4153.対中包囲網と米戦略の今後



中国の状況は分かったので、対中包囲網と米国の戦略を知る必要が
ある。             津田より

0.米国の状況と東アジア戦略
米国の財政支出削減で、米軍事費の削減が共和党・民主党で合意し
ているので、米軍能力の縮小になることは明らかである。このため
、陸軍59万人を5万人以上削減し、最大10万人規模での削減も
ありえるという。このため、二正面作戦ができなくなる。海空軍の
装備を優先するというが、軍事予算は90兆円程度を最大30兆円
程度の削減が求められている。

このため、海空軍の規模も縮小する方向で検討しているし、この規
模で戦える戦略研究もされている。そのアジア地域戦略が統合エア
シーバトル構想であり、オフシェア・バランシングの思想の元に、
中国のミサイル攻撃を受けないマリアナ諸島沖の太平洋上から攻撃
することである。

また、空母を11隻体制から10隻体制にすることや、海兵隊を廃
止することも検討されているようである。沖縄の海兵隊の見直しも
検討されているようだ。このため、沖縄の海兵隊がなくなることを
恐れている在日米軍司令官のバートン・フィールド中将は、日本政
府に対し、沖縄の米軍普天間基地の移設問題を前進させるよう求め
たのだ。

この状況を見た中国は、対米交渉のボトムライン(底値)をじりじ
りと上げ、応じなければ交流停止や経済報復で圧力をかける戦術に
転じ始めた。

また、昨年春からチベット、台湾に加え南シナ海までも「(自国領
を意味する)核心的利益」と主張し始め、南シナ海懲罰戦争をベト
ナムとフィリピンに対して行うとしたことで、中国への見方がASEAN
諸国でも大きく一変した。

米軍の縮小は財政問題で、どうすることもできないが、中国の強硬
な姿勢に対して、米軍事系ランド研究所は、米中間で軍事的衝突が
発生した場合、結果は両国にとって大災害レベルの大きなダメージ
となることを踏まえて、中国との直接的な軍事的衝突を避ける必要
があるとした。

このために、米国は中国周辺国の防衛力強化と中米双方に利益のあ
る安全協力関係に誘い込むという、一気に解決する戦略をとるべき
だと提唱していた。

この構想に日本が関与している。日本はASEAN諸国の工業化など経済
発展をサポートしてきたことで、ASEAN諸国との友好レベルが高いの
で、そのラインで対中国包囲網を形成し始めた。

パネッタ米国防長官も22日、アジア歴訪の意義について、日米韓
の同盟深化とともに、インドネシアなど東南アジア諸国連合(AS
EAN)各国との地域安定化に向けた関係強化を図るとした。

このため、ミャンマーやパキスタンが中国離れを起こし始めた。特
にミャンマーは民主化を進めることとして、中国が建設中のダム建
設を中止した。日本はすかさず、ミャンマー向けのODAなどの復活を
した。また、北朝鮮は米国との直接交渉を行う方向であり、かつロ
シアとの関係を進めるようである。中国から半身離れるようだ。

また、慰安婦問題や竹島問題で日韓関係がギクシャクしている現状
を憂えて、野田首相は訪韓して李明博(イ・ミョンバク)大統領と
会談し、未来志向の日韓関係を築くことを確認した。未来志向とい
うのは、日韓関係に問題が出たときに、韓国に問題を起こさないで
というときに使う外交用語である。対中国包囲網形成で対応しない
といけないので、今は問題にしてくれるなということである。

日本の野田首相は、原則としてすべての武器と関連技術の輸出を禁
じる政府の武器輸出3原則を緩和する意向を固め、11月に行われ
る日米首脳会談で、オバマ大統領に表明するとした。日米合同軍備
研究を促進して、軍事予算が削減しても、その能力を維持する研究
費を確保することになる。

オフシェア・バランシングは、ユーラシア大陸の紛争に関わらない
ことにし、ユーラシア大陸でも地域覇権国家を作らずにけん制する
ということでできている。

東アジアは、中国が中心であるが、その中国に対して中国包囲網形
成で、中国の巨大化を防ごうとしている戦略である。その包囲網を
作る親米国が韓国、日本であり、その友好国を増やし、中国の友好
国を離反させる方向で対応しているのだ。この上に経済関係を構築
する方向である。それがTPPだ。これも後に。

また、中国は中東やアフリカでも自国権益を増大している。この資
源を運ぶために、シーレーン防衛のための軍備を増強している。こ
のため、アフリカや中東の戦略も重要である。これを次に見よう。

1.アフリカの戦略
アフリカは、中国の進出が激しいが、このアフリカの内、北アフリ
カではNATO軍を使うことが、リビア民主化戦争で明らかになっ
た。中国はここの権益を失くしたようである。今までリビアには、
5兆ドル以上の投資をしたようで、内戦が勃発した時点で、建設に
当たる中国人が3〜5万人もいた。この人たちを中国海軍艦船が救
出した。このため、中国艦艇は10隻程度派遣したはずである。

スーダンの石油のほとんどは、南スーダンになり、ここでも中国は
権益を失くす可能性が高い。この促進のために。南スーダンに日本
のPKOを派遣することにしたのだ。中国の援助をブロックするた
めで、軍事的な紛争地ではないので、武器使用制限は必要がないが
、その意図を理解することが重要だ。

南スーダンのジュバで自衛隊は活動するが、ケニアのモンパサ港で
荷揚げして、ケニア、ウガンダを経由してジャバへ行く輸送路を使
う。このケニアはソマリアに軍隊を派遣し、16日に国境を越え、
ソマリア中南部を支配するイスラム武装勢力シャバブを攻撃する。

また、オバマ米大統領は14日、ウガンダ政府などによるキリスト
教原理主義勢力「神の抵抗軍(LRA)」の掃討作戦を支援するた
め、米軍部隊約100人をアフリカ中部に派遣する。というように
南スーダンへの道でのゲリラを一掃することにしている。

中国権益封鎖は、日米とケニアの合同作戦になっているのだ。

また、アフリカ中南部の国々で、天然資源の確保へ経済進出を強め
る中国への反感が急速に強まってきた。中国の企業や労働者を優遇
する「ひも付き」の投資が多く、現地の雇用や貧困問題の改善につ
ながらないためだ。ザンビアは中国企業との契約の全面見直しに入
り、親中派政権が総選挙を控えるアンゴラでは抗議デモが続く。と
いうように、中国の権益をアフリカ諸国で問題視させる方向で、欧
米の外交は画策している。

