡大することは時代に適合した行為かど
うか、地域ないし国際社会の共通の期待に添っているかどうかにつ
いて議論の価値がある」と述べ、米豪両国の同計画に不快感をにじ
ませた。

 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(英語版)は同日の社
説で「豪州は中国をバカにしてはならない。中国の安全保障を弱体
化させながら、経済協力を進めることはできない。ここには越えて
はならない一線がある」と批判。同日の中国語版の社説も「米国が
国際社会を引き裂こうとするならば、『21世紀新冷戦』の構想に
つなげようとするならば、それは歴史の後退になる」との論調を繰
り広げた。

 豪有力紙シドニー・モーニング・ヘラルドもこれに関連した中国
軍幹部の発言を報じた。「オーストラリアは衰退する安全保障人に
近寄るために、経済利益を与えてくれた者を犠牲にした」とこの中
国軍の元ブレーン・宋暁軍氏は述べ、「ダーウィンは中国の戦略ミ
サイルの射程内にある」と威嚇した。

 中国の駐豪大使・陳育明氏は現在、休暇をとって中国に戻ってい
る。16日の夜に豪首都キャンベラで開かれたオバマ大統領の歓迎
パーティーに、各国の駐豪大使館の外交官が出席したものの、中国
代表は姿を見せなかったという。

(翻訳編集・叶子)
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オバマ米大統領が豪州で「中国など怖くない」、対中強硬姿勢をあ
らわに―新華社
レコードチャイナ
2011年11月17日、中国国営新華社通信(電子版)は複数の海外メデ
ィアの報道を引用し、オーストラリア訪問中のオバマ米大統領が中
国に対する強硬姿勢をあらわにしたと報じた。以下はその内容。

16日付AFP通信によると、オバマ大統領はギラード首相と共同会見を
開き、「我々が中国を恐れているという見方は間違いだ」と宣言し
た。両首脳は2012年半ばから米海兵隊を同国北部のダーウィンに駐
留させることで合意したばかり。同大統領はさらに「中国は貿易態
度を見直すべき」「海上交通ルールを守れ」と警告。ここ数週間、
中国に対して強気の態度を取っており、人民元切り上げ問題に対す
る中国政府の姿勢にも不満を示している。

同日付AP通信によると、同大統領は米海兵隊の駐留について「両国
間のパワーと協力関係を強化するだけでなく、この地域の多くのパ
ートナーの需要も満たすことができる」と述べている。これが中国
を念頭に置いたものであるとは明言していないが、米国会は頻繁に
「中国は強国としての責任を果たすべき」といった言葉でその意図
を明確に表している。

こうした動きに対する中国側の反応について、同日付AFP通信は、中
国外交部の劉為民(リウ・ウェイミン)報道官が「この地域の国々
の共同の願いと合致しない」「現況にふさわしい行動ではない」と
述べ、反発していると報じた。

また、同日付ロイター通信も「中国は米豪の軍事同盟強化が昨今の
世界的な平和発展の流れに沿うものなのか、と反発している」と報
道。さらに「中国政府は米国の今回の行動を『中国包囲網の構築を
もくろむ米国の意図がさらに証明された』とみているはず」と分析
している。(翻訳・編集/NN)


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