4159.ユーロ危機の解決が次の危機を生む



ユーロ危機が収まり、世界的に株価が戻り始めている。しかし、そ
の行方を見ておく必要がある。  津田より

0.ギリシャ問題
欧州の政府債務(借金)問題の解決に向けて26日に開かれた欧州
連合(EU)ユーロ圏首脳会議と、平行してユーロ圏諸国と銀行側
との交渉が行われた。当初80%程度のヘアカットを銀行に提案し
たが、最終的には、27日未明に、各国首脳らと民間銀行との長時
間に及ぶ交渉の末、銀行が保有するギリシャ国債の50%を「自主的
に」減免することで合意に達した。

ユーロ圏首脳会議で欧州金融安定基金(EFSF)を4倍から5倍の
1兆ユーロに拡充することでも合意した。それにより、スペインや
イタリアなどの国が発行する8000億ユーロから1兆3000億ユーロの債
券を保証できることになった。

また、銀行が減免で損害を受け資金不足を起こすのために、ユーロ
圏の大手銀行70行の資本追加を1060億ユーロ積み増す計画にも合意
した。

ユーロ加盟国17ケ国がEFSFに拠出するが、オズボーン英財務
相は、英国はEFSFに資金を拠出しないとした。このため、基金
を作り、中国や日本などから資金を集めるという。欧州首脳は27日
、特別目的機関の新設とソブリン債に対する保証スキームという2
つの手法を用いてEFSFの融資能力を拡大することに合意した。

ギリシャ国債は総額3500億ユーロのうち、民間が保有しているのが
2100億ユーロだけで、ここが減免させる。しかし欧州中央銀行(E
CB)、国際通貨基金(IMF)など約35%分の公的な債権者が損
失を受けることを拒否したことから、ギリシャの債務を劇的に削減
するわけではない。

今回の合意により、ギリシャの債務は2020年までに国内総生産(GD
P)の120%に減少すると予想されている。ギリシャ債務負担の削減
に当たっては、EFSFからも300億ユーロの追加支援を行い、ギリ
シャへの公的支援は計1300億ユーロとなる。

そして、ギリシャは来年1月にも「管理されたデフォルト(債務不
履行)」に移行する公算が大きくなった。経済協力開発機構(OE
CD)に加盟する先進国のデフォルトは初めて。欧州域外の金融機
関にも損失が波及する可能性があるが、しかし、その合意はできて
いない。

欧州銀行監督機構(EBA)は11月中に、銀行ごとの資本不足額
を公表する見込みであり、銀行もギリシャ国債の元本を削減して損
失を計上し資本増強にとりかかる。

ギリシャの債務はGDPの120%に減少するが、これを返せるか
どうかは、経済成長と大規模な国家資産民営化など大胆な構造改革
を前提にしている。ギリシャはすでにこの様な存在となっており、
投資家は流動性がないだけでなく破産状態にあるとみなしているの
で、新しい国債投資を行わない。ギリシャが減免された債務を返せ
るかどうかであるが、再度、問題になる可能性も高い。

このため、サルコジ大統領は、2001年にギリシャのユーロ圏加
入を認めたのは「過ち」だったと発言。当時、ギリシャが示したの
は実態にそぐわない数字であり、同国経済はユーロ圏加入の準備が
整っていなかった。「われわれは今、そのつけを払わされている」
と述べた。

1.イタリアなどへの波及
より深刻なのは、イタリアのように規模が大きくユーロ圏として重
要ながら景気が低迷している国への波及阻止に対し、ユーロ圏に何
ができるかという問題だ。

RBSなど銀行では、ギリシャ債務減免に関連して、市場はユーロ
参加国の国債の再評価に乗り出すが、「純正味価値」からすると、
銀行側が負担する損失はすでに70%近くに達する可能性がある。

EFSFは、イタリアなどに拡大すると支援を必要とする国を支え
るには規模が小さ過ぎる。また、欧州中央銀行(ECB)が債務危
機対策で対象国の国債を買うことにドイツが反対している。

英国のキャメロン首相はこのドイツを批判しているが、ECBの政
策委員でオランダ中央銀行のクノット総裁は、ユーロ圏諸国の国債
を購入することはECBにとってリスクを伴うため、必要以上に継
続するべきではないとドイツをサポートする見解を示した。