2.中東・中央アジアの戦略
イランの最高指導者ハメネイ師は16日、「米国が不適切なことを
すればイランは断固とした対応を取る」と述べ、米国との敵対を表
明した。

米政府が今年末までにイラクから米軍を撤退させることを正式に決
定したが、この背景には、イラクのマリキ政権が「挙国一致」を優
先し、米軍駐留の延長を拒否した国内事情がある。しかし、オバマ
大統領も「アメリカのイラクでの戦争は9年近くを経て終結する」
とした。イラクに残るのは、米大使館を守る160人の海兵隊のみ
という。

このため、イラクはシーア派とスンニ派の衝突が再び起こる可能性
がある。スンニ派支援のサウジアラビアとシーア派支援のイランと
の間の緊張の高まり、米軍撤退後のイラクで、サウジとイランの代
理戦争が再発するのではないかとの懸念が強まっている。

中東は米国の代理人はサウジアラビアである。イランは中国との関
係を今後強固にするはずである。

クリントン米国務長官は20日、アフガニスタンの首都カブールで
カルザイ大統領と会談し、反政府武装勢力タリバーンとの和解プロ
セスの前進を促した。アフガンを米国は諦めたようだ。

しかし、クリントン米国務長官は21日には、パキスタンのカル外
相と会談し、同国北西部を拠点にするタリバーンなどアフガニスタ
ンの反政府武装勢力の掃討に着手するようパキスタン側に強く求め
た。

パキスタンは、インドと両国間貿易を自由化する方向であり、米印
、日印関係を緊密化しているのに合わせて、パキスタンも対中国包
囲網に入れる方向のようである。米国はパキスタンを中国から離す
方向である。このため、アフガンのタリバーンは中国との関係を強
化する可能性がある。

ロシアは、中央アジア諸国と「ユーラシア連合」を形成する方向で
独立国家共同体(CIS)の8カ国首相がユーラシア連合の一歩目
の自由貿易ゾーン条約に署名した。

そして、NATO軍のトルコは上海協力機構のパートナー国となる
ための公式申請を行い、上海協力機構の情報筋として、アメリカも
上海協力機構との協力の形について協議を行っているという。これ
は上海協力機構の反米陣営化を阻止して、中国陣営化を阻止する方
向である。

3.中国の反撃
米国の動きに対して、中国は8月に、保有する米国債365億ドル
を売り越し、10年来最大の減少幅を記録した。中国の大量放出は
、対中為替制裁法案などへの報復措置だとみられる。

また、中国は周辺国との首脳往来の頻繁化や経済交流拡大策を用い
た包囲網崩しに余念がない。4月にはギラード豪首相を招き「安定
的な戦略的協力関係の構築」(温家宝首相)を提起、双方は資源・
エネルギー協力の拡大で合意した。

 今月はロシアのプーチン首相とベトナムのグエン・フー・チョン
共産党書記長を招いた。プーチン訪中では「中露が(米一極支配を
崩す)世界の多極化を推進し、資源・エネルギーや宇宙開発、原子
力などの幅広い協力を強化する」ことで合意。

 中越間では、対立が激化している南シナ海領有権の「話し合い解
決をめざす」ことや、「領有権問題を棚上げした共同開発の検討」
で合意した。

日本には、南シナ海問題介入に対して、中国はレアアース輸出制限
の報復措置も考えるとした。

中国人民銀行は「外国企業による人民元直接投資決算管理弁法」を
公布し、外国企業が人民元を使って中国に投資することを認めた。
これは、海外企業が得た人民元が中国に還流するためのルートがで
きたことになり、中国が目指す人民元の国際化、基軸通貨化に向け
て大きな一歩である。

6中総会では「文化は総合国力競争の(勝敗を決める)重要要素」
と強調して、自由や民主など西側諸国の価値観に対抗するため、中
国独自の文化を国際社会に広める「ソフトパワー」戦略を強化する
とした。価値観外交を中国も行うとしたが、独裁主義と反米主義に
振り向く国家は大きくないと見るがどうであろうか?

中国も包囲網形成を阻止するために、経済外交を振る活用している
が、日本へのレアアース輸出規制は、レアアースから代替品へのシ
フトを加速している。

4.日本はどうすればよいか?
経済関係も戦争を意識すると、その有り様は大きく変わる。ブロッ
ク経済化が進むと見ないといけない。

クリントン米国務長官は現地時間14日、人民元の為替を操作する
中国政府の政策を改めて非難、そのマイナス影響を受けている先進
諸国は連携して中国政府に改善を求めるべきだと述べた。この演説
の発展系がTPPやFTPPAなどである。

野田佳彦首相は20日夜、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問
題について「一定の時期に結論は出さないといけない。完全にルー
ルが決まってから入るとハードルが高くなる可能性がある」と述べ
、交渉参加に前向きの姿勢を示した。

また、小沢一郎元代表も20日、TPP(環太平洋経済連携協定)
について「自由貿易は最も日本がメリットを受ける。原則として理
念的にはいいこと」と述べ、交渉参加に前向きである。

このように戦争を意識したことで。小沢氏まで賛成に回ることにな
っている。

事実、事務局のメルツァー氏は「現時点で中国のTPP参加の議論はな
い」と語り、中国の参加は難しいとした。条件が合わないようにし
ているからである。

このTPPに入らないと、行く行くは、中国包囲網の一環になるの
で、このTPPに入らないと貿易ができなくなる。ブロック以外と
の関税が非常に高くすることになる。交戦国との経済関係を禁止す
ることは、準戦争状態の場合は仕方ない。

さあ、どうなりますか??
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イラク駐留米軍:年内撤退 マリキ政権「挙国一致」優先 反米強
硬派に配慮

 【テヘラン鵜塚健】米政府が今年末までにイラクから米軍を撤退
させることを正式に決定した背景には、イラクのマリキ政権が「挙
国一致」を優先し、米軍駐留の延長を拒否した国内事情があるとみ
られる。治安の改善が進まないイラクでは米軍の一部残留を求める
声もあるが、反米強硬派サドル師派の反発などに配慮し、当初の計
画通りに米軍依存からの「脱却」を図った形だ。

