4163.日中の非戦争状態の構築



日本の変革は、いつも外圧で起こる。古くは鎌倉幕府崩壊も元寇の
役が原因であるし、明治維新も西洋文明からの植民地支配を避けよ
うとして内部改革をおこなったことであり、太平洋戦争後は、強制
的なGHQの改革が起きて、現在の憲法体系になった。

今、これを匹敵する外圧が押寄せている。それは中国の経済・軍事
の目覚しい発展で、とうとう中国の領土主張での戦争も辞さないと
いう宣言が出されて、その戦争が拡大すると世界戦争になるという
危機感から、世界が動き、日米はその対応を協調して行った。

このポイントは、ベトナム、フィリピンと中国の軍事格差をイーブ
ンにするために応急処置として、2ケ国の裏にはインドや日本、米
国が居るよということを中国の軍部に知らせることであった。

しかし、これだけでは不十分であり、長期には中国の民主化と軍部
が政治家の下に付く体制の構築が必要であるが、これは直ぐには望
むべくもない。

このため、応急処置が日本の活躍で一応、できた段階で、中国の党
中央政治局の意向も、今は戦争より平和に2ケ国交渉で日米印など
の外部からの介入を止めることとなったようだ。

もう1つが、日本が中心に構築する対中国包囲網形成を阻害して、
米国を日本から切り離すか米国を中国に向けさせようとしている。
豪州、韓国などと経済リンケージを張り、特に中韓FTAによって
日米から韓国を中国に引き戻そうとしている。このため、中国は北
朝鮮が韓国と戦争しても、中国は北朝鮮を防衛しないとした。

逆に北朝鮮は、中国の動きを裏切りとして、ロシアなどへ寄り、ま
た、米国に近づいている。
このような変化を日本の外交で、珍しくアジアに起こさせた。
ここまでは、大成功であるが、ここからが難しい。

中国の内部構造であるが、党中央政治局の構成メンバーは、軍人、
団派・太子党・実務者などで構成されている。この党中央政治局の
判断を間違えさせると、戦争と言う選択をする可能性がある。

このため、戦争に消極的な団派、実務者の政治家に対するリンケー
ジ戦略を起こす必要がある。こうしないと、戦争状態をいつも想定
して居る必要がある。このためには、日中がともに戦争にならない
方法を見つけるしかない。

戦争防止が出来る条件は、
1.日米印の軍備が中国のそれに対して、圧倒的に優位であり、戦
  争をしても負けることが国民に分かる状態にすること。
  米国が正面に立たないような雰囲気があり、これを中国は間違
  える可能性を恐れる。日本だけ、インドだけとなると、戦争可
  能と判断する可能性がある。日本は核兵器を持っていないため
  に、米国が参戦しないとなると、中国は戦争に出る。

2.世論が狭いナショナリズムに陥らないように、経済的なメリッ
  トを与える施策を打つ。日本への旅行ビザの発給基準を下げる
  など。相互理解のレベルを上げること。戦略的な互恵関係を早
  急に具体的なレベルで話し合うことである。

3.世論が激高しても、戦争を東シナ海に呼び込まないようにする
  ための施策を打つ。まずは中国国民の反日感情を刺激しない。

4.日米韓の共同防衛体制を構築して、北朝鮮の暴発を防ぐことだ。
  暴発が南シナ海戦争とリンクしない形にする必要がある。これ
  には、中国との対話が必要になる。

戦争状態になると、これは日本にとっても、中国にとっても大災害
になることを国民にアピールすることが重要である。

右の人たちも、日中の戦争を無意識に希望しているような言動をし
ているが、それは大変なことになるという危機意識が必要である。





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