このため、ECBが国債買い入れの役割をEFSFに移行させる場
合、規模が不十分なことが懸念材料として出ている。

米ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は欧州各国の指導者が債務
危機抑制のため救済基金拡大で合意したことについて、問題が悪化
している中で時間を稼いでいるだけだとの見解を明らかにした。

一方、イタリアは、公的債務のGDP比は120%近くに達してい
るが、ベルルスコーニ首相への信頼は後退している。年金支給年齢
の65歳から67歳への引き上げを含む追加の財政再建策を提案し
ているが、これを実行できるかどうかである。年金支給年齢の引き
上げは連立与党の北部同盟が強く反対しているため、連立崩壊の危
機がある。

2.CDSへ波及
ギリシャ国債の50%の元本減免(ヘアカット)で欧州連合(EU
)と銀行側が合意したが、通常なら国債への投資家が50%のヘア
カットや債務全体の免除などに自発的に応じることはありえない。
今回の合意には、強い政治的圧力があったことを示す。

このため、国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)は、この
ような事態はクレジットイベントと認定するに十分で、CDSの支
払いが発生するとした。

しかし、「ユーロ圏諸国の政府、国債が額面の価値である必要がな
く、額面で償還しなくてもデフォルトとは呼ばないという前例を得
たことになる」と指摘した。しかし、このようなことになると、
CDSのプロテクションを買う意味がなくなり、CDS市場が不要
ということになる。

このため、格付け大手フィッチ・レーティングスは28日、欧州連
合(EU)ユーロ圏諸国が合意した民間金融機関によるギリシャ債
務の50%削減について、デフォルト(債務不履行)に当たるとの
認識を示した。

50%のギリシャ国債減免によるEU金融機関の損失は約9兆円と
EU各国のEFSF拠出が約3兆円で合計約12兆円。しかし、こ
れがギリシャのデフォルトイベントとなるとCDSの保険支払額は
少なくとも60兆円〜80兆円になる。

このようなCDSを掛けているのはイタリア、スペイン、ポルトガ
ル等々の国債も同様だから、ユーロ圏17ケ国全体では少なくとも、
ギリシャの10倍〜15倍程度のCDSが掛けられているものと推
測でき、CDS合計は1200兆円〜1800兆円となるはずで、
もし、ギリシャから他国に波及するとEUのほとんどの金融機関は
「死んでしまった」ことになる。

というように、今後CDSが発生するイベントかどうかで、対応が
大きく違うことになる。世界金融経済恐慌へのシナリオが起こる可
能性もある。

3.日本への影響は
ヨーロッパ経済は、今後当分上向かない可能性がある。リーマンシ
ョックと同様なことになる可能性もまだある。世界経済は当分、上
昇は難しい。このような世界的な状況から、国債危機は日本国債の
大きな累積も含めて、日本の格付けを下げ、かつ国債消化ができな
くなる可能性もかなりある。

消費税を10%程度UPしても、もう足りなくなり、金融緩和など
で円価値を下げてインフレ政策にするしかないかもしれない。

日本は、日本的な社会を目指して、改革をする必要が出てくる。他
国とは違う社会にして、年金改革や福祉政策を実行することだ。

また、日本企業は、当面、世界に活躍することになる。しかし、戦
争の時代で、敵国にある資産は没収の対象になることを考えて、そ
の進出先を決めることの必要なのかもしれない。
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警告 世界中で金融核爆弾が爆発します
http://blog.kuruten.jp/katukan01/181719

EU金融機関がギリシャ国債を50%減免することについて、格付
け会社のフィッチはデフォルトイベントになると報じた。

こうなると、50%のギリシャ国債減免によるEU金融機関の損失
は約9兆円とEU各国の損失が約3兆円で合計約12兆円であった
わけですが、ギリシャのデフォルトイベントとなるとCDSの保険
支払額は少なくとも60兆円〜80兆円になります。ギリシャ国債
減免による直接損失の5倍〜6倍以上になります。このようなCDS
を掛けているのはイタリア、スペイン、ポルトガル等々の国債も同
様でしょうから、ユーロ圏17ケ国全体では少なくともギリシャの
10倍〜15倍程度のCDSが掛けられているものと推測できます。