 米政府は今年7月、駐留の延長をイラク政府に打診。イラク側で
も国内各地でテロが収束しないことから、訓練支援要員として米軍
の一部残留を要求する声が出た。

 イラク政府は今月4日、イスラム教のシーア、スンニ両派とクル
ド人の主要会派の間で「米軍駐留延長が必要」との認識で一致した
と発表した。

 しかし、残留部隊の規模をめぐって両国間の交渉が難航。米側は
「米兵が刑事事件を起こした際の訴追免除の継続」を要求したが、
イラク側は国民感情に配慮して、この要求受け入れを拒否した。

 決定的な要因となったのは、イランの影響を受ける反米強硬派サ
ドル師派の存在だ。米軍駐留延長が浮上したことを受け、サドル師
は「組織的な占領は許さない」と反発を強め、マリキ政権への協力
停止も示唆した。不安定な「寄り合い所帯」を束ねるマリキ首相は
国内の結束を重視し、駐留延長拒否に傾いたとみられる。

毎日新聞 2011年10月23日 東京朝刊
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ASEANと関係強化=太平洋で強固な米軍−パネッタ長官
 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)時事】パネッタ米国防長
官は22日、就任後初のアジア歴訪の最初の訪問地、インドネシア
・バリ島に到着した。長官はバリ島に向かう機中で、今回のアジア
歴訪の意義について、日米韓の同盟深化とともに、インドネシアな
ど東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との地域安定化に向けた
関係強化を強調した。
 パネッタ長官は「21世紀も太平洋で強固な米軍を維持し続ける
」とも述べ、国防費削減の中でもアジアを重視することを指摘。南
シナ海などで軍事活動を活発化させる中国をけん制した。
(2011/10/22-22:56)
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在日米軍トップ、日本政府に基地移設問題の前進を要請
2011年 10月 22日 14:52 JST
WSJ
 【米空軍横田基地(日本)】在日米軍司令官のバートン・フィー
ルド中将は21日、日本政府に対し、沖縄の米軍普天間基地の移設問
題を前進させるよう求めた。
Hisashi Murayama for The Wall Street Journal
Gen. Burton Field, commander of U.S. Forces Japan, 
at Yokota Air Base outside Tokyo.
 フィールド中将はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタ
ビューで、「沖縄に抵抗があることは承知している」とした上で、
海兵隊員の活動のためにより適切な場所に早く施設を作ることがで
きれば、「それだけ早くこの憎しみの一部を過去のものとすること
ができる。早くそうすることがあらゆる人のためになるだろう」と
述べた。

 インタビューはパネッタ米国防長官の24日の来日に先立って行わ
れた。パネッタ国防長官はこう着状態が続く普天間基地の移設問題
について、事態の打開を図るよう日本政府に圧力をかけるものとみ
られる。フィールド中将が報道機関のインタビューに応じるのは異
例。

 フィールド中将はまた、中国が経済面、軍事面で大国化するなか
、アジアに安定した力の均衡を維持するため、アジアに展開する米
軍が重要な役割を果たしていることを強調した。

 しかし、フィールド中将は米国にとって現行の合意を支持するこ
と重要だと改めて表明した。フィールド中将は第5空軍司令官も兼務
する。

 中国が軍事力を増強してアジアでますます大胆な演習を行い、軍
事力を誇示するようになったため、アジアの空と海を守る上で米国
の軍事力の重要性が高まっている。
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トルコ 上海協力機構への参加申請を提出
21.10.2011, 12:06ロシアの声
Photo: RIA Novosti

 トルコは、上海協力機構のパートナー国となるための公式申請を
行った。ロシア紙「コメルサント」が上海協力機構の情報筋として
21日伝えたところによれば、アメリカも上海協力機構との協力の
形について協議を行っているという。
 コメルサント紙によれば、トルコは4月、北京にある上海協力機
構の事務局に申請を行っていたということで、現在非公式の協議と
意見交換を行っているという。
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年内のイラク完全撤退を表明 オバマ大統領
2011年10月22日11時13分
 
 オバマ米大統領は21日、ホワイトハウスで、イラク駐留米軍を
今年末までに完全に撤退させると発表した。「アメリカのイラクで
の戦争は9年近くを経て終結する」とし、イラクのマリキ政権と新
たな協力関係に向けた話し合いを始める方針を明らかにした。 

 イラクには現在、約3万9千人の米軍が駐留しており、イラク政
府との協定で今年末が駐留期限になっている。オバマ大統領は発表
前にマリキ首相とテレビ回線で会談し、イラクとの「戦略的枠組み
合意」に基づいて今後の協力関係を話し合っていくことで一致。数
週間のうちに両政府の高官協議を開き、12月にマリキ氏をワシン
トンに招く考えを明らかにした。 

朝日新聞 国際報道追加:イラクには来年以降、アメリカ大使館に
160人の部隊が残るだけだということです。
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日・ミャンマー外相会談:ODA再開へ 「政治囚引き続き釈放」

 玄葉光一郎外相は21日夜、ミャンマーのワナマウンルウィン外
相と東京都内の飯倉公館で会談した。玄葉外相は、政治囚釈放など
民主化に向けたミャンマーの取り組みを評価。民主化弾圧への制裁
措置として中断していた水力発電所の補修や人材センター建設への
政府開発援助(ODA)を再開するため、調査団を出す意向を伝え
た。

 ミャンマーの外相が国際会議を除いて日本を公式訪問するのは、
95年以来16年ぶり。ワナマウンルウィン外相は会談で、テイン
セイン大統領が引き続き政治囚の釈放を行うとの見通しを明らかに
した。

 玄葉外相は、政治囚釈放や民主化運動指導者アウンサンスーチー
氏との対話などの措置を「民主化と国民和解に向けた具体的前進」
と評価。中断したODA案件の再開に向けた調査団の派遣に加え、
経済協力に向けた両国間会議の開催も提案した。【西田進一郎】

毎日新聞 2011年10月22日 東京朝刊
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タリバーンとの和解促す 米国務長官、アフガンなど訪問
2011年10月21日10時14分

