4168.G20で為替操作禁止を宣言



G20は、ギリシャに端を発した欧州債務・金融危機の連鎖を食い
止めるため、各国が協調して行動する決意を表明した首脳宣言を採
択し、閉幕した。

ギリシャ問題が中心であったが、しかし、将来的に非常に重要な決
定は、中国の為替介入をなくし、市場原理に基づく為替相場への移
行を加速させることを確認したことである。やっと、安いレートで
輸出を行う中国製品によるデフレが無くなることである。

 首脳宣言は「一段の市場原理に基づく為替相場のシステムへの移
行を加速させ、基調的なファンダメンタルズを反映するよう為替レ
ートの柔軟性を促進し、為替レートの継続的な不整合性を回避し、
通貨の競争的な引き下げを控えることに対するコミットメントを再
確認する」と明記した。

しかし、この明記で日本も為替介入がしにくくなる。急な円高など
の介入は認められるが、それ以外の介入はしにくくなる。このため
、円高防止の方法としては、金融緩和しかなくなる。

しかし、白川日銀総裁は、バーナンキFRB議長とは違い、金融緩
和では経済を活性化できないという論者である。これは正しいこと
は米国の金融緩和で米国は景気がUPしなかったことで正しいこと
が証明されたが、他国が金融緩和したときの円高による経済下降を
防止する方法については、白川さんの見解はないし、方法もないと
いうことになる。

このため、円高で日本の製造業は空洞化していく。これを傍観して
いるのが日本銀行の現状である。

もう1つが、国際金融システム上重要な金融機関(G−SIFIs
)として世界の大手金融機関29行を指定した。金融安定理事会(
FSB)が公表したリストによると、内訳は欧州が17行、米国が
8行、日本が3行、中国が1行となっている。

銀行が投資銀行を兼務することが、やりにくくなる。銀行は薄く儲
けを出す方向に行くしかない。銀行の日本化であるが、日本の銀行
は、逆な方向に行っている。

3つ目には、欧州危機のあおりで海外からの資金が流出し、外貨不
足に陥る恐れが生じた新興国に対し、予防的に短期のドル資金を融
資する枠組みを国際通貨基金(IMF)に新設すると明記。IMF
の資金基盤の拡充も検討し、来年2月のG20財務相・中央銀行総
裁会議で結論を出すとした。

これは中国とインドから資金でIMFの資金基盤の拡充することに
なり、この2ケ国の世界的な影響が高まることになる。

4つ目には、ユーロ危機の防止で、ギリシャは同内閣は信任された
ことで支援策受け入れが確実になったので、次のイタリアに焦点が
移っている。イタリアのベルルスコーニ首相の基盤が揺らいでいる
ので、イタリアは国際通貨基金(IMF)に対し改革の実行状況に
ついての監視を頼んだというが、メルケル独首相とサルコジ仏大統
領が、ベルルスコーニ首相を説得したことは、想像できる。

世界の目がイタリアに向けられたが、しかし、ユーロの根本的な改
革がなく、問題を先送りするだけであり、いつCDSへ点火するか
、まだ世界は不安定な状態から抜け出せないことになっている。

最後に、野田首相は、G20で「2010年代半ばまでに段階的に
消費税率を10%まで引き上げる」と明言したことと、法案が通過
した後、解散するとした。しかし、これは来年に総選挙を引き寄せ
たことになる。もしかしたら、2012年に日本も政権交代をする
可能性が出てきたことになる。

さあ、どうなりますか?
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ギリシャ国会、内閣信任案を可決  :日本経済新聞
2011/11/5 8:12
【アテネ=古谷茂久】政府債務問題で揺れるギリシャの国会(定数
300)は5日未明(日本時間同日朝)、パパンドレウ内閣の信任投票
を実施、信任票が全議席数の半数を上回り、同内閣は信任された。
国民投票の実施を打ち出したことなどを巡って首相への批判を強め
ていた野党の一部が、内閣支持に転じた可能性もある
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G20首脳が市場原理に基づく為替相場への移行加速を再確認、語
調強まる
2011年 11月 5日 04:10 JST

 [カンヌ(フランス) 4日 ロイター] 20カ国・地域(G
20)首脳会議(サミット)が4日採択した首脳宣言は、市場原理
に基づく為替相場への移行を加速させることを再確認するとし、中
国を名指しして非難することはなかったものの、これまでよりも語
調が強められた。

 首脳宣言は「一段の市場原理に基づく為替相場のシステムへの移
行を加速させ、基調的なファンダメンタルズを反映するよう為替レ
ートの柔軟性を促進し、為替レートの継続的な不整合性を回避し、
通貨の競争的な引き下げを控えることに対するコミットメントを再
確認する」と明記。中国を名指しして批判しなかったものの、G20
が主張する為替レートの柔軟性促進と中国を明確に関連づけた。

 また、首脳宣言とは別に採択された成長と雇用促進に向けた「行
動計画」では、為替相場の弾力性に関する部分で中国とロシアに言
及し、中国については、市場ファンダメンタルズに沿った為替相場
の弾力性拡大に対する同国の決意を歓迎するとした。

 G20首脳会議で、成長と世界経済の不均衡是正に向け、特定の
国のコミットメントに言及した行動計画が採択されたのは今回が初
めてとなる。
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G20がシステム上重要行29行指定、三菱UFJ・みずほ・三井住友
2011年 11月 5日 02:42 JST