そのCDS合計は1200兆円〜1800兆円となり、その保険支
払は50%としても600兆円以上になります。先日、EU金融機
関70行の自己資本率を9%に強化するために必要な資金が10兆円だと
発表されましたが、その60倍以上の損失が発生する危険性が高まっ
てきました。

これは「既にお前は死んでいる」ということです。今の段階でEU
のほとんどの金融機関は「死んでしまった」ということです。この
影響はアメリカ、中国、日本だけでなく世界中に及びます。残念な
がら、世界金融経済恐慌へのシナリオに変更は無いということでし
ょう。

この金融大災害を防ぐファイアーウォールはありません。元々金融
にレバレッジやCDSを組み込んだことで、金融の博打化とモラル
ハザードが発生していたわけですから、それらを禁止し葬り去らな
い限りはいずれこのようなことが起こるのは避けられないことです
。シナリオ通り、14年前にニューヨークで仕込まれたCDSという
金融核爆弾がいよいよ世界中で爆発します。
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ロゴフ教授:欧州首脳会議での合意は単なる時間稼ぎ
−問題悪化の中で

  10月28日(ブルームバーグ):米ハーバード大学のケネス・ロ
ゴフ教授は欧州各国の指導者が債務危機抑制のため救済基金拡大で
合意したことについて、問題が悪化している中で時間を稼いでいる
だけだとの見解を明らかにした。ニューヨークでのブルームバーグ
の会合で語った。
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債務5割削減は「デフォルト」=危機対策は前向き評価−フィッチ
 【ロンドン時事】格付け大手フィッチ・レーティングスは28日
、欧州連合(EU)ユーロ圏諸国が合意した民間金融機関によるギ
リシャ債務の50%削減について、デフォルト(債務不履行)に当
たるとの認識を示した。欧州債務・金融危機の抜本策が合意された
後、格付け大手による見解表明は初めて。(2011/10/29-01:51)
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「ギリシャをユーロに加盟させたのは間違い」 サルコジ仏大統領
2011.10.28 Fri posted at: 11:40 JST

ニューヨーク(CNNMoney) サルコジ仏大統領は27日、
地元テレビのインタビューで、2001年にギリシャのユーロ圏加
入を認めたのは「過ち」だったと発言。当時、ギリシャが示したの
は実態にそぐわない数字であり、同国経済はユーロ圏加入の準備が
整っていなかったというのがその理由だ。

「われわれは今、そのつけを払わされている」とサルコジ大統領は
述べた。
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ギリシャ国債の50%減免合意、CDS市場の存在意義問う事態
2011年 10月 28日 11:05 JST

 [ロンドン 27日 IFR] 民間が保有するギリシャ国債の
50%の元本減免(ヘアカット)で欧州連合(EU)と銀行側が合
意したが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場関係
者の間では、市場の存在意義が問われる事態との声があがっている。

 通常なら国債への投資家が50%のヘアカットや債務全体の免除
などに自発的に応じることはありえない。今回の合意には、強い政
治的圧力があったことを示す。

 原則的には国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)は、こ
のような事態はクレジットイベントと認定するに十分で、CDSの
支払いが発生する。

 しかし自発的なためにイベントに該当しないとするなら、CDS
のプロテクションを買う意味がなくなり、CDS市場が不要という
ことにもなり得る。

 スイスインベストのアンソニー・ピーターズ氏は顧客向けノート
で、「今回の事態は債務不履行(デフォルト)の構成要件を再定義
したようなものだ。ギリシャはデフォルトを起こしたと誰もが認識
している」と指摘。その上で「ユーロ圏諸国の政府、国債が額面の
価値である必要がなく、額面で償還しなくてもデフォルトとは呼ば
ないという前例を得たことになる」と指摘した。  
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ECBクノット氏:国債購入にリスク−必要以上に継続すべきではない

10月28日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)の政策委員
会メンバー、オランダ中央銀行のクノット総裁は、ユーロ圏諸国の
国債を購入することはECBにとってリスクを伴うため、必要以上
に継続するべきではないとの見解を示した。

同総裁は「緊張下にある市場で債券を買うことは、ユーロシステム
のバランスシートへの金融リスクを意味する」と指摘。「民主的な
正当性なしでの財政移転にいずれつながり得る」と述べた。オラン
ダ中銀が28日、総裁の講演内容をウェブサイトに掲載した。