 クリントン米国務長官は20日、アフガニスタンの首都カブール
でカルザイ大統領と会談した。同日午後には、隣国パキスタンを訪
問。先月のラバニ・アフガン元大統領暗殺で頓挫している反政府武
装勢力タリバーンとの和解プロセスの前進を両国に促す狙いだ。

 クリントン氏はカルザイ氏との会談後の記者会見で、「和解への
努力は続けねばならず、隣国の協力が不可欠だ」と述べた。オバマ
米政権は10年に及ぶアフガンでの戦闘の終結を急いでおり、
約10万人の駐留部隊のうち1万人を今年末までに撤退させる計画
。「出口戦略」として、カルザイ政権とタリバーンとの和解を重視
している。

 だが、アフガン高等和平評議会の議長だったラバニ氏が先月、タ
リバーンの使者を名乗る男に殺害され、カルザイ氏はタリバーンと
の直接交渉へ向けた努力を打ち切る意向を表明。さらに、アフガン
政府はタリバーンに影響力を持つパキスタンの関与を疑い、和解に
不可欠な二国間の協力関係は急速に失われている。  
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米、パキスタンに武装勢力掃討を強く要請
2011年10月21日22時40分

 クリントン米国務長官は21日、パキスタンの首都イスラマバー
ドでカル外相との会談後に記者会見し、同国北西部を拠点にするタ
リバーンなどアフガニスタンの反政府武装勢力の掃討に着手するよ
うパキスタン側に強く求めた。 

 クリントン氏は「我々はパキスタンが武装勢力の潜伏地域に対し
て強硬な措置をとり、タリバーンに和平交渉を促すことを期待して
いる」と述べた。さらに、行動は「数日か数週間以内に」とられる
べきだとし、速やかな対応を求めた。 

 米国は、武装勢力によるアフガン側への越境攻撃がやまないこと
に不信感を募らせている。9月にあった在カブール米大使館への攻
撃に際しては、攻撃に関与したタリバーン強硬派のハッカーニ派が
パキスタン情報機関の支援を受けていると米軍幹部が発言し、パキ
スタン側の反発を受けた。 
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中国、米国債を大量に手放す 対中為替法案への報復か
 【大紀元日本10月21日】中国は8月に、保有する米国債365億
ドルを売り越し、10年来最大の減少幅を記録した。米国債の格下
げでドル資産保有に不安が広がり、売却が進んだとみられる一方、
一部の専門家は、中国の大量放出は、審議中だった対中為替制裁法
案への報復措置だとみている。

 一方、インディアナ州のボール州立大学商学院の元教授で、著名
な経済学者の鄭竹園氏は、中国は米国債を購入することを「米国へ
の善意」だと見なしている、と指摘する。「そちら(米国)の国債
の価値を維持しているのは我々の善意だ。それなのになぜ為替制裁
法案を通そうとしているんだ。そちらが我々に友好的でなければ、
我々もそちらの国債を買い続けることはしない」。鄭氏は中国が米
国債を手放したのはこういった報復心理からだとみている。

 なお今回、中国のほか、香港や台湾、シンガポール等、アジアの
いくつかの保有国も米国債を売り越ししている。一方、日本やイギ
リス、産油国は、8月に大幅に米国債を買い増ししている。

(作成・王君宜、編集・張凛音)
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小沢氏、TPPに前向き 「自由貿易は日本にメリット」
2011年10月20日19時33分

 民主党の小沢一郎元代表は20日、東京都内でフリー記者らが主
催する記者会見に応じ、TPP(環太平洋経済連携協定)について
「自由貿易は最も日本がメリットを受ける。原則として理念的には
いいこと」と述べ、交渉参加に前向きな考えを示した。一方で、「
セーフティーネットを国内的に構築したうえでやらないと、競争力
の弱い分野は生活できなくなってしまう恐れがある。国民生活が大
変なことになる」とも指摘した。
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TPP交渉参加、完全にルールが決まってからではハードルが高く
なる=野田首相
2011年 10月 20日 22:16 JST 

 [東京 20日 ロイター] 野田佳彦首相は20日夜のNHK
番組で、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題について「一定
の時期に結論は出さないといけない。完全にルールが決まってから
入るとハードルが高くなる可能性がある」と述べ、交渉参加に前向
きの姿勢を示した。

 21日に閣議決定する予定の2011年度第3次補正予算案につ
いては、東日本大震災からの本格復興を力強く推進する予算となる
と強調。ねじれ国会でも、法案提出前から与野党で協議を重ねてお
り、「速やかに成立出来ると期待している」と述べ、早期成立に自
信を示した。
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24日からジュネーブで米朝協議 国務省発表
産経新聞 10月20日(木)9時20分配信

 【ワシントン=犬塚陽介】米国務省のトナー副報道官は19日の
記者会見で、北朝鮮の核問題をめぐる米朝高官協議を24、25の
両日、スイスのジュネーブで実施すると発表した。ボズワース北朝
鮮担当特別代表は協議後に退任し、後任にデービース国際原子力機
関(IAEA)担当大使が就任することも明らかにした。

 ジュネーブの協議ではボズワース氏が米代表団を率い、デービー
ス氏も同席。北朝鮮からは金桂寛第1外務次官らが出席する。

 また、駐韓米大使に転身するソン・キム前6カ国協議担当特使の
後任にクリフォード・ハート氏が就任することも正式に発表した。

 トナー副報道官はボズワース氏の退任を「個人的な事情」と説明
し、兼務してきたタフツ大フレッチャー法律外交大学院長の職務に
専念するとの見通しを示した上で、一連の異動は「人事の変更であ
り、政策の変更はない」と強調した。

 一方、副報道官はジュネーブの協議を今年7月のニューヨークの
協議と同様、北朝鮮の真意を見極める「予備的なもの」と位置づけ
、北が核放棄を盛り込んだ2005年の6カ国協議共同声明を順守
し、具体的な措置に踏み込むのかを確認する方針を示した。
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旧ソ連8カ国、自由貿易の条約に署名 統合の動き加速
2011年10月20日1時4分
 ロシアのプーチン首相は18日夜、旧ソ連諸国でつくる独立国家
共同体(CIS)の首相会議後の記者会見で、8カ国の首相が自由
貿易ゾーン条約に署名したことを明らかにした。プーチン首相は来
春のロシア大統領選出馬を表明後、旧ソ連諸国を経済統合する「ユ
ーラシア連合」の創設を提唱しており、今回の条約署名はその一歩。
旧ソ連圏統合の動きが加速している。 

