ギリシャの状態と今後の金融資本主義はどうなるか 森野さんと青木さんのメール対談が面白いので、転送します。 ============================== From: Eiichi Morino 50%のヘアカットでギリシャが救われることはないでしょうね。 ルモンドが紹介している下記の見解が順当かな。 「・・・一種のマーシャル・プランを通して同国の成長を加速する 支えがなければ、ギリシャは”債務の製造マシン”でありつづける だろう。そして10年のうちに、おそらく7年で、同国は公的債務が GDPの160%となり再び窒息するだろう。言い換えれば、出発点に 戻るわけだ。」 http://www.lemonde.fr/crise-financiere/article/2011/10/27/on-a-donne-une-aspirine-au-pays-il-lui-faut-encore-un-traitement-de-choc_1594904_1581613.html ============================== From: Eiichi Morino そうか、自発的な債権放棄だからCDSは支払われないのか。 http://www.ftd.de/finanzen/maerkte/anleihen-devisen/:schuldenerlass-griechen-glaeubiger-erhalten-kein-geld-aus-cds-versicherungen/60121551.html ============================== From: Hidekazu Aoki 今回の「たら」「れば」 ・1000億ユーロ(約10.6兆円)あったら、ギリシャ国債の50%ヘアカット ができる。 ・1兆ユーロ(約106兆円)あれば、EFSF(現4400億ユーロ)が必要とする 資金を賄える。 ・1064億ユーロ(約11.3兆円)あったら、欧州の銀行の「中核的自己資本」 比率を9%にあげることができる。 http://www.asahi.com/business/update/1027/TKY201110270174.html だれからふんだくるつもりかしりませんが、たいそうな金額ですね。 わが国の場合は、国民の側に分厚い貯蓄があったからそれもできたけど、 欧州内でそれに応じられるのはドイツくらいなもの。でも、その国民性 は日本人程度に子羊に甘んじるほど温和しくないでしょう。 50%という法外な「自主的」ヘアカットに応じたのは、CDSが相対で相保 証的なので、それによる損失補填ができてしまうデフォルト状況を招い たら、自分はもっと危うくなると金融機関がおそれたことの現れなので は? おそらくメルケルもサルコジもドロールもトリシェもそうやってここ 2〜3日脅しをかけ続けたと思います。 となると、頼みの綱は中国と産油国でしょうか。だけど産油国は「アラブ の春」の後遺症で、これまでように国民を置き去りして金貸しにのめり込 むことができなくなっているし、中国も国内は景気減速と高インフレの共 存というスタグフレーションにもはや突入しています。 それに、いかな金持ち国でも、米国、欧州、2方面を同時救済する資金は 貯めていないはず。 となると資金手当はECB頼みとなるしかないか。しかし、欧州の信用機構 が収縮しきちゃってるんで、実弾がえらく必要になります。 ECBのBSは、ものすごく大きく膨らむことになるんでしょうね。 でも、こんな多額な資金を用意できたとしてもまだ「ぜんぜん足らない」。 イタリア一国だけでも1兆9000億ユーロ(約201兆円)の国債累積があり、 ここ3年以内に返済期限がくるのだけでも、6000億ユーロ(約64兆円)もある んですね、これが! 加えて、欧州の銀行は旧共産圏の東欧諸国に向けて、PIIGSとほぼ同額 の融資残高を抱えています。欧州経済が収縮するなか、ここの金回りも 一気に悪化してきていて、これら債権の不良化も水面下で大規模に進行 中です。 しかも主にユーロ$建てで貸してしまっているので、ECBも始末に負え ない。 やはり「終わり」は始まったばかりなんですね。 ============================== From: Eiichi Morino 自発的というのがくせものであったけれど、 ・・・ ギリシャ国債の50%減免合意、CDS市場の存在意義問う事態 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-23872320111028?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29 ・・・ 一般に和議が成立した場合はどうなるのかなあ ============================== From: Hidekazu Aoki そうですね、わが国で「倒産」とは、民事再生法(任意債務整理手 続き=旧和議手続き)もしくは会社更生法(強制債務整理手続き) の適用申請をしたときですからね。 