4179.ユーロ圏でのデフォルト回避危機



英フィナンシャルタイムズのマーチン・ウルフ氏、ハーバード大学
のケネス・ロゴフ氏、シティのウィレム・ブイター氏の3人の意見
を重要視している。

この内、ブイター氏がユーロ圏でのデフォルト(債務不履行)を回
避するために欧州が行動するための時間は、「わずか数日ないし数
週間。それは欧州の銀行システムを北米もろともひきずり倒す金融
の破局につながる。欧州は今、行動する必要がある」と訴えた。

欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の支援能力拡大がない限
り、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏を支援するための唯一の手
段だと指摘した。

フランスはECBによる関与拡大を望んでいるが、ドイツはECB
の役割拡大に断固として反対すると言う状況であり、ブイターの指
摘を実行できる環境にはない。この代わりに、ドイツは、欧州単一
通貨ユーロの採用国が欧州連合(EU)に残りながら自発的に通貨
圏を離脱できるよう、制度の改正を促す方向を模索しているが、こ
れは今後の危機には間に合わない。

格付け会社フィッチは、米国の銀行は欧州債務危機が悪化した場合
、信用力が低下する「重大なリスク」に直面しているとの見解を示
したようにブイター氏を裏付けている。ガイトナー米財務長官も、
この点を問題視しているが、ユーロ圏は動かないようだ。

しかし、このような事態でも、バロワン仏経済・財政・産業相は、
フランスは景気減速に向かっているが、リセッション(景気後退)
ではないとの見解を示したように、まだ危機感がない。

非常に心配な事態になっているために、ユーロが103円と安い。
逆の意味では円高である。

さあ、どうなりますか??

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ECBの危機対応めぐり仏独が対立、独首相は関与拡大に反対
2011年 11月 17日 08:24 JS

[パリ/ローマ 16日 ロイター] ユーロ圏債務危機が深刻さ
を増す中、欧州中央銀行(ECB)の危機対応をめぐり、域内2大
中核国である仏独の意見が対立している。

 フランスはECBによる関与拡大を望んでいるとみられる一方、
ドイツはECBの役割拡大に断固として反対する姿勢を示した。

 フランスのペクレス政府報道官は16日、「ECBはユーロの安
定だけでなく、欧州の金融安定という役割も担っている。欧州の金
融安定確保に向け、ECBが必要な措置を講じると信じている」と
述べ、ECBの関与拡大を求める考えをにじませた。

 一方、メルケル独首相は「諸条約を踏まえれば、ECBが(ユー
ロ圏の危機をめぐる)問題を解決する可能性はない」と言明。EC
Bの役割拡大を求める圧力に抵抗する姿勢を明確にした。

 その上で市場の信認を得るには、ユーロ圏ですでに合意した改革
の実施や、条約改正に伴うユーロの強化以外に道はないと主張した。 

 同日の欧州債券市場では、イタリア10年債利回りが、長期的に
持続不可能とされる7%の水準を再び上回った。

 また10年物の仏独国債利回り格差は195ベーシスポイント(
bp)に拡大し、ユーロ導入以来の最高水準を更新。オランダ、オ
ーストリアなど他の主要国国債も売られた。

 ただECB当局者は、最後の貸し手として踏み込んだ対応を求め
る海外からの圧力に対し、引き続き抵抗する姿勢を示している。

 市場関係者によると、ECBはこの日もスペイン・イタリア国債
を買い入れたものの、売り一服は長続きせず、利回りの上昇には歯
止めがかかっていない。また限定的かつ断続的な買い入れ方針に変
更の兆しは見えないという。
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欧州は「数日ないし数週間」の猶予しかない恐れ
                   −シティのブイター氏

  11月16日(ブルームバーグ):ユーロ圏でのデフォルト(債務不
履行)を回避するために欧州が行動するための時間は、「わずか数
日ないし数週間」しか残されていない可能性があると米銀シティグ
ループのチーフエコノミスト、ウィレム・ブイター氏が警告した。