 1991年末のソ連崩壊から20年となる今年12月には、CIS
加盟の大統領がモスクワで記念サミットを開き、結束を示す見通し。
欧米では「ソ連復活の動き」との指摘も出ている。 

 今回の首相会議はロシアのサンクトペテルブルクで開かれ、条約
署名は突然発表された。ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モルド
バ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アルメニアの計8カ
国が署名。比較的ロシアと距離を置くトルクメニスタンやウズベキ
スタン、アゼルバイジャンの3カ国は、年末までに条約加盟を検討
するという。 
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APEC自由貿易圏への足がかり、9か国が合意目指すTPP
2011年10月19日 21:20 発信地:ワシントンD.C./米国

【10月19日 AFP】米国と太平洋周辺の9か国は、来月のアジア太平洋
経済協力(APEC)首脳会議で、APEC全域での貿易協定成立に向けた
一歩として重要なTPP(環太平洋連携協定、Trans-Pacific Partnership)
について重要な発表をすることを目指している。

 複数の米当局者は17日、米ハワイ(Hawaii)のホノルル(Honolulu)
で11月12、13両日に開催されるAPEC首脳会議で、9か国首脳が「合意
についての大枠」で合意するだろうとの見通しを示した。

 TPPの交渉は2年間以上前から進められてきた。成立すれば、世界
の経済生産の4分の1を占める国々が参加する貿易協定になる。

 米通商代表部(US Trade Representative、USTR)のキャロル・ガ
スリー(Carol Guthrie)報道官によると、9か国の交渉担当者は、
19日から6〜10日間の日程でペルー・リマ(Lima)で協定の全体像を
まとめる調整を行う。

 日本以外ではカナダやフィリピン、韓国、台湾もTPP参加への関心
を示しているが、中国はまだその姿勢を明らかにしていない。メル
ツァー氏は「現時点で中国のTPP参加の議論はない」と語った。
(c)AFP/Andrew Beatty
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日韓首脳、ソウルで会談 北朝鮮の核問題など協議
2011年10月19日10時55分

野田佳彦首相は19日午前、韓国・ソウルの青瓦台(大統領府)で
李明博(イ・ミョンバク)大統領と会談した。両首脳は未来志向の
日韓関係を築くことを確認。2004年から中断している日韓の経
済連携協定(EPA)交渉の再開を探り、北朝鮮の核問題などを話
し合う。首相は、植民地時代に日本へ渡った朝鮮半島由来の「朝鮮
王朝儀軌(ぎき)」など古書の一部を直接引き渡す。 
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インドとパキスタン、両国間貿易を自由化へ 英紙報道:日本経済新聞
2011/10/18 10:31
分離独立して60年以上が経過するインドとパキスタンが2国間貿易
を大幅に自由化する準備を進めている。18日付の英フィナンシャル
・タイムズ紙が伝えた。両国の高官によると、パキスタンの政治家
や軍高官は、インドとの貿易関係はカシミールの帰属問題の解決次
第だという従来の態度を軟化させているという。

 1947年に英国による統治が終了してから中断してきた両国の貿易
関係が復活する見通しだ。来月にデリーで開く会合で詳細について
合意する予定という。

 中断してきた貿易関係の行き詰まりを打開するため、パキスタン
のカル外相はインドに最恵国の地位を与える用意があると同紙に語
った。同外相は長年紛争が続く地域では「どんな国でも一国だけで
は経済、政治的に発展できない」と語り、インドとの関係修復を目
指す考えを示した。

 インドとパキスタンを合わせると中国の人口を超えるにもかかわ
らず、2国間貿易は27億ドル(約2100億円)程度にとどまる。両国
の通商相は今月、3年前に中断していた交渉を再開。2国間貿易を
3年以内に60億ドルに引き上げるという目標で合意している。
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サウジとイランがイラクで代理戦争か―米軍撤退後に
2011年 10月 18日 8:15 JST
WSJ
 サウジアラビアとイランとの間の緊張の高まりを受けて、今年末
に米軍の少なくとも一部撤退が予定されているイラクで、サウジと
イランの代理戦争が再発するのではないかとの懸念が強まっている。

 アラブの春の思わぬ影響の一つが、中東におけるサウジの支援国
とイラン支援国との間の力の均衡が崩れたことだ。サウジはイラン
がバーレーンやイエメンで政情不安をあおっていると非難する一方
、イランは反政府抗議行動を弾圧しているシリアを支援し、中東地
域の民衆のイラン支持の低下に見舞われている。

 スンニ派が支配するサウジとシーア派のイランは、イラクでそれ
ぞれの宗派を支持してきており、サウジとイランはイラクで新たな
対立を引き起こす可能性が大きい。

 米政府が先週、イランが駐米サウジアラビア大使の暗殺を企てて
いたと明らかにしたことは、アラブ世界を震撼させた。スンニ派の
アラブ諸国は、イランがイラクやレバノン、シリアなどで影響力を
強めていると懸念を抱いている。イランは米政府の発表について、
イランとサウジの緊張を呼び起こすためのでっち上げだと否定して
いる。

 サウジは近年、イランによるシリアやレバノンに対する影響力の
拡大を阻止しようと努めてきているが、成果をあげていない。サウ
ジはイラクについては、シーア派主導の政権ではあるものの、米軍
の大規模駐留がイランの影響力浸透の防波堤になっているとみてき
た。

 サウジは、イラクでシーア派とスンニ派との宗派紛争が最高潮と
なった2006、07年にはイランが歴史的にはサウジの裏庭であるイラ
クに影響力を強めようとしているとみて、イラクのスンニ派武装勢
力に対し積極的に資金援助を行った過去がある。

 アラブの当局者は、イランからイラクのシーア派への支援のパイ
プラインは強化されている一方、サウジによるイラクのスンニ派へ
の支援網も簡単に復活するものだと指摘する。あるアラブの外交官
は、「米軍が撤退すれば、イラクがサウジとイランの新たな競技場
になる可能性がある」と述べる。
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日本の南シナ海問題介入、レアアース輸出制限の報復措置も=中国
2011年10月17日(月) 14:52サーチナ