28日の債券市場ではイタリア国債の利回りが上昇し、債務危機の封
じ込めに向けた欧州連合(EU)首脳の取り組みは十分ではないと
の懸念が広がっている。

クノット総裁は、「金融政策にできることは、その責務を限界まで
広げるという代償を支払い、時間を稼ぐことだけだ。これは当然な
がら、厳密に必要な期間よりも長く続けるべきではない」と述べた。
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ドイツ、ECBが債務危機対策で果たす役割について再考すべき=
英首相

[パース(オーストラリア)28日ロイター] 英国のキャメロン首相
は28日、欧州中央銀行(ECB)が債務危機対策で主要な役割を
果たすことにドイツが反対していることについて、単一通貨ユーロ
を守るためにできる限りのことを行う必要があるとの考えを示し、
再考を促した。

同首相はITVニュースのインタビューで、必要に応じてECBが
最後の貸し手としての役割を果たすことをドイツは許容すると考え
るかとの質問に対し「ドイツには中央銀行をそのように利用しては
ならないとの強い概念が存在している。この点は理解しているし、
尊重もしている」と述べた。

「ただ最終的にユーロを防衛したいと考える場合、できる限りの措
置を導入する必要がある」と述べた。
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焦点:欧州包括戦略合意は時間稼ぎ、根本的解決には至らず
2011年 10月 28日 12:04 JST

 [ロンドン 27日 ロイター] ユーロ圏首脳は債務問題解決
に向けた包括戦略で合意にこぎつけたものの、最終的な解決にはほ
ど遠いと言わざるを得ない。

 今回の合意は、ユーロ圏が何とか苦境を乗り越えたとされる一方
、楽観主義者の期待を満たすほどの規模ではなかった。

 UBSのチーフ欧州エコノミスト、ステファン・デオ氏は「正し
い方向への一歩だが、問題の解決には不十分。時間稼ぎにはなるが
、ソブリン債務問題の根本的解決とはならない」と指摘した。

 合意を受け、欧州株式市場とユーロは上昇。銀行はギリシャ国債
の50%の減免に原則合意し、欧州金融安定ファシリティー(EF
SF)の実質規模は1兆ユーロ(1.4兆ドル)に拡大された。

 ただギリシャ国債の35%近くは欧州中央銀行(ECB)など公
的機関が保有しており、減免の対象とはならない。この結果、ギリ
シャ債務の国内総生産(GDP)比は、2020年時点でも120
%と2009年後半と同レベルとなる。

 しかもこれは、経済成長と大規模な国家資産民営化など大胆な構
造改革を前提にしている。

 デオ氏は「マクロ経済的には、もしこれが償還延長やクーポン引
き下げなどのない純粋な額面の50%減免なら、ギリシャ債務の持
続性を疑問視せざるを得ない」と述べた。 

<懐疑的見方の背景> 
 ただギリシャはすでに余興の様な存在となっており、投資家は流
動性がないだけでなく破産状態にあるとみなしている。より深刻な
のは、イタリアのようにより規模が大きくシステム上重要ながら景
気が低迷している国への波及阻止に対し、ユーロ圏に何ができるか
という問題だ。

 EFSFの拡充は、中国などの関与はあるのか、今後発行される
参加国の国債の信用をいかに高めるのか、詳細の決定にはまだ時間
がかかる。

 一部のアナリストは懐疑的だ。ロイヤル・バンク・オブ・スコッ
トランド(RBS)では、ギリシャ債務減免に関連して、市場はユ
ーロ参加国の国債の再評価に乗り出すとみている。

 「純正味価値」からすると、銀行側が負担する損失は、自発的に
申し出ていた40%をはるかに上回る70%近くに達する可能性が
あるという。

 またEFSFは、将来的に支援を必要とする国を支えるには規模
が小さ過ぎる。政府が銀行の資金調達で長期債市場へのアクセスを
支援すると約束していることも、不測の負担増の可能性を示唆して
いる。 

<ECBの役割> 
 さらに疑問となるのがECBの関与だ。エコノミストの間では、
11月に総裁に就任するドラギ・イタリア中銀総裁の26日の発言
を受け、ECBは今後も必要があれば流通市場でスペインとイタリ
アの国債を購入するとの見方が広がっている。