CDS債権者とすれば、なんで「倒産」したのにCDSが貰えないのか! 「そんなの意味ね〜じゃん!」と怒りたくなるでしょうね。 といってまともにCDSが払われることになったら、さっきもいいましたが、 CDS自体が相保証的で、金融ゲームは基本的にゼロサムなのだから、おそ らく欧州の金融システムはそれこそ手が着けられない大火事になってしま んじゃないでしょうか。 ============================== From: Eiichi Morino 終わりは始まりましたね。 フランスの投機筋のメールで、10月27日欧州が彷徨い 始めた日と出ていた。50%カッと?でそれで?です。 ポルトガルは、スペインやイタリアは?次々出てくる。 ECBのBSの拡大にはドイツが反対だ。ドイツ国民にしても 気分的には南欧の退職者の年金のためになぜじぶんたちが 犠牲にならなきゃいけないんだくらいの気持ち。 カネのでどこはありません。 ============================== From: Eiichi Morino まあけっきょくCDS市場なんてのが、あくどいアングロサクソン流の ものであったということがはっきりしたということですね。 それにこれだけ大規模のソブリン債務になってくると、その引き受 け手の手に負えないのはあきらか。虚構のゲームの終わるときです ね。 さいしんの情報をみようと、マークイットにログインしようと思っ たらこれまでのユーザ名とパスでは入れんかった・・・また個人情 報を出して登録しなおすのもいやだし、まあいいかとあきらめた。 にしても、もう以前から中国のCDSも上昇していた。世界を見渡して よいところがみあたらなくなりました。 ============================== From: Eiichi Morino OWSでふつうの人々が事の本質を見抜いていることがよくわかる一文 と思う。金融システムは大きくて潰せないということで救済資金を 得ながら、連銀のゼロ近傍の金融政策やQEでゼロコストのカネを調 達し、それで国の債務を買う。 金利ゼロのカネで国債を買えば金利が運用益で転がり込んでくる。 しかし「ふつうの人々は」借りられたとしても「市場金利でカネを 借りなきゃいけない」。国の債務は国民全体にのしかかるのに、そ の重荷の分を利得として確実に濡れ手にあわで手に入れているとこ ろがあるわけだ。 また銀行はゼロ金利で中銀から調達したカネをふつうの人々に年利 4%で不動産を担保に貸す。これは誰であろうが怒るわけだ。 http://www.rollingstone.com/politics/blogs/taibblog/owss-beef-wall-street-isnt-winning-its-cheating-20111025 ============================== From: Hidekazu Aoki ここでも終わりの始まりですね。 CDSは掛け捨て保険じゃなくて、正真正銘の「掛け捨て」だったわけか。 保険屋の振りして保険料をせしめたヤツらは丸儲けだったのかな? だとすれば、ここまでは「ええ商売」ですね。 しかし、こうなっちゃうとCDSのレートそれ自体は何をもって正当性 を主張することになるんでしょうかねぇ。 既発のギリシャ国債のCDSなんて誰が買うんだろう。 保証もつかない、付いていても反故にされる、しかも返済はまったく もって不確実、そんな債券を買ったら、わが国ではそれだけで株主 代表訴訟の対象になるでしょう。 ギリシャは「つなぎ融資」からも実質的に遮断されちゃったってこ とですよね。 何か「助けて」んのか、「困らせて」んのか、わからん。 今後起きる経済大乱を考えなければ、笑い話ですよね。 ============================== From: Eiichi Morino リーマンの後、アイスランドの金融立国が頓挫して、それはもう大 変なことになると騒いだけれど、クルーグマンもふれているけれど The Path Not Taken - NYTimes.com http://www.nytimes.com/2011/10/28/opinion/krugman-the-path-not-taken.html?_r=2&partner=rssnyt&emc=rss 騒いだほどにはなっていない。 やはり、クローナ安になったし、為替による調整が効いた 面があると思うし、資本統制を実施したのも効いているように思う。 しかしギリシャはユーロ圏だし、自由が効かない。ユーロ安の恩恵 で儲けに儲けてきたドイツのような北部と、のきなみ経常赤字を積 み重ねてきた南部では、南は南で北はうまいことやってきたんだろ うからなんとかして当たり前という感情があるだろうし、利益にあ ずかってきたほうはしぶちんときている。 安定化基金を銀行にしようとのフランスの提案もドイツは拒否して いる。