  中国外交部の崔天凱副部長はこのほど、南シナ海問題に日本が
介入しようとしているとし、「現在の状況下において、何が日本の
真の国益になるのか、比較して考えるべきだ」と述べ、日本をけん
制した。中国国際放送局は16日、「これは日本への警告であり、言
い換えれば日本に報復措置を取るという意味だ」と報じた。
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米比軍事演習:初めて南シナ海に近い島で上陸訓練

 【マニラ矢野純一】米国、フィリピン両海兵隊の合同軍事演習が
17日、始まった。84年から毎年、ルソン島などで行われている
が、今年は初めて中国と領有権を争う南シナ海に近いパラワン島で
上陸訓練をする。

 演習は28日までの予定で、パラワン島のほかに国内各地で訓練
がある。参加人員は米側から2000人、比からは1000人で前
年と同じ規模。領有権問題で神経をとがらせる中国について、比海
兵隊のクレメン准将は「対テロと災害対応が目的で、警戒されるよ
うな訓練ではない」と話した。

毎日新聞 2011年10月17日 23時00分 
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「米企業、10年内に中国撤退を」 人件費上昇理由に 米BCG提言

2011年10月17日
【新華社北京=劉敏 周琳 黄?】「中国に工場を設立した米国製造
企業は中国から撤退するのか?」――BCG(ボストン・コンサル
ティング・グルー プ)が最近発表したレポートでは、中国の人件費
のアップと米国での生産効率のほうが高いことを挙げ、米企業は10
年以内に本国に戻ることを推奨している。

中国製造業はコスト的な魅力を失ったのか? 中国投資の見通しに
ついて欧米企業はどのように考えているか? 産業転換期に入った
中国はどう対応するか?
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アフリカで広がる反中国 投資ラッシュでも潤わず 
雇用奪い、貧困改善せず 
2011/10/17 22:15 日経

 【北京=森安健】アフリカ中南部の国々で、天然資源の確保へ経
済進出を強める中国への反感が急速に強まってきた。中国の企業や
労働者を優遇する「ひも付き」の投資が多く、現地の雇用や貧困問
題の改善につながらないためだ。ザンビアは中国企業との契約の全
面見直しに入り、親中派政権が総選挙を控えるアンゴラでは抗議デ
モが続く。中東・北アフリカの「アラブの春」が波及したアフリカ
住民の政権批判が、「中国マネー依存」に向かう構図だ。 

 「彼らはインベスター(投資家)ではなくインフェスター(寄生
者)だ」。9月20日のザンビア大統領選で勝利したサタ氏は、選挙
戦で中国からの投資を徹底して批判。当選直後に中国大使を呼び、
中国企業が絡む事業の全ての既存契約を再点検すると告げた。 

 反発が広がる最大の原因は、投資先の国の経済底上げにつながら
ない中国の進出モデルにある。労働者を本国から大量に派遣するな
ど「現地に富を落とさない」(日系商社幹部)手法に不満が噴き出
す。サタ大統領は中国からの資金で道路や病院はできていくが、現
地企業に恩恵が及ばない現状を批判した形だ。 

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中国総局長・山本勲 先鋭化する米中の攻防
2011.10.16 03:36 [中国]サンケイ

 米中の対抗関係が先鋭化してきた。富強国家となった中国が米国
の覇権に挑む動きを示し始める一方、米国は安全保障と経済の両面
から中国の膨張抑止に本腰を入れ出したからだ。南シナ海、台湾、
人民元、人権問題など、争点は尽きないうえに、来年秋の中国共産
党大会、同年末の米大統領選を控え、共に国内の批判を恐れて妥協
の余地が狭まる。二大強国が過渡期を迎え、日本や欧州連合(EU
)、ロシアなど周囲の国々の役割も重要性を増しそうだ。

 「制裁法案の可決は世界貿易機関(WTO)ルールへの重大違反
で、断固反対する」(中国外務省)。米上院が11日、人民元切り
上げを促す制裁法案を可決したことに中国側は猛反発。「法が成立
すれば貿易戦争だ」と中国内はかまびすしい。

 経済難に苦しむ米オバマ政権は昨年春から中国に人民元切り上げ
の働きかけを強めていた。しかし中国側の対応は緩慢で、しびれを
切らした米国上院が制裁法案を可決した。下院やオバマ大統領はこ
れに慎重で法制化の可能性は低いとみられているが、「(中国への
)米国民の強い欲求不満を反映している」(クリントン国務長官)
ことは確かだろう。

 安全保障分野でも、米国の対中不満と警戒心は募るばかりだ。中
国は昨年春からチベット、台湾に加え南シナ海までも「(自国領を
意味する)核心的利益」と主張し始めた。

 オバマ政権が先月、台湾への武器売却を議会通告した際の中国側
の反発もかつてなく強硬だった。張志軍・筆頭外務次官がロック駐
中国大使を呼びだし「強烈な憤慨」を表明、再開したばかりの米中
軍事交流停止の可能性さえ示唆した。

 今回の武器売却では新型F16戦闘機を含むか否かが最大のカギ
となっていた。米国は中国の圧力に屈して旧型F16の改良にとど
める譲歩をしたにもかかわらず、これほどの反撃を食らうとは予想
外だった。大国化した中国は対米交渉のボトムライン(底値)をじ
りじりと上げ、応じなければ交流停止や経済報復で圧力をかける戦
術に転じ始めた。

 オバマ政権は日米韓豪の主要4カ国との同盟関係を基礎に、東南
アジア諸国連合(ASEAN)諸国やインドとの連携強化などを通
じた“対中包囲網”の形成に動いている。

 対する中国は周辺国との首脳往来の頻繁化や経済交流拡大策を用
いた包囲網崩しに余念がない。4月にはギラード豪首相を招き「安
定的な戦略的協力関係の構築」(温家宝首相)を提起、双方は資源
・エネルギー協力の拡大で合意した。

 今月はロシアのプーチン首相とベトナムのグエン・フー・チョン
共産党書記長を招いた。プーチン訪中では「中露が(米一極支配を
崩す)世界の多極化を推進し、資源・エネルギーや宇宙開発、原子
力などの幅広い協力を強化する」ことで合意。