  ブイター氏はブルームバーグテレビジョンの番組「サーベイラ
ンス・ミッドデー」の司会者トム・キーン氏とのインタビューで、
「時間がなくなるスピードが速い。スペインやイタリアのような国
の基本的に不必要なデフォルト発生の重大なリスクが生じるまで、
恐らく数カ月の猶予があるとは思うが、数週間ないし数日かもしれ
ない。それは欧州の銀行システムを北米もろともひきずり倒す金融
の破局につながる。欧州は今、行動する必要がある」と訴えた。

  同氏はまた、高債務国の救済基金である欧州金融安定ファシリ
ティー(EFSF)の支援能力拡大がない限り、欧州中央銀行(E
CB)がユーロ圏を支援するための唯一の手段だと指摘。ECBは
「最後の貸し手」の役割を拒否し、ソブリン債を直接買い入れるこ
とに消極的だとした上で、「ECBは渋々受け入れざるを得ないの
だろうが、彼らがそれをやらなければ、ユーロ圏は終わりだ」と語
った。
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フィッチ:米銀は「重大なリスク」に直面−欧州危機で信用力低下も

  11月16日(ブルームバーグ):格付け会社フィッチ・レーティ
ングスは、米国の銀行は欧州債務危機が悪化した場合、信用力が低
下する「重大なリスク」に直面しているとの見解を示した。
  フィッチは16日の発表資料で、「ユーロ圏の債務危機を時機を
失することなく秩序立った形で収拾できない限り、米銀行業界の広
範な信用見通しが悪化する恐れがある」と指摘した。
  フィッチはまた、圧力にさらされているギリシャやアイルラン
ド、イタリア、ポルトガル、スペインの欧州各国市場への米銀の直
接のエクスポージャーは手に負える範囲内にあるとしながらも、「
しかし感染がさらに拡大すれば重大なリスクをもたらす」と警告し
た。
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金融政策の微調整を実施する=中国人民銀行
2011年 11月 16日 17:34 JS

 [北京 16日 ロイター] 中国人民銀行(中央銀行)は、金
融政策の微調整を実施する方針を示した。16日に人民銀行のウェ
ブサイトに掲載された7─9月期の金融政策報告で明らかにした。

 人民銀行は、報告の中で、インフレは一段と落ち着く見通しであ
るものの、消費者物価の上昇抑制に向けた措置の緩和は行わないと
表明。その上で「(金融政策を)適切な時期に適切な度合いで微調
整する方針」としている。

 また、欧州債務問題について、すぐに解決することはないとの見
解を示した。
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フランスは景気減速に向かっているが、景気後退ではない=経済相
2011年 11月 16日 16:51 JST

 [パリ 16日 ロイター] バロワン仏経済・財政・産業相は
16日、フランスは景気減速に向かっているが、リセッション(景
気後退)ではないとの見解を示した。また、同国政府はトリプルA
格付けを維持するために全力を尽くしていると述べた。

 同相は、LCIテレビに対し「われわれは景気減速を見込んでい
るが、リセッションは見込んでいない」と語った。

 また、「信用格付けの維持に向け、あらゆることを行っている」
と述べた。

 同相は、2012年の成長率が政府予想の半分となる0.5%に
なったとしても、追加緊縮財政策に頼ることなく、同年の政府予算
案で景気減速に対応できるとの見解を示した。
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ユーロ自発離脱、可能な制度を 独与党が決議  :日本経済新聞
2011/11/16 13:31
【ベルリン=菅野幹雄】ドイツの与党でメルケル首相が率いるキリ
スト教民主同盟(CDU)は15日までライプチヒで開いた党大会で
、欧州単一通貨ユーロの採用国が欧州連合(EU)に残りながら自
発的に通貨圏を離脱できるよう、制度の改正を促す決議を採択した。
ギリシャのように財政規律の維持が難しくなった参加国へのけん制
を強める狙いがある。

 現在のリスボン条約では、EUに加盟して一旦ユーロを採用した
国が通貨圏だけを抜け出す事態を想定していない。ユーロをやめる
場合はEU自体から離脱する必要がある。CDUの決議では「ユー
ロを導入しながら継続的に通貨圏のルールを守る意志や能力を失っ
た国は、EUから離脱せずにユーロ圏を自発的に抜けられるように
する」よう求めた。