 [カンヌ(フランス) 4日 ロイター] フランスのカンヌで
開かれていた20カ国・地域(G20)首脳会議は4日、国際金融
システム上重要な金融機関(G−SIFIs)として世界の大手金
融機関29行を指定した。金融安定理事会(FSB)が公表したリ
ストによると、内訳は欧州が17行、米国が8行、日本が3行、中
国が1行となっている。

 これらの金融機関には、2016年から段階的に自己資本の1─
2.5%上積みが求められる。

 邦銀でG−SIFIsに指定されたのは、三菱UFJ、みずほ、
三井住友の3行。中国は中国銀行が指定された。米銀ではシティグ
ループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースなどが
含まれる。
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G20、欧州危機回避へ協調行動=IMF機能強化で合意−首脳会議
 【カンヌ(フランス南部)時事】主要20カ国・地域(G20)
首脳会議は4日午後(日本時間同日夜)、ギリシャに端を発した欧
州債務・金融危機の連鎖を食い止めるため、各国が協調して行動す
る決意を表明した首脳宣言を採択し、閉幕した。欧州連合(EU)
ユーロ圏諸国が先月末に首脳会議で決定した危機対応策の「包括戦
略」を歓迎するとともに、迅速に実行するよう求めた。
 欧州危機をめぐっては、ギリシャがEUなどによる支援策受け入
れの是非を問う国民投票実施をいったん打ち出し、混乱を招いた。
首脳会議はギリシャ問題に振り回され、議論の大半をこの問題に費
やした。
 首脳宣言は、欧州危機のあおりで海外からの資金が流出し、外貨
不足に陥る恐れが生じた新興国に対し、予防的に短期のドル資金を
融資する枠組みを国際通貨基金(IMF)に新設すると明記。IM
Fの資金基盤の拡充も検討し、来年2月のG20財務相・中央銀行
総裁会議で結論を出すとした。
 また宣言は、危機の波及が懸念されるイタリアが財政再建などの
改革についてIMFによる監視の受け入れを決めたことを「歓迎す
る」としている。さらに、日米欧などの先進国が財政再建達成に向
けた具体策を実行し、経済成長を加速する政策を採用することを盛
り込んだ。(2011/11/05-01:05)
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追い込まれたイタリア IMFに監視要請
2011年11月5日5時1分

 「イタリアは自ら、国際通貨基金(IMF)に対し改革の実行状
況についての監視を頼んだ」

 バローゾ欧州委員長は4日、会見でそう語った。監視が強制では
ないし、実体経済はギリシャほど悪くないことを強調した。ロイタ
ー通信によると、イタリアのベルルスコーニ首相も「IMFの監視
を歓迎する」と語った。

 ただ、実際は、追い込まれてIMFの助けを借りることになった
のは明らかだ。イタリアの国債はここ数日、金利がユーロ導入後の
最高水準になり、危機的な状況を迎えつつあった。「イタリア経済
は強い。起業家の伝統もある」(サルコジ仏大統領)との弁護も無
視された。
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野田首相、消費税10%を国際公約 解散にも言及
2011年11月4日11時28分

 野田佳彦首相は3日午後(日本時間同日夜)、主要20カ国・地
域(G20)首脳会議で「2010年代半ばまでに段階的に消費税
率を10%まで引き上げる」と明言し、税率引き上げ時期などを定
めた消費増税法案を「2011年度内に提出する」と表明した。首
相は同行記者団に「信を問うなら法案が通り、(増税)実施前に信
を問うやり方にしたい」と語り、法成立直後の衆院解散・総選挙の
可能性に言及した。

 首相が国際会議の場で消費増税を明言するのは初めて。欧州の政
府債務(借金)問題を見すえ、日本としても財政再建への道筋を明
確に示す必要があると判断したもので、消費増税が国際公約となっ
た。

 首相は首脳会議で「健全な経済成長を実現するために財政健全化
は不可欠」と強調。そのうえで「日本は社会保障の安定財源の確保
に着実に取り組む」と語り、財政再建に向けた決意を示した。また
、財政危機をめぐるギリシャの混迷について「さきの欧州首脳の合
意は重要な一歩と評価するが、ここに至って問題はもはや経済金融
を超えた政治の問題だ」と指摘。「欧州の強い結束が示されれば、
わが国としても協力を考える」と述べた。
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中国 G20サミットで 保護主義に反対表明
2.11.2011, 19:33ロシアの声

 カンヌG20サミットで、中国の胡錦涛国家主席は、数々の国際
経済問題の中でも貿易投資における保護主義台頭に特に注目する意
向。
 1日、パリを訪問した胡錦涛国家主席は、「フィガロ」紙のイン
タビューにおいて、先が見えない不況、経済面および金融面におけ
る不安定かつ予測不能な要素の増加、先進国経済成長の低迷、先進
国の債務危機および、国際金融市場の破綻などの世界経済をとりま
く最も重大な問題を列挙した。

 これらの深刻な問題に対処するために、G20のメンバーは経済
における最重要課題に集中し、「確実で安定していてかつバランス
の取れた」世界経済に到達すべく、一致団結しなければならないと
胡国家主席は述べた。

 G20サミットは国家負債あるいは原料資源価格の状況のような
当面の問題を多面的に検討しなければならないだけでなく、国際通
貨金融システムの改変に刺激を与えなくてはならない。

 胡国家主席はその他にも、国際金融機関および経済機構における
発展途上国の発言権拡大が不可欠で、「国際経済行政の分野におけ
る決議」にも途上国は参加するべきであると述べた。

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