 中越間では、対立が激化している南シナ海領有権の「話し合い解
決をめざす」ことや、「領有権問題を棚上げした共同開発の検討」
で合意した。いずれも米国に見せつけるような合意といえる。

 こうして今世紀の世界覇権をめぐる米中攻防は一進一退の状態だ
が、一つのポイントは“一枚岩”には程遠い中露関係だろう。中国
30年の急速な強大化はソ連崩壊による背後の脅威消滅と、同時テ
ロ後の米中接近によるところが大きい。日米同盟にとっても対露関
係の再吟味が必要な時かもしれない。
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クリントン長官「先進諸国は連携して解決すべき」 人民元為替操
作をめぐって
 【大紀元日本10月17日】クリントン米国務長官は現地時間14日
、ニューヨーク経済クラブで開かれた産業界トップらとの会合で、
人民元の為替を操作する中国政府の政策を改めて非難、そのマイナ
ス影響を受けている先進諸国は連携して中国政府に改善を求めるべ
きだと述べた。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント
(GSAM)のジム・オニール会長も、人民元の切り上げは中国経済の
持続発展のキーポイントであるとの見解を示した。一方、中国政府
は国際社会のこのような声に対して、反発の姿勢を続けている。

 先進諸国は、中国側が人為的に人民元の相場を低く抑えることに
よって、中国の輸出製品が価格競争で優位に立つことになり、先進
諸国に失業率の上昇などの経済損失をもたらしている、と批判して
きた。

 クリントン長官は、「米国は立ち上がって、これは受け入れ難い
ことだと声を上げるべき」と述べた。

 同長官は、中国側のこのような作為は世界貿易体制を翻弄してい
ると指摘、米国だけでなく、世界の他国の経済にも不利益をもたら
しているため、関連諸国も人民元の引き上げを求めるべきだと強調
した。

 同長官は、中国政府に対して有効な対応を講じるには国際的な連
盟を設立すべきとも提言した。
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「断固とした対応を取る」 ハメネイ師、米に反発
2011年10月17日0時34分

 イランの最高指導者ハメネイ師は16日、西部ケルマンシャー州
での演説で「米国が不適切なことをすればイランは断固とした対応
を取る」と述べ、駐米サウジアラビア大使の暗殺計画発覚を機にイ
ランへの追加制裁をちらつかせる米国を牽制(けんせい)した。

 ハメネイ師は15日にも同州で演説し、暗殺計画へのイラン政府
の関与について「無意味でばかげた言いがかり」と否定した。
(北川学)
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誘拐多発受けソマリアに軍派遣 ケニア
2011年10月16日22時1分

 ケニア国内から外国人が相次いで誘拐され、ソマリアに連れ去ら
れたことを受け、ケニア政府はソマリア側に軍隊を派遣し、16日
に国境を越えた。現地からの報道によると、誘拐に関わった疑いが
あるソマリア中南部を支配するイスラム武装勢力シャバブを追うた
めだという。

 ケニアではここ数カ月の間に国境近くの観光地でイギリス人やフ
ランス人の女性が連れ去られる事件が続発。13日にはケニア東部
のダダーブ難民キャンプで、国際NGO「国境なき医師団」のスペ
イン人の女性スタッフ2人が誘拐された。

 ただ、今回の一連の誘拐にはシャバブのほか、海賊グループの関
与も指摘されている。(ナイロビ=杉山正)  
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ウガンダなどに米軍100人派遣=武装勢力掃討を支援
−オバマ大統領
 【ワシントン時事】オバマ米大統領は14日、ウガンダ政府など
によるキリスト教原理主義勢力「神の抵抗軍(LRA)」の掃討作
戦を支援するため、米軍部隊約100人をアフリカ中部に派遣する
ことを決め、議会に通告した。軍事作戦の助言が中心となる。小規
模の戦闘部隊が12日にウガンダ入りした。
 LRAはウガンダの反政府勢力で、「モーゼの十戒」に基づく神
政国家樹立を主張。ウガンダや南スーダン、コンゴ(旧ザイール)
、中央アフリカなどで住民殺りくの残虐行為のほか、性的暴行、女
性や子供の誘拐を繰り返し、国際的に非難されている。指導者のジ
ョゼフ・コニー容疑者に対しては、人道に対する罪で国際刑事裁判
所(ICC)から逮捕状が出ている。(2011/10/15-10:20)
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中国文化の世界浸透狙う=西側に対抗、ソフトパワー強化−6中総会
 【北京時事】「文化体制改革」を主議題とする中国共産党の第17
期中央委員会第6回総会(6中総会)が15日、4日間の日程で開
幕した。同党は「文化は総合国力競争の(勝敗を決める)重要要素
」(政治局会議)と強調。自由や民主など西側諸国の価値観に対抗
するため、中国独自の文化を国際社会に広める「ソフトパワー」戦
略を強化する方針だ。
 中国は2008年末の金融危機後も高度経済成長を続け、日米欧
を尻目に世界経済をけん引。自信を深め、一党独裁体制の優位性を
誇示した独自の統治方式「中国モデル」を喧伝(けんでん)し、強
気の対外戦略を展開してきた。
 昨年は民主活動家・劉暁波氏へのノーベル平和賞受賞に反発。国
際社会で「中国異質論」が広まったが、西側の価値観と中国の論理
が衝突する場面は確実に増えている。(2011/10/15-17:43)
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南スーダンに陸自の施設部隊派遣へ PKO
2011年10月15日3時0分

 野田政権は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に陸上自
衛隊の施設部隊を派遣する方針を固めた。第1次の現地調査団が、
首都ジュバは治安上の問題はないと結論づけており、ジュバでの活
動を念頭に派遣が可能と判断した。今後、国連と協議したうえで早
ければ11月下旬に部隊派遣を閣議決定し、年明けにも活動を始め
る予定だ。

 第1次調査団は内閣府と外務、防衛両省で構成し、ジュバや北部
のマラカルで南スーダン政府高官や国連幹部から聴取。関係者の話
を総合すると、ジュバは「早期の部隊派遣や活動開始が可能」とし
て、「ジュバを拠点として施設活動を行うことで検討を深めること
が適当と判断した」と結論づけた。