 ただ、より確かな証拠を求める投資家の声はかつてなく強い。

 HSBCのカレン・ワード氏は、ECBが国債買い入れの役割を
EFSFに移行させる場合、規模が不十分なことが懸念要因になる
と指摘。

 顧客向けリサーチノートで「最終的には、防火壁を設けるには2
つの選択肢しかない。ECBのバランスシートかドイツのバランス
シートのどちらかだ。ECBが対象外となった場合、防火壁の規模
が十分だとは考えにくい」との見方を示した。 

<関心はイタリアに> 
 危機波及のリスクが最も高い国はイタリアだ。景気は低迷しベル
ルスコーニ首相の信頼は後退、公的債務のGDP比は120%近く
に達している。

 高まる他国からの圧力を受け、首相はユーロ圏首脳会議で年金支
給年齢の65歳から67歳への引き上げを含む追加の財政再建策を
提出した。

 RBSは、この種の政策シフトが経済的効果をもたらすには数年
かかることに加え、内容が政治的に論争を呼びそうなものであるこ
とを指摘。年金支給年齢の引き上げは連立与党の北部同盟が強く反
対しているため、連立崩壊の危機があるとしている。

 また、ギリシャと同様に、ユーロ圏はイタリアの改革実施を監視
する欧州委員会の役割強化を提案している。

 これらの動きは、ドイツを中心とするユーロ圏北部の債権国が、
支援と引き換えに理不尽ともみえる条件を突きつけ、南部諸国の主
権を脅かしているとみられるリスクをはらんでいる。

 予算削減が経済成長を脅かし、さらなる緊縮策が余儀なくされる
という悪循環を断ち切る戦略がなければ、すでに顕在化している政
治的緊張は悪化するばかりだ。

 香港の調査会社ゲイブカルは、今回の欧州の合意を退屈であいま
いと表現。ユーロ圏は少なくともあと1年は明確な財政的・政治的
解決策を打ち出すことはできないとの見方を示した。

 同社のリサーチノートは「将来ある時点では、経済統合と改革に
よる繁栄か、民主主義の否定による政治的混乱のいずれかが現実と
なるだろう」と指摘している。 

 (Alan Wheatley記者;翻訳 中田千代子 ;編集 田中志保)
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ギリシャ、来年1月にも管理デフォルトへ

 【ブリュッセル=中沢謙介】27日のユーロ圏17か国による首
脳会議で、民間銀行が保有するギリシャ国債の元本を50%削減す
る方針が決まり、ギリシャは来年1月にも「管理されたデフォルト
(債務不履行)」に移行する公算が大きくなった。

 経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進国のデフォルトは
初めて。欧州域外の金融機関にも損失が波及する可能性がある。

 欧州の銀行の健全性などを監視する欧州銀行監督機構(EBA)
は26日、昨年来3回目となる資産査定を発表し、対象となる70
行で計1064億ユーロ(約11兆2000億円)の資本不足が生
じると指摘した。

 首脳会議での合意に基づき、EBAは11月中に、銀行ごとの資
本不足額を公表する見込みだ。各行は年内に資本増強計画を策定す
る。ギリシャ政府は来年1月にも国債元本の削減を実施し、銀行も
ギリシャ国債の元本を削減して損失を計上し資本増強にとりかかる。

(2011年10月27日23時21分 読売新聞)
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英国はEFSFに資金を拠出しない=オズボーン財務相
2011年 10月 27日 17:46 JST

 [ロンドン 27日 ロイター] オズボーン英財務相は27日
、英国は欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に資金を拠出し
ない、との考えを示した。

 同相はBBCラジオに対し、欧州が債務危機解決に向けた措置に
ついて合意したことを歓迎しながらも、「英国はEFSFに拠出し
ない。しかし、われわれは国際通貨基金(IMF)のメンバーであ
り、IMFに背を向けることはしない」と述べた。

 一方「合意では、IMFがユーロ圏に追加資金を拠出するとは言
っていない。われわれはすべてのIMF加盟国が利用できるリソー
スだけに資金を拠出する。ユーロ圏に直接結び付いているファンド
には拠出しない」と述べた。