欧州統合の長い歴史はどこで間違ったのか、やはり通貨統合 を先行させたことなのか。それが実現したころの欧州の熱気と アングロサクソンの冷えたまなざしを感じさせる論調は、もう ずいぶん以前のことになったけど、思い出されますね。 民間からみれば、もうギリシャ国債でリスクをとろうなんてところ はないでしょうね。保険もかけられないんじゃ手が出ないのが道理。 なんか大乱の予感ですね。 TEDスプレッドも上昇してきている・・・ ============================== From: Eiichi Morino 中国がカネを出すかどうかですが、 China could play key role in EU rescue - FT.com http://www.ft.com/intl/cms/s/0/7505d210-00ba-11e1-8590-00144feabdc0.html#axzz1c3Kt7vkv ユーロ建て債権を買うのでも、返済は人民元建てでということらし い。中国共産党はしっかりしているということですかね。こういう のまで救済といわねばならないほど追い込まれた後のない状況とい うのはわかるけど。 ============================== 「民主主義はゴミだ」 From: Eiichi Morino たしかに、 「ますます明らかになっていることは欧州が今まさに経験している ことがエピソードではなく、経済の第一義性と政治のそれとの間の 権力闘争であるということである。すでに政治は大きく地盤を喪失 しており、統一した欧州に関連したあらゆる政治的表現が風で灰の ように散乱し、そのプロセスは加速している。」 という状況かな。 http://www.faz.net/aktuell/feuilleton/der-griechische-weg-demokratie-ist-ramsch-11514358.html ============================== From: Eiichi Morino ギリシャ、国民投票でノーとなるとデフォルトとなり、ユーロから 離脱、通貨はニュー・ドラクマに。50%平価を切り下げるだろう。 そうなると、輸出企業にとってギリシャの魅力がます。検討してい る欧州企業もあるそうだ。投票でノーとなる確率は50%以上とみ る向きも、ということか。 http://seekingalpha.com/article/304189-when-greece-leaves-the-euro?ifp=0&source=email_porfolio ============================== From: Eiichi Morino あまり注目されないけど、経済危機で騒がれたときから今日までの アルゼンチンの軌跡は振り返っておくべきか。 http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=27368 ============================== Why GDP Is Like GPA : Planet Money : NPR From: Eiichi Morino 「GDPがGPAに似ているわけ」 (ここでGPAとは米国の大学における科目成績平均値のこと。) 「子供を世話するのに乳母に支払えば、それはGDP。 子供を世話するのに家庭を維持するなら、それはGDP ではない。 環境論者は産業が環境にダメージを与えることでGDP を押し上げうることを指摘するのを好む。・・・ ハーマン・デイリーは湾岸の原油流出事故を指摘する。 BP社は清掃に十億ドルを費やしたのだ。 原油流出のクリーンアップへの支払いはすべて、GDP に追加されたとデイリーは述べている。’今あなたは マイナスの数をカウントしていない、非対称な会計だ、 正の数を追加している。”・・・」 よくある議論だけど、うまい説明。 当然、原発事故対策への支出もGDPに追加されるわけだ。 あまりに非対称すぎる会計ということになる。 http://www.npr.org/blogs/money/2011/10/28/141807689/why-gdp-is-like-gpa?sc=nl&cc=pmb-20111029 ============================== From: Eiichi Morino OWSで銀行やヘッジファンドなどの富裕な1%が抗議の対象となって いるが、富裕層のなかでも、とりわけ富裕な米国人の0.01%は軍需産 業の関係者だなあ。軍需産業を占拠しなくちゃならんか。 常に戦争をすることで維持されてきたのが米国経済と思わせる象徴 的事実というべきか。 http://blogs.alternet.org/speakeasy/2011/10/27/meet-the-0-01-percent-war-profiteers/?akid=7788.241863.0tDxpt&rd=1&t=21&mid=5164