 CDUの決議は、ユーロ圏の一部の国の債務不安が通貨圏全体の
信用低下に及ぶ事態を防ぐ意図がある。すぐに制度改正が実現する
可能性は低いものの、危機国の「切り捨て」もやむなしとする域内
最大の経済国ドイツ国内の機運を象徴している。
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欧州問題、ECBがより効果的な支援可能=米財務長官
2011年 11月 16日 09:05 JST

[ワシントン 15日 ロイター] ガイトナー米財務長官は15
日、欧州は金融危機克服に向け徐々に前進しているが、複雑な問題
に直面している、との認識を示した。

 ウォールストリート・ジャーナル紙が主催したコンファレンスで
語った。

 ガイトナー長官は「基本的な問題は、成長を高めながら、いかに
して金融システムを安定させ、特に、イタリアやスペインが適切な
金利で借り入れできる能力を安定させていくかという点だ」と指摘
、「それは困難なバランスで、彼らは苦しんでいるが、徐々に前進
していると確信している」と述べた。

 同長官は「欧州は間違いなく危機を解決する能力を持っている」
とした上で、「彼らはしなければならないことについて十分な政治
的支持を得る必要があり、市場に後れを取らないよう、できる限り
迅速に行動しなくてはならない」と語った。

 また、世界の他の国々同様、米国は欧州債務危機による「著しい
影響」を受けており、欧州が危機を克服することがオバマ政権にと
っても「大きな利益」になる、との考えを示した。

 さらに、米国は直接および間接的に欧州を支援しているとしなが
らも、これは「欧州の危機」であり、欧州が自ら選択しなければな
らないと強調した。

 欧州中央銀行(ECB)の役割に関する質問に対しては、ECB
はより大きな役割を果たすことができると指摘。ただ、ECBが債
券の「最後の買い手」となるべきかどうかについては明確にコメン
トしなかった。

 長官は「ECBが、独立性の維持など尊重すべき制約条件を侵す
ことなく、より効果的な支援を行う方法は数多くある。ECBが政
府に直接資金を提供するわけではない」と述べた。
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EU、格付け会社の規制強化へ 財政危機で新対策

 【ロンドン共同】欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会
は15日、国や企業の格付けの変更について、欧州証券市場監督局
(ESMA)への報告を義務付けることを柱とする格付け会社の規
制強化案を発表した。

 日本や米国などに比べ一段と厳しい内容。欧州財政危機が進行す
る中、格付け会社の活動に一定の制限を加え、市場の安定を図る狙
いとみられる。

 格付け会社と格付けを受ける企業の癒着を防ぐため、格付けの発
注企業に対し、3年ごとに格付け会社を変更することも義務付ける。
規制強化案は欧州議会での審議を経て法制化される見通し。

2011/11/16 10:51   【共同通信】
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ギリシャ財政赤字、さらに悪化…GDP比9%

 【アテネ=佐藤昌宏】ギリシャのパパデモス首相は14日夜(日
本時間15日未明)、就任後初めて議会で演説し、2011年の財
政赤字が国内総生産(GDP)比で9%程度に上昇するとの見通し
を示した。

 同国財務省は10月初旬、この比率が8・5%になるとの見通し
を発表したばかりだった。わずか1か月あまりで、財政状況の見通
しがさらに悪化したことになる。

 また、首相は「(ユーロ圏にとどまることは)我々の唯一の選択
だ」と強調し、欧州連合(EU)などから1300億ユーロ(約13
兆6500億円)規模の包括支援策を受ける前提となる、緊縮策の
導入に全力を挙げる方針を示した。

(2011年11月15日10時36分  読売新聞)
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森野さん:
「国家債務危機は欧州中心部に達した」欧州大陸の国債市場は不確
実性を増しており、国債利回りはフランスやオーストリアのような
中心部の国家でも上昇し、また東欧も同様。例外はスイスとドイツ
、北欧諸国。- FAZ

田村耕太郎
一年前はイタリアよりスペインの方がヤバかった。多党制のイタリ
アは複雑な連立のために政治のガバナンスが脆弱。一方スペインは
二大政党制。しかも拘束名簿式。よって、盤石な党内規律が効く。
改革には党内規律ある政党制の方が向くのだろう。スペインの改革
の方がイタリアより一気に進んでいる

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