4167.中米の軍事戦略と日本



米国も日本も国益最大化を狙うが、中国は国益最大化ではなく、ナ
ショナリズムにおけるプライドを重視して、国益最大化とは違う論
理で来る。国益とは経済と、安全保障の両方を求めることである。
このルールとは違うルールで中国は動くので、複雑な戦略ゲームに
なっている。

米国の戦略は、アジア同士での戦争でアジア全体が破壊されてくれ
ることを望んでいるような印象がある。第2次世界大戦でドイツと
戦いヨーロッパ全体が疲弊して、戦後、米国は最大の経済・軍事大
国になったことが頭にある。

ランド研究所、AEI研究所の報告書は、米国は中国とは戦争しな
いし、インドなどが中国と対立するので、インドに武器を援助して
バックパシングをしようとしている。インドは中国とバランシング
しようとして、ベトナムや日本などと防衛協定を結ぶことになる。

米国のクリントン国務長官は、アジアの3大国を米中印としたが、
日本を除外した。これは、日本が米国のバックパシングに乗らない
と見たからである。バブル期の米国が仕掛けた反日的な政策のため
に、日本には反米主義者が多く、世論がそちらに傾く傾向を見てい
るようだ。

しかし、インドは、日本も中国とのバランシングの一翼を担わした
いと望んでいた。これに日本もインドと同意した。中国の強引な外
交や戦争危機のために、アジアでのバランシングが必要であると見
たからであるが、この頃の日本の動きを中国から見ると、日本が中
国包囲網を仕掛ける中心人物だと見えている。そして、米国は後に
下がった位置を取る。

ここで、中国のルールを熟知して、戦略ゲームをしないと、中国の
世論が興奮して、戦争になる可能性もある。しかし、中国内部も2
つに割れている。日本の戦略担当者は、心してください。

しかし、野田首相も分かっているようで、両首脳会談で、来年の日
中国交正常化40周年を見据え、戦略的互恵関係の一層の深化と国
民感情の改善に向けて努力することでも一致したというので、安心
している。しかし、この難しい課題を解決したとしても、米国の動
きを見て、日本は動く必要が出ている。

バックの位置を取ろうとする米豪を巻き込むことが必要で、その舞
台がTPPを中心することであろうと見る。また、インドネシアの
存在が重要であり、TPPへの参加を促すことも必要かもしれない。

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ハワイで日中首脳会談=野田首相、胡主席と一致

 【カンヌ(フランス南部)時事】野田佳彦首相は3日午後(日本
時間4日未明)、主要20カ国・地域(G20)首脳会議の会議場
で、中国の胡錦濤国家主席と約5分間懇談した。両首脳は、ハワイ
で12、13両日に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC
)首脳会議の際に、日中首脳会談を行うことで一致。また、首相が
「都合の良い時期」に訪中することも確認した。
 首相が胡主席と会うのは初めて。首相の訪中時期について、日本
政府は12月で調整している。両首脳は、来年の日中国交正常化40
周年を見据え、戦略的互恵関係の一層の深化と国民感情の改善に向
けて努力することでも一致した。 
 首相はこの後、訪中時期について同行記者団に「調整中だが、何
とか年内に行けるようにしたい」と語った。(2011/11/04-08:37)
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米国:インド重視明示 軍事協力報告書を発表

 【ワシントン古本陽荘】米国防総省は1日、初めての「米印軍事
協力に関する報告書」を発表した。インドを「21世紀のパートナ
ー国の典型」と位置づけ、重視する姿勢を明示。今後5年間で、「
軍事協力を強化するために必要な枠組みを構築する」と表明した。

 報告書は、米印軍事関係について、「なじみのない国同士の初期
的関係」から「アジアで卓越した2国による戦略的なパートナーシ
ップに発展した」と強調した。具体的な協力分野としては、海洋進
出を続ける中国海軍を念頭に、米印海軍の共同訓練の機会を増やし
、海上安全の分野から関係を強化する方向性を打ち出した。

 また、対テロ作戦でも、情報共有を進め、相互の能力向上を目指
すとした。

毎日新聞 2011年11月2日 東京夕刊
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「大砲で撃たれる覚悟でもしてろ」 周辺国脅す中国英字紙
2011/11/03 11:09

 「韓国とフィリピンは中国漁船を抑留し返さない。もし、これら
の国々が中国に対しこうした態度を正さないなら、彼らは大砲の音
を聞く準備をしなければならないだろう」

 インターネット上に飛び交う強硬な戦争論者の言葉ではない。中
国紙「環球時報」がこのほど、中国語版と英語版の「グローバル・
タイムズ」に掲載した社説の内容だ。米外交専門誌フォーリン・ポ
リシーは「環球時報は超民族主義的な報道により中国の強硬な世論
を導き、中国政府の『マウスピース』的な役割をしている」と先月
31日に報じた。

 環球時報は中国共産党機関紙・人民日報の姉妹紙として1993年に
創刊された。「人民日報が中国政府の公式的な見解をお決まりの退
屈な表現で記述するのに対し、環球時報は人民日報では言いにくい
ことを大衆をあおるような表現で記述するという、それぞれの任務
がある」とフォーリン・ポリシーは伝えている。だが、人民日報と
同様に中国政府の検閲を受けているため、環球時報の記事や社説も
中国政府の見解を代弁していることには違いない。

 環球時報はこのところ、南シナ海の領有権争い、チベット僧侶に
よる連続焼身自殺事件、欧米メディアの中国報道などに対し激しい
言葉をぶつけ続けている。南シナ海の領有権をめぐり対立している
フィリピンやベトナムに対しては「その癖は戦争で正さなければな
らない」という寄稿文を掲載した。これらを攻撃し、ほかの国々が
騒動を拡大できないよう教訓を与えるべきだというものだ。宗教の
自由や独立を要求し焼身自殺したチベットの僧侶たちに対しては、
社説で「ダライラマ勢力の政治的利益のための醜い陰謀」と書いた。

 米国や英国などの西欧側メディアが中国の現代美術家・艾未未氏
の釈放を要求すると、「彼は法の限界に挑戦してきた人物。西側諸
国が彼のことを人権の闘士と褒めたたえるのは、中国の法律を無視
する行為」と糾弾した。また、韓国がこのほど領海に侵入した中国
漁船を拿捕(だほ)したことについては「李克強副首相がまず北朝
鮮を訪問してから韓国に行ったことに対し、韓国当局が復讐(ふく
しゅう)したもの」という陰謀論を展開している。このような報道
姿勢について、総編集人の胡錫進氏は、環球時報編集局を訪れた米
国人ジャーナリストや学者たちに「私達はありのままに述べる。あ
なたたちを驚かせることを恐れない」と言った、とフォーリン・ポ
リシーは伝えている。

李恒洙(イ・ハンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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