 政権は現在、南スーダンまでの補給路などを確認するため、ケニ
アなど周辺国に第2次調査団を派遣。今月下旬の帰国後に部隊派遣
を正式決定し、具体的な派遣規模や日程を固める。
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人民元を使った対中直接投資が解禁=通貨国際化に大きな一歩―中国

2011年10月14日、中国商務部は「人民元の海外直接投資関連問題に
関する通知」を、中国人民銀行は「外国企業による人民元直接投資
決算管理弁法」を公布した。外国企業が人民元を使って中国に投資
することが認められた。15日、シンガポール華字紙・聯合早報が伝
えた。

従来は外国企業が中国に投資する場合、ドルやユーロなどの人民元
以外の通貨を使用することが求められていた。今回の規制緩和で利
便性が大きく向上し、外資企業による対中投資を促す効果が期待さ
れている。

また海外企業が得た人民元が中国に還流するための新たなルートが
できたことから、通貨としての流動性が高まると見られる。中国が
目指す人民元の国際化、基軸通貨化に向けて大きな一歩となった。
(翻訳・編集/KT)
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日・ASEAN、海洋安保宣言へ…中国をけん制

 【ジャカルタ=白石洋一】日本と東南アジア諸国連合(ASEA
N)が11月中旬にインドネシアで開く首脳会議で、8年ぶりに「
日ASEAN共同宣言」を採択することが14日、明らかになった。

 海洋活動の拡大を続ける中国を念頭に、日本とASEANの間で
海の安全保障分野での協力を推進する内容を盛り込む方向だ。東日
本大震災の体験を踏まえ、日本が津波予測システムなどの防災協力
を進めることも明記する。

 日・ASEANの共同宣言作成は2003年12月、経済連携の
推進などを盛り込んだ「東京宣言」以来。東京宣言では、海洋安全
保障の記述はなかった。

(2011年10月14日14時37分 読売新聞) 
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武器輸出3原則を緩和、米大統領に表明へ

 野田首相は、原則としてすべての武器と関連技術の輸出を禁じる
政府の武器輸出3原則を緩和する意向を固め、11月に行われる見
通しの日米首脳会談で、オバマ大統領に表明する調整に入った。

 複数の政府筋が13日、明らかにした。緩和は、世界的な潮流で
ある武器の国際共同開発・生産への参加に道を開くもので、巨額の
財源が必要な防衛装備品調達のコストダウンにもつながる。米国は
、日本の高い技術力を共同開発に生かすことを以前から求めており
、首相は、日米同盟の強化にも資すると判断した。

(2011年10月14日03時08分 読売新聞)
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米韓首脳が会談 同盟関係強化を確認
2011年10月14日8時0分

 米国を訪問中の韓国の李明博大統領は13日、ホワイトハウスで
オバマ大統領と会談した。両首脳は、米韓自由貿易協定(FTA)
の早期発効が、軍事・安全保障が中心の同盟関係を経済分野に広げ
、一層の関係強化につながるとの認識を確認したとみられる。
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対台湾武器売却を批判=南シナ海は平行線−米中高官協議
 【北京時事】米中両国は11日、アジア・太平洋問題について意
見交換する第2回高官協議を北京で開催した。中国側は、米国が9
月下旬に台湾への武器売却を決定した問題を提起し、米国の対応を
強く批判したもようだ。南シナ海をめぐる対立も解けなかったとみ
られる。
 高官協議は6月にホノルルで行われたのに続くもので、キャンベ
ル国務次官補(東アジア・太平洋担当)と崔天凱外務次官が出席。
台湾への武器売却決定を受け、中国側は軍事交流などの停止を示唆
していたが、今回協議に応じたのは、対米関係の悪化を避け、対話
により摩擦解決を図る姿勢の表れとみられる。(2011/10/11-18:55) 
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米中間戦争はあり得ない、両国のダメージは大災害レベルに
―米ランド研究所(レコードチャイナ)

2011年10月10日、米シンクタンク・ランド研究所は公式サイトでレ
ポートを発表し、中国との直接的な軍事的衝突を避けるために、米
国は中国周辺国の防衛力強化と中米双方に利益のある安全協力関係
に誘い込むという、一気に解決する戦略をとるべきだと提唱してい
る。13日付で環球時報が伝えた。

研究者によれば、米中間で軍事的衝突が発生した場合、結果は両国
にとって大災害レベルの大きなダメージとなる。レポートでは北朝
鮮、台湾、インターネット、南シナ海情勢、日本、インドという米
中の衝突の6つのパターンを想定している。米国が適切な措置を取っ
て軍事力や示威的態度を継続していれば、米中間の軍事衝突はほと
んど起こりえないという。

このレポートの主筆である、ランド研究所のジェームズ・ドビンズ
氏はこう分析する。「中国にその意思があれば、最盛期の旧ソ連や
ナチスドイツよりももっと強力な敵国になるだろうが、中国は領土
拡大や周辺国をコントロールしようと思っていない。」

北朝鮮問題で対峙する可能性が高いが、一方で北朝鮮がもし崩壊す
ることになれば米中は協力して情勢の安定化に注力するだろう。中
台関係も徐々に改善されているが、米中の台湾に対する立場は根本
的な食い違いがあり、衝突の可能性が完全になくなったわけではな
い。中国は何度も米国のネットワークに侵入し、重要な情報を盗み
出しインターネットの対戦力を誇示している。ネット戦争に勝者は
なく、両国経済に実害があるだけだと研究者はいう。また、南シナ
海、日本やインドに関して衝突することも考えられる。今後、関係
国の実力や牽制力の強化に頼ることになるだろう。
(翻訳・編集/渡邊英子) 
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虎の子空母もリストラ検討=「ジョージ・ワシントン」対象
−財政赤字で逆風・米海軍

 【ワシントン時事】財政赤字対策で経費削減を強いられる米海軍
が、抑止力の要の原子力空母もリストラ対象として検討しているこ
とが8日、分かった。莫大(ばくだい)な費用が掛かる原子炉の核
燃料交換時期の延期や、現在の空母11隻体制を10隻に減らす案
が浮上。横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とする「ジョージ
・ワシントン」(約10万トン、乗組員6000人)もリストラの
検討対象になっているという。

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