 同相はまた、政府系ファンドや中国などの資金を呼び込むことを
念頭に設立される特別目的機関に対しても資金を拠出しない考えを
示した。
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ギリシャ債務50%減免とEFSF拡充で合意―ユーロ圏首脳会議
2011年 10月 27日  16:26 JST
WSJ
 ユーロ圏首脳はギリシャの債務減免で合意に達した。欧州の債務
危機を食い止めるため、首脳会議は27日未明まで話し合いが続けら
れていた。

 サルコジ仏大統領は、各国首脳らと民間銀行との長時間に及ぶ交
渉の末、銀行が保有するギリシャ国債の50%を「自主的に」減免す
ることで合意に達したと述べた。

 また同大統領は、欧州金融安定基金(EFSF)を4倍から5倍に
拡充することでも合意したことを明らかにした。それにより、スペ
インやイタリアなどの国が発行する8000億ユーロから1兆3000億ユー
ロの債券を保証できることになる。

 首脳らは、ユーロ圏の大手銀行70行の資本バッファーを1060億ユ
ーロ積み増す計画にも合意した。ただし、その資金の出所は明らか
にされなかった。

 ギリシャ国債は総額3500億ユーロのうち、民間が保有しているの
が2100億ユーロだけであるため、その減免は複雑だった。国際通貨
基金(IMF)など、公的な債権者が損失を受けることを拒否してい
ることから、ギリシャの債務を劇的に削減するのは難しい。今回の
合意により、ギリシャの債務は2020年までに国内総生産(GDP)の
120%に減少すると予想されている。ギリシャ債務負担の削減に当た
っては、EFSFからも300億ユーロの追加支援を行い、ギリシャへ
の公的支援は計1300億ユーロとなる。

 債務危機のさらなる拡大を防ぐため、首脳らはEFSFの拡充に
ついても合意したが、具体的には次の2つの方法を平行して行う。

 まず、スペインとイタリアの国債がデフォルト(債務不履行)とな
った場合、EFSFは国債保有者の初期損失を補償するため間接的
に資金を提供する。

 また、EFSFに加えて、中国などの資金が豊富な国の出資を仰
ぎ、基金を設立する。EFSFのレグリング最高経営責任者(COO
)は28日に中国を訪問し、中国の関与について話し合う。フランス政
府高官によると、サルコジ大統領も中国の温家宝首相と27日に電話
で話し合う予定。
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銀行とユーロ圏、歩み寄り=ギリシャ債務削減交渉
 【ブリュッセル時事】ギリシャ債務の大幅削減をめぐる欧州連合
(EU)のユーロ圏諸国と銀行側との交渉で、銀行側が交渉妥結に
向け新たな譲歩を提示したことが26日、銀行側の話で分かった。
銀行側に最大60%の債権放棄を求めてきたユーロ圏側にも歩み寄
りの姿勢が見られ、同日開くユーロ圏首脳会議に向け、最終調整を
続けている。(2011/10/27-00:44)
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EU包括案、延期の可能性 ギリシャ債務80%削減案も
2011年10月26日1時46分

 欧州の政府債務(借金)問題の解決に向けて26日に開かれる予
定の欧州連合(EU)ユーロ圏首脳会議(サミット)で、解決への
「包括策」の具体的な内容が決められない可能性が出てきた。ギリ
シャの政府債務の損失をどこまで金融機関にかぶらせるかといった
交渉が難航しているためとみられる。

 ロイター通信は25日、EU関係者の話として、26日の首脳会
議について「多くの分野で固まった数字は出てこない方向だ」と伝
えた。欧州金融安定化基金(EFSF)の再拡充策や、銀行の資本
増強について、それぞれ具体的な額や規模が決まらない可能性が高
いという。

 当初は首脳会議の前にEU財務相理事会を開き、具体策を詰める
ものとみられていた。しかし、EU議長国のポーランドのEU代表
部は25日夕、理事会は開かないと発表した。

 最大の難問は、民間企業が持つギリシャの政府債務をどこまで削
減してもらうかだ。英フィナンシャル・タイムズ紙は25日、EU
政策当局者が国債の額面で60%の削減を金融機関側に求めている
と報じた。現在価値に直すと75〜80%にあたるとされる。当初
予定していた21%削減から大幅な変更で、金融機関は簡単には受
け入れられないとみられる。


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